堰堤プールのルアーフィッシング
初版93年10月20日、最新版05年12月15日



東北の豪雪地帯では、砂防堰堤の上にできた大小さまざまなプールで、イワナやヤマメの大物が数多く釣られています。この釣りは私自身が最も得意とする釣りであり、当ホームページのメインコンテンツともなっています。本マニュアルは、ルアーフィッシングだけでなく、餌釣りやフライ・テンカラをされる人にも参考になる内容を沢山含んでいると考えています。このマニュアルが皆さんの釣りの参考になれば幸いです。

1.堰堤プールのルアーフィッシングとは

まずは最近の釣果をご覧頂きましょう。下表は98年と99年度の堰堤プールでのイワナの釣果を抜粋したものです。98年は早期に大物が比較的良く釣れた年ですが、99年は3〜4月の最盛期に土日毎の悪天候に見舞われ、中型の非常に多い年となりました。ここ数年、同程度の釣果を毎年上げることが出来ています。


この釣りのフィールドは下の写真の様な、どこにでもありそうな堰堤上のプールです。表からお判り頂ける様に、堰堤プールでの釣りの可能な時期は3〜7月及び9月となっており、渇水する真夏の約1ヶ月を除けば、ほぼフルシーズンに渡って楽しめます。また、早期から40cmを超える大イワナを仕留める事も可能である事もお判り頂けると思います。ごく身近なフィールドで、シーズンを通して、しかも渓流では考えられない様な大物と巡り合える可能性のある釣り、それが「堰堤プールのルアーフィッシング」なのです。このマニュアルでは主に堰堤プールでの大型のイワナの釣り方について説明します。

・ ごく身近なフィールド、東北ではどの都市からも1時間程度内に釣り場が存在
・ 早期から40cmを超える大イワナも狙える
・ 8月の1ヶ月を除くほぼフルシーズンにわたって楽しめる


2.注意点とお願い

2−2.キャッチ&リリースの必要性

この様に型・数ともに非常に良く釣れる堰堤プールの釣りですが、雑誌などでの情報公開により釣り人が殺到し、その結果トラウトの殆ど見られなくなった釣り場も存在します。非常に残念な事ですが、常識では考えられない様な大量の魚を持ち帰る人が後を絶ちません。キャッチ&リリースの叫ばれている現在では、魚を持ち帰り自慢すること自体が既に非常に恥ずかしい行為であることに、早く気付いて頂きたいものです。

加えて、堰堤プールのイワナやヤマメはその水系の「種魚」の可能性が高いため、釣り切ってしまうことでその上流の渓流も含めた水系の魚を根絶やしにしかねません。ただむやみに魚を殺すだけの行為は謹んで頂く様、強くお願い致します。

2−3.禁漁区域に注意

山形県では堰堤プールでの釣りが禁止されているところは殆どありません。しかし、宮城県など地域によっては堰堤プールでの釣りを禁止としている所が多くあります。地元漁協組合などに十分な確認をした上で釣行される様お願いします。なお、山形県内の堰堤プールなどでのボート乗り入れや釣りの可否については、「渓流釣り解禁情報」をご参照下さい。

3.トラウトの行動 − 河川内での大規模な移動

渓流の魚は我々の想像以上にダイナミックに河川内を移動している様です。季節ごと、或いは気象条件の違いによって、トラウトが河川内でどの様な行動パターンを示すかを考えることにより、堰堤プールでの釣期や魚の付き場を推測する事が可能になります。まず最初に堰堤プールとその上流でのトラウトの行動について考えます。

3−1.成長とともに下流へ移動

魚は大型化すればするほど大量の餌を必要とする様になる事から、成長するにつれて、餌の少ない源流部から餌の多い下流部に下ってくるものと考えられます。その結果、堰堤プールがあるとそこで行き止まりとなり、そこに或る大きさ以上の魚が溜まる事になるのではないかと推測されます。餌の量は水量や渓の規模と比例します。上流の渓流の水量が少なければ少ない程、堰堤プールに棲み付く魚のサイズの平均値が小さくなります。逆に上流の水量が多いほど、大型の岩魚が良く釣れます。つまり、上流の水量がその堰堤プールの魚の大きさを規定していると考えられます。

増水時には一時的に餌と水量が豊富になる事から、これらの魚が渓流に遡上し、時おり餌釣り師の竿にヒットする事は良く知られています。また、堰堤の無い川では本流の非常に大きな淵などに同様の大型魚の溜まり場ができ、巨大な魚を狙えます。逆に冬季の厳寒期は積雪で渇水となり、また低水温による餌不足も起きると考えられ、大型のトラウトが堰堤に集まってくるのではないかと考えています。

3−2.季節・河川水量にともなう移動

一旦堰堤に入り込んだトラウトも、季節や水量によってダイナミックに河川内を移動している様です。多くの堰堤ではダム下部に小さな穴が残っており、渇水によって上流からの水量が少なくなると、水位が下がり、プールの大きさが極端に小さくなります。下の写真の堰堤では、満水時(左)にはプールの全長が2kmにも達しますが、99年8月の渇水時(右)にはその長さが50m程度まで縮小しました。こういった時にはプールの水温が非常に高くなり、水位の低下と相まって、殆どのトラウトが上流へ移動してしまう様です。そして、この様な渇水時には上流部で大型のトラウトが数多く釣られることになります。実際に、堰堤が干上がった直後に大型のトラウトが上流のあちこちでまとめて釣れたと言う情報を良く耳にします。


逆に、豪雨や急激な雪代(雪融水)の流入により濁った水が上流から流れてくると、魚たちは下流部へ追いやられ、堰堤プールにトラウトが溜まってくる様です。後述の「堰堤プール内でのトラウトの行動−煙幕理論」で詳しく説明しますが、魚たちは濁った水が上流から流れてくると、まるで煙幕に追われる様に視界の利く下流部へと次第に追いやられて行く様です。加えて、濁った激流が魚たちを物理的に下流へ押し流してしまうことも有る様です。

特に雪代の豊富な4〜5月には、強く濁った雪代が毎日の様に定期的に流入してくるため、トラウト達の移動距離は数kmにも及ぶと考えられます。その結果、最源流部の堰堤プールには、5月から6月にかけて、大型のトラウトがどんどん増えてきます。このため、積雪が多く春の気温が高い年ほど、大型のトラウトが多く釣れる傾向にあります。

しかし、年によって積雪量や渇水の程度は大幅に異なるものです。98年はそれほど積雪量は多くなかったにも関わらず3月〜4月にかけての気温が非常に高くなり、堰堤プール内に大型魚が多く降りてきたと考えられます。この年はその後冷夏となり、渇水することは殆どありませんでした。そのため、9月に入っても堰堤プールでイワナが数多く釣れてくれました。

翌99年は3〜4月に低温が続き、この時期にはそれ程の大物は釣れませんでした。しかし積雪量は比較的多く、7月中旬まで雪代が流れ、結果的に中型のイワナが数多く釣れてくれたと考えられます。しかしその後は異常とも思える渇水に見舞われ、8月初には多くの堰堤プールが干上がり、プールには魚が全く見られなくなりました。そして9月に入り、僅かながらも堰堤プールにイワナが戻っていたのを確認しています。

3−3.産卵にともなう移動

従来、トラウト達は産卵のために秋になると源流部へ移動すると言われてきました。しかし禁漁期のトラウト達の行動を観察する事は難しいため、私には本当のところは良く判りません。源流部で大型のトラウト達が産卵しているシーンをTVなどでよく見かけますが、どの程度の割合で、どの様なタイミングで、或いはどの様な条件が引き金となってトラウト達が移動するのかは、興味のあるところです。

唯一判っていることは、渇水の程度により秋の堰堤プールに残っているトラウトの数が大幅に異なることです。産卵のために源流を目指すトラウトは比較的大型のものに限られるのではないか、と考えています。夏季に極端な渇水さえなければ、30cm程度までのイワナ達は数多くプール内に留まっている様です。

3−4.山形県寒河江川水系での年間のイワナの行動

例として寒河江川水系の源流部での年間の大まかなイワナの行動を推測したものを表にしてみました。源頭となる山の高さや降雪量の違いによって、トラウト達の行動も大幅に異なってくるものと思われます。それぞれの地域でのトラウトの行動を環境に応じて推測し、釣りを楽しんで頂くことをお願いします。

1〜2月 降雪期。渇水と低水温のため、餌不足から大型魚は堰堤プール内に留まる。
3月 雪代の出る前。高透明度。留まっている大型魚が釣れる。ポイントは底。
4月 雪代期初期。煙幕によりプール内に魚が増えてくる。昼間の暖かい時間帯に釣れる。
5〜6月 雪代の最盛期。プール内に魚が増え続ける。最も釣り易く、中型が良く釣れる。
7月 河川により渇水へ向う。高透明度になると魚は餌に依存した行動を取る様になる。
8月 渇水期。渇水の程度により、魚は上流へ移動する場合や留まる場合がある。
9月 著しい渇水がなければ、小型はプールに留まる。大型は産卵のため移動し始める。
10〜12月 産卵期。大型魚は源流や支流へ入っていると考えられる。詳細不明。

4.釣り場となり得る堰堤プール

4−1.堰堤プールとダム湖は似て否なるもの

その外見から、堰堤プールはダム湖の小型のものであると思われがちです。しかし、釣りの観点から見た場合、この2種類の止水には以下の2つの決定的な違いが存在します。そのため、釣り方や釣りに対する考え方も大きく異なり、全く別の釣り場と捕らえた方が良いのです。ダム湖での釣り方や考え方は、湖水のルアーフィッシングをご参照下さい。

 
堰堤プール
ダム湖
水深
最深部でも通常は4m以下、
多くは2m程度と非常に浅い
ダム湖の規模によるが、
通常は最深部で数十mと非常に深い
ベイトの存在
特に何も放流されておらず、
泥砂底の水棲昆虫が餌となっている
多くの場合、ワカサギが放流されていて、
その行動に渓魚は支配され易い

4−1−1.水深の違い

堰堤プールはもともと砂防を目的として建設された河川内の障害物であり、プールを作ることが目的ではありません。コンクリート製の堰堤には、通常、高さ方向に2〜3mの間隔で直径1m足らずの円形の穴が複数空けられています。建設当初は全ての穴が開放されていて最下部の穴から水が流れ出ていますが、洪水などで、この穴が上流からの土砂もしくは流木により詰まることでプールができあがります。そして、雪代期には詰まった穴の一つ上の穴までの水位が保たれることが多いのです。

そのため、堰堤プールの水深は、最深部でも4m程度、通常は2m前後の場合がほとんどです。私がホームグラウンドとしている堰堤プールは5〜6月の雪代期に全長2km・幅150mにも達しますが、最深部の水深は4mしかありません。これはちょうど、長さ2m・幅15cm・厚さ4mmの薄いベニヤ板の様な形状をしていることになり、上流から流れ込んできた水は平面的にほぼ均一に水平に拡散しながらプール内に入り込んできます。これが後述する「煙幕理論」を成り立たせる理由ではないかと考えています。

一方、ダム湖では殆どの場合、その水深は十数mから数十mもあります。釣期となる4月から9月は、ダム湖に蓄えられた水よりも流入してくる渓流の水の方が水温が低いため、流入してきた水はある程度の深さのところまで流れてくると、暖かく比重の軽いダム湖の水の下に潜り込む様に流れて行くことになります。そのため、水は平面的には流れず、多くの場合、立体的に流れて行くことになります。つまり、煙幕理論はこの場合、成り立ちません。これがダム湖と堰堤プールでの渓魚の付き場の決定的な違いを生み出します。

4−1−2.ベイトの存在

小型の発電用ダム湖などを除き、殆どのダム湖にはワカサギが放流されています。ダム湖内のイワナやヤマメはこのワカサギを主たる餌としていて、結果的にワカサギの行動が渓魚の行動を規定しています。一方、堰堤プールにはワカサギなどのベイトフィッシュは放流されておらず、渓魚達は湖底の泥砂に生息する水棲昆虫を主たる餌としています。大型魚が小魚を共食いすることも有り得ますが、その小魚の餌も水棲昆虫でしか無く、結局は水棲昆虫の発生具合が渓魚たちの行動を規定することになります。この点でも、ダム湖と堰堤プールでの渓魚の付き場は大きく異なることになります。以下の説明はダム湖ではほとんど当てはまりませんのでご注意下さい。

4−2.釣り場に適した堰堤プール

釣りの可能な堰堤は、建設されてから1〜2年以上たっている堰堤で上流にトラウトが棲息している事と、渇水時でも2m程度以上の深みの残っている事が条件になる様です。全体が砂や小石で埋め尽くされている様な堰堤ではもちろん大型の渓魚は棲み付く事ができませんが、隅のごく一部に深みさえ残っていれば、大型の魚の可能性は十分に有ります。堰堤は源流部に近すぎると建設後直ぐに砂などで埋まってしまいますし、あまり下流になると堰堤自体が低く長くなるため深みが残り辛くなります。

源流部に土砂の出やすい地質の地域でも、砂に埋まり易くなります。或る程度の標高が有り、岩盤質の上流部を持つ堰堤が理想的です。幸いにも山形県内の渓流は一部を除いて土砂の出にくい地質のためか、多くの堰堤で普通に釣りを楽しめます。しかし最近になり、東北では写真の様な「スリット型」もしくは「オープンタイプ」と呼ばれる堰堤の建設が増えています。この堰堤ではスリットから魚の行き来が期待できるなど多くの利点が考えられますが、残念ながらこのタイプの堰堤は深みが殆ど出来ないため、堰堤プールのルアーフィッシングには向きません。

堰堤は大きければ大きい程、大型の魚が釣れる可能性が高くなります。しかし、大き過ぎるとポイントの見定めが難しくなるだけでなく、ルアーの届かないポイントも増え、釣り辛くなります。逆に小さ過ぎる堰堤は、すぐに砂などで埋まってしまい、釣り場には成りません。堰堤の構造物の幅が100m前後、プールの全長が数百mの中型の堰堤の方が釣り易く、又そういった堰堤は沢山建設されており、見過ごされやすく穴場となり易いものです。

上記の条件が揃っていても、上流に釣り人が入り易くすぐに魚が釣り切られてしまう様な環境下の堰堤では、魚が全く棲んでいない場合もあり得ます。上流部に長いゴルジュや薮沢などがあり、釣り人が入り難い場所の方が良く釣れます。又、堰堤湖にブラックバスなどの、トラウトより優位の魚食魚が放流されている所は釣りになりません。従って、中部地方以西の水温の高い地方には、この様な釣り場はほとんど無い様です。これまでに釣れる堰堤を確認している地域は、青森、秋田、岩手内陸、山形、宮城山沿い、福島会津、新潟、長野、富山北部、などです。

・豪雪地帯ほど良い。北関東〜東北〜北海道
・標高の高い源流部の堰堤。最源流部の堰堤が最も良い
・上流にトラウトが生息し、かつブラックバス等がいない
・建設後1〜2年以上経過
・2m程度以上の深みの存在
・上流にゴルジュや薮の存在
・幅100〜150mの中型堰堤が穴場となりやすい

山上の堰堤プールでは夏期の渇水時に水位が下がります。この時期になると大型の魚の魚影を双眼鏡などを使って直接確認する事が出来ますし、写真を撮るなど湖底の状態を把握しておく事も可能です。深みの存在以外に、埋没した立ち木や岩・カケアガリなどのだいたいの位置を知っているだけでも、随分と釣果に差が出ます。この時期の釣り場探しが最も効果的です。

5.盛期の堰堤プールのルアーフィッシング

堰堤プール内でのトラウトの行動は、水温の高さにより大きく2つに分けて考えなければならない様です。平水温では、表層ほど暖かく低層に行くにつれて4℃に近づいてゆくため、ブレイクライン(適水温層)が形成され、そこに魚たちは集まります。しかし、4℃で水の比重が最も高くなる(重くなる)という性質から、4℃以下では逆に表層ほど冷たく低層ほど暖かくなってしまい、トラウトの行動や付き場が大幅に変わってしまうと考えています。

最初に平水温(山形県では主に4月〜9月)での釣りについて説明し、水温が4℃以下の厳寒期(3月〜4月初)の釣りについては、項を改め解説します。



5−1.堰堤プール内でのトラウトの行動−「煙幕理論」

従来、ダム湖や湖でのトラウトの行動は、ベイトフィッシュの行動に依存すると言われてきました。実際、ワカサギなど小魚の多いダム湖では、その群れを探し出すことでトラウトの釣果を上げることが可能な場合があります。しかし堰堤プールにはワカサギなどのベイトフィッシュは存在せず、この考え方は当てはまりません。実際には多くの堰堤プールで、想像も付かない意外なポイントで大型のトラウトが釣れています。深さ30cmの浅場や、ブッシュの中、流れの殆ど無いワンドの奥などです。こういったポイントになぜトラウト達が集まるのを考えてみます。

これまで、上流から強い濁りの雪代が一気に流入してくる場面に度々出会っています。また、管理釣り場で濁りの強い水が流れ込むと、魚たちが一斉に透明度の高い場所へ移動してしまう現象を目にしています。水中を自由に動き回れる魚達にとって、濁った水の急激な流入は、まるで上流から煙幕が襲い掛かってくる様にして魚たちを追いまわす様です。濁りの煙幕が「最後まで透明度の高く残る場所」に魚たちを追いやり、結果的に多くのトラウトをごく狭い範囲に集めてしまうのではないかと考えています。


この様な最後まで透明度が保たれる場所は、透明度が上がって来た場合に、逆に最後まで濁りの残ってしまう場所にもなるため、多くのトラウトたちは、同じ場所に長い間定位することを余儀なくされると考えられます。プール全体の透明度が上がり視界が開けた瞬間に、トラウト達は一斉にプール全域に活動の場を広げる様です。しかし、4〜5月の雪代期には毎日の様に濁った雪代が入り込むため、トラウト達は相当な長い期間、ほぼ同じ場所に集められたままになるのではないかと考えています。

特にイワナの場合には、水中のストラクチャー(障害物)の回りに隠れる様に定位する習性が強いため、上図のようなワンドの奥でブッシュや立ち木のある場所に好んで集まる様です。ヤマメでも濁りの強く残っている間はブッシュのある場所に残っていますが、イワナほど定位性は強くはない様です。

5−2.トラウトの付き場

雪代期の堰堤プールでのトラウトの付き場を見つけ出すのは、上記の理論を理解していればそれほど難しいものではありません。最後まで透明度の残るエリアは、いわばプール内の吹き溜まりとなる場所です。大きなワンドの最奥にある立ち木やブッシュは最も判別しやすい好ポイントです。また、流れが大きく屈曲する場所や、プールが大きくふくらんでいる場所、或いは、中州などの非常に大きな障害物の下流側には、必ず水のよどむ場所が存在し、ポイントとなり得ます。


最も確実に付き場を見分けたいのならば、4〜5月の雪代期に暖かく良く晴れた日の午後を選び、強い濁りの雪代が流れ込んでくるのを遠くから観察する事です。濁った水が上流から入り込んでくる過程で、透明な水が岸際に残る場所が何箇所か見つけ出せる筈です。大抵の場合、そういった場所には立ち木やブッシュが存在するものです。なぜなら、そういった吹き溜まりの様な場所は、洪水時にも水流が周囲より弱いため、植物が流されずに残りやすいと考えられるからです。そして、そんな場所をルアーで探ってみれば、良型のトラウトがヒットしてきます。

堰堤プールの大きさによって、プール内での付き場の数が異なってきます。通常、100m程度までの短いプールでは、付き場は1箇所だけの場合が多い様です。しかし、数百m〜数kmに及ぶような大きなプールでは、付き場は複数存在します。その様な堰堤プールでは最上流部付近の付き場ほど魚影は濃くなる傾向にあります。雪代が安定して流れ込んでいる間は、下流部の付き場にはほとんど魚が見えません。ただ、この現象は流入水量が減少して来る7月ころには違った様相を見せます。

堰堤のコンクリート構造物には沢山の穴が空いていて、土砂で詰まった穴であっても多少なりとも水が流れ出ているものです。そのため、雪代期終盤ともなると、上流からの水量の低下によって水位が大幅に低下することが多くあります。つまり、雨が降ると水位が上がりプール面積が急拡大し、晴れるとプールが小さくなるといったことを繰り返します。大抵の場合、水位が下がるとインレットが下流へ移動し、インレット付近に堆積していたヘドロを巻き上げ、プール内は非常に強く濁りが入ります。

この様な場合にはもっともプールが小さくなった場合の煙幕理論による付き場を考えることで魚の付き場を見つけ出すことができます。水温が低い間は、晴れてプールが小さくなっても魚たちは下流部の付き場へと移動し、遡上してしまうことはあまりありません。水温が10〜12℃程度まで上がると、魚たちは源流部へと遡上を開始する様です。

残雪の少ない年や濁りが余り出ない常に透明度が高い堰堤プールでは、強い濁りがごく稀にしか発生せず、そういった堰堤プールの場合には上記の付き場に必ずしも魚が集まっているとは限りません。そういった場合には、魚たちは泥砂の底に生息する水棲昆虫を捕食していると考えられ、実際に底ギリギリをミノーやスプーンでトレースすることで、釣果が見られます。

・ワンドの奥など流れが非常に弱い場所(多少の流れは必要)
 大抵の場合、浅い場所を狭い範囲で回遊しながら砂虫などを捕食している
・屈曲部や大きな障害物の下流側の淀みとなるところ
・雪代初期は日溜まりとなっていて、他よりも水温が高くなっている所
・バックウォーターや沢の流入口はむしろ小型が多い
・巨大な堰堤プールでは、最上流部付近の付き場ほど魚影が濃い
・雪代期終盤には下流部の付き場にも魚が付く
・雪代期終盤や濁りの出ない堰堤プールでは、底もくまなく探る必要がある

雪代期のダム湖でもインレットの水深が極端に浅い場合には、同じ考え方で付き場を探し出すことができる場合があります。但し「煙幕理論」が通用するのは、雪代の最盛期や梅雨の強い雨の降る時期です。通常ダム湖での釣期は雪代の入る直前や雪代の終わるころと考えられていますが、これはある程度透明度が高くなると、魚たちはベイトフィッシュの行動に依存したポイントを形成する様になるためと考えられます。

秋の堰堤プールでも、秋雨の影響があるためか、雪代期と同じ様な比較的狭いポイントにトラウト達が集まっている場合が多くみられます。しかし大型のトラウトはあまり見られず、尺前後までの魚が中心となり、雪代期の様なダイナミックな釣りを楽しむことは難しくなります。

5−3.釣れる日、時合い

堰堤プールのルアーフィッシングでも、時合いは通常の渓流釣りと同じ様な時間帯となります。やはり朝夕のまずめに良く釣れますが、雪代の豊富な期間は安定した笹濁りとなっていて昼間でも十分な釣果が見られます。雪代の消えた後や9月は、朝夕のごく短い時間帯だけが勝負となってきます。もちろん雨後の笹濁りの状態も好機と成り得ます。

・雪代の豊富な5〜6月は、2m程度の低い透明度であれば終日釣りが可能
・透明度が高くなるにつれて朝夕のマヅメ以外は釣れなくなる
・大雨のあとの笹濁り状態もチャンスと成りうる

5−4.アプローチ

透明度が高い場合にはアプローチに十分気を使う必要があります。雪代の終わった夏季〜9月は透明度が非常に高く、下記に挙げる幾つかの注意を守る必要が出てきます。堰堤プールではダム湖よりも狭く、これらの行為を守らない限り大物はまず釣れません。多くの釣り人がいる場合、一人でもこれらの注意を守れない人がいると全員が釣れなくなりますので、そういった場合は釣り場を変更した方が無難です。

雪代が豊富に流れ透明度が低い期間(4〜6月)は、大きな音を立ててはいけないという事を除けば、それほどアプローチに気を使う必要はありません。上流部の地質によっては、この時期でも透明度の高いプールもあります。その場合はやはり以下の注意は必要です。

・ルアーはできるだけ遠くから投げ、ポイントに近付き過ぎない
・ポイントに近付く時は、できるだけ背を低くして、這う様に
・うろうろ動き回ったり、手を大袈裟に振ったりしない
・お喋りもできるだけ小声で行い、必要な話以外はしない
・必要以上に水中に立ち込まない
・赤や黄色といった原色の服装は避ける

5−5.タックル

雪代の豊富な時期は、岸からの釣りよりもフローターやボートを使った釣りをお勧めします。透明度が低いためトラウトの付き場のすぐ近くにルアーを投げ込まないと釣りにならない事が多く、岸からの釣りでは無理があるからです。フローターを使った釣りについては、項を改めて詳しく説明します。

堰堤プールでは、アタックしてくる魚の平均サイズが渓流よりは遥かに大きいため、渓流用よりは一回りヘビーなタックルを使用します。渓流用タックルを流用することもできますが、その場合でもラインは4〜6ポンドと太めのものを使うことをお勧めします。ロッドは岸釣りの場合は8ft前後の先調子のロッドが最も使い易く、お勧めです。

ルアーの色の使い分けは、渓流と同じ様に透明度が高い時やスレた場所では濃い緑や黒っぽいものを、透明度が低い時はやや目立つ明るい色を使用します。ミノーの場合も同様にカラーを選択しますが、概ねナチュラルカラーのもので対応できます。盛期の堰堤プール内では、トラウトは比較的狭い範囲で浅い所を回遊していますので、中〜下層を狙えるミノーを多用します。水温が上昇するにつれスプーンでは反応が悪くなってくる様です。

・岸釣りの場合は、8ft前後・先調子のML〜Lロッド
・ラインは4〜6ポンドテスト
・早期はスプーン、盛期に入るに従ってミノーを多用する様になる
・スプーンは黒系統を、ミノーは濃い緑もしくはナチュラルカラーのシンキングを中心に
・この時期のお勧めミノー:D-Contact50Sヤマメ/鮎、TroutTune55Sヤマメ、Wavy50Sヤマメ/鮎など

5−6.釣り方

盛期のトラウトの付き場は比較的狭い範囲に限られていますので、ピンポイントを狙う釣り方となります。岸からの釣りでは出来るだけ沖にルアーを投げたくなりますが、実際には岸近くの非常に狭い範囲を回遊しているか、全く定位している事が多く、遠投の必要はあまり無い様です。むしろ、そういった魚を脅かさない様に場所を選び、ルアーローテーションを加えながら、あくまで静かに、同じ場所からキャスティングの方向だけを変えながら釣る方法が基本となります。

盛期には5〜6cmのシンキングミノーを多用します。付き場のすぐ上にミノーを落とし、底付近までカウントダウンした後、中層〜底付近を非常に激しいトゥィッチングを加えながらゆっくりと探ってゆきます。ミノーの動きが上下左右に30〜50cmも激しく狂った様に動き回る様に、強いトゥィッチングを加えるのがコツです。動きを弱めると、ラインなどを見極められてしまうのか、トラウト達は近づいてきてもすぐに引き返してしまいます。

盛期でもあまり濁りが出ず透明度の高く保たれている堰堤プールでは、底付近を丹念に探る必要が出てきます。非常に重いシンキングミノーを用いて、底までカウントダウンした後、底からミノーが浮き上がり過ぎない様にゆっくりとかつ強いアクションでミノーもしくはスプーンを引いてくることで釣果が見られます。

この釣りでは意外にも、魚は足元まで来てからヒットする事が多く、体を物陰などに隠し、リールを巻く手の動きを魚に見せない様にする事も大切です。ルアーを水面から上げるまで気を抜いてはいけません。突然脇から40cmを超える様な大物が現れ、足元でヒットする事も珍しくありません。また、透明度の高い時は、リーリング時に水面に波紋が出ない様に注意します。大物は波紋が出ると釣れなくなってしまいます。最初は竿先を高く構え、ルアーが手前に来るにしたがって竿先を次第に低くして、水面の波紋を殺します。

リーリング中の竿先に変化を感じたら、根掛かりであろうがなかろうが、とにかく竿をピシっとあおってしっかりと合わせます。止水での釣りでは、水流による魚の抵抗が殆ど無いため、向こう合わせでは釣れてくれません。魚を確認したら、出来るだけ早く魚を回収します。もたつく事はバレる原因になりますし、暴れる魚は場を荒れさせてしまい、続けて釣れなくなります。

1尾釣れても同じ場所で投げる方向だけ変えて釣り続けることが可能です。魚たちは狭い範囲をゆっくりと回遊していると考えられ、しばらくすると又同じポイントで同じ様に釣れ出します。

6.厳寒期の堰堤プールのルアーフィッシング

山形県では3月一杯は殆ど雪代も入らず、堰堤プールは非常に透明度の高い状態が続きます。そして4月末ころまでは、低水温のためトラウト達の行動様式が盛期とは大幅に異なっている様です。過去においては40cmを超える様な大物が良く釣れた時期でもありますが、近年は堰堤の釣りが広く認知され、残念ながら大物は少なく、また大物がいても釣り辛くなってきています。この時期については盛期とは別の考え方で釣りを考える必要があります。

6−1.厳寒期のトラウトの付き場 − 水温4℃以下

水は4℃で最も比重が高く(重く)なるため、プールへ流入してくる水の温度が4℃以下の場合は、表層ほど水が冷たく底ほど4℃に近く暖かくなり、トラウト達は比較的深い所で少しでも水温の高い場所を探して集まる様です。雪代による濁りの出始める水温がちょうど4℃前後になるため、濁りの有無により付き場の判断方法を変えると良い様です。

これまで水温4〜5℃を超えないとルアーでは釣れないと言われてきましたが、これは水温4℃を下回ると同時に魚たちが深い場所へ移動してしまうからではないかと考えています。実際にはこの時期は餌も少なく食欲も有るため、魚の集まる深い場所を狙うことにより、活性の高い日に限って釣れる様です。最も深い場所は周囲の地形から判別します。崖の真下や堰堤の流出口の近くが最も深くなります。それも大抵の場合は、魚は壁にピッタリくっついてじっとしていると考えられます。

良く晴れた暖かい日には、少しでも暖かい場所を求めてトラウト達も移動する様です。そういった日には、陽溜まりとなるような浅く流れの少ない場所にトラウト達が集まっている場合もあります。

・崖の真下、堰堤の構造物の真下、その他深い所
・晴れた日は水深1〜2mの流れの少ない日溜まり(他より水温が高い)
・その他、他より水温の高くなっている所
・いずれの場合も岸近くの障害物回りがポイント

6−2.釣れる日、時合い

3〜4月は、通常の渓流釣りと比べると当たり外れの大きい事が特徴です。釣れる日は40cmオーバーも狙えますが、釣れない時は魚影すら見えない日も珍しくありません。やみくもに出掛けても寒いばかりで釣りにならない日も多いですので、釣れそうな日を見定めて釣行します。この時期の堰堤プールでは、時合いは水生昆虫の羽化時間とはあまり関係がなく、キーポイントとなるのは水温の変化の様です。

水温の変化を直接見ることは普通できませんが、気温の変化で間接的に水温の変化を推察できます。外を歩いて「昨日と比べると今日は随分と暖かい日だなぁ」と感じる日が良く釣れる日に当たります。又、天気予報の気温の変化を参考にし、気温が5℃以上も上昇する日はおおむね釣れる日と考えて間違いありません。又、釣り場に着いてルアーを投げ始めたら魚が追い掛けてくるかどうかを意識して観察します。それによって釣れる日かどうかを早めに判断します。

・釣果は絶対的な水温よりも水温の変化に左右され、水温は上昇中(適水温に近づく方向)が良い
・4月末ころまでは、早朝よりも水温の上がる10〜15時ころの方が良い
・4月に入ると暖かくなるにつれて、朝夕のマズメに時合いが少しづつ移ってゆく

6−3.アプローチ

雪代の出る前(3月)は特に透明度が高く、アプローチには5−4項に述べたと同様の注意が必要になります。特に派手な服装には注意が必要で、原色のスキーウェアなどでは、明らかに釣果が落ちます。残雪の多い間は、白い服装でも構いません。なお、この時期のプールは多くの場合、渇水で水位が下がっており、なおかつ周辺は残雪で埋め尽くされています。そのため、水面と陸地の区別がつきにくく、プール周辺を歩き回るのはきわめて危険です。雪の無い時期に地形などを確かめておく事をお勧めします。

6−4.早春のタックル

この時期は気温が非常に低いため防寒具が欠かせません。また山間部では、殆どの林道は残雪で閉ざされており、徒歩での移動が原則となります。釣り場まで残雪の上を数時間もかけて歩くことも珍しくありません。フローターなどの大きな装備を持ち歩く事ができない事と、この時期は比較的透明度が高く遠くにいる魚からもルアーが見えると考えられる事から、もっぱら岸からの釣りが中心となります。

この時期は透明度が非常に高いため、ほとんどの場合に濃い緑か黒っぽい色のルアーを使います。また、水温4℃以下では崖下などの深みに魚が多く定位しており、しかも活性が低いため魚のすぐそばにルアーを送り込む必要があります。その為リーリングをしないと潜ってくれないミノーでは釣りにならず、まっすぐに素早く沈める事のできる小型スプーンかヘビーシンキングミノーが中心になります。

・茶〜深緑系の防寒具、原色のスキーウエア等は厳禁
・グサグサの雪原を歩くためのカンジキ
・大型のタモ網
・ロッドは渓流用よりも長め、8ft前後・先調子のML〜Lロッド
・ラインは4〜6ポンドテスト
・雪代前(3月)は、濃い緑〜青〜黒系統の小型スプーンか小型ヘビーシンキングミノー
・雪代初期(4月)は、小型シンキングミノー・スプーンで、やや明るいもの
・この時期のお勧めスプーン:ハスルアー3.5g緑/黒、ヤマメルアー黒など

6−5.釣り方

雪代の出る前は、崖下などの魚が付いていそうな場所の真上にスプーンを投入し、カン トダウンで魚のすぐ近くまでルアーを沈めます。そしてできるだけゆっくりと引きます。引くスピードは1秒間にリールのハンドルが1〜2回転が目安です。ルアーの動きは図の様に、ポイントの真下の底まで沈め、かなり強いトゥィッチングを加えながら、底ぎりぎりを砂を巻き上げる様に引いてきます。根掛かりを恐れては釣りになりません。

この時期は魚の動きは非常に鈍く、なおかつ水流がほとんど有りませんので、向こう合わせで釣れる事はまずありません。「合わせ」をしっかり行わないと魚はバレてしまいます。また、透明度が高いため、長い間に渡って続けて釣れることはあまりありません。2〜3尾釣り上げるたびにポイントを休ませながら釣ることをお勧めします。


7.堰堤のフローターフィッシング

堰堤プールのポイントは岸から釣り辛い所が多く、最近はフローターを使って釣りを楽しむ機会が多くなりました。フローターは湖沼でのフライフィッシング用に開発されたものですが、その便利さ・面白さから、最近ではバスフィッシングを始め幅広いフィールドに活躍の場を広げつつある様です。堰堤プールの釣りにおいても同様で、ユーザーが増えています。そして堰堤プールでは、一度始めると止められなくなるほど非常に良く釣れます。「もしかしたらフローターというのはこの釣りのために存在するのではないか」と思うくらいに、堰堤プールの釣りに最適な道具なのです。

7−1.フローターは堰堤プールのフィッシングに最適

釣り場と成り得る堰堤プールは源流部の険しい谷あいにある場合が多く、ボートなどの大掛かりな道具を運び入れることのできる堰堤はごく限られてしまいます。しかし重さ数kg・体積100リッター程度のフローターなら、人ひとりが歩ける道さえあれば、どこにでも持ち込むことが可能です。堰堤プール自体はそれほど大きくないため、移動速度の遅いフローターでも、全てのポイントを間違いなく攻める事ができるのです。

一方でイワナやヤマメなどの渓流魚は、人影や音に非常に敏感です。フローターでは腰まで水中に入るため、釣り座が非常に低く、ポイントから20m程度離れているだけで水面上の人影は魚からは殆ど見えなくなります。またオールを使わないため、音は殆ど発生しません。適度な濁りさえあれば、ルアーの楽に届く範囲にいながら、魚からは全く気付かれずにすんでしまいます。そのため、想像以上に非常に良く釣れます。岸釣りやボート釣りに比べ、遥かに魚に気付かれにくい釣り方なのです。


この他、以下に述べる様な利点が沢山あります。そして最後に、意外にもルアーの損失がほとんどありません。木に引っ掛けたりしますが、そのままその場で回収します。そして10分後には、同じ場所でまた釣れ出します。

・軽く小さく持ち運びが簡単、険しい場所でも搬入が容易
・岸から狙えないポイントも全て狙える
・これ以上に魚に気付かれにくい釣り方は他に見当たらない
・想像以上に良く釣れる
・ルアーの損失は殆ど無い
・堰堤プールのポイントは流れの弱い場所が多く、機動性は低くても良い
・誰にも邪魔されずに釣りを楽しめる
・重心が低く安定性は抜群、ボートより遥かに安全

7−2.フローターフィッシングの注意点

上記の様に書くと良い事づくめの様に見えるフローターですが、気を付けなければならない点も幾つか存在します。水上で完全に命を預けるフローターは、ちょっとした判断ミスが命にも関わる事態を招きかねません。以下に幾つかの注意点を列挙しておきましたが、これらを守って頂くか否かに関わらず、一切の事故に関する責任は釣り人自身に有る事を強く申し上げておきます。全ては釣り人自身の責任において行動して頂くべきことをご承知おき下さい。くれぐれも申し上げますが、堰堤プールでは誰も助けに来てはくれません。無理な行動は死に直結しているのです。

・ライフベストを着用する
・可能な限り2人以上で釣りをする
・足に付けたヒレだけが推進力であり、速度は「ゆっくり歩く程度」と遅い
・風に流されやすく強風下は非常に危険、風が強くなったらいさぎよく引き上げる
・流水域では絶対に使用しない
・堰堤の構造物から20m以内には近づかない
・ダム湖など大きなエリアでは遠くへ行かない、帰る時間を計算に入れておく
・早春は水温数℃と非常に寒く、頻繁に陸に上がって休憩しなければならない
・水中の木の枝に注意する。特に満水時の堰堤プールでは「タラの芽」の木に注意
・ルアーのフックでフローターを傷つけない様に

7−3.フローターの種類と選び方

フローターには大きく分けてU型、O型、H型の3種類があります。堰堤プールでは、軽くて持ち運び易い事と、急な斜面やぬかるんだ場所からでも容易に入水できることが要求されます。そのためU型のフローターを強くお勧めしています。U型フローターは前部が開放されているため、入水してからでも容易に足ヒレを装着できるのが最大の特徴です。しかも軽い素材のものが多く、持ち運びも便利です。

これに対し、O型フローターでは足ヒレを装着してから入水しなければならず、急斜面やぬかるみでは転倒の危険性が常に付きまといます。またタイヤチューブを利用したO型では、チューブと外装との間に水が溜まり非常に重くなってしまうものがあり、注意が必要です。もう一つの選択技であるH型フローターでは、大型で非常に重いため、狭い谷あいの堰堤プールへの搬入が出来ない場合が多くなってしまいます。

U型フローター
ネオプレンウェーダー/足ヒレ
O型フローター
H型フローター

フローターに付随して必要なものとしては、下記のものがあります。

・厚手のネオプレンウェーダー、渓水温は夏でも低くシーズンを通して使用可能
・足ヒレは原色や白っぽいものは避け、真っ黒なものを選ぶ
・早春にはスキーウェアなどをウェーダーの下に履き、防寒とします
・ライフベスト(救命胴衣)
・空気入れ
・ガムテープなどの応急補修材

7−4.釣期、時合い、付き場、タックル

堰堤のフローターフィッシングは厳寒期を除くシーズンの殆どで可能です。しかし最も適する時期は雪代の豊富な5〜6月となります。時合いや付き場の考え方は「4.盛期の堰堤プールのルアーフィッシング」となんら変わりありません。

多くのタックルは岸からの釣りと全く同じ物を使いますが、フローター使用時は釣り座が非常に低いため、ロッドは岸釣り用よりやや短め目の7ft前後・先調子のL〜ULのものが最も使い易いと考えています。

7−5.釣り方

フローターフィッシングの最も有利な点は、魚に気付かれずにポイントに近づき、ピンスポットを攻めることができる事です。フローターでは足ヒレでホバリング(定位すること)或いはゆっくりと移動しながら、両手をフルに使って釣りが楽しめます。

ワンドの奥のブッシュなど、おおまかに付き場を想定して大きく移動し、付き場に近づいた後は、沖合い20〜30m程度のラインで、ホバリングしながら或いはゆっくりと移動しながら、端の方から刻むようにキャスティングとリーリングを繰り返して行きます。キャスティングを繰り返す場合のルアーを投入する間隔は、その日の透明度に一致させます。雪代期であれば大抵の場合透明度は2m程度であり、2m前後の間隔で投入を繰り返して行きます。

立ち木のポイントであれば、木と木の狭い間隙にミノーを投入するべきです。根掛かりを恐れずブッシュや木のできるだけ近くにルアーを投入して下さい。ストラクチャーに隠れているトラウトのなるべく近くにルアーを投入しなければ、ヒットする確立が落ちてしまうからです。すぐ近くに大きな音で着水させても、多くの場合、問題なくヒットしてくれます。

フローターフィッシングではルアーは岸から沖合いへ泳ぐため、着水後カウントダウンをしっかりと行い、中層〜低層を攻めます。堰堤プールでの付き場は多くの場合2m以下の浅い所が多く、通常のシンキングのミノーであれば5〜10秒のカウントダウンが必要です。そして、ミノーやスプーンが上下左右に30〜50cm程度も激しく動き回る様に強いトゥィッチングを加えながら、それでいて可能な限りゆっくりとリーリングします。早春のスプーン使用時は、プール底の砂を舞い上げる様な感じでリーリングして下さい。

活性の高い時であればカウントダウン中にヒットする事も稀ではありませんが、通常はブッシュや立ち木の中からトラウトが追いかけてきて、リーリングの途中でヒットするものです。活性の低いときや透明度の高いときは、目の前までトラウトが追いかけてくるのが見えるがヒットしない事が良くあります。そういった場合には、ポイントからより離れて、底付近をゆっくりとトレースします。そして急激に竿先をあおったり、竿先を左右に大きく振ったりするなど、時々強い変化を加えます。又、ルアーは頻繁にローテーションします。

リーリング中に竿先に変化を感じたら、根掛かりを恐れず、とにかく竿をあおってしっかりと合わせて下さい。たとえ根掛かりしたとしてもそれほど気にする必要はありません。静かに移動して根掛かりを外し、ルアーを回収したら沖合いへ戻って5〜10分程度ポイントを休ませます。或いは付き場が2箇所以上ある場合は別の付き場へ移動します。そうすれば、先ほどと同じ様に、その日の時合いの続く限り、釣れ続きます。