皆さんにとって、2024年はどの様なシーズンでしたでしょうか。思い出に残るシーズンになったでしょうか。それとも、あまり良いシーズンではなかったのでしょうか。毎年、禁漁に入った時期に、そのシーズン全体を振り返ることを恒例にしています。さて、今年はどの様なシーズンだったのでしょうか? (注:本レポートは新潟県下越地方、及び北海道の釣りを想定しており、気候や水量等の状況は他府県と異なる可能性があります。) 2年連続の猛暑と渇水の2024年 地球温暖化は今や常識となり、年々、平均気温が上昇し続けています。昨年に続き、今年も人類史上最も暑い年となった様です。特に今年は日本近海の太平洋の海水温が異様に高い状態が続いていて、10月に入っても西日本では頻繁に豪雨災害が起きるほどでした。夏には十勝などの平野部で渓水温が軽く25℃を超え、渓魚の生息限界を超え始めています。冷たい湧き水や沢に逃げ込んだ僅かな個体によって、命を繋いでいる状況となっているのではないかと思われます。 一方で、今年はコロナ禍終息でインバウンドが復活し、特に北海道では昨年以上に観光客が激増しました。キャンピングカーを利用した長期滞在型の旅行客も増え、私の様な数か月単位で北海道に滞在する釣り人も、今では決して珍しい存在では無くなってきました。猛暑と渇水による渓水温上昇に加え、釣り人の増加で渓魚の個体数は減少しつつある様で、年々、渓魚は目に見えて釣れなくなって来ています。あと何年、現在の様な釣りが続けられるのか、釣行のたびに考えさせられます。
残雪にフクジュソウの咲き乱れる渓畔 山形県小国町(4月5日) 渓魚の減少は釣り人のみの知り得る情報ですが、サケの動向はその来遊数調査から客観的に知る事が出来ます。2024年9月末での北海道へのサケ来遊数は、前年同日比73%と減少しており、ここ数年、減少の一途を辿っています。これまでアメマス釣りのために訪問した複数の河川で、9月に入るとブナ化したサケの姿を良く見かけたものですが、今年は遂に1尾のサケも見る事はありませんでした。一方で、より高水温に向くサクラマスの遡上は増えていて、渓流釣りの邪魔をする厄介者になっています。 下図は南東北と道東における平均気温と降水量の平年値(過去30年間の平均)との差を見たものですが、ご覧の通り、昨年と今年は極端な気温上昇と降水量の低下が起きていた事が見て取れます。特に北海道では2年連続の夏の高温と渇水に見舞われ、渓水温の上昇が平野部での渓魚の減少に拍車を掛けている様に思われます。地球温暖化は思った以上に進展している様です。(データは気象庁電子閲覧室) 南東北(肘折・大井沢・小国・下関・津川・守門)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) 道東(帯広・糠平・白糠・川湯・中標津・根室)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%)
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ここ数年、4月〜6月初までは新潟下越でのダム湖の釣り、その後11月初までは北海道での釣りを楽しむ事にしています。しかし、今シーズンの新潟は、暖冬による例年にない小雪に加え、高温で融雪が進んだため、春の渓水が異常に少ない状況となり、ダム湖の釣りは5月GWで終わってしまいました。そのため、例年より早く北海道入りしたものの、今度は猛暑と渇水に見舞われ、終盤まで満足の行く釣りはできませんでした。そして10月に入ると、今度は風邪をこじらせてしまい、予定より早い10月10日には帰京するハメになってしまいました。 ただそんな中でも、今年も新しい釣り場を幾つか開拓することができ、思わぬ大物の釣果も見られました。今年は多くの大ニジマスを十勝外の新しい釣り場で釣り上げています。十勝では初めての釣り場で初めてイトウを釣り上げました。また、潜行板を使ったレイクトローリングについて研究することができ、実に14年ぶりに釣りマニュアルを追加新設することができました。加えて、今年はフライフィッシングでの釣りはほぼ無くなり、全ての大物をルアーフィッシングで釣り上げました。
紅葉の八千穂レイクで釣りを楽しむ 長野県佐久穂町(10月28日) さて、今年6月に73歳となりましたが、釣りをする上で、ますます体力的に厳しい状況となっています。また、高齢化に伴い、様々な病気を発症する可能性も高くなっています。健康が許せば来年も、春から秋にかけて、新潟・北海道で過ごしたいと考えていますが、次第に思う様な釣行ができなくなってきているのも事実です。そのため、釣行回数を更に減らし、何もしない日を増やしたいと考えています。当サイトも、現在は私の個人的な釣り日誌となっています。ご了承下さい。 最後に、今シーズンも沢山の楽しい思い出をプレゼントして頂いた、釣り仲間の皆さん、下越や北海道でお会いした釣り人の皆さま、またFaceBook、Instagram、XなどSNSにてお付き合い頂いた皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。お付き合い頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
2024年の大物記録 今年も新潟下越では、ダム湖への入渓回数が激減し、大苦戦しました。北海道でも、猛暑と渇水で思った様な釣りができませんでした。そんな中でも、自己記録を更新するサイズの大イワナやイトウ、ブラウントラウトが釣れたのは幸いでした。50cmを超える大物の釣果尾数は、イワナ:21年4尾→22年4尾→23年1尾→24年2尾、アメマス:21→7→19→24尾、ニジマス:10→4→3→5尾と、やや回復した様に見えます。ただ残念ながら、チップ(陸封型ヒメマス)の釣果はありませんでした。なお、釣魚は全て生きたままリリースしています。 注:「拡大]の表記のある画像は、クリックするとFDHサイズの大きな画像が表示されます。 東北のイワナ
アメマス
ニジマス
イトウ
ブラウントラウト
その他の魚種
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