豪雪と言われ続けた13年の冬も、3月の声とともに急速に春めいて雪解けを早めてくれた様です。開幕の遅れを心配していましたが、今年はなんとか平年並みにシーズンが始まってくれました。ここ10年ほどは、開幕から5月ころまでをダム湖のルアーフィッシングで楽しんでいます。久しぶりに釣友2人と再会し、初釣りは雪解けの早い下越のダム湖へと向かいましたが、しかし、今年も週末にお天気に恵まれないパターンの様で、初っぱなから苦戦を強いられてしまいました。それでも最後の最後に貴重な1尾を奇跡的に得ることができ、無事にダム湖の釣りは開幕しました。
毎年この時期に、同じ様なレポートを書いている訳ですが、シーズン開幕のレポートには特別な思いがあるものです。長いながい冬を耐え忍び、陽光とともに釣り師たちは動き出しますが、時を同じくして、草花や虫たち、そして渓魚たちも活動を開始するのです。東北の春は全ての生命の復活の時であり、雪国のモノトーンの世界は、今まさにフルカラーの世界へと移ろい行くのです。半年ぶりに釣り場に立つ時、自らもこの生命の息吹の中に共に生かされている事を体感し、また一年の活動を心に誓うのです。
そして、今冬は豪雪の年と言われ続けてきました。実際、2月初には北海道・北東北を中心に、これまでに無い強い降雪がみられ、積雪深の記録更新が相次ぎました。しかし今年のお天気の神様は、いつまでも意地悪を続けることはありませんでした。3月に入ると一転して気温は上昇し、急速に雪解けを促してくれた様です。心配していた開幕の遅れもそれほどでは無く、ダム湖の結氷からの解放は、ほぼ例年並みの3月末となってくれました。長く寒い冬ほど春の光は強く感じられるものです。今年もいよいよ渓流釣りシーズンの開幕です。
【3月30日(土)】 シーズン初は毎年、雪解けが早く降雪も少ない下越地方のダム湖へと出かけます。この時期の山形県内のダム湖は、一部を除きまだ結氷が融けておらず、釣りにならないのです。例年の事ですが、初日は幾つかの釣り場の残雪の状況を調べながら下越まで移動することにしています。小国町の小渓では2mの残雪で当面は釣りになりそうもありません。最初に訪れたダム湖では、まだ大部分が結氷の下にあり、インレットに近い場所だけがなんとか水面が見える状況でしたが、このダム湖も、あと10日もすれば釣りが可能になりそうでした。
そして午後には最初に入渓を予定していたダム湖に到着しました。もちろんダムサイトへの道路は雪で塞がれていて、毎年の事ですが、初日は残雪の上を40分ほども歩かなければなりません。久しぶりの心地良い汗をかきながら緩い雪の斜面を登って行くと、やがて結氷から解放されたばかりの湖面が、午後の太陽に輝くのが見えてきました。ただ、この日はお天気もそこそこで風も弱く、釣り日和と言える状況でしたが、どうやら早朝から複数の釣り師が既に入っていた様で、釣り場は既に足跡だらけでした。そのためか、夕方18時近くまで粘りましたが魚の反応は全く見られず、拍子抜けの初日でした。
【3月31日(日)】 翌日は水戸から風玉さん、新潟のBuuさんが合流し、久々の3バカトリオの揃い踏みです。しかし、この日のお天気は最悪で、早朝から雪の降るとても寒いでした。この時期の渓流やダム湖の釣りでは、水温が非常に低いために、ぽかぽか陽気の暖かい日の昼間でないと釣りにならないことが多いのです。早朝はあまりの寒さに腰が引けてしまい、午前10時ころから戦闘開始となりました。3人で残雪の上を再び40分ほども歩き、釣り場に向かいましたが、湖面にはさざ波が立ち、時折り吹雪の様な横殴りの雪が降ってきます。案の定、3人であの手この手でポイントを探りましたが、何の反応もありません。
風玉さんは午後には帰らないといけないとのことで、13時ころには3人とも諦め気味に移動開始。帰り道に念のためにと、ダムサイト近くの急深のポイントでルアーを投げると、どうやら小物ではあった様ですが、私のロッドに初めての魚信がありました。しかし、DダイレクトGチャートを使用していて、どうもこのミノーはバレが多い様で、獲物を半分も引いて来たところで、ロッドがフッと軽くなってしまいました。結局、10時ころから14時ころまで3人で4時間足らずを粘りましたが、初物ゲットとはなりませんでした。
さて、14時過ぎには2人と別れた私ですが、考えてみれば初釣りで釣果の無かったことは、ここ5年ほどありません。どうしても諦めきれない私は、ダメ元を覚悟で山形県内の某ダム湖に寄り道をすると言う悪あがきを試みたのでした。県内のダム湖はどこもまだ残雪が多く、とても釣りにはならない状況なのですが、このダム湖だけは唯一条件が異なっていたのです。人家の比較的多い地区に作られたため、綺麗な道路がダム湖ぎりぎりに沿って走っていて、インレットだけ結氷の融けた状態ではありましたが、道路から残雪の上を歩いて1分でポイントに到着できると言う、誠に恵まれた環境なのでした。
ただ、こういった良い条件の釣り場は、当然釣り人も入りやすく、早期から攻められ続けています。余程の条件が揃わない限り釣果は見込めません。しかし、この日は朝から非常に寒く、この付近は恐らく吹雪いていたに違いありません。人が全く入っていない可能性が高いと予想したのですが、案の定、雪上には足跡は皆無でした。時間は16時を回っていて、新雪が10cmほども積もっていました。釣り場は比較的狭く、ダム湖の幅が急に広くなって、インレットからの流れが急激に緩くなる付近がポイントです。底付近を丁寧にミノーを流しますがなかなか反応がありません。
そして、釣り始めて1時間ほども経った17時過ぎでした。強い風と雪がパッタリと止み、付近がほんのりと暖かい空気に包まれた一瞬でした。もう諦めかけていて、そろそろ切り上げようかと思い始めていた矢先に、釣りの神様が少しだけ微笑んでくれたのでした。下写真のポイントの対岸ぎりぎりに遠投し、底まで沈めてからゆっくりとストップ&ゴーを繰り返すと、流れの中央あたりまでミノーがやって来た時、ガツンと強い衝撃がロッドに伝わってきました。今年の初物は、斑点の比較的小さな、源流育ちの非常に美しい魚体の41cmでした。
【今回使用のタックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、SensiLiteMG2500、PE2号+SunlineShockLeader16lb#4、 D-Contact63S鮎/Gチャート、DダイレクトTS/鮎/Gチャート、スプーン12g赤金/緑、他 |