ミニオフレポート

奇跡の大イワナ2022(4月30日〜5月6日)


豪雪で林道が開放されず、これまでに無い貧果で始まった今シーズンのダム湖の釣りですが、ゴールデンウィーク(GW)も、季節外れの大雨による濁りと高い気温に悩まされながらの釣りとなってしまいました。連休直前の4月29日未明という最悪のタイミングで降った豪雨は、下越地方の殆どのダム湖水を強く濁らせてしまい、その後は、GWとしては異様とも言える気温の高い日が続きました。ただそれでも、下越のダム湖は期待を裏切る事はありませんでした。尾数こそ少ないものの、今年もなんとか大イワナに巡り合う事ができています。中でも、考えられない様な悪条件の中でヒットしてきた大物は、まさに奇跡の大イワナでした。

注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【4月29日(金)】

例年、GW初日は、下越で最も大物の期待できる某ダム湖へ入渓する事にしています。この日は林道が開通して最初の休日という事で期待していましたが、朝起きてガッカリでした。なんと、GW初日の夜半という最悪のタイミングで、下越地方には50o前後の大雨が降ったのです。やはり温暖化のせいなのでしょうか、この季節にこれだけの雨量を記録したのは記憶にありません。そして、通常、流入してくる渓水はダム湖の表層水よりも水温が低く比重が重いため、ダム湖の底部を流れて排出されるだけで、ダム湖の表層水はほとんど変化がありません。しかし、一定以上の豪雨になると湖水が撹拌されてしまい、ダム湖全体が濁ってしまいます。

連休初日は豪雨後の曇天の寒い日お昼過ぎに私にチビサクラマス14時過ぎになり、もっくんにも37cm

ところが、一旦ダム湖が強く濁ってしまうと、その後に透明度の上がった渓水が流れ込んで来ても、やはり渓水の方が低温で比重が重いため、同様にダム湖の底部を通り過ぎて行くだけで、表層水は長期間に渡って濁りが取れない状況が続きます。ただ、今回は件のダム湖ではそこまで悲観すべきほどの雨では無かったのが幸いでした。恐らく1週間程度で濁りは改善するだろうと考えていますが、しかし、折角のGWは台無しです。仕方なく、この日は濁りの少ない場所を探してトローリングを試みましたが、この日の釣果は、私にチビサクラマス1尾、釣友のもっくんには辛うじてイワナ37cmが1尾だけという、大物期待のダム湖にしては最低の貧果でした。

【4月30日(土)】

翌日も同じダム湖に入渓しています。前日はダム湖の濁りに加え、非常に寒い曇天の日であり、最悪の条件でした。しかし、この日はまだ多少は期待できました。水温のまだ低いGW頃までのダム湖の釣りは、ドPカンの良いお天気の日の真昼間が絶好の時合いになるものです。太陽で水温が上がってくると時合いが訪れ、大物がヒットしてくるのです。ただ、この日は午前中に晴れ間が見えたものの、お昼頃には厚い雲が空を覆い始め、またまた最悪の条件に・・。しかも、濁りでトローリングは不可能だったため、インレットの下流部でキャスティングを繰り返しましたが、案の定、これが全く何の反応も有りません。濁りと低水温で、小物も含めて活性はほぼゼロの状態でした。

晴れ間は出たが濁りと寒さは変わらず10時半ころ私にチビサクラワカサギの死骸が沢山流れていた

そしてもう諦め始めた午後14時ころになって、昨年もっくんが超大物60cmを仕留めたと同じポイントへ差し掛かった時でした。やる気ゼロでSukari60Deepイブキを底まで沈めてリーリングを開始すると、いきなり根掛り・・と思いきや、意外にも下写真の超大物のヒットでした。そして、この55cmは私の自己タイ記録の大物であり、この悪条件の中での釣りを考えると、まさに奇跡の大イワナでした。ちなみに、この日、もっくんはこのダム湖では初めてのノーバイトでした。湖底でジッとしていた大物の目の前を、たまたまミノーが通り過ぎたのでしょうか。なぜ1尾だけ大物がヒットしたのか、今でも全く理由が判りません。

魚の反応が全く見られない中、14時ころになり突然ヒットしてきた55cm自己タイ記録のイワナ55cmと私
ピンクの鮮やかなカタクリ見過ごしそうなミチノクエンゴサク畦畔に可憐に咲くミヤマカタバミ

【5月2日(月)】

この日は本命のダム湖の濁りがまだ取れないため、濁りの少ない別のダム湖へ入渓してみることにしました。ただ、最初に訪れたダム湖は、左下写真の様に、なぜかGWに入っても通行止めのままでした。このダム湖へは2週間前に徒歩で入渓していて、雪崩の起きそうな斜面にも全く残雪などは有りませんでした。GWには多くの山菜取りや釣り人、また公園を楽しむ家族連れが訪れます。市の管理する道路ですが、残雪量とは関係無く、年々開放が遅くなってきています。誰も入れない様にすれば事故も問題も起きない訳で、そりゃ役人には楽ちんで安全なのでしょう。最近はそういう住民サービス無視の保身ばかり考えている役人が蔓延ってきているのでしょうか。嘆かわしいですね。

斜面にも残雪は全く無いのに通行止め仕方なくもう一つ別のダム湖へ14時過ぎ、私に2尾目の33cm

しかし、この通行止めがこの日の良い釣果を招くとは思ってもいませんでした。2つ目のダム湖に到着したのはもう13時過ぎでしたが、今年初めて入渓するダム湖であり、思い切ってボートを繰り出しました。ただこの日は、気になる事がありました。この時期の湖水温は通常10℃以下なのですが、今年は既に12℃を上回っていました。しかも豪雪で早期から水位が上がって満水となっていて、どうやらイワナたちは早くからインレット下部へ移動しているのではないかと考えられたのです。案の定、トローリングを開始してしばらくは全く反応が無く、前線(冷たい渓水が暖かい湖水の下に潜り込む地点)のすぐ手前で1尾目の43cmがヒットしてきました。

前線の手前でようやくヒットしてきた43cm、餌が少ないのか痩せているイワナ43cmと私

そして流木だらけの前線をなんとか通過すると、今度は雪代でやや濁った強烈な流れが待っていました。水温は6℃台と、この時期にしては高く、釣りには良い状態でした。まだこの時点で釣果のなかったもっくんが、真っ先にミノーを投げると、40cm前後のイワナが追い掛けてきましたが、残念ながら喰い付いてくれません。活性は高いと判断し、インレット横の浅瀬に上陸し、岸からのキャスティングに切り替えました。そして、もっくんが下流側の本命のポイントにSukari60Deepリフレクトグリーンを投げ込むと、数投目で今度は50cm前後の大物が・・しかし、これも喰い付いてくれません。

14時半ころインレットに到着キャスティングでもっくんに50cm直後に今度は更なる大物がヒット

そのまま今度は上流側に同ミノーをキャストすると、足元まで大物が追い掛けてきてあっさりとヒット。もっくんの今年初めての50pの大物でした。しかし、この日はここで終わりではありませんでした。今度は私が下流部へ向けて3種類ほどの赤系統のミノーを投げ込みますが、残念ながら全く反応がありません。あきらめて今度は再びもっくんが同Sukariリフレクトグリーンを投げ込むと、なんと1投目でまたまた大物がヒット。今度は厳つい顔をした馬力のある大イワナ51cmでした。どうやらご夫婦で付近を泳いでいたイワナ達だった様で、1尾目は奥さん、2尾目は旦那さんだった様ですね。それにしても、ミノーの色の違いがこれほどまでに釣果に現れるとは、驚きの日でした。

2尾目は雄らしきイワナ51cm、このダムのインレットで50cmオーバーは初めてもっくんとイワナ51cm
スミレサイシンひっそりと咲くトウゴクサイシン紫の鮮やかなエゾエンゴサク

【5月5日(木)】

さて、GWも後半に突入すると、今度は季節外れの猛暑が待っていました。この日は朝から快晴の非常に良いお天気で、気温もグングンと上昇しました。やはりこの時期のダム湖の釣りは、こんな日和に限ります。この日は再び本命のダム湖へと入渓しましたが、湖水は未だに濁りが残っていて、インレット下流部でも釣りにはギリギリの状況でした。ちなみに、このダムの下流部はサクラマスの良い釣り場となっていますが、今年のGWは濁りで全く釣りにならず、マス師泣かせのGWだった様です。さて、この日も9時過ぎにボートを出し、濁りで期待薄ではあったものの、インレットの1km程度下流からトローリングを開始しています。

快晴の暑い日、再び本命のダム湖へインレットの遥か下流部で出た42cmインレット下の濁りはやや治まっていた

途中、小さな沢が流れ込んでいる場所があり、付近だけやや透明度が高く、しかも浅い駆け上がりになっていて、ラッキーにもこの日はこのポイントで私に42cmのまずまずの型がヒットしてくれました。ただ不思議だったのは、釣れたイワナは丸々と良く太っていて、凄い馬力なのです。ヒットした瞬間は50p超えの大物かと思ってしまうほどでした。どうやら上部のダム湖からワカサギが沢山流れて来る様で、この時期にしては餌が豊富で、食べるものには困っていない様でした。その分、ミノーへの反応は落ちている様でした。

大本命のポイントでもっくんに37cm続いてまたもっくんに41cm15時過ぎになりもっくんに42cm追加

大本命のポイントへ到着したのは10時半ころでしたが、ここではキャスティングでもっくんに37cmがヒット。その後、少し上流側で41cmがヒット。濁りは残っているものの、キャスティングではまずまずの活性の様でした。水温の低いこの時期は、午前10時〜12時ころに時合いがやって来て、お昼過ぎには魚信が途絶える事が多いものです。この日も全く同様で、午後はしばらく何の反応も無い状況が続きました。そして15時ころ、インレット下流部で久々にもっくんにイワナのチェイスが見られ、直後に上写真の42cmをもっくんがヒット。そして更にその直後に、下写真の49cmの良型が私のロッドにヒットしてくれました。濁りの割には、まずまずの釣果の見られた日でした。

15時過ぎ、やや透明度の上がった流れの中から飛び出してきた49cmイワナ49cmと私
コシノコバイモ(右下はスミレサイシン)ユリワサビの白い花珍しい褐色の花のエンレイソウ

【5月6日(金)】

翌日も同じ本命のダム湖に入渓しました。この日も朝から気温がグングンと上昇し、新潟では今年初めて25℃を超える夏日となった様です。この日も9時過ぎにボートを出し釣り始めましたが、やはり濁りはまだ残っていて、インレット下流部でも透明度は1m以下でした。ただド快晴のこんな日は、多少の濁りならイワナ達からルアーが良く見えるため、むしろ釣りには好都合です。前日も50p近い良型が出ているため、期待して釣りを続けました。そして、11時半ころ、まずは私のロッドが大きく曲がり、48cmの良型がヒット。私はこの1尾で満足してしまい、あとはもっくんにもっぱらポイントを任せました。

更に暑いこの日も本命のダム湖へ11時半頃、まずは私のロッドに48cmイワナ48cmと私

いつもの様にインレット下流部の本命のポイントでキャスティングを開始すると、今度はまたまた私のPintailに小ぶりの28cmがヒット。しばらくしてもっくんにも小さなサクラマスがヒット。更にその直後にはもっくんに42cmもヒットしてくれ、ポツポツと魚信が出て、飽きる事のない日でした。ただ、お昼を過ぎると例によって魚信は途絶え、代わりにダム湖にも猛暑がやってきました。湖面のボート上にも関わらず、気温が高く蒸し暑く、もう二人とも汗だくで疲労困憊でした。まだ5月初なのに、いったい何なんでしょうねぇ、この暑さは。

大本命のポイントでPintailに28cmもっくんの1尾目はチビサクラ続いてまたもっくんにイワナ42cm
しかしそれにしても暑くて疲労困憊午後になり私に42cmがヒット私は更に4尾目に35cmを追加

あまりの暑さに木陰で休憩をした後、13時過ぎからキャスティングを再開すると、しばらくしてまたまた私のロッドに42cm、35cmがヒット。いずれもSukari60Deepリフレクトグリーンで、どうも最近は午後からはこの色ばかりにイワナ達が喰い付いてきます。朝のうちはチャート系の色が定番ですが、午後はやはり水の色に合わせるのが良い様です。そして14時を過ぎるとやや日が陰り、好機が訪れたのでしょうか、今度はもっくんのロッドが大きく曲がり、ジャスト50cmの大イワナが釣れ上りました。もっくんは今期既に50p超え3尾目であり、私も大型を数尾ヒットしていて、考えてみればシーズンスタートの不調が嘘の様な、良いGWとなってくれました。

14時過ぎになり、もっくんに待望の50cmジャストの大物イワナ大イワナ50cmともっくん
ニリンソウの群落アズマシロガネソウヒトリシズカ

【今回使用のタックル】
ShimanoCarddiffNX/S72L、VanfordC3000HG、SunlineCastawayPE30lb+GrandMaxFX2号、
Sukari60DeepOB鮎/イブキ、D-Contact72チャートヤマメ、Pintail-FSM、他