今年は季節の移り変わりが早く、既に堰堤プールのルアーフィッシングが始まっています。例年であればこの時期はまだ残雪が多くて水温も低いため、入渓も難しく魚たちの動きも鈍いのですが、今シーズンは2〜3週間も季節が早く、釣り場へのアクセスは良好で魚たちも動き始めています。ダム湖でサッパリ釣れないことも手伝って、GW中から堰堤プールへと足を伸ばしました。下越・山形のダム湖では、これまでに見られなかった様な不漁が続いていますが、堰堤プールでも魚影はやはり薄く、数は少なめの様です。それでも現在のダム湖の状況と比べると、型もまずまずで数もそれなりには釣れています。 【4月26日(土)】 4月8日からスタートしたダム湖の釣りは、GWが近づくにつれ、仲間内でも「今年はオカシイ、魚がいない」とささやかれ始めていました。前日の25日にも某ダム湖でノーバイトを強いられた私は、今年の下越のダム湖の釣りは諦め、別の釣りも模索した方が良いのでは?・・と考え始めていました。幸い私には時間がたっぷりとあるため、まだ時期が少し早いのですが、取り敢えず下越の堰堤プールの一つを釣ってみる事にしました。ただ、例年であればこの時期はまだ残雪が多く入渓が難しく、なおかつ水温が低すぎて釣り辛いものです。
例年であれば残雪で林道が塞がれGWにはまず入渓できない堰堤プールに赴きましたが、なんとまぁ、予想に反して残雪は全く無く、車で堰堤のすぐ横まで入る事ができました。現地に到着したのはお昼頃でしたが、堰堤のプールは底が丸見えのジンクリアで、夕方までは釣れそうもないだろうと付近で写真を撮影したりして過ごしました。そして15時頃に釣り場に戻ってくると、あれれ、車が一台やってきてボートを出してサッサと釣り初めてしまいました。幾らなんでもこの透明度ではまだ時間が早すぎます。釣れる魚を釣れなくしてしまうだけです。
ボートの2人組には先に散々釣られてしまいましたが、ただ良く見ていると、彼らは表層を引いて釣っているだけで、底の釣りはしていない様子。聞くと35cmくらいのを2尾釣っただけとのこと。だいぶ遅れて入渓した私ですが、Dダイレクト鮎を水深の有るプール中央の底まで一旦沈め、底ギリギリをトリッキーに誘うことで、1投目で39cmのまずまずの型をヒットできました。ただ、透明度が非常に高くてすぐにスレてしまったらしく、底の釣りはこれ1尾でおしまい。やはり釣り始める時間が早過ぎた様です。その後はプール脇の浅いポイントで、おチビちゃんを1尾追加しただけで終わってしまいました。
【4月28日(月)】
一つ目の堰堤プールで今年のダム湖の最大魚を超えるイワナを得た私は、味をしめて2日後には別の堰堤プールへと入渓を試みています。午前中に入った堰堤の釣り場も林道の残雪は無く、アクセスは楽々でしたが、ただ、現場に到着して唖然としてしまいました。堰堤にスリットが入れられていて、プール自体が無くなっていたのです。仕方なく午後からは更に別の堰堤の釣り場へと移動。こちらは山道を30分ほども歩かなければならないのですが、なぜかこの日は水量が多過ぎて最後に渓を渡れず、釣り場を目前にして断念せざるを得ない状況でした。どうも今年は釣りの神様に見放されている様です。
【4月30日(水)】 あまりにもガックリと気落ちした私は、翌29日は釣りをせず、気分を一旦はリセットしました。そしてこの日は、4日前に入渓した堰堤のプールを午後から再度狙いました。前回は土曜日でありボートの先行者がいましたが、この日はGWの中休みの平日で、誰も来ないだろうとの読みでした。現場に到着すると予想通りに釣り人の姿は皆無でしたが、前回と同様にプールはジンクリアそのもので、夕方までは釣れそうもありません。やはり少しの間、時間を潰してから16時過ぎにフローターを担いで入渓地点に移動しました。曇天で気温は高く、最高の釣り日和でした。
しかし、フローターを用意していると、あれま、何やらインレットにゴミが沢山流れてくるではありませんか。良く見ると、源流部で大雨があったのか、濁流が一気に入ってきて、ジンクリアだったプールに茶色い帯がみるみる広がってきています。フローターを漕ぎ出しキャストを開始する頃には、一番のポイントであるインレット付近は既に泥濁り。プール中央部も帯状にミルクコーヒー色になっています。しかしこういう時は、煙幕理論に従ってプール脇に残っている透明度の高いエリアを大急ぎで攻める手があります。強い濁りが入ってくると、魚たちも視界の悪いのを避け、そういった透明度の残っているエリアに逃げ込むのです。
今年は釣りの神様には全く意地悪をされっぱなしで、ホドホド嫌になってしまいますが、この時ばかりは反撃しました。1時間ほどでプール全体が泥濁りになってしまいましたが、それまでの僅かな時間で、プール脇のちょっとしたワンドの奥や堰堤の構造物のすぐ脇など、まだ透明度の高く残っている場所を狙うことで、下写真の3尾を釣り上げることが出来ました。中でも一番の大物40cmは、堰堤のコンクリートと山の斜面が作るプールの直角の角に投げ込んだDダイレクトTSにヒットしてきました。恐らくインレットにいたこの魚は、濁りに追い立てられ、プールの反対側のそんな場所まで逃げ込んできたのでしょうね。
【5月2日(金)】 下越のダム湖が絶不調のため、GWの後半は、Buuさん・風玉さんと3人で山形県内のダム湖を攻める予定をしていました。そのため、翌1日には大きく移動し山形県庄内地方入りしていた私は、この日、お目当てのダム湖の近くで山菜採りをしていました。しかし、この地も下越と同様に残雪が少なく、例年であればとても入れない様な奥地まで林道が開放されていて、この日、とある山奥の堰堤プールに行ってみることにしたと言う訳です。ただ、堰堤の1kmほど手前の地点までは車で入れましたが、やがて下写真の様に林道が残雪で塞がれていて、30分ほどだけは歩きを要求されてしまいました。
釣り場に到着したのはもうお昼を回っていましたが、この堰堤は相当な山奥にあり、山肌にはまだ残雪が多く残っていて、プールにも雪が浮かんでいて水温は4℃しかありません。釣りができるギリギリの条件の様でした。それでもフローターを漕ぎ出すと、インレットに近い場所ですぐに魚信が有り、34cmの源流育ちの綺麗なイワナが釣れてくれました。その後も同じ様な場所で2尾のおチビちゃんを追加。ただ、水温が低すぎてネオプレンのウェーダーを履いていても冷えがひどく、1時間ほどで早々に退散せざるを得ませんでした。
さて、既にレポートさせて頂いた通り、今年のダム湖の釣りは壊滅的状態です。堰堤プールの釣りでも同じ様な現象が起きているのではないかと非常に心配していましたが、上記の状況を見る限りでは、ダム湖よりはだいぶマシの様ではあります。まだ2つの堰堤プールしか釣っていませんし、時期もかなり早いため何とも言えませんが、しかし、例年よりはなんとなく数も少なく、型も小さめである様に思えてなりません。しかしそれにしても不思議ですね、ダム湖も堰堤プールも、下越も山形も、共通したかの様なこの貧果の理由は一体なんなのでしょうね。
当初は降雪が少なく源流部からのイワナの流下が少なかったのでは?とも考えましたが、過去の降雪量と釣果の関連を調べたデータを見る限りでは、その様に結論付けることもできない様です。それにしても、不調の理由は未だ良く判らず、今後の堰堤プールの釣りも、より酷い状況になる可能性も有って、とても心配ではあります。ただ、逆に早期には貧果が続いたにも関わらず、5月後半ころから急に釣果が上向いた年も過去には見られてはいます。いずれにせよ、自然渓流の釣りは大自然が相手の遊びであり、経過を見守って行く以外には成す術は無い様です。
【今回使用のタックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、SensiLiteMG2500、PE2号+シーガーエース1.2号 D-Direct/TS/Chartヤマメ、D-Contact50/Gチャート、Ryuki50S鮎(赤腹)、他 |