皆さんにとって、2022年はどの様なシーズンでしたでしょうか。思い出に残るシーズンになったでしょうか。それとも、あまり良いシーズンではなかったのでしょうか。毎年、禁漁に入った時期に、そのシーズン全体を振り返ることを恒例にしています。さて、今年はどの様なシーズンだったのでしょうか? (注:本レポートは新潟県下越地方、及び北海道の釣りを想定しており、気候や水量等の状況は他府県と異なる可能性があります。) 高温・多雨・コロナ禍の2022年 3年目を迎えたコロナ禍も、オミクロン株になって危険度が少なくなったとは言え、未だ生活に大きな影響を与え続けています。ただ、昨年までの様な厳しい移動制限が行われなくなり、また、キャンプ場や野外施設も概ね例年通りに利用できる環境に戻ったのは、釣り人たちには幸いでした。しかしながら、遠距離の移動には未だに負荷が掛かっているのか、下越のダム湖や北海道では、遠来の釣り人はコロナ以前の状況には戻っておらず、昨年同様に、地元の釣り人にとっては好都合だった様です。 一方、気候面でも辛い年だった様です。シーズン初こそ平年並みの気温と降水量だった様ですが、特に北海道では、5月から8月までの4か月にわたり、高温と多雨に悩まされました。十勝の渓では、たび重なる洪水によって河川の流れが大幅に変化し、昨年までの良いポイントが埋まってしまい、水量の多い釣り易い状況が続いたにも関わらず、結果的に渓流では大物には恵まれないシーズンになった様です。ただ、多雨は9月以降に治まった一方、高温な状態は11月中旬まで続いたため、秋らしい気候の下で釣りを長く楽しめました。 そして、新潟県や南東北で気がかりな事は、8月に新潟下越地方と山形県を襲った線状降水帯の豪雨により、来年以降のダム湖のイワナなどの魚影が消えてしまった可能性があるという事です。2013年7月18日に山形県を襲った豪雨では、寒河江ダムが半年以上も泥濁りとなり、湖水を水道水として使えなくなりました。すると翌年から付近の複数のダム湖でイワナの魚影が消えてしまい、魚影が僅かに復活したのは3年から4年後でした。同様の事が今年8月の豪雨で下越地方のダム湖で起きている可能性があります。
桜と菜の花の咲き乱れる象潟から残雪の鳥海山を望む 秋田県にかほ市(4月21日) さて、この10年ほどは鮭類の漁獲が減る一方でした。不漁の原因は海水温の上昇と考えられていて、アラスカ沖で大きく育った鮭が夏に水温の高くなった北海道沖まで戻れず、北方四島付近で留まってしまっているとのこと。これは、ロシアでの鮭漁獲量が大幅に増えている事実と符合しています。ところが、今年のシロザケの遡上は全道で大幅に増えていて、軒並み昨年比で倍程度、十数年ぶりの多さとなっています。また遡上時期が例年よりかなり遅く、10月に入ってから爆発的に遡上数が増えた河川が多くみられた様です。 その原因として、昨年あたりから海流に変化が出て北海道沖の海水温が低下気味となった事に加え、大雨続きで海水が冷やされ、鮭が北海道沖まで来遊できる様に変化したのではないかと考えています。ただ、この考え方は、アラスカ沖まで回遊する鮭類に当てはまるだけで、近海でしか回遊していないアメマスやサクラマスには当てはまらない様です。実際に、2013年ころまで大型のアメマスに沸いた道東の河川では、今年もアメマスの数・大きさは、共に全く回復していませんでした。 南東北(肘折・大井沢・小国・下関・津川・守門)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) 道東(帯広・糠平・白糠・川湯・中標津・根室)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%)
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私の2022年 新潟下越地方でのダム湖の釣りは、記録更新の大イワナが釣れるなど、順調そのものでした。しかし、6月に北海道入りした途端、車をガードレールにぶつけるという十数年ぶりの事故を起こしてしまいました。そのため、一旦は東京へ退散。車の修理が完了したころには、今度はコロナ禍の第7派が猛威を振るい始め、東京から動けなくなってしまいました。そして、再度北海道入りできたのは、ベストシーズンのとっくに過ぎた8月10日でした。加えて、東北道を移動途中に飛石でフロントガラスに大きなヒビが入るなど、今年の夏はもう散々でした。 北海道では、今度はたび重なる大雨に悩まされました。特に道南部で降雨量が多く、今年は日高の渓で釣る事は一度もありませんでした。十勝や釧路地方でも、河川の濁りで釣りにならない状況が多かったのですが、これを逆手に取って、源流で良い釣果を上げたり、モンスターニジマスを釣り上げたりと、良いこともありました。透明度50cmほどの非常に強い濁りでも、フライを何十回もしつこく流し続けると、やがて魚がフライを見つけて喰い付いてくることを知りました。 ただ今シーズンは、十勝では大型のニジマスを一尾も釣り上げる事が出来ませんでした。9月には多雨は解消されましたが、洪水で良いポイントが埋まってしまい、新しいポイント探しに終始するばかりでした。そんな中、10月中旬には新潟のもっくんと一緒に釣りを楽しむことができました。北海道は初めてのもっくんでしたが、たった10日ほどの間に、レギュラーサイズ以上の9パターン7魚種を釣り上げてもらう事ができたのは、驚異的な出来事でした。もっくんの釣りのセンスが光りました。
阿寒横断道路から冠雪の雄阿寒岳を望む 北海道釧路市阿寒湖(10月26日) さて、今年71歳となった私は、ますます体力的に厳しい状況になりつつあります。ボートの運搬や山岳渓流での歩きなどが辛くなってきています。そんな中でも、今年もこれまでと同様に釣りを楽しめた事には、感謝しなければなりません。北海道釣行では、その日の出来事を毎日レポートにまとめて掲載していますが、最近はこれを辛く感じる様になりました。来年以降は、レポートの方法を大幅に変更しようかと考えています。レポートを書くのは、何か特別な出来事が有った時や大物が釣れた時だけとし、Webサイトの更新頻度を大幅に下げようと思っています。 最後に、今シーズンも沢山の楽しい思い出をプレゼントして頂いた、釣り仲間の皆さん、下越や北海道でお会いした釣り人の皆さま、またFaceBookなどSNSにてお付き合い頂いた皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。お付き合い頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
2022年の大物記録 今年もコロナ禍で釣り人の激減している下越のダム湖で大物に沸きました。イワナは自己記録を更新する57cmが釣れたほか、50cmオーバーが4尾釣れています。新潟のもっくんにも56cmまでの大物が6尾釣れていて、2人とも過去最高の釣果を記録しています。北海道では、十勝地方では不漁でしたが、網走地方の渓で自己記録を更新するニジマス65cmが釣れています。ただ、全体として北海道では例年にない不漁であり、50cmを超える大物の釣果は、アメマスは昨年21尾→7尾、ニジマス10尾→4尾、サクラマス0尾、イトウ0尾と、激減しました。なお、釣魚は全て生きたままリリースしています。
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