下越のダム湖では、年々、魚影が薄くなりつつあり、苦戦を強いられていますが、４月末には本命の巨大なダム湖が開放され、いよいよ今シーズンのダム湖のイワナ釣りも、トップシーズンに突入かと思われました。しかし、例年通りの釣れっぷりを見せてくれたのは、最初の１日だけで、ゴールデンウイーク（ＧＷ）後半はまるで魚影が消えてしまったかの様な状況になってしまいました。今年は降雪が異様に少なく、ＧＷ後半には既に雪代の最盛期は終わっていて、ダム湖への渓水の流入量が極端に少なくなっているのが原因の様です。インレットは既にジンクリアとなっていて、今年のダム湖の釣りも、早くも終了せざるを得ない状況となってしまいました。   【４月２８（日）】 例年、ＧＷの初日には、我々の本命としている巨大なダム湖への林道が開放されます。今年は曜日の関係でこの日からダム湖への入渓が可能となり、早速、もっくんと２人で出漁となりました。この時期のダム湖の釣りは晴天の暖かい日に良く釣れますが、今年のＧＷは幸いにも好天続きとなっていて、大いに期待できました。この日は朝９時に待ち合わせ、のんびりとボートを漕ぎだし、メインの釣り場であるインレット下流部のポイントへ。ただ、早朝は気温がまだ低く反応がありません。しかし10時を過ぎる頃から虫が飛び始め、10時半過ぎにトローリングで最初のヒットが見られました。
１尾目はもっくんのイワナ40cmでしたが、魚の吐き出したワカサギを見て少々驚きました。今年は温暖化のせいで気温の高い日が多かったためか、成長が早く既に8cmほどにもなっていたからです。しかも付近には上部のダム湖から流されてきた瀕死状態のワカサギが大量にプカプカと浮かんでいます。イワナ達は餌の食べ放題の様でした。その後も気温はグングンと上昇し、お昼ころには平野部の観測地点で26℃を超えた様で、イワナ達の活性も急上昇しました。11時にはもっくんに36cm、11時半頃からは私に44cm、28cm、45cmと調子よくヒットが続きます。
そして12時を過ぎると活性もピークに達したのか、キャスティングに切り替えると、12:20時頃にはもっくんと私に全く同サイズの45cmが2尾ダブルヒット。その後ももっくんに45cm、46cm、44cm、私に45cmと続き、今シーズンは貧果が続いていたため、久々に気分の良い釣りが楽しめました。そして13時になるころでした。少し移動して、新しいポイントにSukari60deepリフレクトグリーンを投げ込み、リーリングしてくると、ボート手前２ｍ程の距離の所で、左側の深みから巨大なイワナが突進してきて、ミノーに喰らい付くのが見えました。ガッチリと合せを入れましたが、勝負はここからでした。
敵は丸々と太った53cmで、まるで北海道の大ニジマスさながらに高速で泳ぎまわり、ドラグをガーガーと何度も何度も引き出して大暴れするのです。ヒヤヒヤしましたが、それでも15分ほどもやり取りをすると敵も疲れてきたのか、降参してくれました。それにしてもこの引きの強さは、これまでの私のイワナ人生で過去最高と言えるほどの凄まじいものでした。その直後には、今度はもっくんにも、これまた太った49cmがヒット、大暴れを楽しませてくれました。結局、この日の釣果は私に40cm以上5尾、合計6尾、もっくんには40cm台7尾、合計9尾と、久々の大漁となってくれました。
【４月２９（月）】 翌日は久しぶりに新潟のＴさんがポーターボートで参戦されました。この日も良く晴れた暖かい日で、この時期のダム湖の釣りにはとても良い条件の様に思われました。10時半過ぎ、インレットの遥か下流部で、まずはもっくんに35cmほどのおチビちゃんがヒット。この日もイケるかなと思ったのですが、しかし、インレット下流部に到着すると、前日とはかなり様相が異なっている事に驚きました。上流からの水量が随分と少なくなっていて、しかも透明度が高くなっていたのです。流れが無いと活性は大幅に下がりますし、ジンクリアだとルアーを見切られてしまい、釣りになりません。
そして、まずは前日に良く釣れたポイントを攻めてみましたが、案の定、これが何の反応もありません。少し下流部の緩い流れでＴさんがスプーンで45cmを釣り上げたのを見て、状況がようやく見えてきました。この日は予想外に活性が低く、魚たちは流れの緩い底付近に定位していて、前日の釣り方は通用してくれないのでした。そのため、流れの緩い場所をトローリングしたり、ブッシュ脇にキャスティングしたりしましたが、これがサッパリ釣れません。それでも我慢して釣り続けていると、13時半ころになって、もっくんに下写真の48cmと46cmがヒット、14時過ぎにはＴさんにも41cmがヒット。しかし、私には38cmが１尾だけと、実に寂しい釣果となってしまいました。
【５月３日（金）】 今年のＧＷは好天に恵まれ、連休後半も快晴のむしろ暑い日が続きました。この時期のダム湖の釣りには最適の条件が揃っている様に思われましたが、その後は全く予想外の結果となりました。この日はダムインレットへの流入水量が更に極端に少なくなり、渓水もジンクリアでした。そのため、もっくん・Ｔさんと３人で臨みましたが、釣果はもっくんの38cm１尾のみとなり、私もＴさんも全くのノーフィッシュ。そして翌４日も同様で、インレットから何ｋｍも離れた場所でもっくんが釣ったおチビちゃんが２尾だけでした。数日前にはあれだけの魚影を見た同じダム湖の同じポイントで、全く魚影の感じられない状況に変化していたのです。
そして、なぜ魚影が消えてしまったのかをあれこれ考えてみましたが、本当の原因は良く判っていません。唯一そのヒントとなっているのは、ダム湖への流入水量の変化です。現在では多くのダム湖の流入水量や放流水量、水位などの状況を川の防災情報で確認することが可能となっています。過去にたまたま保存していた上記防災情報のデータを見ると、例年の5月ＧＷ頃のダム湖への流入水量は概ね50t/s程度あった様ですが、今年に限っては、雨の影響で4月末には50t/s有ったものの、5月3日には32t/s、7日には25t/sまで極端に減っている事が判りました。
【５月４（土）】 つまり、今年は降雪が極端に少なかったため、5月初には既に6月初頃の水量にまで激減していた事になります。桜開花や山菜は２週間程度の季節のズレでしたが、どうやら雪代の状況は１ヵ月以上も季節が早かった様なのです。例年であればダム湖の釣りは6月初まで続きますが、今年に限っては既に終了していたのではないかと思われるのです。そのため、5月4日を最後に、我々の今年のダム湖の釣りを終了することと致しました。今後、大雨が降って流入水量が増え、濁りも出た場合には、一時的に下越のダム湖へ舞い戻る事があるかも知れませんが、その可能性も殆ど無いでしょう。
さて、以下の表は今シーズンの我々のダム湖の釣りの全てです。３つのダム湖へ僅かに計8回の釣行でしたが、まともに釣れたのは4月28日の1日だけでした。しかも私に限っては８回中４回がノーフィッシュという、過去にも全く経験の無い惨憺たる結果でした。そんな中でも56、53cmの大物が２尾釣れてくれたことは、本当に不幸中の幸いでした。不漁の根底にある原因はもちろん「地球温暖化」ですが、来年以降もこの釣りが続けられるのか、不安でなりません。前回のレポートで「私が老いいるのが先か、イワナの絶滅が先か」と問いましたが、どうやらイワナ達の絶滅の方が先になりそうな気がしてなりません。
【今回使用のタックル】 IL_Flusso/Tilf72、VanfordC3000HG、SunlineCastawayPE30lb、GrandMaxFX2.5号、 Sukari60Deep/Rグリーン/OB鮎/イブキ、DaiwaChinookSフルチャート28g、他 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
