単独釣行レポート

秋の堰堤ルアーフィッシング 99年9月19日



今年は最初から最後まで、堰堤プールのルアーフィッシングに明け暮れたシーズンでした。というのは、堰堤釣りは疑問だらけなのです。どうしても解明したい事柄が幾つか有って、釣れないのを覚悟の上で、特定の幾つかの堰堤プールに通い詰めました。疑問のうちの幾つかは解明できた様に思っていますが、まだまだ良く判らないことだらけです。一生かかっても解明できそうも無いから、釣りは止められないのかも知れません。(下の写真は小国町玉川より飯豊山を望んだものです。)




この日最初に入ったのは、すっかりおなじみになってしまった新潟県境の某堰堤です。5月の連休に爆釣し、フローターオフでは初めての人全員に尺前後のイワナが釣れています。しかし8月1日に訪れた時には、原因ははっきりと判りませんでしたが、すっかり魚影が見えなくなっていました。

この日、私はある予想を立てていました。例年なら源流や本流に入る夏の間も、釣れないのを覚悟で幾つかの堰堤に通い、魚の付き場や数・大きさをチェックしてきました。そして、1年を通じてイワナたちがどの様な動きをしているのか、ある程度判って来た様な気がしています。その結果、何度かの降雨の後には、再び堰堤に魚影が戻っているのではないか、という予想でした。



9月に入り東北地方でも秋雨前線が活発で、濁流を伴う増水が数回有りました。この濁流を伴う増水こそが、魚たちを堰堤に封じ込めるのではないかと考えています。地元の餌釣り師やフライマンからも情報を集め、実際に自分でも調査してみて、以下の様な推測を立てています。

1.4〜6月ころは、大雨の増水や濁りの強い雪代が流れるたびに魚たちは下流部へと次第に流されて行く。濁りの強い水が上流から流れてくると、それに追われる形で、魚たちは下流へ少しづつ移動する。特に大型の魚は大量の餌を必要とするため、成長とともに下流部の水量の多い場所へと移動することから、大型の魚が堰堤に集まりやすい。

2.夏季の渇水時に、堰堤が干上がってしまうことがある。今年は7月末〜8月中旬にかけて異常に暑かったため、大多数の堰堤が干上がりました。堰堤が干上がってしまうと、そこにいた魚たちは当然上流へと移動する。上流で釣られてしまう可能性もある。
従来は「産卵のために遡上する」と言われていたが、夏季に堰堤の殆どの魚が姿を消してしまう事実を説明しきれなかった。「全ての魚が産卵する」はずがない。




3.秋雨が始まると堰堤内に再び魚影が戻ってくる。これは4〜6月に魚が下流へ移動してくるのと全く同じ理由だと考えられる。実際、9月に入ってから、型は小さいが堰堤である程度釣れる様になってきている。今回の新潟の堰堤では、31・28・22cmの3尾が釣れ、魚影はその3倍程度確認できた。

4.昨年(98年)は異常とも言える冷夏のため、渇水期が全くなかった。そのため、同堰堤では98年9月中旬の釣行時に、かなりの数の岩魚が釣れている。つまり干上がることがなかったため、多くの魚が堰堤に留まっていたと考えられる。その年の夏の気候によって、魚の移動状況はかなり大幅に変わるものと考えられる。少なくとも産卵だけが移動の原因では無い事は間違いない。

5.3月の解禁当初の堰堤に魚影が多く見られるのは、10月〜2月にかけても魚たちが下流に移動してくるからと考えられる。その原因は不明。冬は低温のため餌が殆ど無くなることから、餌の豊富な下流部へ移動するのではないかと推測している。少なくとも冬の間に濁流の様な増水は有り得ない。


午前中、新潟の堰堤で釣り、午後からは玉川水系の堰堤に移動しました。この堰堤は8月1日に39cmを筆頭にかなりの数を上げている堰堤です。しかしこの堰堤も8月14日の釣行時にはピタリと魚影が消えて無くなり、なんとか苦労して1尾の岩魚を釣り上げたのを覚えています。


実はこの日、あちこちの風景や花の写真を撮影するのに夢中で、この堰堤に来るのが遅くなってしまい、釣る時間は1時間ちょっとしかありませんでした。それでもご覧の31cmの見事な魚体のイワナがヒットしてくれました。これ以外にもルアーを追いかけてくる魚影が4尾ほど確認できましたが、残念ながら透明度の高さからかヒットはしてくれませんでした。



山形県内の渓流解禁期間は9月末まで。このレポートを書いている9月24日現在、あと土日の2日を残すのみです。毎年のことですが、この時期の渓流は寂しさばかりが先に立ち、もう釣果などどうでも良いものです。今年も沢山楽しませてくれた渓流魚と自然に感謝しつつこのレポートを書いています。
(上の写真の一部は「写真館(WallPaper)」に壁紙として掲載します。)

【今回使用したタックルなど】ミッチェルTroutia730ft、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、ルアー:WavyMinnow65S・50S/ヤマメ・アユ・ホワイト、他