2021年の渓流釣りシーズンが開幕しました。未だ収束する気配すら見せないコロナ禍の中、昨年に続き、非常に辛いスタートとなってしまいました。万全の感染症対策を行いながらの今季の釣行開始でしたが、それでもダム湖のイワナたちは、いつも通りにお相手をしてくれました。今冬は数年ぶりの大雪となった年でしたが、この3月が100年に一度と言われる高温となったため、平地や低い山の残雪は、例年以上に少なくなっていました。そのため、昨年同様に季節は10日ほども早く進んでいて、既に畦畔は野草花の花盛りでした。今季も例年通りに釣り場を訪問したいと考えていますが、今後のコロナ禍の行方が非常に気になる所です。 【新型コロナ対策の中の釣行開始】 今年も10月末ころまで、キャンピングカーを利用した数か月単位の長期の遠征釣行を行いたいと願っています。春は例年であれば4月の2週目ころに下越入りをするのですが、今年も季節が非常に早く進んでいるため、昨年と同様の4月7日に東京を出発しました。しかしこれまた昨年と全く同様のパターンですが、下越に到着した途端に、東京都で蔓延防止措置が発令され、4月12日以降は県をまたぐ移動の自粛を要請されてしまいました。しかしながら、既に下越入りしていた私は、これでは逆に東京に帰れなくなってしまったことになります。 もっとも、今年70歳を迎える高齢の私にとっては、東京よりも下越や北海道の片田舎に滞在する方が、感染症対策としては万全であり、できるだけ長くこの地に留まりたいと考えています。実は昨年2月初以来、1年以上も電車・バスには一切乗らず、都心は勿論、近隣のレストランにも入らない生活が続いていました。もちろん地方に滞在していても、温泉とコンビニ・レストランのお世話にはならなくてはいけませんが、幸いにもコロナは22.5℃以上・湿度50%以上で感染力を失うというデータ(米CDC)が出ていて、高温多湿の温泉では感染例はありません。
また、コンビニやレストランなども、早朝など、殆ど人のいない時間帯のみを選んで利用する様にしています。要は人混みを避ければ良いのです。加えて、幸いにも渓流や湖沼の釣りは、殆ど人のいない野外での遊びであり、感染のリスクはほぼゼロです。加えて野外活動は免疫を相当に上げてくれます。本音で言えば、コロナが収束するまでは東京に帰りたくはありませんが、ただ、ワクチン接種のために東京に戻らなければならないのが唯一の苦痛です。もっとも、ワクチンの有効率95%で感染者数が1/20になると言っても、日本の感染者数は最初から欧米の1/30以下であり、欧米ほどの効果は殆ど無いと考えています。 【2020-21年の降雨・積雪】 さて、シーズン初のレポートでは、今冬の積雪や気温などの状況を確認することにしています。下表は私の主に釣行する南東北と道東地域の気象データですが、ご覧の様に今シーズンの下越地方は、12〜2月に大雪となり、日本海側の人達にはとても辛い冬となった様です。しかし、3月は一転して100年に一度と言われる高温少雨が続いたため、既に平地や中山間部での残雪は殆ど有りません。多くの林道も早期から開通しています。道東でも降雪は例年よりかなり多かった様ですが、やはり3月は異常な高温となった様です。 南東北(肘折・大井沢・小国・下関・津川・守門)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) 道東(帯広・糠平・白糠・川湯・中標津・根室)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) そのため、昨年と同様に、畦畔の野草花たちは既に花盛りとなっていて、フクジュソウも終了間際のギリギリのタイミングでした。桜花も4月10日には既に満開を終えました。そして、4月以降の気温は平年並みに戻るそうですが、温暖化の影響か、寒暖差の激しい気候が続く様です。一方で、標高の高い山の残雪は未だに大量に残っていて、暖かい日には、高山からの大量の強い雪代が長く続くのではないかと考えています。そのため、イワナたちのダム湖や湖沼への流下も、今シーズンは大いに期待できそうです。
【4月11日(日)】 さて、本題の釣行レポートですが、例年、シーズン初に訪れるダム湖は決まっています。2つのダム湖をまずは攻めますが、今年は降雪が多かったせいか、なぜか4月初旬にも関わらず、既にダム湖の水位はどちらもほぼ満水でした。この日の朝、そのうちの1つのダム湖へ向かうと、あれま、下写真の地元のお三方にバッタリと出会ってしまいました。彼らとはもう20年近く前から、ほぼ毎年の様に、この時期にだけ、このダム湖で決まって出会う釣り仲間です。以前は小学校の子供さんを連れて釣りに来られていたものですが、そのお子さん達も、今では成人を過ぎてすっかり大きくなられ、釣りには付き合ってくれなくなったそうです。
この日、私は写真撮影を兼ねてダム湖の下見のつもりでした。正直に言うと、最近は高齢で体力が無くなり、ボートの出し入れが苦痛となっていて、この日はボート釣りを諦めていました。しかし、たかちゃんが救世主となってくれ、2人でボートを出しての釣りに急遽変更でした。たかちゃん、本当にありがとう!! ちなみに、ボートは2.9mあり、2人は野外で1m以上は離れているため、感染の心配も無いでしょう。他の2人はカヌーで来られていましたが、この日は朝から寒波で非常に寒い日で、午前中は全く何も釣れない状況だった様です。私とたかちゃんがボートを出したのは、もう11時を過ぎていましたが、それでも2時間ほどは全く反応が無く、半ば諦め気味でした。
そして、昼食を取ろうと13時ころになってボートを出した場所へ戻る直前になり、ハンドトローリングでやっと最初の1尾、37pがヒット。その少し前にも、すぐ近くでアベさんが35cmほどをヒットされていたらしく、どうやら寒波でお魚さんたちは12時過ぎまで寝ていた様です。カヌーのみなさんは余りの反応の無さに呆れて、お昼で帰ってしまわれました。昼食後も夕方16時半ころまで付近を攻めましたが、気温が少し上がってくれたためか、たかちゃんに30cmと25cmの2本、私に30cmがもう1本出てくれました。しかし、なんとも寂しい初釣りとなってしまいました。
【4月12日(月)】 翌日は新潟のもっくんと釣行の約束をしていました。2日ほど続いていた寒波も抜け、この日は朝から雲一つ無い快晴で、気温も平野部では一気に5月中旬並の20℃まで上昇する予報が出ていて、魚たちの活性も上がってくれそうです。ただ、前日と同じダム湖で、9時過ぎにボートを用意して出艇しましたが、早朝は前日同様にとても寒く、やはり2時間ほどは全く反応が有りませんでした。ところが、この日はちょっとした面白い現象が見られました。11時ころまで全く何の反応も無かったのに、とある場所にくると、突然、次々と魚影が見られ始めたのです。
まずは11時ちょうどに、もっくんに39cmの細身のイワナがヒット。少し時間をおいて11時20分ころに私に尺イワナが、そして、12時頃には更に活性が上がり、2人同時に34cmと37pのダブルヒットとなりました。その後も尺以下の小さなイワナが頻繁にルアーをトレースしてくる姿が見られましたが、残念ながら6cmのミノーでは大きすぎてなかなかヒットに至りません。それでも13時ころまでに、私に39cmと30cmが、更にもっくんに41cmのこの日一番の良型がヒット。トレースを含めると2時間ほどで12尾ほどのイワナが見られたことになります。ただ、これらのイワナたちは概ね小型ばかりで、しかも、全てが長さ500mほどのごく狭い海岸に集中していました。
しかもその場所は、インレットからは数kmも離れた場所でした。その後はアタリが遠のき始めたので、ひとまずは昼食タイムとしました。そして、15時ころから再び釣り始めると、やはり魚影が見られるのは先の同じ500mほどの区間だけで、今度はポツリポツリと魚たちが出てきます。どうやらお昼頃の活性の高い状態は続いてはくれなかった様ですが、その後も食い気のあるイワナが時間を空けてヒットして来ていたようです。それにしても不思議なのは、大きなダム湖にも関わらず、ごく狭い範囲にイワナたちが集中していた事です。これは恐らく、10日ほど前までダムは大きく減水していて、その付近が当時のインレットだったのではないかと想像しています。
結局この日は私に最大39cm、合計8尾、もっくんに最大41cm、合計6尾がヒットし、数の上では大漁となってはくれました。しかし、全体として小型ばかりで、源流育ちの大物は未だ少ないようでした。ただ、今年は高山に残雪がたっぷりとあり、今後は大量の雪代に乗って、大物がダム湖へと流下してくれるのではないかと期待しています。今年の初釣りはこうして無事に終えましたが、それにしても心配な事は、変異ウイルスによるコロナ禍の急拡大です。更に厳しい規制や自粛が発令されると、このまま釣りを続ける事は困難になるかもしれません。昨年の二の舞にならない様に心から祈っています。
【今回使用のタックル】 ShimanoCarddiffNX/S72L、StradicC3000、SunlineCastawayPE30lb+Nanodax12.5lb、Sukari60DeepOB鮎 |