北海道遠征レポート

北海道遠征釣行1・ブラウントラウト(8月12-14日)


夏休みを利用して、北海道へ遠征してきました。南東北では8月初から20日ころまで、猛暑とアブの猛攻でまるで釣りにならず、折角の長いお盆休みにも関わらず、この時期は無駄に過ごしてしまうことが多いものです。一方、例年のこの時期の北海道には、とてつもなく魅力的な釣りが幾つか存在します。今回から3回に分け、北海道遠征釣行の模様を順次お伝えします。初回は、日高支庁でのブラウントラウトを取り上げます。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。


【8月12日】

北海道へはこれで4回目ですが、純粋に釣行だけを目的とした訪問は、昨年の10月に続き2回目です。昨年の釣行で、思った以上に廉価で、しかもじっくりと楽しめる北海道の魅力に取り付かれてしまったのは事実です。加えて、前回の訪問時に、夏休みころの道内の様々な釣りについて情報を得ていて、実は昨年10月の帰りのフェリーの中で、今回の釣行を既に計画していたと言う訳です。幸いにも、我が家では子供達も大きくなり、休み中のオヤジの存在などあまり関係なくなっていて、喜んで「行ってらっしゃい」てな具合なのです。

苫小牧フェリーターミナル日高支庁は競走馬の故郷

今回も昨年同様に岩手県八戸市からフェリーで苫小牧に入るルートを取りました。11日金曜夜にはいわき市から山形の自宅へ戻り、深夜2時ころ自宅を出発すれば翌朝8時45分発の苫小牧行フェリーに間に合います。フェリーは8時間を要しますが、船中で高いびきを決めていれば目覚めたころには目指す北の地が見えてきます。12日はほぼ移動だけに終わり、深夜にはかねてより一度は訪れてみたかった某ダム湖の畔に到着していました。ブラウントラウトを狙う前の余興のつもりでした。

【8月13日】

林道を塞ぐゲートダム下流部の流れ

このダム湖はかなり前から大型のアメマスが数多く釣れることで有名です。このダム湖の更に上流にももう一つのダム湖があるのですが、車で入れるのは下流側のダム湖のインレット付近までとのこと。奥のダム湖ではアメマスの入れ食いが楽しめるらしいのですが、数時間の歩きとヒグマの恐怖には耐えられないため、とりあえず下流側のダム湖のインレットを釣る予定でした。しかし、翌朝目覚めてみて驚きました。ダム沿いの林道は写真上の様な頑丈なゲートで閉ざされていて、しかも貼り紙には「8月12日より閉鎖します。来年以降は開放しません。」と書いてあるのです。

18cmほどの小ヤマメ道端で休むキタキツネ

つまり2日前までは事前の情報通りにインレットまで車で入れた様です。目的地までは恐らく10数キロ3時間程度の歩きが必要であり、ヒグマの恐怖もあって、即座に諦めざるを得ない状況です。涙が出そうになりました。北海道の林道は実に奥が深く、昨夜このダム湖畔に来るまでに、海辺から3時間を要しています。別の川への移動は到底無理であり、仕方なく、この日の午前中はこのダムの下流部を普通に釣ってみることにしました。しかし、釣れてくるのはご覧の様な15〜20cmほどの小さなヤマメばかり。ダム下は渇水で水が無くなってしまうらしく、大物の気配はありません。

トゲアザミの一種オオハナウド

午後からは、今回の釣行の最初の目的である、野生化したブラウントラウトの川へと向かいました。北海道では、在来種を追い出してしまう様な形で、各地でブラウンやニジマスが野生化しており、相当な問題となっている様です。今回訪れた川も、在来のイワナやヤマメは殆ど姿を見せることなく、70cmを超える様な大型のブラウンで有名な河川となってしまっている様です。実はこの川の情報は、渓遊会の渡辺会長から得たものでした。どこかで野生のニジマスやブラウンを釣りたいという希望があったのですが、前週に北海道を訪れていた会長は、目の前で70cmの大物を餌釣り師に釣られてしまい、興奮して私に電話してきていたのです。

エゾシカの群れ人慣れしたキタキツネ

この川には河口付近から上流まで満遍なくブラウンが住み着いている様です。もっとも有名な釣り場は、ご覧の様な中流域の堰堤の下にできた巨大な淵であり、この日は日曜とあって、地元のルアーマンや餌釣り師が大勢詰め掛けていました。釣り場は広大ですが、なにせ何十人もの釣り人が両岸からルアーを弾丸の様に投げ続けるためか、結局この日は、すぐ近くで25cmくらいのブラウンの釣れたのを目撃しただけで、他には何も釣れた様子はありません。どうやら8月に入って全く雨が降っていないらしく、透明度が高くなっていて、しかも水量がかなり少ないのが原因の様でした。良く釣れていたのは前週の日曜までらしく、全くツイていません。


【8月14日】

ゆったりと広く流れる

次の釣行が控えているため、ブラウン狙いはこの日の午前中だけしか残っていません。この時点でまだチビヤマメ以外には何も釣れていない私は、相当な焦りを感じていました。大物は残念ながら可能性が低いため、仕方なく、翌朝は下流部の本流で数を狙ってみることにしました。下流部はご覧の様な非常に幅の広い北海道らしいゆったりとした流れで、河川敷の幅は3〜400mにも及びます。にも拘らず、最深部でも1〜2mしかなく、場所を選べば膝頭くらいの深さしかないため、楽々横断できてしまう様な状況です。はたして、こんなところにブラウントラウトは泳いでいるのか? 不思議に思いながら早朝5時30分には河原に立っていました。


しかしながら、憂慮はすぐに消えました。本当に満遍なく数多くのブラウントラウトが生息しているのです。ポイントも良く判らずに適当になげたミノーに、すぐさまアタリがあり、次々と魚がヒットしてきます。どちらかと言うと、急流となっているポイントよりも、深みが有ってゆったりと流れている所で、テトラやブッシュなどの隠れる場所のあるポイントに多くのブラウンたちは付いている様でした。なかでも写真下中央の様な、流れのブツカリにあるテトラは最高のポイントの様で、この一箇所で、次から次へと5尾のブラウンがヒットしてくれました。

こんな岸際のテトラがポイントボサの下を流すと必ずヒット
35cmと小ぶりだが、野生美のブラウントラウト

ブラウントラウトと言えば、最近は管理釣り場でおなじみですが、やはり野生の魚体はパワーが全く異なります。目標は70cmのブラウンでしたが、今回の最大は残念ながら35cm止まり。しかしながら、ゆったりと流れる広大なエリアでの強烈なその引きは、東北では到底味わうことのできないスリリングでシャープなものでした。小さな魚体でも、左右に数mもの移動をしながら暴れまくるそのさまは、日ごろ管理釣り場で見ているブラウントラウトとは、全く別の生物としか思えませんでした。

銀化ヤマメ?

結局、この日の午前中の3時間、距離にして1.5kmほどの間に、釣れたブラウンは全部で15尾。他に18cmほどのイワナが1尾と、写真上右の20cmほどの銀化したヤマメらしき魚が1尾。大物こそ釣れませんでしたが、非常に太陽の明るい下、透明度の高く水量の少ない状況にしては、十分に楽しめました。しかし、北海道と言えどもやはりお盆のころは暑いんですね。午後8時を回るころには気温は30度近くに達してしまい、魚信はピタリと途絶えてしまいました。この日は大きく道東まで移動しなければならず、早めに納竿となりました。

エゾフウロエゾカワラナデシコ

さて、今回の遠征では釣り以外にもう一つの楽しみがありました。過去4年間にわたって400万画素のコンパクトデジタルカメラ(OLYMPUS C4040Z)を愛用してきましたが、今回からデジタル一眼レフカメラ(PENTAX *istDL2)に交換しています。これまで以上に美しい風景や花・魚の写真を撮影できる環境が整いました。それに伴い、レポートの写真の大きさも少しだけ大きくし、世のブロードバンド化に合わせて、写真の枚数も文章に比して多くしています。今後はより大きな写真を随時取り入れた、視覚的にもより楽しめるレポートへと変化させて行きたいと考えていますので、ご期待下さい。


本レポートは「北海道遠征釣行2・オショロコマ・カラフトマス」へと続きます。

昆布干し襟裳岬のお花畑

【今回使用のタックル】
ウエダTroutPluggingSpinGS902H+シマノAERLEX3000C+PE30lb+ショックリーダー20lb、
Wellner8ftTroutRod+シマノSensiLiteMG2500+呉羽SeagerAce2号(10lb)、
D-contact50S/63S/ヤマメ/TS、SuperSinkingMinnow50S、Wavy50S/65S/ヤマメ/アユ、他