北海道遠征レポートの第2回は、オショロコマ・カラフトマスを取り上げます。8月15〜17日にかけて、道東の知床・斜里・網走付近を徘徊しながら釣り歩きました。昨年10月には殆ど姿を見ることのできなかったオショロコマですが、地元の人の情報を得て、今回は比較的多くの型を見ることができました。また、昨年はサケ釣りでガッカリさせられる出来事がありましたが、今回はそのダイナミックな釣りの片鱗を味わうこともできました。 【8月15日】 前日まで日高の渓を釣り歩いていた私は、14日のうちに一気に道東まで移動しています。えりも岬・十勝原野・釧路原野を経由して移動したその距離は実に500km。いやはや釣りも疲れます。本当は今回の遠征の最大の目的である、アメマスの河川を途中で訪れていますが、付近の釣り師に情報を聞くと、雨不足でまだアメマスたちは遡上を開始していないとのこと。仕方なく予定を変更して、第2の目的であるオショロコマの地へと車を走らせました。移動には10時間を要していて、知床半島に到着したのはもう深夜の11時ころでした。
更に本当のことを言うと、この日の早朝は、某河口でカラフトマスを狙う予定でしたが、あまりの疲れに寝覚めたのはすっかり太陽の上がってしまった8時ころ。サケやカラフトは早朝の2時間・つまりせいぜい7時ころまでが勝負です。仕方なく、近くの渓でオショロコマを狙うハメになってしまいました。しかしこの日の午前は、非常に暑い日でしかも釣り人だらけ。加えて9時ころからの入渓とあって、さっぱりでした。釣れたオショロコマは写真上右の1尾だけで、他はご覧の様な20cm足らずの幅広のヤマメが数尾。しかし何なんでしょうね、何でこんな所にまでヤマメを放流しなければいけないのか? 非常に疑問に感じます。
話は代わりますが、私は個人的にオショロコマが大好きです。根っからのイワナ釣り師を自負する私としては、北海道に来たからには、同じイワナ属に属するオショロコマを、それもネイティブな個体を、1度は釣っておきたいものなのです。地元の釣り師にオショロコマを語らせると「オショロなんぞ釣ってどうするの?」「子供も相手にしないよ!」などと、相当な罵倒の声が帰って来る様です。確かに警戒心の薄い彼らは実に簡単に釣られてしまいますし、食べても美味しくはないそうです。おまけに大型が極端に少なく、釣り味も劣るからでしょうか。
しかし、ルアーに何度も何度も懲りずにアタックしてくれ、どんな時にでも快く釣り師のお相手をしてくれる彼らは、その身にまとったオレンジの水玉模様とあいまって、実に愛らしく、可愛い存在です。海外では映画の主人公の少女の着ている水玉模様の服のイメージから、その少女の名前「ドリーバーデン」呼ばれているそうですが、私はその名前の方が似合っていて大好きです。漁業としての価値の低い魚を相手にしない北海道らしい扱いかも知れませんが、私には地元のかたの意見が理解できません。(北米のドリーバーデンは正確にはオショロコマの極近縁の亜種です)
この日の宿泊予定だったゲストハウス「ゆうあん」さんのご主人村上さんから情報を得て、この日の午後は全く別のオショロコマの川に入渓しました。北海道らしいゆったりとしたごく浅い流れのその川には、型こそ小さいものの、十分な数のオショロコマがお相手をしてくれ、ほんの2時間ほどで30尾ほどの姿を見ることができました。昨年10月に訪れた時には、あまりのオショロコマの魚影の少なさに驚いたものですが、まだまだこんなに魚影の濃い場所が残されていることを知って、少し安心することができたという訳です。
今回も車中でキャンプの連続でしたが、15日の夜だけは写真のゲストハウスゆうあんさんにお世話になりました。ゆうあんさんには昨年10月の遠征時にもお世話になり、様々な北海道の釣りの情報を教えて頂きました。しかし、今回はちょっと状況が違いました。この時期はいくら北海道とは言え、水温が高くてどこも期待できないとの冷たいお言葉。まぁその通りなのでしょう、なにせ北海道全体で8月初から全く雨が降らない上に、例年に無い気温の高い状態が続いていたからです。それでも、幾つかの釣れそうな渓を教えて頂き、16日は頑張ってみることにしました。
【8月16日】
翌朝は4時過ぎに起き出して、教えて頂いた比較的近くの釣り場に行ってみると、あれま、深夜に1週間ぶりにかなりな雨が降ったらしく、20cmほどの増水でした。この辺りの河川はゆったりと流れていて、20cmも増水すると川は渡れなくなり、水圧で身動きすら取れない状態でした。仕方なく、ポイントを釣っては畑や牧場の中を移動すると言う作戦を余儀なくされてしまいました。最初は濁りも強く20cmほどのアメマスがポツポツと釣れるだけ。しかし、大きな橋の下まできたころ、なんとか36cmのまずまずのアメマスが釣れてくれて一安心。
恐らく、水量と水温が適当な状態であれば、4〜50cmのアメマスが適度に釣れて楽しそうな川に思えましたが、ま、今回はこれで満足しておかねばなりません。午後からは大きく移動して、網走支庁のニジマスの渓に向かいましたが、なぜかこちらでは雨が降ってないらしく、水温も20度近くあって、ほとんど期待できない状況でした。ここでは30cmほどのアメマスがヒットしたものの、残念ながらバラシ。ニジマスはなぜか1尾も出てくることは無く、唯一スレで釣れたのは、写真上中央の、サイズも模様もDコンタクト50Sと全く同じと言って良い様なチビヤマメちゃんが1尾だけ。これには我ながら笑えてしまいました。
【8月17日】 翌朝は再び知床半島のオホーツク海側へ移動し、こんどこそカラフトマス(ピンクサーモン)を狙いました。昨年の10月に同地区を訪れた時は、サケ(シロザケ・チャムサーモン)釣りの大変イヤな光景を目にしてしまい、釣りを諦めてその場を立ち去りました。掛け鉤でサケを略奪した挙句、イクラだけを採取して魚体を岸辺に大量に投げ捨てていたのでした。しかし、今回はまだサケは遡上を開始しておらず、カラフトは漁業価値がやや低いのでしょうか、サケ釣りの様な凄惨な状況は見られませんでした。
またその釣り方も、サケ釣りの様な餌を使う「ウキルアー」ではなく、20g程度の真っ赤なスプーンだけを投げる人が多く、ごく普通のルアーフィッシングの光景であり、私も安心して参戦することができました。ただ、釣り人の数はご覧の通り河口付近の両側にずらりと30名ほどが並んでいて、競争はかなり激しいものがあります。加えて、今年はカラフトの遡上開始が例年より10日ほど遅かったらしく、こんなに釣り人がいても、釣れるのは5〜6本で、殆どの人が釣果無しの寂しい状況でした。
地元の人の話によると9月に入るとカラフトマスの遡上が本格化し、河口付近には海面が黒くなるほどの群れができるとのこと。あと2週間ほどお盆休みが遅ければ、きっと楽しい入れ食いの釣りが楽しめたのではないかと思うと、少々残念でした。ただ、9月も半ばになるとシロザケの遡上も本格化してくるため、普段は釣りをしない様な人たちが釣り場を占領し始め、昨年10月の様な偉容な光景に代わってしまう様であり、純粋なルアーマンには時期の選択が難しい様です。
しかしそれにしてもカラフトマスの引きは強烈ですね。同じ50cmクラスのイワナとは全く異なります。翌18日にも釧路近辺でアメマスに混じってカラフトを釣っていますが、掛かった瞬間の引きちぎる様な引きが特に強烈で、使っていたDコンタクト63Sのフックを一瞬で引き伸ばして逃走するヤツもいました。ルアーはシロザケ釣り用のものか一回り小さいスプーンを使うのが一般的で、サケと同じく派手な真っ赤のものを多用する様です。ミノーを使う人もいましたが、カラフトの口が硬いためかフッキングが悪く、太軸のシングルフックに間違いなく部がある様です。
この日は翌日のアメマス釣りのために釧路方面へ大きく移動する予定でしたが、カラフトマス釣りはAM8時には終わってしまい、まだ時間はタップリあるため昼間は知床半島の観光に当てています。しかし釣り師のサガというのは恐ろしいものですね。羅臼町の近くでいかにも釣れそうな堰堤プールを発見してしまった私は、ヒグマの危険も省みず竿を出しています。堰堤プールは私にとってお得意の分野ですが、釣れてくるのは写真の様な小さなオショロコマばかり。それでも、今釣行では最大の23cmを追加して大満足でした。
本レポートは「北海道遠征釣行3・アメマス・ニジマス」へと続きます。 【今回使用のタックル】 カラフトマス:ウエダTroutPluggingSpinGS902H+シマノAERLEX3000C+PE30lb+ショックリーダー20lb、カラフトマス専用スプーン赤、チヌーク17g赤/銀、他 オショロコマ他:Wellner8ftTroutRod+シマノSensiLiteMG2500+呉羽SeagerAce2号(10lb)、D-contact50S/ヤマメ/TS、Wavy50S/ヤマメ/アユ、他 |