今シーズンのダム湖の釣りは、6月初を最後に終了していますが、その後もダム湖へは何度か通っています。2008年に当HPで紹介した、ダム湖の減水直後の釣りを楽しむためです。実はこの釣り、当HPで紹介して以来、釣り人が急増し、私自身はほとんど出かけなくなっていました。しかし、久しぶりに挑戦してみると、期待通りに大物が釣れてはくれました。ただ、釣り人は相変わらず多く、最後は先行者を追いかけながらの神経質な釣りとなってしまいました。どうもこういった「早い者勝ち」の釣りは、私の性分には合わない様です。 (本レポートの内容は、この釣りのマニュアルをお読み頂いていることを前提として書いています。) 【6月15日(金)】 このダム湖の減水直後の釣りですが、実を言うと、当HPで2008年6月に、「ダム湖から源流へ」のレポートで紹介して以来、急にこの釣りをする人が増え、翌年からは必ずと言って良いほど先行者の姿を見る様になってしまいました。この釣りの対象となる釣り場は比較的距離が短く、場所も限られているため、いわゆる「早い者勝ち」の釣りになってしまうのです。そのため、私はその後、この釣りには殆ど行かなくなっていました。しかし、今年はなぜかダム湖でも堰堤プールでも釣果に恵まれていません。加えて、今の私には「平日釣行」という、先行者を避けるための大きな武器があるのです。大物を求めて、久しぶりにダム湖のインレットへと向かいました。
6月に入ると、県内の気温も急速に上昇し、中旬には夏日を数えるほどになりました。今年は残雪が多く、各ダム湖の本流の水量がまだまだ多く、水量の見極めがとても難しいのです。なぜなら、どのダム湖でも、或る程度まで本流の水量が減ってくれないと、徒渉がままならないため、釣りにならないのです。しかも、この時期は山上の残雪が多いため、少しの雨でも大幅に増水します。また逆に、非常に良いお天気の暑い日には、大量の雪代で徒渉が出来なくなることも起こり得ます。ぎりぎり徒渉が出来る様になるタイミングは、現場に行ってみないと判りません。
6月の15日になり釣り場に出かけてみると、本流はほど良く減水し、なんとか徒渉が可能な状態になっていました。しかし、私の様な老体でも徒渉ができると言うことは、若い馬力のある人達なら、だいぶ前から徒渉が可能になっていた筈なのです。見ると案の定、釣り人の足跡だらけでした。ただ、平日であり、先行者はいません。朝5時過ぎから釣り始めましたが、それでもまずは入渓地点の目の前の淵で、痩せた33cmをゲット。続いて3つ目の淵の白泡の下から35cmが飛び出してくれ、幸先の良いスタートでした。そして、入渓地点から1kmほど行った地点にある、いかにも大物が潜んでいそうなポイントに到着すると、狙った通りに大物が姿を現しました。
この日は朝からDダイレクト鮎で攻めていましたが、このポイントでミノーを沈めてからゆっくりとトゥィッチで誘いを掛けていると、ユラユラと45cmほどもあるイワナの姿が見え、すぐにロッドチップが引き込まれました。すかさずアワセを入れましたが、Dダイレクトは鉤の乗りが悪いのですね、イワナはグンと一引きした後、反転して腹を見せながら鉤を外し、逃走してしまいました。万事休すです。しかし、念のためと思い、逸る気持ちを抑えながらゆっくりと時間を掛けてミノーをSukari50SS鮎に結び換え、再度ポイントに投入してみました。すると、またしてもユラユラと大物が底の方から浮かび上がってくるのが見えるではありませんか!
Sukariを2回投げてもヒットしないため、今度はDダイレクトGチャートに取り換え、再度投入。しかし、ユラユラと追いかけては来るものの、ヒットせず。Gチャートを2回投入後は、Dens50USをトリプルフックに取り換え、往年の銘ミノーであるSuperSinkingMinnowと同じ動きになる様に改造したミノーを投入。このミノーは良く沈むため、底ギリギリをチョンチョンと誘いながらゆっくりとリーリングしてくると・・・やっと口を使ってくれました。47cmの大物も、4個目のミノーにはようやく降参してくれたのでした。ただ、このイワナ、先にバラした大物の奥さんだったのかも知れません。一度掛けてバラしたイワナがまたヒットする可能性は、ほとんど有り得ませんよね。
その後も快調に釣り上がり、39cmも追加。そして、ダム湖の満水時のインレット地点まで来ると、この釣りは終了・・・と言いたい所ですが、実はそうではありません。実はこの日、早朝の水温はまだ低く、6℃台でした。本当を言うと8時ころの水温が上がり始める時間帯から釣りたいのですが、先行者を意識して、早朝5時から釣っていたのです。40cmを超える様な大物たちは、太陽がギラギラと輝き始め、水温が急上昇する時間帯に活性が高くなるものです。早朝に水温が低かったため岩陰で寝ていた大物が、水温上昇とともにやわら活動を開始し、新たにポイントに入りこんでいる場合があるのです。
時間はもう9時を回っていましたが、珈琲タイムで休憩した後は、同じ区間をそのまま釣り下がりました。2時間ほど前にミノーを投げまくっていたポイントにDダイレクトGチャートを投げ込むと、今度は1投目で強烈な衝撃がロッドに伝わり、上写真の45cmがヒットしてきました。流石に釣り下がりは釣り上がりほどは釣れませんが、気を抜かずに丁寧にミノーを投げ続けていると、こんなオマケもゲットできると言う訳です。結局この日は4時間ほどの釣りでしたが、47,45,39,35,33,28pの全部で6尾の釣果。久々に大満足のうちに帰路に付きました。
【6月22日(金)】
前週の47cmに気を良くして、翌週の金曜日にも同じダム湖のインレットに出かけています。しかし、この日はこの3〜4日降り続いた雨のせいか、本流の水量が多過ぎて、私には徒渉が不可能でした。それでも入渓地点の目の前にある大きな淵のポイントだけは釣りが可能であり、DダイレクトGチャートで丹念に底ギリギリを探り続けると、10回ほども投げ続けたところで、上写真の34cmがヒットしてくれました。この日は雨で多少の濁りが入っていたため、良く目立つミノーでも、岩陰に隠れているイワナからはなかなか見えなかった様です。
【6月27日(水)】 さて、6月も末になると、この「ダム湖の減水直後の釣り」もそろそろ終焉が近い様です。大イワナたちはインレット上部から次第に姿を消して行く様なのです。あるものは産卵のために源流部へ、あるものは再びダム湖へ下って行くのでしょうか。ただ、この日はまだワカサギらしき小魚がインレット上部に残っていて、まだこの釣りが可能であろうことを示していました。実は前日の火曜夕方にこの釣り場に入りましたが、残念ながら先行者が居て釣りを諦めていました。そして、水温の上がる時間帯を狙って、翌朝7時に同じ駐車地点に到着すると、またまた1台の車が停まっていました。なんと、平日にも関わらず2日連続の先行者です。
ただ、先行者の車のボンネットに手を触れると、既にほぼ冷えていて、恐らく夜明けとともに遡行を開始したに違いありません。3時間ほどが経過していて、まだ釣れる可能性は残っています。なぜなら、この日も天気予報では朝の気温は低く、水温はかなり低かったと思われるからです。釣り場に立つと、日陰にまだ濡れた足跡が見つかりましたが、構わずに普通どおりに釣りを開始しました。すると、2つ目の淵の白泡の下からまず尺物が、続いて4つ目の淵からは35cmがヒット。その後も尺以下が釣れ、先行者が居るとは思えない釣れっぷりに驚かされてしまいました。
恐らく、先行の釣り人は、低水温で活性の上がっていない状況下で釣り上がったため、多くの獲物が岩陰などで寝ていて、場荒れせずに済んでいたのでしょう。ただ、前々週よりも型は確実に小さくなっていて、やはり先行者の影響は否めない様でした。2週間前に45cmオーバーが釣れ、リリースした2つのポイントでも、この日は全く静かでした。そして、快晴で気温がどんどんと上がる中、前々週と同じ様に釣り下りながらでも釣果を得ています。1時間ほど前に派手なDダイレクトGチャートを何回も投げ続けた瀬のポイントで、この日の最大の38cmがヒットしてくれました。やはり大物は水温次第であることを痛感しました。
さて、このレポートを書いている7月初旬は、西日本で梅雨の豪雨が甚大な被害をもたらしつつあります。やがて大雨は南東北へもやって来るでしょう。北海道のアメマス達は8月初ころの増水時に海から川へと産卵のための遡上を開始するそうです。東北の堰堤プールのイワナ達も同様に、7月の雨とともに堰堤から姿を消して行きます。その行動のトリガーは、恐らく、或る温度まで水温が上昇することと、遡上を助ける適度な増水ではないかと考えています。そして、目の前に泳ぐイワナ達も、間もなくこの釣り場から姿を消して行くことになるのでしょう。帰りの登りの道すがら、初夏の強烈な日差しが、心地よい汗を誘ってくれたのでした。 【今回使用のタックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、Biomaster2000、PE1号+Kureha GrandMax1.5号、 DensMinnow50US鮭稚魚(改)、D-Direct鮎/TS/Gチャート、Sukari50SSオレンジベリー鮎、他 |