皆さんにとって、2023年はどの様なシーズンでしたでしょうか。思い出に残るシーズンになったでしょうか。それとも、あまり良いシーズンではなかったのでしょうか。毎年、禁漁に入った時期に、そのシーズン全体を振り返ることを恒例にしています。さて、今年はどの様なシーズンだったのでしょうか? (注:本レポートは新潟県下越地方、及び北海道の釣りを想定しており、気候や水量等の状況は他府県と異なる可能性があります。) 猛暑とアフターコロナの2023年 WHOが「地球沸騰化」と宣言した通り、2023年は人類史上最も暑い年となりました。国内でも、シーズン初こそ平年並みの気温と降水量だったものの、夏にかけては最高気温の記録を更新し続ける地点が続出しました。猛暑と渇水はある程度の相関を示し、北海道では数年ぶりの大渇水の年でもありました。夏には平地での渓水温が25℃付近まで上昇し、渓魚たちの生存限界に近い状況となってしまいました。標高の低い河川では、来年以降の渓魚たちの生息状況に、相当な影響が出ている可能性がありそうです。 一方で、コロナ禍は春にはようやく落ち着き、マスク着用なども含め、5月以降はほぼコロナ前の平常状態に戻りました。インバウンドが解禁された事に加え、国内でも鬱積していた旅行需要が爆発し、夏以降は北海道でも観光客や釣り客が激増しました。また、コロナ禍で人との接触を嫌ったことから、人々がアウトドアや車旅に目覚め、キャンピングカーなどを利用した長期の「暮らす様に旅をする」スタイルが定着しつつある様です。ただ、釣り人の増加により、地元の釣り師たちにとっては、久しぶりに辛い年になった様です。
桜咲く飯豊玉川から西吾妻方面を望む 山形県小国町(4月19日) 昨年は10月に入ってから一部の河川で鮭の大規模な遡上が見られ、鮭資源が回復した様にも見えましたが、残念ながら今年は2年前までと同程度となっていて、全体としては鮭資源は減少しつづけている様です。特に太平洋側での鮭来遊数の減少は著しく、10年ほど前の1/6以下となっています。実際、釣りをしていても、河川内で鮭の姿を見る事は、今年はほとんどありませんでした。一方で、サクラマスの遡上は年々増えていて、最源流部までサクラマスが入り込み、釣りの邪魔になる場面が多くなりました。 夏以降の北海道周辺の海面水温は、平年よりも5℃前後も高い状況が続いていて、温暖化の影響はこれまでに無く顕著です。世界的な温暖化抑制策は、近年、戦争などでむしろ後退していて、改善されることは当面、無さそうです。温暖化は今後もますます進み、海の生物たちは水温に応じて北上をし続けています。しかし、冷たい渓水に棲む渓魚たちには逃げ道も無く、じり貧にならざるを得ません。実際、多少の波はありますが、本州でも北海道でも、年々渓魚の数は減り、釣れなくなってきている様です。 南東北(肘折・大井沢・小国・下関・津川・守門)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) 道東(帯広・糠平・白糠・川湯・中標津・根室)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%)
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私の2023年 今年72歳となった私は、ますます体力的に厳しい状況となっています。特にボートなど重量物の運搬は限界に近く、厳しい山岳渓流での歩きもほぼ不可能になっています。また、高齢化に伴い様々な病気を発症する可能性も高くなっています。もっとも、北海道へは十年以上も前から訪問しているため、行きつけの病院や歯科医・床屋などが有り、それほど困ることも無くなってはいます。今年はキャンピングカーを利用して、一度もホテル等を利用することなく、5か月もの間、無事に釣行が出来た事に感謝しています。 新潟のホームグラウンドのダム湖では、昨年夏の豪雨の影響が残っていて、入渓回数が大幅に減りました。加えて、例年5月末に入るダム湖も、林道の閉鎖で入れず、今期は本州でのダム湖の釣果は大幅に低下しました。ただ、昨年の豪雨でダム湖から魚影が消えた可能性を心配していましたが、複数のダム湖で魚影が保たれている事が判り、安堵しました。 北海道では近年、マンネリ化で入渓する釣り場が限られていましたが、今期は新たな釣り場を求めて、十勝南部や釧路地区、遠軽地区、富良野地区などを探索しました。その結果、十勝以外の渓で2尾の大ニジマスを釣る事ができました。ちなみに、十勝では今期は大ニジマスは釣れていません。また、今期はできるだけフライを使う機会を減らし、ルアーに回帰する様にしました。スピナーも十数年ぶりに復活させました。その結果、大ニジマス3尾や大アメマスは全てを、また、40cm台の良型も多くはルアーで釣る事ができました。
十勝士幌町から紅葉のナイタイ山方面を望む 北海道河東郡士幌町(11月4日) 今期は北海道で沢山の釣友とお会いすることができました。7月と10月には栃木のKさんと2回のオフライン釣行を、7月末には30年来の釣友の佐伯氏との再開、また、9月には旭川のイトウ釣り師の武内氏との再開を果たせました。他にも、音更、中札内、日高などで、新しく知り合えた釣り人ができました。また、新たな試みとして、7月には大雪山旭岳へのロープウェイを利用した登山も果たせました。 さて、健康が許せば来年も、春は新潟、初夏から秋は北海道で過ごしたいと願っていますが、体力的に厳しい年代となってきたため、釣行回数を更に大幅に減らし、何もしないのんびりした日を多くしたいと考えています。本Webサイトのレポートも、何か特別な出来事が有った時だけとし、更新頻度を更に大幅に下げる予定です。当サイトも、当初のルアーフィッシングを啓蒙するという目的を既に終えており、現在は私の個人的な釣り日誌となっています。ご了承頂きたい。 最後に、今シーズンも沢山の楽しい思い出をプレゼントして頂いた、釣り仲間の皆さん、下越や北海道でお会いした釣り人の皆さま、またFaceBook、Instagram、XなどSNSにてお付き合い頂いた皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。お付き合い頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
2023年の大物記録 新潟下越では、ダム湖への入渓回数が大幅に減り、苦戦しました。イワナの型・尾数ともに、近年に無い不漁でした。ただそんな中でも、奇跡的に56cmの大イワナが釣れた事は幸いでした。北海道でも、猛暑と渇水で8・9月は思った様な釣りが出来ませんでした。ただ、渇水で透明度の高い日が多かったため、遠投の効くルアー釣りへの回帰に繋がりました。50cmを超える大物の釣果尾数は、イワナ:21年4尾→22年4尾→今年1尾、アメマス:21→7→19尾、ニジマス:10→4→3尾と、全体として減り続けています。イトウは3年連続で今年も釣れませんでした。なお、釣魚は全て生きたままリリースしています。
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