長く寒かった12年の冬もやっと終息し、待ちに待ったダム湖の釣りのシーズンが、今年もようやくスタートしました。例年ならば3月末頃には結氷の融ける下越のダム湖ですが、今年は4月14日の初入渓の日に、正に目の前で結氷が融けました。それでも、苦労の甲斐があってか、初日から大物に恵まれ、とても幸先の良いスタートになってくれました。昨年は震災の影響でさっぱりだったダム湖の釣りも、今年は期待できそうな予感がしています。春爛漫の南東北を、しばらくは堪能してみたいと思っています。
今年の冬は本当に長く寒く、そして雪の多い年でした。山形市内の最大積雪深は、31年ぶり歴代7位の97cmを記録。加えて春の訪れが非常に遅く、4月の第1週目まで、毎週末に降雪が見られました。温暖化の進んでいる最近では珍しい豪雪となったのです。例年通りに3月1日には渓流釣りが解禁しましたが、様子見にと出かけた西川町の大井沢地区の残雪は2.5m。一旦河原に降りようものなら二度と雪上に這い上がって来れない様な異様に高い雪壁で、ポイントに近づくことすらできない状況に、何もせずに引き返してくる有り様でした。
1ヶ月後の4月2日にも西川町の堰堤プールへと足を伸ばしていますが、やはり異様に多い残雪に阻まれ、納得の行く釣りは不可能でした。堰堤のプールは2mほどの雪壁の下に有り、不用意に近づくと転落して命取りになりかねません。雪壁の手前3m程度のところからミノーを投げると、それでも小さなちいさなヤマメがヒットしてきましたが、この1尾を見ただけで満足し、そそくさと引き返してきました。それでも、民家の近くは除雪がしっかりと行われていて、フクジュソウの見事な黄金の花が、ようやく暖かみを帯びてきた陽光に輝いていました。
【4月14日(土)午後】 そして、さしもの厳しかった冬も、4月2週目には一気に気温が上がり、遅かった春と交代する時期がやってきました。例年より3週間ほども遅いスタートとなったこの日は、午後から下越でも最も早く結氷の融ける、とあるダム湖へと向かいました。ただ、毎年のことですが、シーズン初のダム湖の釣りでは、残雪に阻まれ、車でポイントの近くまで入る事が出来ません。そのため、数十分の雪上の非常に辛い歩きを要求されます。しかも、冬の間の運動不足がその辛さを倍増してくれるのです。グサグサの残雪の上を汗だくになりながら30分ほども歩くと、やがて目的のダム湖面が見えてきましたが・・・愕然としました。まだ目の前は結氷したままでした。
しかし良く見ると、ダム湖面の3/4ほどが結氷しているものの、インレット側には融けた湖面が見えています。幾つかあるポイントのうちの最もインレットに近い釣り場付近は、辛うじて水面が見えていて、なんとか釣りになりそうな状況でした。恐らく午前中の早い時間に入渓していれば、湖面を見ただけで、あきらめて引き返していたかもしれません。正に今、長いながい冬から湖が解放された瞬間だったのです。そして、15時ころから釣り始めましたが、最初はなぜかさっぱり反応がありません。ただ、目の前の結氷は見るみる融けていて、やがてこの付近で最も実績のあるポイントの前の湖面が融けだしました。
そして16時半頃、この一番のポイントの前の結氷が30mほど後退したのを見計らって釣り場を移動し、第一投目の出来ごとでした。いきなりガツンと非常に明確なアタリが出て、獲物が左右に走りだしました。今年のダム湖の初物は、上写真の41cmの丸々と太った非常にパワフルなイワナ君でした。一通り写真を撮影した後、少し方角を変えて、再度同じミノーを投げ込むと、今度は下写真の同じく良く太ったパワフルな40cmのイワナ君が連続ヒット。どうやら地合い到来と釣り場の移動がマッチし、大物の連続ヒットとなった様でした。まずは、幸先の良いスタートとなってくれました。
【4月15日(日)】 翌朝は新潟からBuuさんがやってきました。昨日と比べると結氷もだいぶ融け、この日は湖面の1/3程度まで後退していて、殆どのポイントで釣りが可能となっていました。ただ、お天気は雲一つ無い見事な快晴で、気分はすこぶる良いのですが、こういった日は太陽が高い間は殆ど何も釣れないのが普通です。水温がまだ低いため、地合いは遅いだろうと9時ころに繰り出したのは間違いでした。すでにポイントには先行者が一人いて、聞くと36〜7cmのイワナが1尾だけ釣れたとのこと。我々も少し離れたポイントでミノーを投げ続けましたが、午前中は全く反応すらありませんでした。
Buuさんとは9月の北海道以来7ヵ月ぶりの再会ですので、あれやこれやと話は尽きず、12時過ぎには午前の釣りを切り上げ、のんびりとランチタイムです。例年なら雪は殆ど残っていないのですが、この日はまだ1mほどの残雪があり、晴天の下、真っ白な雪上でラーメンを作ったりするのもまた楽しいものです。ゆったりとした、釣り師だけに許された非常に贅沢な時間が流れてゆきます。ただお天気が良過ぎるために、どうも真昼間は魚の反応が出そうもありません。二人で相談し、少し釣り場を休ませ、15時から午後の釣りを再開することに決めました。
そしてこの作戦は正解でした。15時きっかりにポイントへと降りて行き、ミノーを遠投。底まで沈ませてから底ギリギリをゆっくりとリーリングします。すると3回ほどストップ&ゴーで泳がせた直後、ミノーがフォールする途中に、いきなりラインが強く引き込まれ、すかさず合せを入れると上写真の36cmが釣れてきました。昨日と同様に、このイワナも良く太っていてパワフルで、しばしの間、大暴れをしてくれました。今年は結氷の融けるのは遅かったのですが、季節は既に4月の半ばであり、どうやら氷の下では活発な捕食活動を繰り返していたのではないかと考えられました。
そして、このイワナの写真を撮影していると、今度はBuuさんから「来た――!」の声。見るとロッドが大きく曲がり、やがて水面を割ってイワナが姿を見せました。釣れたのは上のイワナと全く同じサイズの36cm。しかも、このイワナ君も良く太ってパワフルで、まるで兄弟の様に見えました。前日も17時前の一瞬にバタバタと2尾のイワナがヒットしてきましたが、この日も全く同様で、この2尾の連続ヒットの後は、また湖面は静かになってしまいました。この時期の地合いは非常に短く、全くいつその時がやってくるのか、見当も付きません。
【4月16日(月)午後】 さて、毎日が日曜日の私ですので、翌日はのんびりと起き出し、大きく移動して、午後からは別のダム湖へと入渓しています。このダム湖も比較的早期から結氷が融け、残雪も少な目のはずなのですが、いやはや現場に到着して驚かされました。ダムサイトから一歩奥へと歩を進めると、1mを超える分厚い残雪が行く手を阻んでいて、今しばらくは車の通行を許してくれそうもありません。仕方なく、30分ほど歩いて奥のポイントへ移動し、ミノーを投げましたが、1度だけ45cmほどのイワナが追いかけて来るのを確認できただけで、他にはサッパリ反応は見られませんでした。
遅い春の訪れで、開幕の大幅に遅れたダム湖の釣りですが、イワナ達はすでに活発に活動を開始している様です。結氷の融けたばかりの湖面には、実に沢山のワカサギ達が元気に泳いでいて、どんなに冷たく分厚い氷の下でも、魚達のその生命力が衰えることはない様です。昨年は震災の影響で釣り人も少なく、また、余震のせいか、早期においては釣果もサッパリでした。そして2年続いた豪雪も手伝って、その分、イワナ達はしっかりと渓やダム湖に残っていてくれるのではないかと期待しています。しばらくの間、春爛漫の季節を、存分に堪能してみたいと思っています。 【今回使用のタックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、Biomaster2000、PE1号+Kureha GrandMax1.5号、 Sukari50SSオレンジベリー鮎、iFishFT50銀鮎、D-Contact50S鮎、WiseMinnow50FS鮎 |