今シーズンのダム湖の釣りは、開幕当初から過去に見られない様な不漁が続きました。その後もほぼ全てのダム湖において、大物はおろか、小型イワナすら見る事のできない様な状況が続いていました。しかし、釣りの女神様も、最後には皆に平等に結果を分け与えてくれる様です。今シーズン最後の最後に訪れたダム湖では、逆に過去に見られない様な素晴らしい釣果が待っていました。相棒のBuuさんにも私にも、本州でのイワナの自己記録を更新するビッグサイズが飛び出し、なおかつ、大物の数釣りにも恵まれ、1年の帳尻を合わせる結果となってくれました。 【5月18日(日)】 GWまでのダム湖の釣りは散々な結果でした。4つのダム湖の、のべ10回の釣行で、私の釣果は38cmまでのたった3尾だけ。他のメンバーも概ね同様であり、下越・山形のダム湖全般に、何かしらの異変が起きているようでした。そのため、その後は一旦リセットすべく、GWの次の週は釣りをせずに横浜で過ごしました。そして18日の日曜になり、Buuさんと共に、山形県内にある5つ目のダム湖へと入渓しました。ただ残念ながら、前日の雨が祟って濁りが強く、釣りになる状況ではありませんでした。お昼前には同じ山形県内の別のダム湖へと移動し入渓しましたが、こちらも濁りが強く、断念せざるを得ない状況でした。
【5月19日(月)】 翌日は朝から非常に良いお天気となり、ダム湖の透明度も上がってくれるだろうと期待し、午後から前日朝に入渓したダム湖へと再び向かいました。ただ現場に到着してみてガッカリしました。どうやら上流の支流で河川工事をやっているらしく、インレット付近はミルクコーヒー色になっていました。ただ、工事で濁った水は定期的に入って来るらしく、透明度の高いエリアも残っていて、取り敢えずはボートを出してみることにしました。しかし、状況は何も変わらず、魚の気配は全くありません。この日は地元のルアーマンYさんとお会いし、あれこれと情報交換をさせて頂き、楽しい時間を過ごせたのが唯一の幸いでした。
【5月20日(火)】 前日は工事の濁りで釣りにならなかったため、翌日は凝りもせず、工事の無い早朝6時から再び同じダム湖を攻めています。しかし今度は早朝で水温が4℃台ととても低く、全く釣りになりません。仕方なく2時間ほど昼寝(朝寝?)をしながら水温の上がるのを待つハメに。そして、9時頃になってようやく6℃台にまで水温が上がり、期待して再度ルアーを投げ始めましたが・・・なぜか、まるで反応が無いのです。どうやらこのダム湖も他のダム湖と同様に、お魚さん達はどこかへ行ってしまった様でした。11時頃になって丘っぱりの釣り師がやってきましたが、30分ほどでサッサと帰ってしまいました。
【5月25日(日)】 この時点で今年のダム湖の釣りは14戦中11敗、大物の釣果で言えば14戦全敗でした。日曜にはBuuさんと今年最後になるダム湖への入渓を約束していましたが、どうも気乗りがしません。ただ、今年はもうこのダム湖を残して後はありません。ここに賭けるしか無いのです。そして、この時期は水温も高く、早朝と夕方の勝負となる事が多いため、珍しくこの日は早朝4時に待ち合わせ、釣り場へと臨みました。この時期、イワナ達は産卵のために集まったワカサギを追い求め、インレットに集中しています。迷うこと無く全速で、真っ先にインレットへと向かいました。
移動途中にBuuさんのロッドに小さなサクラマスがヒットするご愛嬌もありましたが、インレットに到着すると、水量・水温・透明度ともに申し分無く、釣りには最適の状況でした。そして、インレットの激流に2人でミノーを投入し始めましたが、今年のこれまでの絶不調がまるでウソの様な世界がこれから始まろうとは、この時点では2人とも全く気が付いてはいませんでした。まずは私のロッドに49cmがヒット。ほぼ同じ場所にBuuさんもミノーを投入しますが、反応がありません。次に私がミノーを投げ入れると、今度は47cmがヒット。この時、私はDコンタクト50Sのチャートヤマメ、Buuさんはヤマメカラーでしたが、これが早朝の勝負を分けた様です。
慌ててBuuさんもミノーをチャートヤマメにチェンジすると、すぐに34cmと33cmをヒット。しかし、同ポイントでは大物は先の2尾だけだった様で、残念ながらこの時点でBuuさんには大物はヒットしませんでした。早朝に大物2尾をヒットして気を良くした私でしたが、実はこれはまだほんの序盤戦でした。インレットがスレてしまったため、その後は下流部へ再び移動してトローリングを試みましたが、濁りが強くて反応はありません。昼食などをして十分に釣り場を休ませた後、お昼過ぎに再びインレットに戻ってきました。
早朝に釣ったポイントよりも少し下流側で釣りを再開すると、今度はBuuさんの黒いミノーSukari50ssDeepにいきなり反応が出始めました。どうやら早朝には見られなかったワカサギがインレットに大量に入って来た様子で、足元でワカサギが群れをなして泳いでいます。釣り再開1投目でBuuさんのロッドが大きく曲がり、まずは45cmをヒット。続いてすぐに今度は51cmの非常に綺麗な源流育ちの大イワナがヒット。これには驚きました。私も交代でほとんど同じ場所に同じ様にミノーを投入していましたが、チャートヤマメを使い続けていたためか、私のロッドにはまるで反応が無かったのです。
黒いミノーが無いためDダイレクト鮎に慌てて私もミノーをチェンジ。するとようやく私にも41cmがヒットしてくれました。しかし、黒いミノーには敵わなかった様で、その後はBuuさんに40cm、38cm、36cmと連続ヒット。その後、私は、50cm位と40cmちょっと位の大物がヒットしましたが、鉤を伸ばされて逃げられてしまいました。Buuさんも50cm位の大物を2尾、40cm位を1尾、鉤を伸ばされてバラしてしまった様です。上陸できる地点が限られているため仕方無いのですが、ポイントは激流で水圧がもの凄く強く、上陸地点からの釣りでは立ち位置が悪く、下流部へ流されると鉤が持たないのです。
14時頃になると流石にスレたのか反応が無くなったため、カヌーで少し下流側へ移動しキャスティングを試みました。すると、今度は私のロッドに大きなアタリが出て、大物がカヌーのすぐ横で暴れはじめました。Buuさんに網で掬ってもらおうとした瞬間、残念ながらライン切れ。その後は、一旦は大きく下流部へ移動して再度トローリングを試みましたが、やはり濁りで反応はありません。そして、1時間ほどしてインレットへ戻ってくると、今度はBuuさんのトローリングロッドに根掛かりの様な強烈な反応が・・・しばらくしてタモ網に無事に納まった超大物を見てビックリ仰天しました。
なんと、私が先ほどライン切れでロストしたDダイレクト鮎とBuuさんの黒いミノーの2つのルアーがイワナの口元に掛かっていたのです。管釣りのニジマスで一度ラインを切られ5分後に同じフライで同じニジマスが釣れた事はありますが、イワナもたった1時間でミノーを忘れてしまう事がある様です。よほどワカサギを食べるのに忙しかったのでしょうか、おバカなイワナ君でした。ちなみにこの53cmの大イワナは、Buuさんの本州でのイワナの自己記録を更新するビッグサイズでした。Buuさん、本当におめでとうございます。 この日の釣果: K++:イワナ49,47,41cm、計3尾、 Buu:53,51,45,40,39,37cm、尺前後3尾、計9尾
【6月1日(日)】 柳の下のドジョウを狙うべく、翌日曜も当然の様に2人で同じダム湖へと向かいました。前週は49、47cmの2尾を釣り上げた時点で「今日はもうこれ以上は無いだろう」と思ったものですが、その後、Buuさんには51cmに加え、なんと私のバラした53cmまで釣り上げられてしまい、尾数でも大幅に打ちのめされてしまいました。この日6月1日は実は私の63歳の誕生日。なんとしてでも今日は大物を釣り上げてやろうと、やる気満々で臨みました。ただ、この時期は梅雨の豪雨に備えて、ダム湖は水位を大きく下げつつあります。つまり前週釣ったポイントでは、今週はもう釣ることはできないのです。状況は同じではありません。
この日のインレットは前週の釣り場より数百m下流にありました。そこには上陸できる様な広い陸地は無く、仕方なく小さな岩の上にBuuさんが陣取り、私は手前の猫の額ほどの狭い岸辺で釣る事になりました。そのため、釣れたイワナたちを1尾づつ撮影することができず、一旦は大きな網に釣れた魚たちを入れ、最後にまとめて写真を撮影することにしました。インレットに到着してまずはBuuさんにいきなり45cmがヒット。また今日も「Buuさんの日」になるのかと思いきや、私にもすぐに44cmがヒット、そして、すぐにほぼ同じポイントから50cmを優に超える超大物がヒットしてきました。
この時使っていたミノーは、BuuさんがDダイレクト、私がDコンタクト63でしたが、カラーは共にチャートヤマメであり、やはり早朝はこのカラーが良くヒットする様です。そして、この大イワナ54cmは、本州でのイワナの自己記録を1cmだけですが、6年ぶりに更新するビッグサイズでした。釣りの女神様も最後の最後に、味なマネをしてくれるものですね。私の誕生日に、本当に素晴らしい贈り物を下さったと言う訳でした。ただ、この日釣れたイワナの大きさは、54cmは出たものの、明らかに前週よりは全体に小さくなっていて、ダム湖の水位が下がるにつれて、インレットが下流側へ移動することで、サイズダウンして行くのは間違い無い様でした。
【6月3日(火)】 この週は私は横浜へは帰らずに、あちこちの堰堤プールなどで釣りをしています。ダム湖の釣りは上記のダムでの釣果は素晴らしいものの、他のダム湖ではどこも散々でした。ただ、季節の移り変わりも影響があって、6月に入って釣れ始めている可能性もあるのかも知れないと、この日、再度、山形県内のダム湖を訪れています。しかし、この日は水温も透明度も天候も最高の条件が整っていたにも関わらず、6時間に及ぶ早朝からお昼頃までの時間帯で、小さなイワナのトレースすら見られないという、まるで「死のダム湖」の様な状況でした。やはり状況は変わってはいない様でした。
【6月7日(土)】 さて、翌週は土曜日午後にBuuさんの仕事の時間が空いたため、この日午後からまたまた2人で前週と同じダム湖へと入渓しています。ただ、ダム湖の水位は更に大幅に下がっており、更なるサイズダウンが予想されました。ダム湖の水位が下がるにつれて、インレットでは湖底に体積した泥や砂が水位が下がることで少しづつ巻き上げられ、強い濁りが出るのです。また、インレット全体が泥や砂で浅くなり、大物たちが定位することが出来る場所が少なくなる様なのです。そのためか、この日の釣果は前週・前々週と比べると惨憺たるもので、最大38cm、2人で5尾だけの寂しいものでした。
【6月8日(日)】 そして翌日の日曜は、前日に付近を釣りまくっていてスレ切っているため、更に状況は悪くなっていて、イワナは25cmの1尾だけでした。トローリングで小さなヤマメも釣れましたが、もはや何の感動も無く、このダム湖の釣りも完全に終了したと認識させられました。そして同時に、今年のダム湖の釣りも、この時点で終了したことにもなりました。でもま、最後の最後に大物に恵まれる事ができ、今シーズン全体を振り返ると、なんとなく帳尻が合った結果となったのは幸いでした。ただ、他のダム湖での今シーズンの不漁の原因は、いくら考えても良く判らずじまいでした。来年以降のダム湖の釣りが本当に思いやられます。
【今回使用のタックル】 Ueda TroutPluggingSpinGS902H、SensiLiteMG2500、PE2号+GrandMax1.2号 D-Direct/鮎/ヤマメ/チャートヤマメ、D-Contact50/63/チャートヤマメ、Ryuki60/70S/鮎/ヤマメ、他 |