今年のダム湖は比較的良く釣れています。4年前から魚影の消えていた複数のダム湖のうち、幾つかで魚影の復活が確認できたことは、とても嬉しいニュースです。また、釣友のもっくんが2週連続で自身の記録を更新するビッグサイズを釣り上げた事も、驚きでした。加えて彼の2尾目の記録更新魚は、我々仲間内での当地域での記録をも更新する超大物でもありました。私自身も例年よりは大きめのイワナを数多く釣り続けています。しかしながら、5月中旬にやってきた季節外れの豪雨は、例年に無い状況を作り出し、今後のダム湖の釣りに影を落としています。 【5月13日(日)】 今年のダム湖は全般にとても良く釣れていますが、一方で、4年前から魚影の消えた複数のダム湖のその後の状況を、折を見て調査のために釣行しています。我々の活動するエリアには10個ほどのダム湖がありますが、そのうちの実に5つのダム湖で4年前に突然、魚影が消えてしまっていました。毎年この5つのダム湖を、年に1〜2回だけではありますが、釣行することで魚影の確認をしています。その結果、1つのダム湖では2年前から小型魚が釣れ始め、昨年からは別の2つのダム湖でも魚影が見られるようになっていました。
この日訪問したダム湖は、未だ魚影の見られなかった残り2つのダム湖のうちの1つです。このダム湖では昨年から釣り人のものらしき足跡が見られる様になってはいましたが、残念ながら昨年2回と今年1回の釣行では魚影を見る事がありませんでした。そして、今年2回目の釣行のこの日も、足跡は見られたものの、やはり魚信は全くありませんでした。ただ、このダム湖の釣行は、岸辺からのキャスティングのみで、毎回2時間程度であり、本当に魚影が復活していないのかどうかは、正直良く判っていません。
【5月15日(火)】 1日開けて、この日は昨年から小型魚の釣れ始めていたダム湖のその後の状況を確かめに釣行しています。2年前の2回の釣行時は全く魚影が見られませんでしたが、昨年の釣行時には、ニジマスの様な変な魚が1尾と小さなイワナが1尾だけ釣れていました。この日はとても良いお天気で、水温の上がり始める8時過ぎからフローターを使っての釣りとしました。ただ、水温は未だとても低くて5℃台と、魚の反応が出るギリギリの温度です。案の定、釣り始めて2時間ほどは全く反応がありませんでした。
仕方なく釣り場でコーヒーを飲んだりして時間を潰し、11時前に水温が急上昇し始めた事を確認してから再度ミノーをインレット下部に投入すると、予想通りにまずは35cmのイワナがヒットしてきました。その後も31cm、34p、28cmと、小型がポツポツとヒットしてきましたが、大物は姿を見せてくれません。水辺で昼食を食べ、更に水温の上がるのを待っていると、快晴のためか、13時過ぎには水温は8℃近くまで上がってきました。そして、やおらSukari60Deepアクアマリンをインレットの激流に再投入すると、この日一番の43cmがヒット。どうやらこのダム湖ではほぼ魚影は復活してくれたのではないかと判断でき、とても嬉しいものがありました。
【5月16日(水)】 翌日は魚影の未だ見られていなかった残りのもう一つのダム湖に釣行しました。このダム湖は昨年2回、一昨年1回の釣行時には、ボートでBuu氏と共に隈なく探ったにも関わらず、魚影は全く見られてはいませんでした。この日もボートを出してインレット下部を探る作戦で9時ころ出漁しましたが、意外にも水温が低くすぎて、やはり最初の1時間ほどは反応がありません。しかし、徐々に水温が上昇してきたのか、10時過ぎになってインレットから200mほど下流で、26cmほどのおチビちゃんがヒットしてきました。
ただ、このおチビちゃんですが、昨年まではこのダム湖では何も釣れてはいなかった訳で、俄然、やる気が高まります。その後、反応の無い時間が少しありましたが、12時を過ぎるとインレットのすぐ下流部でおチビちゃんが次々と釣れ始めました。まず最初に35cm、12時半頃には28cm、続いて33cm、13時過ぎは23cmと、おチビちゃんばかりではありますが、全部で5尾のイワナの釣果が見られ、このダム湖においても確実に魚影は復活途上であることが確認できました。これで1つのダム湖を除き、残り全てのダム湖で魚影が復活、もしくは復活途上であることが判り、今後に大いに期待が持てました。
【5月20日(日)】 さて、最近は温暖化による異常気象が多くみられる様になっていますが、ここ下越・山形でも、5月中旬になって季節外れの豪雨に見舞われました。付近の4か所ほどの気象観測所において、時間当たりの降雨量の観測史上の記録を更新する豪雨が見られたのです。そのため、付近の殆どのダム湖は、湖面全体が泥濁りになってしまいました。多くのダムでは、平水時はダム堤体下部に有る排水口から排水されていますが、豪雨が降ると排水が追い付かないため、ダム上部からも大量に排水します。すると、湖水全体が一気に濁流に置き換わります。
しかし、水量が落ち着くと、インレットから流れ込んだ冷たい水は、暖かい湖水の下に潜り込み、湖底付近を流れて、その多くがダム堤体の下部にある排水口から流れ出る状態に戻ります。そのため、湖水の大部分は入れ替わる事が無く、一旦泥濁りになると、ダムは長期にわたって濁りが取れなくなるのです。小さなダム湖でも2週間程度、巨大なダム湖では数か月間も濁りが取れません。こうなると広い湖水面での通常の釣りはお手上げです。残る手段は、インレットから前線(仲間内の用語:冷たい流入水が湖水の下に潜り込む地点)までの非常に狭い範囲で、キャスティングによる一発勝負を掛けるくらいしかありません。
この日は件の豪雨の2日後でしたが、比較的雨量の少なかったダム湖のインレットを釣ってみる事にしました。ただ、インレットといえどもまだかなり濁っていて、しかも釣り場は非常に狭く、1時間もあれば釣る場が無くなってしまいそうです。それでもお昼近くにボートを繰り出し釣りはじめると、なんと、インレット直下の激流の中から、もっくんが自己の記録を更新する大物を引きずり出してくれたのです。しかも、51cmと、そのサイズはこのダム湖の仲間内の記録をも更新するビッグサイズでした。しかも、もう1尾だけ釣れた彼のイワナは18cmと、このダム湖の最小記録?・・・ちなみに私はこの日、全く釣れる気がせず、おデコでトホホでした。
【5月26日(土)】 さて、ホームとしている多くのダム湖が殆ど釣りにならなくなったため、その後29日まで、私は東京に帰っていました。しかしその間に、もっくんが更なる大物を手にしていました。この日はもっくんと釣友のAさんの2人で、上記の20日の釣り場とは別のダム湖へボートで繰り出していました。しかし案の定、ダム湖はまだ濁りが強くて、通常のトローリングでは何も釣れなかったそうです。しかも、インレット下に入ったものの、今度は湖底が丸見えのジンクリアで、お手上げだった様です。仕方なく、もう午後の3時ころになって、ダメ元で、前線を過ぎたところから、Sukari60Deepイブキで下流側へトローリングを再開したそうです。
すると、ルアーを引き始めてすぐにゴツンと根がかりの様な魚信が出て、上写真の57cmが釣れてしまったとのこと。場所は前線から下流側100mほどの所であり、表層は濁った水の層があり、すぐ下にはクリアな流入水がゆっくりと流れている状態・・・つまり魚から見れば、黒雲の上のボートや釣り人は見えないが、雲の下のミノーは良く見える状態だったのでは、と想像できます。つまり、魚は警戒心も無く、ミノーに喰らい付いたのではないかと言う訳でした。ちなみに、このサイズは彼の自己記録を2週連続で更新し、しかも、このダム湖の記録をも更新する超ビックサイズでした。しかもしかも、釣れたのはこの1尾だけ。うむむむ!どうなってんの?
【5月30日(水)】 さて、ホームの複数のダム湖の濁りは未だ取れてはいない様でしたが、10日近くも東京にいると、釣りの虫が黙っていてはくれません。仕方なく、この日は豪雨の影響の比較的少なかった場所にあるダム湖を選んで入渓しています。この日は朝からどんよりと曇った暗い日で、しかも湖水の透明度はまずまず高く、条件は悪くはありません。そして珍しく朝6時ころには出船し、トローリングで広い湖面を一通り探りましたが、なぜかサッパリでした。トローリングで釣れたのは、下写真のサクラマスのおチビちゃん1尾だけで、寂しい限りです。
ただ、私の目的はサクラマスではありません。9時過ぎからはインレットでのキャスティングで、大イワナを狙う事にしました。この時期のインレットの水温はまだまだ低く、水温の上がる9時ころから13時ころまでに時合いがやって来る事が多いものです。幸いにも、昨夜の雨でインレットの流れは笹濁りの良い条件です。そして、前線を超えるとすぐにイワナの反応が出てくれました。まずは前線の100mほど上流で42cmがヒット、岸辺で写真撮影の後、岸からキャストすると同サイズがもう1尾トレースしてきましたが、こちらは惜しくもヒットならず。
程なくしてインレットの激流が現れ、いよいよ本命のポイントです。ここでは45、45、47cmの3尾がヒット、最後にもう1尾50cm近い大物が追い掛けてきましたが、残念ながらヒットはしてくれませんでした。ほんの1時間ほどの短い時間でしたが、しかし、インレットの狭い範囲で40cmオーバー4尾が釣れ、まずまず満足して午後の早い時間には納竿しました。さて、ダム湖の釣りは6月下旬までまだまだ続きますが、気になるのはダム湖の濁りがなかなか取れてくれない事です。終盤戦はどの様な展開になるのか、気がかりでなりません。
加えて、実はもっと深刻な憂慮すべき事があります。2013年の7月の豪雨の後に、下越・山形の5つのダム湖で魚影が消えました。先にレポートした通り、ようやく今年になって、小さいながらも魚影が回復して来たばかりなのです。実は今回の豪雨でも、同じ様な事が起こっている可能性が考えられるのです。レポートの通り、豪雨後にも大物が釣れていますが、集中豪雨で源流部の小物が流され居なくなっていて、来年以降に釣れなくなる可能性があるのです。また5年ダメかも知れません。今後の成り行きがとても心配でなりません。 【今回使用のタックル】 ShimanoCarddiffNX/S72L、StradicC3000、SunlineCastawayPE30lb(2号)+SeaguarGrandmaxFX2.5号、 Sukari60Deepイブキ/OB鮎/アクアマリン、Dコンタクト63鮎/チャートヤマメ、他 |