5月後半に入るとダム湖の水温も急激に上がり始め、同時に梅雨に備えてダムの水位が急激に下がり始めるため、大物に巡り合えるチャンスは急速に少なくなってきます。私の春のダム湖の釣りは、今年も例年通り6月初で終了となりました。終盤は中型のイワナ・サクラマスが中心となりますが、この2年ほどはコロナの影響で釣り人が少なかったせいか、例年より数多くの獲物が釣れてくれました。今冬の豪雪の影響で林道の開通の遅かった最後に入渓したダム湖では、非常にクリアな湖水面で、トローリングでの数釣りも楽しめました。 【5月22日(日)】 下越や南東北の多くのダム湖では、梅雨の大雨に備えて、5月下旬ころから6月中旬にかけて人為的に急速に水位を下げます。折りしも、5月下旬はワカサギたちが産卵のためにダムインレットに集まるため、大物たちもインレット付近に集まってきます。ダムの水位が下がるとインレットも下流側へ大きく移動しますが、大物たちは満水時のインレット付近の激流中に多く留まり続けます(ダム湖の減水直後の釣り「居残りイワナ釣り」参照)。しかし、我々の訪問しているダム湖のインレット付近は急峻な崖に囲まれた地形のため、水位が下がった後に満水時のインレット付近まで遡行することは困難です。つまり、超大物は手の届かない場所に居て、釣る事が出来なくなるのです。
5月下旬に入ったこの日は、既に水位が下がり始めていて、超大物を狙える最終盤でした。今年の5月は快晴の良いお天気が多かったのですが、この日は珍しく朝から雨の降りそうなやや寒い曇天で、イワナ釣りには打って付けでした。もっくんと二人でいつもの様にボートを漕ぎだし、インレット下流部に到着すると、この時期にしては水温は低く、未だ5℃台でした。活性の上がるのはお昼ころになりそうでしたが、それでも曇天でミノーを見切られずに済んだのか、この日は10時ころから中・小型の獲物が次々とヒットしてくれました。移動中にまずは私のロッドに25cmほどの小さなサクラマス。インレットの1kmほども下流に近づくと、今度はもっくんにイワナ37cm、42cmと続きます。
ところで、もっくんも私も1艘のボートに乗って、同じ様なミノーで同じ様な釣り方をしている訳ですが、なぜか二人のどちらかに釣果が集中してしまう事も多いものです。この日はどうやら「もっくんDay」だった様で、その後はもっくんばかりにヒットが続きました。11時半ころにトローリングでイワナ32cm、41cm、44pと、もっくんのロッドばかりが曲がります。更に12時を過ぎると、今度はインレット下流部の流れで、キャスティングでサクラマス24cm、イワナ25cm、44p、41cmと連続ヒット。一方で私はウグイが1尾ヒットしただけで、もう目も当てられない状態に・・。
13時ころからはもっくんが遠慮してロッドを一時納めてくれたため、ようやく私にもイワナ38cm、34cm、41cmを追加。14時過ぎから再びもっくんも釣り始めましたが、その後もバタバタと釣れ続け、私は更にイワナ43p、36cmを追加。しかし、もっくんはその後も豪運が続き、38cmに続いて、最後の最後に55cmの超大物イワナをヒット。私は完敗の日でした。ただそれでも、私にはイワナ45,43,41,38,36,34cm、サクラ25cmの計7尾、もっくんにはイワナ55,44,44,42,41,41,37,36,32,25cm、サクラ24cmの計11尾と、数の上では今期一番の釣果を記録する日となってくれました。
【5月25日(水)】 私は定年退職組でいつでも釣りは可能ですが、新潟ではここ数年は、主にもっくんの休日に合わせて釣行する様にしています。毎日の様に同じダム湖へ通っても、魚たちをスレさせるだけで、良い釣果が望めないからです。また、連日の釣行は老齢の私には体力的に厳しいこともあります。しかし、ダム湖の釣りも終盤であり、この日は珍しく私一人でいつものダム湖でボートを出しました。ただ、こんな変わった事をした日は良くない事が起きるもので、インレット下流部へ近づくと、写真の様な白いものがプカプカと浮かんで流れてくるのが見えました。どうやら源流部で除雪作業を行っている様で、道路に残ったデブリを重機で砕き、川に捨てていた様なのです。
そのため、インレット下流部の一番の釣り場は、細かなゴミが大量に流れ、透明度も30cmほどしかありません。しかも、快晴の良く晴れた日にも関わらず、氷塊のせいか水温は5℃しかありません。これでは全く釣りにならず、案の定、インレット下流部の流れでは全くのノーバイト。仕方なく、遥か下流部のほとんど流れの無い場所で、ゴミを避けながらトローリングを繰り返すことで、それなりの釣果を見る事はできました。ただ、そんな下流部では大物は全く望めず、イワナ41,41,38,38,36,36,34cm、サクラマス26cmと、小物のオンパレードで終わってしまいました。がっかりでした。
【6月1日(水)】 この日は私の誕生日であり、齢71歳を迎えましたが、一人でボートを出し入れするのは体力的にほぼ限界です。新潟の釣行ではもっくんにいつも付き合って貰っていて、感謝するしかありません。さて、6月に入ると水温も一気に上昇しはじめ、大物はなおさら望めなくなる季節となってきます。そのため、今年、大物に湧いた本命のダム湖へも、この日の釣行が最後となりました。いつもの様に9時過ぎからボートを出し出漁しましたが、晴れの日にも関わらず、なぜか午前中は活性が低く、反応がありません。インレット下流部のポイントに到着しても暫くは反応が無く、釣れ始めたのはもう11時を回ってからでした。
まずはもっくんに小ぶりのイワナ36cm、続いて41cm、32cmとヒット、どうやらこの日も「もっくんDay」の様でした。どうやらトローリングでは、ボート後方へ出すラインの長さの短い方のミノーが先に魚の目に留まる訳で、30m程度と長めにラインを出していた私は不利だった様子。途中からラインの長さを調節してトローリングし始めると私にもヒットが見られ、結局、この日は私にイワナ43,37,31,25cm、サクラ25cmの計5尾。もっくんにはイワナ52,41,36,32,25,25,23の計7尾と、まずまずの大漁となりました。ただ、いつもの様に最後の最後にキャスティングでもっくんが52cmの大イワナを仕留め、またも完敗の日となってしまいました。
【6月3日(金)】 豪雪で林道の開通の遅れていた最後のダム湖が、前日の2日にようやく開放されました。もっくんもこのダム湖の開放に合わせて休暇を取得し、いざ出陣でした。しかし、この日は季節外れの寒波の影響で大気不安定となっていて、夜半から30mmほどの大雨に。釣り場に到着した後も、結構な雨と雷の寒い日で、最悪の条件でした。釣り場にはもう一組のボートフィッシングの二人が先行しておられましたが、インレットは泥濁りとなっていて、全く釣れていない様子でした。ただ、前日の2日午後に入渓した地元のルアーマンさんは、結構な大釣りをされたそうで、60cm近い超大物のイワナも釣れていた様です。やはり一番乗りには勝てませんね。
インレットは濁りで釣りになりませんでしたが、広い湖面は全く濁っておらず、気を取り直して、2馬力船外機を使ってトローリングで楽しむ事に。ただ、大物たちはインレット付近に集まっているため、広い湖面では中型までのイワナとサクラマスが狙いとなります。11時ころからトローリングを開始しましたが、出航地から1kmほど進んだ湖面に枯れた木の林立する場所で、まずは私にイワナ47cmがヒット。広くダム湖全体をぐるりと周回する形でトローリングを続けていると、またまた私のロッドにイワナ41cmがヒット。どうやらこの日はK++Dayの様で、もっくんには小さな々さなサクラマスの魚信があるだけで、ちっとも魚のヒットには繋がりません。
ただ、全体に魚影は極めて薄く、インレットでの釣りの様にはいきませんが、なにせボートと船外機任せの釣りですので、のんびりとしたものです。そのうちお昼の釣れない時間帯に入ってしまい、小さなサクラマスの魚信以外は何も反応が無くなってしまいました。休憩を挟み、14時半ころから釣りを再開すると、15時を過ぎてようやく反応が戻り始め、私のロッドにイワナ41cmが、続いて、もっくんにもイワナ34cmと38cmがヒット。そして日が陰り始めた16時を過ぎたころ、ダム中央の枯れた大木の並ぶポイントで、根掛りの様な強烈な引きとともに、待望の大サクラマス48cmがヒット。なんとか満足の行く日となってくれました。
【6月5日(日)】 2日前にインレットを攻める事ができなかったため、この日はリベンジとばかりに同じ最奥のダム湖へ、いつもより早い午前7時過ぎに向かいました。インレットの水温は6℃台と低いため、時合いは遅いだろうと、まずは広い湖面でのトローリングを試みます。しかし、魚影はやはり薄く、もっくんにサクラマス35cmとイワナ32cmが釣れただけでした。10時過ぎに期待してインレットに向かうと、2日前とは打って変わってジンクリアの非常に釣り辛い状況となっていました。それでも、ここではもっくんがキャスティングでイワナ42cmと43pをヒット。ただ、同じミノーを同じ様に投げていた私には全く反応がありません。
どうやら、この日もまたまたもっくんDayの様です。気を使ってもっくんがしばしの間ロッドを納めてくれましたが、結局インレット直下の流れでは私はノーバイトでした。インレット下流部の1kmほどの区間で再度トローリングを試すと、ここでようやく私のミノーにも反応が出てイワナ35cmがヒット。時間はなんと12時半でした。ただ、その後は私にもヒットが続き、35cm、34cm、40cmが、もっくんにもイワナ44p、43p、32cmがバタバタと釣れ続きました。最後は再び広い湖面のトローリングを試みましたが、やはり魚影は薄く、15時を過ぎてから私にイワナ44p、サクラマス42cm、もっくんにはイワナ28cmを追加して、今年最後のダム湖の釣りを終えました。
今年は数年ぶりの豪雪で林道の開通が大幅に遅れ、我々の釣行するほとんどのダム湖で出遅れが目立ちました。それでも2年間続いたコロナの影響で、渓魚は大きく育ってくれた様で、本命のダム湖では大物に湧きました。ただ、この日入渓した最後のダム湖も林道の開通が例年より10日ほど遅くなったため、残念ながら大物には恵まれませんでした。最後は悪あがきに近い様な状況ではありましたが、それでも今シーズンのダム湖の釣りを最後まで大いに楽しむ事ができたものと考えています。また来年、新潟の仲間とともに、同じ様にダム湖の釣りを楽しめることを期待して、新潟を後にしました。
【今回使用のタックル】 ShimanoCarddiffNX/S72L、VanfordC3000HG、SunlineCastawayPE30lb+GrandMaxFX2.5号、 Sukari60DeepOB鮎/イブキ/Rグリーン、D-Contact72チャートヤマメ、Pintail-FSM、他 |