今年も北海道へ遠征釣行に出かけました。期間は9月8日から10月中旬までの40日間。定年退職後のあり余る時間を利用して、今回は、いつものアメマス、イトウ、オショロコマ、イワナ、ヤマメに加え、ブラウントラウト、ニジマス、シロザケ、カラフト、ブルックトラウト、ミヤベイワナ、サクラマスと、この時期に釣れる北海道のトラウトのほぼ全魚種を狙って釣り歩くことを企てました。そして今回は、その日に起こった様々な出来事を、写真と文章で日誌形式で綴っています。(下写真は、宗谷地方のイトウを育むオホーツクの海) 【10月5日(水曜)】
河口での大物イトウは、まだ遡上が本格化していないため、取り敢えずボウズ逃れで近くの沼でのイトウを狙った。沼イトウはせいぜい70cmまでで、しかも細身で、海イトウと比べると引きが弱い。そのため、地元の人も殆ど釣らない様だが、海イトウが期待できないので背に腹は換えられない。しかし、この沼イトウ、いつ行っても必ずご機嫌にお相手をしてくれる。まぁ、独特の釣り方をしているためであって、誰でもがいつも釣れる訳では無いと思うが、しかし、それにしてもしっかりとお相手を勤めてくれるのは、この地にイトウ釣りに来るものにとっては、非常に心強い。
昨日までは異様に寒かったが、この日は気温が急上昇し、こういう日はチャンスとなる様だ。この地区の沼や川は、どこも低層湿原特有のコーヒー色の濁りが入っていて、イトウは恐らく暗闇の世界で一生を過ごしている。そのため、警戒心もあまり無く、フローターの真下で釣れたりもする。釣り始めてすぐにヒットがあり、まずは54cm〜48cmが4尾。一旦、写真を撮影し全てリリース。その後もヒットがあり、全部で7尾、最大は62cmと、沼イトウの釣果にしてはまずまず。まだ海イトウの遡上が本格化していないため、河口の釣りも期待薄・・・明日は近場で鮭でも狙うかなぁ・・・ 【使用タックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、Biomaster2000、PE1号+SeagarAce2号、Dダイレクト/チャート 【10月6日(木曜)】
海イトウが期待できないので、午前中は仕方なく近くの漁港でシロザケを狙った。鮭は母川回帰をするが、この辺りの漁協さんは、鮭の稚魚を漁港内に放流するらしい。そうすると、定置網に入らなかった一部の鮭が、その漁港に戻って来ると言うのだ。川の水の臭いを頼りに母川回帰するという説もある様だが、どうもそうでは無いらしい。どうやって川ではないタダの漁港に戻ってくるのだろうか? 野生とは全く不思議なものである。しかしこの漁港、確かに鮭が一杯いる。目の前でジャンプを繰り返し、早く釣ってくれと催促している様にすら見える。
しかし・・・それがちっとも釣れないのだ。なにせ、恋の季節に入ってしまっていて、餌やルアーには興味が無いのだから仕方が無い。時おり間違ってルアーを口にする様で、この日は10人ほどの釣り人がいたが、釣れたのは6尾だけだった様だ。私もウキルアーという仕掛けで釣ってみたが、かろうじて1尾だけ、銀ピカのシロザケ君がお相手をしてくれた。10cmほどのウキの下1mほどの所にタコベイト付きの35gの真っ赤な鮭ルアーをセットしたもので、これを投げては巻きの繰り返し。鮭はルアーに素早く喰い付けないため、ウキを付けてゆっくりゆっくりとルアーを引くのだ。午後からは河口で海イトウを狙ったが・・・反応は無かった。 【使用タックル】 Daiwa SeabassRod12ft、Nasci4000、PE4号+ショックリーダー30lb、Daiwaウキルアー 【10月7日(金曜)・8日(土曜)】
7日は朝から横殴りの風雨。早朝に2時間ほどだけ鮭を狙って漁港に入ったが、雨と風が強く釣りにならないため、早々に退散。洗濯物が溜まっていたので、稚内市まで出かけ、コインランドリー他で過ごした。8日は非常に良いお天気となり絶好の釣り日和。しかし、釣り始めてすぐにメジャークラフトのロッドが折れてしまい、戦意喪失。この竿、これで折れたのは3回目。しかも、使っていた日数は15日ほどだけなので、5日に1回折れたことになる。それも、大物を掛けて折れたのなら納得するが、ただ単にDコンをキャスティングした瞬間に折れてしまった。絶対に納得できない。
ガックリきてヤル気を無くしていると、なんとイトウの餌釣り師登場。これが凄かった。2時間で7回のアタリがあり6尾を釣り上げた。ちなみに、今日は20人ほどルアー・フライマンが河口の釣り場に来ていたが、朝8時の時点で釣れていたのは3人3尾だけ。餌釣り恐るべし・・・ その後、某沼へイトウを釣りに出かけたが、フローターで沖に出たところでウェーダーに大穴が開き、腰まで水浸しに・・・本日は本旅行中で最低最悪の日でした。さて、明日からは、大昔に買った重たい12ftのシーバスロッドしかない。ヤル気が出ない。 【使用タックル】 Daiwa SeabassRod12ft、Nasci4000、PE4号+ショックリーダー30lb、Dコンタクト85チャート、他 【10月9日(日曜)】
前日は、私の居た釣り場で90cmオーバーが1本と80cmオーバーが4本釣れていた様だ。この日も絶好の釣り日和だったが、私は結局、朝から稚内市へ移動し、ロッドを新調することにした。しかし、この決断がこの日の良い結果を生んでくれた様だ。稚内市内の釣り具店「ナカムラ」さんでロッドとDコン85鮎を買い、ついでに稚内市内からほど近いイトウの釣り場を教えてもらった。ナカムラの店員さんはとても親切で、あれこれと細かく色々な情報を教えてくれた。L&Fの品ぞろえも、稚内市内では一番豊富である。そして、教えて貰った通りに釣り場へ行き、とある橋の下で新品のロッドとDコンで釣りを始めた。
メジャークラフトのロッドが、買ってすぐに、Dコンを4回投げただけで自然に折れてしまったのとは対照的に、この日新調したロッドは、なんと、同じ4投目でイトウ81cmをヒットさせてしまった。なんと言う因縁であろうか。新品のロッドはこの程度の魚なら何なくいなせるパワフルなロッドで、あっさりと数分でランディング。釣り場の橋の下は、川が大きく手前にカーブしていて、対岸が浅く足元ほど深くなっているだろうと判断し、足元からルアーを順に投入していったのが正解だった様だ。ヒットしたのは、実に足元から下流側に4mほど、沖合2mほどの地点だった。最近に無い、快心のヒットである。最悪の日の次の日は、最良の日が来てくれる様だ。 【使用タックル】 TailWalk Keison(鮭鱒)90、Biomaster3000、PE2号+ショックリーダー25lb、Dコンタクト85鮎 【10月10日(月曜)】
前日にイトウの良型が釣れたことを良いことに、この日も同じ釣り場で柳の下の2尾目のドジョウを狙った。しかし、午前中は前線通過でカミナリの鳴る台風の様な暴風雨。全く釣りができる状況では無かった。しかたなく、稚内市内のマクドナルドでヒマ潰し。天気予報通りに11時ころ、雨が止んだので遅い出漁となった。北海道に来て初めてボートまで出したが、午後からは逆にドピーカンの快晴になってしまい、イトウさんはお休みの様でした。1回だけ50cmくらいの魚がヒットしましたが、惜しくもバラシ。唯一釣れた?のは、10cmほどの沼ガレイ君だけでした。やはりイトウ釣りは難しい。昨日の大物は・・・ただのマグレだったのかなぁ・・・。さて、明日はどっちで釣るかな? 【使用タックル】 TailWalk Keison(鮭鱒)90、Biomaster3000、PE2号+ショックリーダー25lb、Dコンタクト85鮎/チャート 【10月11日(火曜)・12日(水曜)】
11日は稚内市から本命の釣り場へ戻ったが、釣りはせず、休息日となってしまった。ところで、本命のイトウ釣り場は、天然ホタテのメッカでもある。河口の脇の海岸でもルアーを投げるとイトウが釣れるが、足元を良く見ると、天然のホタテが打ち上げられていたりする。試しにナイフで貝を開き、貝柱を食してみたが・・・これが甘くてビックリするくらい美味しいのである。ちなみに、左上写真の白い山は、ホタテの貝殻の山。さて、私の訪れているイトウの釣り場は4か所あるが・・・どうも今回は本命の釣り場とは相性が良くないらしい。 1.本命=宗谷の大河口の釣り場 → 他の人は釣れているのに、私は4日以上釣ったがアタリすら無し 2.本命の隣の小さな河川の河口 → 本日訪問の釣り場、70cmと52cmゲット、2バラシ 3.某沼の釣り場 → 10月5日に訪れた釣り場、小型がいつも良く釣れてくれる 4.稚内市内の近くの釣り場 → 大物釣り場として有名、私は今回初めて訪れたが、81cmが出た
仕方無く、この日は2番の小さな河口の釣り場に入ってみた。朝6時半ころ、どうみても80cmオーバー、恐らく90cmくらいのイトウがヒットしたが、強い流れのため、フックを伸ばされて逃げられてしまった。その5分後、隣で釣っていた人にジャスト90cmがヒット。私にもその後、52cmが来たが、なんだかガッカリである。午後からも同じ釣り場を攻めてみたが、4時半ころ小さなイトウがヒットしたが、掛りが悪く惜しくもバラシ。そして、夕方うす暗くなったころ、上写真の70cmがヒット。目標の1mオーバーのイトウは、夢のまた夢の様です。 【使用タックル】 TailWalk Keison(鮭鱒)90、Biomaster3000、PE2号+ショックリーダー25lb、Dコンタクト85チャート 【10月13日(木曜)】
いよいよ宗谷のイトウ釣りも最後である。この日も前日と同じ小河川の河口を攻めた。太陽が顔を出す前の、まだ薄暗い時間に1尾だけヒットがあり、65cmが釣れたが、その後は終日、魚の反応は見られなかった。幾つかの釣りについて、後日まとめる予定だが、ことイトウに関しては、ただただ忍耐の釣りである。他のトラウトの釣りのテクニックが全く通用しない。ルアーはミノー中心だが、魚体に不相応に巨大なルアーを使い、トゥィッチは掛け無いでタダ引きオンリー。とにかくルアーを投げ、巻き取る、その回数に釣果が比例する。何のテクニックも関係ない。釣果を決める要素の90%以上は運である。魅力は魚が巨大な事だけであろう。
結局、宗谷の釣り場での最大は81cm止まり。メーターオーバーを目指して入渓したが、惨憺たる結果と言わざるを得ない。ただ、今回の1週間以上に渡る宗谷の釣りで、イトウに対する考え方がかなり変わってしまったことも否めない。イトウは巨大な魚に魅力が有る訳だが、それ以外の魅力を私は全く感じ得ない。つまり、楽しい釣りでは決して無いことだ。釣って楽しいのは、やはり、東北のイワナに尽きる。北海道の如何なるトラウトより、東北のイワナは鋭く賢いのだ。 さて、明日は某湖でボート釣りでも・・・と思っていたが、真っ直ぐに帰り支度かもしれない。37日間に及んだ北海道の釣行も、そろそろ終焉が近い。 【使用タックル】 TailWalk Keison(鮭鱒)90、Biomaster3000、PE2号+ショックリーダー25lb、Dコンタクト85チャート、他 【10月14日(金曜)】 この日は移動がメインだったが、移動の道中に、ニジマスが釣れるらしい渓に寄り途をしてみた。情報に従って3ヶ所ほどロッドを出してみたものの、綺麗な紅葉の景色とは裏腹に、魚影は全く見られなかった。釣り人から聞いた話は、どうやらガセネタが多い様だ。しかし、それにしても、移動途中の峠道の紅葉は素晴らしかった。北海道の紅葉はどちらかと言うと黄色い葉が多く、真っ赤にそまるカエデの類が少ないが、青空が非常に綺麗なため、木々の色が良く映える。
釣りはもうおしまいにしようかと思っていたが、数日前の天気予報とは異なり、明日の土曜はお天気が良く風も殆ど吹かないらしい。この時期のボート釣りは風が吹くとお手上げだが、その心配は無くなった様だ。そのため、当初の予定通り、某巨大湖でイトウを狙うことにした。但し、この巨大湖は一筋縄ではいかない。初めて訪問した人間に、釣りの神様が微笑んでくれる確率は、宗谷のイトウ釣り場以上に非常に低いのである。さて、その翌日の日曜は雨、その後は寒波で降雪があるかも知れないとの予報であり、その前に北海道を去るのが無難であろう。 【使用タックル】 Ueda TroutPluggingSpinGS902H、SensiLiteMG2500、PE1号+ショックリーダー20lb、D-Contact63鮎、他 【10月15日(土曜)】
今回の北海道遠征の最後は、某巨大湖でのイトウ釣りとなった。北海道の多くのダム湖や河川は、川岸が深い芦や水草に遮られていて、徒歩での入渓が困難な釣り場が大半である。このダム湖も然りで、ボート釣りにどうしても分が有るため、ゴムボートの出番となった。この湖は標高が相当に高く、紅葉の真っ盛りに出くわした事は幸いだった。この湖は日本の多くのダム湖とは異なり、沢山の入江や島が点在する、まるで北欧のフィヨルドの世界の様な風景が広がっていて、非常に美しい。ただ、このダム湖でイトウを釣るのは難しい。この日、イトウ狙いの釣り人は15名ほど入渓していたが、釣れたイトウは最大が75cmで4尾だけだった。
幸いにも、私のロッドにもイトウがヒットしてくれ、その4尾のうちの1尾に入ることができた。この湖のイトウのアベレージは60cm台とのことで、68cmはまずまずのサイズの様だ。実を言うと、イワナと同じ要領で深さ5m前後の深場を狙うハンドトローリングをやっていたが、他の釣り人の釣り方を観察しているうちにミノーが沈み過ぎたため、根掛かりしそうになり慌ててリーリングしたところ、ググッとヒットしてきたもの。まぁ、要するにただのラッキーストライクである。 さて、北海道の釣りも、今度こそ本当に終了です。明日・明後日はゆっくりと景色を楽しみながら、釣り無しで山形まで移動する予定。従って、釣り日誌は、本アーティクルが最後となります。38日間にも及ぶ長い日誌を最後までお読み頂き、ありがとうございました。 【使用タックル】 TailWalk Keison(鮭鱒)90、Biomaster3000、PE2号+ショックリーダー25lb、Dコンタクト85/72チャート/鮎、他 |