12年の堰堤プールの釣りの後半戦についてお伝えします。堰堤プールの釣りは梅雨空けとともに終了しますが、今シーズンは近年にない不漁に見舞われてしまいました。7月に入ってからも数回の釣行を重ねていますが、前半戦と同様に、大物の釣果はさっぱりでした。この傾向はダム湖の釣りや源流の釣りにおいても同様の様であり、全体として、年々釣れなくなって来ている様に思えてなりません。なぜ大物の釣果が伸びないのかについても、レポートの中で考えてみたいと思います。 【7月1日(日)】 今年の堰堤プールの釣りは、開始早々に不漁続きでした。その様子は「12年堰堤の釣り前半戦」で紹介していますが、なんと40cmオーバーが1尾も出ないという、ここ10年ほど全く見られなかった状況でした。その原因はダム湖と同様に、土日毎にやってくる「この時期にしては強い寒波で、天候が不安定」と、林道が残雪で塞がれ、釣行日数を大幅に減らされてしまった事が主な原因と考えていました。しかし、7月に入り、寒波は影をひそめ、梅雨にも関わらず雨はそれほどでもなく、釣りには好都合な天候が続いてくれました。一気に釣果回復と思ったのですが・・・、釣果は相変わらずパッとしていません。はて?
この日はいつものBuuさんに加え、Buuさんのお友達のKMさんと3人で下越のいつもの堰堤プールを攻めました。7月に入ると気温も急上昇し、イワナ達の活性も上がってくるものなのですが、この堰堤プールは源流部の標高が非常に高く、残雪も多いためか、この日の早朝の水温はたった6.5℃しかありませんでした。水温計を見た瞬間にイヤな予感がしたのですが、それでも朝一番に、この釣り場は始めてというKMさんに、ちょうど尺程度の良く太ったイワナがヒット。こりゃイケるかなと思ったのですが、しかし、あとが全く続きません。1時間ほどでKMさんは先に帰られましたが、それまでは3人とも全くのノーバイト。
こういった止水では、やはり水温はキーになるようで、最低でも6℃、大物の活性の上がってくるのは8℃前後は必要な様です。それも、大物ほど水温の急上昇する時間帯だけに活動する様で、一瞬のチャンスを逃すとそれでおしまいなのですねぇ。早朝は寒くて震えていましたが、9時ころになってポカポカと暖かくなり、水温も8℃台に・・・ようやく反応が出てきました。Buuさんに34cmと28cmにおチビちゃんがヒット。ただ、私にはなぜか反応が無く、そのまま午前中はおしまい。昼飯と昼寝の後、午後3時から再挑戦すると、今度はBuuさんには全く反応が無く、私だけに33cmと30cmにおチビちゃんがヒット。なんだか変な日でした。
【7月2日(月)】 翌日は月曜でしたが、下越は山形市から非常に遠く1日だけでは勿体ないため、この日も同じ堰堤で釣る事にしました。前夜にやや強い雨が降ったため、ちょうど良い濁りが出て大物が出てきてくれないかと期待して入渓したのですが、なぜか透明度は逆に非常に高くなっていて、5mほども有るプールの最深部の底までが丸見えの状態でした。これでは、投げたミノーだけでなく、恐らく私のフローターも足ヒレも、何十mも先にいる魚たちから丸見えだったのでしょう。加えて、前日に叩き過ぎたことも影響していたのでしょうか、水温の上がったお昼頃から3時間ほど粘りましたが、全くのオデコ。これには参りました。
ただ、この日は地元のルアーマンと餌釣り師から幾つかの情報を得ています。この日、早朝から源流部を釣っていたルアーマンも、34〜5cmの1尾が最大で、他はおチビちゃんばかりだったとのこと。なんでも、3年前には50cmクラスも釣れていたが、昨年・今年と急速に魚影が少なく、また小さくなり、今年はこの堰堤の上流部では35cm前後までしか釣れていないとのこと。また、餌釣り師の話では、今年はおチビちゃんばかりで数も少なく、大物の気配が全く無いとのことでした。堰堤プールでの釣果はその源流部の魚影に比例する訳ですが、今年のこの堰堤プールの釣果が冴えないのが、なるほどと、うなづけました。
【7月8日(日)】
しかしなぜこの水系の魚影が急速に薄くなってしまったのでしょうか。その理由ははっきりとは判りませんが、考えてみれば他のダム湖でも堰堤プールでも、なんだか同じ様な現象がみられている様に思えてなりません。ここ数年、私の良く出かけるフィールドでの釣果は、確実に落ちてきているのは間違いなく、どうも今年の天候不順や大雪のせいだけではなさそうです。一体なぜなんでしょうか? 翌週もBuuさんと約束していたため、8日の日曜に同じ釣り場に入りましたが、源流部での魚影の薄さを聞いていただけに、すっかりやる気を無くしてしまっていました。もう35cmを超える様な大物は、最初からここには居ないのではないか・・・
そして、その予想は全く的中してしまいました。この日も早朝から夕方までこの釣り場を攻めていますが、結果から言うと、Buuさんも私も25cmまでのおチビちゃんが3尾づつという寂し過ぎる結果でした。中には20cmにも満たないマイクロイワナちゃんまで混じっていて、疲れただけでもうガッカリでした。そして、今シーズンのこの釣り場でのBuuさんとのミニオフは、この日をもって最後とすることになったのでした。ちなみに翌週の15日に、水戸の風玉さんがこの釣り場にやってこられたそうですが、同様におチビちゃんが数尾だけの釣果だったとのこと。やはり居ない魚は釣れないと言うことの様でした。
【7月10日(火)】 さて、下越のミニオフは終了しましたが、私にはまだ県内の堰堤プールの釣りが残っていました。日曜に下越へ通っていたため、山形では平日の非常に良いお天気の日を狙って、堰堤の釣りに出かけています。ただ、この日の水温はすでに16℃まで上がっていて、堰堤プールの釣りとしては、もう限界ギリギリでした。川からプールへ流入する水量が減って来ると、多くの堰堤プールでは、流入量が堰堤の穴から落ちる水量を下回り、プールは消失してしまいます。それがプールにいたイワナたちを、源流部へと遡上させます。ただ、水温も重要で、どうも15℃を超えた辺りから、水量とは関係無く、イワナたちの源流部への遡上を促し始める様なのです。
なぜなら、北海道のアメマスたちは8月初ころの、南東北のダム湖では7月初ころの大雨の増水時に、海から或いはダム湖からのファーストランが始まる様なのです。海やダム湖でのそのトリガーとなり得るのは、ある温度までの水温の上昇と、遡上を促す増水であると考えていますが、この日の水温はもうその限界であった様に思えました。この日は翌日も釣りを予定していて、この日は夕方16時近くからのチョイ釣りでした。しかし、フローターでポイントに移動途中の変な場所で、下写真のイワナ41cmがヒット。ただ、この日は2時間ほどだけの釣りでしたが、釣果はなぜかこの1尾だけでした。今年の堰堤プールでの唯一の40p越えの釣果でした。
【7月11日(水)】
前日に思わぬ大物を釣り上げ、気を良くして翌日も同じ釣り場に足を運びましたが、結果は全く予想外なものでした。前日の大物ポイントではまるで反応が無く、逆に昨日は全く反応の無かったインレット近くの水流が止まる辺りのプールの底で、25cm前後のおチビちゃんが連発でヒットしてきました。前日の釣果から、少ないながらも大物はまだ残っているのではないかと考えられたのですが、いくらポイントを探っても、終日、おチビちゃんしか相手にしてはくれなかったのでした。もう何十年もイワナの釣りをやっていますが、未だにイワナさんの気まぐれな心境は、良く理解できません。
なお、この日はこの堰堤プールの上流部へも入渓しています。プール内のイワナたちが遡上を開始し始めると、すぐ上の川の流れの中に遡上途中の大物たちが泳いでいることが良くあるのです。ただ、いったん魚たちが川に入ってしまうと、瞬く間に餌釣り師たちの餌食となってしまうため、魚影は急速に減ってゆきます。この日はまだ遡上を開始したばかりと考え入渓してみましたが、こちらもアテが外れました。釣り場は既に足跡だらけで、どうやらこの釣り場も相当有名になってしまった様です。餌釣り師が狙えない様なブッシュの覆い被さったポイントでイワナが数尾ヒットして来ただけで、ここぞと言う大場所には、イワナの影は皆無でした。
【過去13年の釣果】 さて、ここで1994年以来収集し続けている私個人の釣果のデータのうち、イワナの尾数をサイズ別に一覧にしてみました。94〜98年までと99年以降ではデータの収集の方法が異なるため、下表では99年以降の釣果の推移を示しています。ただ、なぜか2004年のデータだけは紛失して残っておらず、13年分のデータとなっています。なお、北海道遠征時やC&R区間での釣果は全て除外しており、概ね南東北でのダム湖・堰堤プール(一部渓流含む)での釣果の集計となっています。 このデータを見ても、2008年をピークに明らかに釣果が落ちていることが判ります。2010年以降に釣行回数がかなり減少していますが、1釣行当りの釣果尾数で見ても、同様に2008年をピークに激減している事から、釣行回数だけの問題では無さそうなことも判ります。釣果の落ちている原因は幾つか考えられますが、概ね以下の通りではないかと考えています。 1.ここ数年の傾向としては、 a)堰堤のスリット化が進み、或いは堰堤プールが土砂で埋まり、良い釣り場が次々と消えている。 b)当HPを見て、堰堤やダム湖の源流部に入る餌釣り師が増え、源流部でも釣れなくなっている。 c)温暖化が進んでいることで、産卵数などに少なからず影響があるのでは無いか。(推測) 2.今年の傾向としては、 a)土日に天候に恵まれなかった。 b)残雪が多く、低水温が例年よりも長く続いた。また、前半は水量も例年よりかなり多かった。 c)同様に、ダム湖では遅くまで結氷し、また、林道は残雪で遅くまで塞がれ、入渓日数が大幅に減った。 3.個人的な理由としては、 a)2010年の退職後に釣行回数が大幅に減り、釣果も少なくなった。 b)秋に北海道釣行に出かける事が慣例となり、9月以降の南東北での釣果が無くなった。 上記の中で、堰堤プールでの釣果を最も落としている原因は、やはり1−a)の堰堤のスリット化でしょう。それも山形では、魚の遡上ができないスリット化が平気で進められていて、逆に渓全体の魚影を落しています。なぜなら、プールが無くなると雪代期や増水時に多くの魚たちがスリットから落下してゆきます。そういった魚たちは遡上ができず、産卵活動が阻害され、また、堰堤下で簡単に釣り切られてしまうからです。一方で、ダム湖での一番の原因は、1−b)の源流部への入渓者増ではないかと考えています。未だに多くの餌釣り師たちが、釣り上げた獲物を、ことごとく殺し続けている現状が、残念でなりません。
【7月22日(日)】 そして、7月も後半のこの日、最後の悪あがきで上記と同じ県内の釣り場へと足を運んでいます。この堰堤プールは、例年ならば梅雨空けを宣言するまでは水量が豊富で、決して干上がることは無いのですが、しかし、空梅雨で雨が少なかったせいか、既にプールは消失していて、堰堤の上は全て川になっていました。近くの渓で釣りを楽しむことも可能でしたが、なぜかヤル気を全く無くしてしまい、近くの温泉に入っただけで何もせずに引き返してきました。それにしても来年以降、この堰堤プールの釣りは一体どの様になってゆくのでしょうか、もう少し見守って行きたいと思っています。 【今回使用のタックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、Biomaster2000、PE1.5号+Kureha GrandMax1.5号、 D-Contact50S鮎、D-ダイレクトGチャート、Sukari50SSオレンジベリー鮎、他 |