皆さんにとって、2019年はどの様なシーズンでしたでしょうか。思い出に残るシーズンになったでしょうか。それとも、あまり良いシーズンではなかったのでしょうか。毎年、禁漁に入った時期に、そのシーズン全体を振り返ることを恒例にしています。さて、今年はどの様なシーズンだったのでしょうか? (注:本レポートは山形・下越、及び北海道での釣りを想定しており、気候や水量などの状況は他府県と異なる可能性があります。) 2019年概況 今春は10数年ぶりに残雪の少ない年で始まりました。加えて、4月から6月の降雨量が極端に少なく、かつ5月の気温がとても高かったため、南東北でも北海道でも深刻な渇水が長く続きました。そのため、雪代の期間がとても短く、ジンクリアの渓水に悩まされた釣り人が多かったのではないでしょうか。春の東北でも、水位が極端に低く流入水もジンクリアで少ないダム湖が多く、早期はほとんど釣りになりませんでした。また逆に、5月末ころには殆どのダム湖で雪代が終了し、透明度が急激に上がって釣りにならない状況になってしまいました。
残雪が消える頃、真っ先に華やかな色彩を放つフクジュソウ 山形県小国町(4月16日) 北海道では7月に入っても渇水が続き、渓でのニジマスなどの不漁を招いた様です。8月に入ると全国的に多雨となり一時的に渇水は影を潜めましたが、9月以降はまた少雨となり渇水が続きました。そして10月に入ると、あの忌まわしい2つの台風と豪雨が、全国的に甚大な被害をもたらしました。幸いにも、下越・山形や北海道ではそれほどの被害はありませんでしたが、目まぐるしい天候の変化に釣り人たちは翻弄され続けました。ただ、10月後半以降は渓魚の産卵時期であり、度重なる季節外れの豪雨による魚卵や稚魚の死滅など、産卵への悪影響が懸念され、来年以降の成り行きがとても心配されます。 南東北(肘折・大井沢・小国・下関・津川・守門)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) 道東(帯広・糠平・白糠・川湯・中標津・根室)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%)
気象データ収集 :
気象庁電子閲覧室>過去の気象データダウンロード 私の2019年 一方で、今年は私にとってとても喪失感の大きい年でした。18年来の釣友だったBuuさんが1月末に、また、風玉さんが9月末に、相次いで亡くなりました。加えて、3月には92歳の私の母とその10日後には16年飼っていた柴犬まで逝ってしまいました。平成から令和の節目の年に、この様な不幸が多数重なったのは何かの因縁でしょうか。ただ、私自身は数年前の体調不良もすっかり姿を消し、とても健康な状態でシーズンを過ごすことが出来た事には、とても感謝しています。今年も春の下越・山形、6月からは北海道、8月は信州、そして秋はまた北海道へと、自由な放浪の旅を終える事ができました。
秋晴れのもと、鏡の様な湖面に映える巨大カルデラ湖の紅葉 (10月16日) 最後に、今シーズンも沢山の楽しい思い出をプレゼントして頂いた、山形渓遊会、釣り仲間の皆さん、下越や北海道でお会いした釣り人の皆さまに、またFaceBookなどSNSにてお付き合い頂いた皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。お付き合い頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
南東北の大物記録 東北地方や下越でも、温暖化による水温の上昇や、季節外れの豪雨・渇水が頻発しており、その影響のためか、特に渓流ではますます渓魚が釣れなくなってきています。山形県内でも、全く渓魚の見られない渓が増えてきている様です。また、堰堤プールでは節操のない餌釣り師が後を絶たず、これまた釣れなくなってしまいました。それに伴い、今年から山形県の共通遊漁証の購入を止めました。そのため、今シーズンの山形への釣行は、ダム湖へたった1回だけとなってしまいました。 また下越でも状況は同様であり、本州での渓流の釣りの回数は、今年は遂にゼロになってしまいました。代わりにボートフィッシングのウエイトがますます高まり、ダム湖においても岸からの釣りはほんの数回だけになってしまいました。ボートフィッシングでの釣果も往年に比べると激減してはいますが、なんとか釣りになる状態が保たれています。ダム湖の釣り場自体も年々少なくなってきています。 なお、今年の下越・山形では、たった2つのダム湖での釣果が殆どで、寂しい限りでした。そのためか、今シーズンは特筆すべき事柄が殆ど無く、イワナの50cm以上2尾、40cm以上16尾は平年並みの釣果でした。なお、昨年から釣果の激減した1つのダム湖では、今年も40cm以下ばかり数が釣れる状況は変わりませんでした。来年以降の成り行きが気がかりでなりません。そして、こういった理由で、6月中旬以降は北海道へ遠征することが常態化することになってしまいました。
北海道の大物記録 北海道においても温暖化の影響は著しいものがあります。加えて今年は強い渇水の影響も有り、中でも渓流での大アメマス・大ニジマスは殆ど釣れない状況が続きました。特に秋の渓流は悲惨な状態であり、尺足らずのチビマスばかりと言う状況が続きました。またこの状況は、オショロコマやブラウントラウトでも同様の様でした。道東のアメマスも状況はますます酷くなっていて、今年は遂に40cm未満しか釣れなくなってしまいました。昨年は一時的にアメマスやサケの遡上が回復した様に見えましたが、今年は2年前よりも更に酷くなった様に感じています。 そしてここ数年、北海道においてはニジマスが対象魚の中心になっています。野生のニジマスは適度に狡猾で簡単には釣れず、しかも、そのファイトは他の渓魚とは比べ物にならないほど素晴らしいものがあります。また、一部の道内の釣り人にとっては食べて美味しいことも理由となり、淡水の釣りではなんと言ってもニジマスが一番の対象魚となっています。大ニジマスは道民の釣りの勲章なのです。長年の北海道釣行の中で、私自身もニジマスに対するイメージが大きく変わり、今では大ニジマスを釣ることが北海道遠征釣行の一番の目的になっています。 また北海道でも、年々ボートフィッシングが主体になりつつあります。岸からの釣りが余りにも冴えない中、釣果は申し分なく、かつ、他の釣り人たちと競合する事なくのんびりと自由に釣れるのが魅力です。風に弱い点はありますが、今後もますますボートフィッシングのウエイトが増えそうです。そして、今年の大物のほぼ全てがボートフィッシングによる釣果でした。渓流では遂に50cmを超える大物が皆無になった一方で、ボートフィシングでは湖のニジマス(61cm)とアメマス(64cm)の記録を更新できました。また、50cm以上の大物は、ニジマス14尾、アメマス18尾、イトウ2尾と過去最高の大漁となりました。なお、釣魚は全て生きたままリリースしています。
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