皆さんにとって、2018年はどの様なシーズンでしたでしょうか。思い出に残るシーズンになったでしょうか。それとも、あまり良いシーズンではなかったのでしょうか。毎年、禁漁に入った時期に、そのシーズン全体を振り返ることを恒例にしています。さて、今年はどの様なシーズンだったのでしょうか? (注:本レポートは山形・下越、及び北海道での釣りを想定しており、気候や水量などの状況は他府県と異なる可能性があります。) 2018年は災害のとても多い年でした。平成30年豪雪と名付けられた数十年ぶりの大雪は、西日本から北陸にかけて大きな被害を出しました。渓流釣りに強く影響を与える残雪の量は、新潟・山形でもここ数年で最大でした。その後、4月から5月にかけても降水が多く、かつ気温の高い気候が続き、渓流の豊富な水量が良い釣果を招き、渓流釣り師には楽しい春を迎えられたのではないかと思います。しかし、その後は全国的に梅雨明けが異様に早く、本州での7月の気候は記録的な猛暑・渇水となりました。今年も熊谷市で記録を更新する最高気温41.1℃が観測されました。
山形市馬見ヶ崎川、河川敷公園の満開の桜並木 (4月17日) ただ、梅雨明けの直前には、倉敷洪水など、記録的な豪雨が西日本を中心に襲いました。しかし、南東北では逆に7月の降雨は記録的に少なく、渇水が渓流の一時的な貧果を招いたようです。その後、本州での8・9月は連続する台風の上陸で大きな被害が続出しました。降水量も例年より多く、東北での釣りには幸いだったのではないでしょうか。一方、北海道では7月前半に2週間以上にわたって梅雨前線が停滞し、逆に記録的な豪雨となって殆ど釣りになりませんでした。しかも直後には、北海道には有り得ない様な猛暑がやってきて、9月末まで渇水が続きました。北海道の夏から秋の渓はひどい貧果となった様です。 南東北(肘折・大井沢・小国・下関・津川・守門)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%) 道東(帯広・糠平・白糠・川湯・中標津・根室)の平均気温との差(℃)、平均降水量との比(%)
気象データ収集 :
気象庁電子閲覧室>過去の気象データダウンロード この様に今年は災害の多い年でしたが、私自身はというと数年前の体調不良もすっかりと姿を消し、すこぶる健康で、今年も存分に釣りを楽しませて頂きました。今年も4月の下越・山形から始まり、6月末からは北海道、夏は長野、そしてまた秋は北海道へと、東京にはほとんど居ない状況が続きました。ここ数年、ますます北海道での釣りのウエイトが大きくなっており、また、ボートを利用した釣りが増えています。この様な状況を健康な状態で無事に過ごせた事に、とても感謝しています。
北海道阿寒湖の紅葉と雌阿寒岳・阿寒富士 (10月16日) 最後に、今シーズンも沢山の楽しい思い出をプレゼントして頂いた、TLF掲示板・山形渓遊会・釣り仲間の皆さん、山形・下越や北海道でお会いした釣り人の皆さまに、この場をお借りしてお礼を申し上げます。お付き合い頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
2018年の大物記録 今年の南東北の春は、非常に多い残雪と暖かい気候に恵まれ、ダム湖においても釣果が伸びました。私自身の南東北での40cmを超えるイワナの数も、過去最大の27尾を数えています。ただ、理由は判りませんが、1つのダム湖で大物が激減し、小型ばかりが数多く釣れる様になりました。過去の経験では、大型が減り、数が増えた様な釣り場は、その数年後には数も減り、殆ど何も釣れなくなる事が多いものです。今後の成り行きがとても心配でなりません。 2014年から魚影の殆ど見られなくなっていた山形・下越の幾つかのダム湖では、今年はほぼ全ての釣り場で魚影が見られる様になりました。型や数は4年前とはまだまだ比べ物にならない状況ではありますが、いずれ元通りに戻るのではないかと期待しています。不漁の原因はよく判っていませんが、やはり温暖化による豪雨と渇水の繰り返しが、魚たちの生息環境や産卵活動に悪影響を及ぼしているものと考えています。豪雨や大渇水などの災害で魚影が消えてしまうと、元に戻るには最低でも5年程度はかかる様です。 残念ながら、最近は温暖化により異常な災害が頻発する様になっていて、東北でも北海道でも、同じ様な現象がいつどこで起きても不思議ではありません。また、温暖化により生息環境が大きく変化することにより、地域ごとに繁殖できる魚種がダイナミックに入れ替わる現象が起きている可能性もあります。そして最後に、南東北での堰堤プールの釣りは、遂に今年は釣行1回のみで、しかも釣果無しとなってしまいました。こちらの不漁は、明らかに餌釣り師の乱獲が原因です。来年以降も、堰堤プールの釣りに未来はなさそうです。
さて、北海道でも近年は温暖化によると思われる豪雨や渇水が相次ぎ、また、台風の上陸も起きています。今年は7月初に梅雨前線が北海道に停滞し、例年には見られない豪雨を招きました。そのため、同時期に道東にいた私は、強い濁りで釣りになる日が極端に少なくなりました。その後、7月中旬からは、北海道でも最高気温の記録更新を連発するほどの酷暑となり、一気に渇水となりました。渇水状態は9月末まで続き、私自身の7月以降の渓での釣果は、惨憺たるものになってしまいました。 秋になり9月6日には胆振東部地震が発生し、私の北海道入りは例年より少し遅れて9月11日となりました。道内では全道停電の影響で、弁当や水・お茶などが不足する日が2週間ほど続きました。ただ、大雨や渇水は、思わぬ所で良い結果も招いてくれた様な気がします。雨で増水した渓では、オショロコマ、ブルックトラウトの自己記録を更新するサイズが釣れました。また、渇水を避けてボートの釣りを増やさざるを得ない状況でしたが、湖でのチップ(ヒメマス)の自己記録を更新するサイズも釣れました。 一方、道東のアメマスの小型化は、多少改善が見られたかも知れません。私自身の釣果は昨年より小型化しましたが、釣り人の間では、型も数も昨年よりは良くなっていると言う意見が多く聞かれました。これは2012年夏から昨年春まで、釧路沖に暖水塊が居座り海水温が高かったことと良く符合しています。ただ、暖水塊はその後また発生していて、道東のアメマスが大型化するかどうかは判りません。また、昨年は河川へのサケ類の遡上が極端に少なかったのですが、今年は概ね復活し、渓はどこもサケで溢れていました。 最後に、上記以外の今年の北海道での出来事ですが、まず、宗谷のイトウ釣りを止めました。これは、偶然性の高い釣りでつまらないこと、時期が寒くて辛いこと、加えて絶滅危惧種であることが理由です。2番目に、今年はボート釣りの機会が増えました。風に弱い事が難点ですが、実に爽快で釣果も申し分無い事から、今後もこの釣りが増えそうです。今年は渓でのニジマスの貧果をボート釣りでカバーできました。また、アメマスやチップ、サクラマスでも良い釣果が見られました。なお、釣魚は全て生きたままリリースしています。
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