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雑誌「自然倶楽部」に記事掲載



本サイトの「堰堤プールのルアー釣り(季節の釣り:Manual内)」をもうお読み頂きましたでしょうか。実はこの手引書、過去にほぼ同じ内容を雑誌の記事として投稿しています。掲載された雑誌は写真の「自然倶楽部」(関西廣済堂東日本支社刊)96年6月号です。この雑誌は東日本と関東・新潟の一部のみで販売されている雑誌で、中部以西の方にはなじみがないかもしれませんが、地域差の激しい釣りの世界では、こういった地域性の強い雑誌の方が利用価値が高く、私は愛用しています。 記事では、詳しい釣り方の解説を行い、実例として45cmのイワナを始め尺オーバーを5尾ほど釣り上げた写真を掲載しています。

雑誌「自然倶楽部」96年6月号の表紙と記事のトップページ
しかし、この「堰堤プールの釣り」は余り知られていないジャンルのため、当時は「うそだ!」「作り話に決まっている!」といった声をあちこちから伺ったものです。 そこで「記者の目の前で大イワナを釣り上げれば信じてもらえるだろう」と、翌97年初に同雑誌の取材をお願いし、97年3月に取材を受けました。実釣は3時間足らずと短い時間でしたが、イワナ尺一寸2尾を含めて6尾ほどの釣果があり、「大イワナ」とまでは行かないものの、取材はまずまずの成果を収めました。そして、その時の記事がようやく今年の4月号(左写真)に掲載される運びとなりました。
「自然倶楽部」発行元の関西廣済堂より許可を得ましたので、以下にご紹介させて頂きます。なお、記事中に「水温6℃」と記載されていますが、取材時の実際の水温は3℃でした。通常、雪代が入る前の水温は4℃を超えることはありません。


堰堤に潜むスーパーイワナを求めて
片山流・堰堤プールの狙い撃ち
【山形県寒河江川水系】平成9年3月中旬取材

片山さんとの出会い 皆さんも既にご存知の様に、一部河川を除き、一昨年から3月1日に解禁された山形県の渓流釣り。釣り人にとって1日でも解禁が早まることは大変嬉しい限りである。 そんな折り、昨年の解禁当初に堰堤のルアーフィッシングを得意とする片山浩さん(山形市在住)から「今年は積雪量も少なく解禁当初から堰堤で大型のイワナが釣れてますよ!」という吉報が入った。渓流のルアーフィッシングには目がない編集Oは、返答にためらうことなく「OK」し、早速、取材日の日程を決めてしまった。

そもそも片山さんの釣り方に興味を持ったのは、本誌バックナンバー98号(96年6月号)の「堰堤プールの大イワナ釣り」という記事を担当したのがキッカケである。この記事を編集作業している最中にも堰堤釣りにこだわり続ける片山さんとは一体、どんな人物なのか?という、興味にも似た好奇心を抱いたのは確かである。

大イワナの天敵現れる! 取材当日、太平洋側の雪はすっかり融け、遠い峰々に残雪を留める程度にしか残っていない雪も、山をひとつ隔てただけでまだ冬の装いを隠し切れないでいる。「山形の春はまだまだ遠そうだ・・・」、朝方の冷え込みも半端ではない。まるで冬に逆戻りしたような感じである。 山形自動車道・寒河江インターに待ち合わせの時間ジャストに現れた片山さんと挨拶もそこそこに「いざ、出発!」と相成った。車中、渓流のルアーを好む同士の会話は決まって「今シーズンの占い」である。寒河江川を横目にひたすら上流へと進む。しばらく走ったところで寒河江ダムが見えて来た。さすがにここまで来ると道路脇の雪壁は優に1mを超えている。片山さん曰く、「今年は雪がすくないからネ」一瞬、太平洋側の温かさが恋しくなってしまった。
(解禁当初とはいえ、イワナの警戒心は強く不用意に近づくのはご法度だ。水面から距離をおいた位置から狙えば、このようにヒットする)

国道脇の駐車スペースに車を止め、素早く身支度を整え、最後にカンジキを履いて雪壁を登る。これが最初の難関だ。雪融け後なら沢沿いに林道があるというが、その時期ともなると釣り人も多く入渓し、場荒れによって大型のイワナは警戒心が強くなり、ヒットに結び付けるのは難しくなるという。

いざ、雪壁の中へ カンジキを履いて1歩1歩、雪渓を踏み締める。最初の堰堤までは眼前の距離だが、目測よりも意外と距離がある。さらに、いくらカンジキを履いているとはいえ、油断していると雪渓に足を奪われてしまうので誠に歩き辛いのである。 雪が無ければ5分程度の距離であるが、雪に阻まれポイントに到着するまでに10分以上もかかってしまった。解禁当初とはいえ、この時期は雪代が出る前で渓水の透明度も高い。不用意に近づくと大イワナも警戒すると想定し、ポイントへは片山さん一人が入っていった。カメラのポジションは片山さんの上方、堰堤の上に構えた。この位置なら太陽も反対側で影を落とすことはない。 一方、片山さんは出来る限り低姿勢を保ちながら堰堤を下り、ポイントの状況を判断し使用するルアーを選定している。今回、使用するルアーは細身のスプーンのようだ。
(堰堤のプールを釣る片山さん。ウェーディングする場合でも水面に姿を映さないよう、低姿勢でルアーを操作する)

手慣れた手つきでラインにルアーを結び、ポイントを見定めて対岸のヘチへキャスト。ラインスラックを取りながらスローリトリーブで低層を攻めている。ファーストヒットはそれから数分後、キャスト数にすれば15、16回目だろうか、片山さん愛用のグラスロッドが奇麗な弧を描いている。

堰堤から躍り出たイワナ 尚も、同じポイントを攻めてはみるが、どうやらイワナの反応は無いようだ。堰堤の下で片山さんが大きく手を振り、降りて来ても良いと合図している。先ほどヒットしたイワナを拝見し、素早く写真を撮り、優しくリリース。イワナはまだ冬の眠りから目覚めていないのか、岸際から離れようとしない。 軽い休憩を取り、次のポイントへ移動となった。この時、堰堤内の水温を調べてみると、意外にも6℃とこの時期にすると高い。どうやらまだ雪代が入っていないようだ。 次の堰堤までは、やはり目前の距離だが、雪が遡行を阻みポイントまでの道程は遠く感じた。目指す2段堰堤に着くと片山さんは、先ほど使っていたスプーンよりサイズアップした物を選択した。 「このポイントは、先ほどより少し深いですから・・・」さすがにポイントを知り尽くしたアングラーである。ルアーを取り替えると堰堤下からプール内にキャスト。ルアーがフォール中にヒットしたのだろうか、1尾目はいとも簡単にヒットした。

尚も、キャスト位置を変えながらポンポンと同じポイントからイワナをヒットさせるのだ。この時、さすがに「堰堤釣り」を極めたアングラーだと感心させられたのであった。
(雪に埋もれる堰堤。渓流のルアーフィッシングの新たなフィールドとして注目したい。しかしながら、県や漁協によっては、こうした堰堤を「禁猟区」に設定している所もあるので、釣行前には必ず確認すること)