皆さんにとって、2016年はどの様なシーズンでしたでしょうか。思い出に残るシーズンになったでしょうか。それとも、あまり良いシーズンではなかったのでしょうか。毎年、禁漁に入った時期に、そのシーズン全体を振り返ることを恒例にしています。さて、今年はどの様なシーズンだったのでしょうか? (注:このレポートは山形・下越での渓流釣りを想定して記述しており、気候や水量などの状況は他府県と異なる可能性があります。) 2016年の渓流釣りのシーズンは、過去15年間で最も残雪の少ない状況で始まった様です。4月時点での山形・下越の6測定点の平均残雪量は平年の19%と最低であり、相当な早期に雪代の消失するであろうことが予想されました。例年であれば5月中旬に開通する林道が、1ヶ月も早いGW前に開いてしまうなど、信じられない状況があちこちで見られました。野草花の開花も想像以上に早く、多くの撮影の機を逃してしまう結果となってしまいました。
山形県山形市 馬見ヶ崎川の桜並木 (4月12日) 加えて、4月から6月前半までは平年を大幅に上回る高い気温が続きました。残雪は一気に融け、早期には強い濁りの激流となって、通常の渓流釣りには辛い時期が見られた様です。雪代の消失は1ヶ月ほども早く、多くの堰堤プールで5月のGW前に既に釣期が終わってしまっていました。ダム湖でも雪代の消失は早く、例年であれば5月末にとても良い釣りのできるはずのダム湖では、透明度が上がり過ぎて通常の釣り方では全く釣りにならない状況が見られました。
気象データ収集 : 気象庁電子閲覧室>過去の気象データダウンロード 6月後半からは平年並みの気温で推移した様ですが、7月の梅雨末期の豪雨と8月後半のあの忌まわしい連続した台風は、渓流釣りにも痛手でした。9月から私は北海道に入りましたが、3つの台風が連続して上陸した北海道では、多くの本流・大支流で、1ヶ月以上も強い濁りが続き、全く釣りにならないという異常な事態が見られました。そして、10月に入ると今度は気温が一気に下がり、後半には北海道で積雪が見られるという、これまた過去に例の無い状況が起こり、秋という季節の殆ど無い年となってしまいました。 私個人の2016年は、首都圏に転居して3年目となり、今年も春から初夏にかけて山形・下越へキャンピングカーを利用して長期の釣行に出かけました。また、秋には2ヶ月に及ぶ長期の北海道遠征を行いました。数年前の男性更年期によると思われる連続した体調不良はどうやら落着きを見せ、体調は概ね良好となっています。今年も健康で釣りを存分に楽しめた事に、心から感謝しています。
北海道上川町 紅葉の層雲峡 (10月18日) 最後に、今シーズンも沢山の楽しい思い出をプレゼントして頂いた、TLF掲示板・山形渓遊会・釣り仲間の皆さん・山形・下越や北海道でお会いした釣り人の皆さまに、この場をお借りしてお礼を申し上げます。お付き合い頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
2016年の大物記録
2年前から大型魚の消えてしまった山形・下越の複数のダム湖は、今年もほとんど変わらない状況の様です。これまでホームとしていたダム湖でも、8回の釣行にも関わらず、4月20日にイワナ3尾が釣れただけでした。山形の3つのダム湖の4回の釣行では、今年も釣果は全く見られませんでした。その結果、今年4月から5月前半のダム湖の釣果は、昨年以上の貧果となってしまい、過去最悪となりました。 堰堤プールにおいても、今年はGW頃までに全ての釣り場で雪代が消失し、ほとんど釣りになりませんでした。例年であれば5月中旬以降に釣果の上がる下越の堰堤プールでも、今年は4月中旬から釣果が見られ始め、逆に5月に入ると透明度が上がってしまい、全く釣れなくなってしまいました。 5月中旬まではほぼ壊滅的な状況でしたが、昨年同様に、5月後半からは下越の2つのダム湖で大型魚の爆釣が見られました。ただ、昨年まではインレットの雪代の中で大物を狙う釣りでしたが、今年は早期に雪代が消失していて、インレットでは釣りになりませんでした。しかし、今年から2馬力船外機を導入したことで、バッテリの心配をすることなくダム湖を隈なくトローリングで攻めることが出来る様になり、結果的には、何とか平年並みの釣果を確保することができました。 ダム湖での不漁の原因は未だによく判っていませんが、この数年は夏に酷暑となり、渇水と豪雨が繰り返される気候に変化していて、北海道の渓魚の小型化と同じく、東北でも小型化が始まっているのではないかと考えています。今夏も台風や梅雨末期の豪雨で渓魚たちには辛い年であったのではないかと心配しています。来年以降の山形・下越での釣果を見守りたいと思います。 2016年の釣果記録(抜粋) 北海道での釣果記録 4年前から始まった道東のアメマスの小型化は、今年も更にその状況が進んでいる様です。昨年までは極僅かに釣れていた大型のアメマスも、今秋は釣れたと言う話を聞かなくなりました。私自身のアメマスの釣果も年を追って小型化していて、今年は遂に50cmオーバ―ですら釣る事ができませんでした。ただ、同じイワナ族の魚であるオショロコマは、25cmの自己記録を更新するサイズが釣れてくれました。 一方、8月の3つの台風上陸の後遺症で、多くの河川が泥濁りとなり、9月初に予定していたブラウントラウトは、全ての渓で釣りが不可能でした。北海道釣行の終盤になって、ダム湖で小型のブラウンが数尾釣れたのみでした。ただ、この台風による濁りは思わぬ良い結果も残してはくれました。台風上陸後5週後の10月2週目になり、十勝のニジマスで有名な渓でようやく濁りが取れ始めました。1ヶ月以上も釣り人を見ていない、しかも濁りで餌を摂れず腹ペコであろう大型のニジマスを、爆釣することができました。 北海道では見かけは同じ様な河川でも、水温・水質・水量などが河川ごとに異なるため、魚種ごとに大型化し易い川とそうでない川が存在する様です。2012年に突如現れた釧路沖の暖水塊(水温の高い海水の塊)は5年経った現在でも同じ場所に居座り続けていて、現在もマグロやマンボウが獲れ続けています。時を同じくしてアメマスや多くの渓魚の小型化が始まったのは、偶然とは思えません。漁協によるアメマスの駆除説もありますが、それよりも、暖水塊による生息環境の激変が原因ではないかと考えています。 かつてはトラウト天国と言われた北海道ですが、最近は温暖化の影響で本州化が著しく、アメマスだけではなく、ニジマス・ブラウン・イトウも小型化していて、逆にウグイが棲息範囲を広げている様です。本州でもイワナの小型化は明確であり、いつまで現在の様な釣りを楽しむことができるのか、心配でなりません。
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