ダム湖の釣り前半戦では、今年のダム湖の釣りが例年に無い不調であることをお伝えしました。後半戦はゴールデンウィーク後半の釣りの模様になりますが、前半と同様に不調であったことは変わりませんでした。本編では、釣りの模様だけでなく、その不調の理由についても少しだけ考えてみたいと思います。季節は今、新緑と野草花・山菜の最盛期を迎えています。同時にダム湖では、インレットの釣りの最盛期を迎えています。このレポートを書いている5月中旬以降のダム湖のルアーフィッシングは、さて一体、どの様になるのでしょうか。 【5月3日(火)】 GWの中心の3連休は、再び水戸から風玉さんがやってきました。Buuさんは1日だけ仕事が入っているとのことで、3日と4日は再びダム湖の3バカトリオが揃いました。風玉さんは「水戸から下越は遠過ぎる」と言うのですが、高速の便が良いために3時間ほどで新潟まで来れるそうで、実を言うと高速の無い山形から新潟までとほとんど移動時間は変わりません。なもんで、まぁ風玉さん、もっと下越に来て下さいよ! 山形県内にもダム湖が幾らでもあるんですが、私もね、仲間がいるから下越まで行ってるんですよ!
さて、3連休はまずまずのお天気に恵まれました。考えてみればこの4月は金・土曜に荒れて雨が降り、日曜は晴れるのですが異様に寒い日が多く、釣り日和がほとんど無かった様に思います。3日は左上写真の様な快晴に恵まれ、気温もまずまず高く、釣りには最適の様に思われました。しかし、3連休の初日とあって出陣が遅くなってしまい、釣り始めたのはもう朝の7時を回っていて、あたりは燦々と輝く太陽の下で釣れる気配ではありませんでした。この日、岸からの釣り人には、早朝に小型ながら幾らかの釣果が見られていた様で、5月に入ると快晴の非常に明るい日は朝マズメの一瞬が勝負の様です。
また下越では、5月初(山形県内の山岳部のダム湖では5月中旬頃)には水温も上昇し、本流のインレットにワカサギが集まり始め、インレットの釣りが始まります。そのため、午前中にインレットにも入ってみましたが、水温がまだ4℃台と低く、風玉さんに20cmほどのイワナがヒットしただけ。他にも小さなイワナのトレースが見られましたが、ノーバイト。お天気がとても良いため、昼食を挟んで水温が上がるのを待ってから再度インレットを攻めることにしましたが、これは或る程度成功でした。お昼はポカポカ陽気の中、またまた話が弾みました。
午後からのインレットは水温が6℃台となり、魚の活性も上がっていました。やはりインレットの釣りでは水温が6℃以上、できれば8℃前後にならないと、大物たちの活性が上がってくれない様です。釣果の方は、まずBuuさんに34cm、私に32cmがヒット。風玉さんにもトレースはあるもののヒットせず。私にももう1尾小さなイワナがヒットしましたが、バレてしまいました。どのイワナも足元まで追いかけてきて何度もルアーにアタックするのですが、機敏に動けず喰い付けない様子が見て取れました。まだ水温が少し低かった様です。
その後はインレットからダムサイトへと戻りながらハンドトローリングを続けましたが、14時半ころ、インレットから1km程度の地点でラッキーにも私のロッドに大きな魚信が有り、上写真の42cmがヒット。続いて15時ころ、更に下流へと500mほど移動した地点で、今度はBuuさんに25cmがヒット。地合い到来かと付近を隈なくハンドトローリングとキャスティングで探りましたが、残念ながらそれ以後は反応が途絶えてしまいました。例年であれば地合いはもっと長く夕刻まで釣果が見られますが、今年の地合いはなぜか短い様です。
【5月4日(水)】
翌日は風玉さんと早朝から別の支流に入りました。Buuさんは午前中にちょっとした用事があり、参戦はお昼からとのこと。前日も前週も、なぜか午前中はサッパリで午後2時過ぎから4時頃までが地合いとなる様であり、この日の午前中はどうも気合いが入りません。お天気も良く、ダム湖沿いの岸辺の新緑が眩しく輝いていて気分はすこぶる良かったのですが、2人でハンドトローリングをしながらインレットまで行けども、反応は全く無し。風玉さんは寝不足で、8時ころには早くもボートの上で爆睡モードでした。
でもねぇ、釣りってそういう時に限って釣れるんですよね。8時半ころ、風玉さんの寝ていたボートから100mほどのポイントで34cmがヒット。慌てて風玉さんを起こし、2人で付近を探りまくりましたが・・・あとが続きません。結局、午前中の釣果はこのイワナ1尾だけで、なんの反応もみられませんでした。しかし今年のダム湖は釣れませんね。特に午前中にあまり釣れていません。釣れても8時から9時ころと2時から4時ころの変な時間に釣れ、その前後は全く魚の気配すら無くなってしまうのです。一体なぜなんでしょうね?
午後からはBuuさんとたかちゃん、もっくんとお友達がダム湖にやってきました。Buuさんはボートで参戦ですが、他のみなさんは岸からのキャスティングで楽しんでおられました。ただ、林道が残雪で未だに塞がっていて良い釣り場に入れず、釣果は上がらなかった様です。そして、午後からは更に別の支流のインレットを狙いましたが、こちらも不発。3人でポイントを隈なく探り続けましたが、結局全員ノーバイトでした。
【5月5日(木)】 3連休の最終日は風玉さんと私の2人だけで、昨日までとは別のダム湖へと向かいました。ダム湖は広く、幾らでも釣るポイントがありそうですが、やはり2日も連続して釣ると魚もスレてしまい、釣れなくなってくるものなのです。そのため、3連休であればどうしても2つ以上のダム湖を巡る必要が出てくるのです。ちなみに小さな堰堤のプールでは、半日でスレてしまい、1日中釣れ続けることは稀な様です。そのため大きく移動したのですが、しかしこちらのダム湖でも状況は同じで、早朝にバスが1尾出ただけで、午前中はイワナの反応は全くのゼロでした。
午後は2時ころから出漁しましたが、本流のインレットでは小さなイワナのトレースが見られたものの、釣果は無し。ゴールデンタイムの3時ころには支流のインレットへ移動し、どうせダメだろうと諦め気味にDダイレクトを投げていました。そこでは、2m程度の底付近をトレースしてくると、ボートの底付近まで来たところでゴツゴツとした反応が・・・恐らく43〜4cmの斑点の綺麗なイワナでした。しかし不意のアタリにアワセが弱かったのか、目の前で大きく反転した後、鉤をはずして逃走して行きました。
では、なぜ今年のダム湖が不調なのでしょう? 理由を探るには、例年と今年の状況の違いを考えてみるのが一番です。天候や人的な要素で、昨年までと違いを感じるものを並べてみました。 1.大震災以降GWころまで、たび重なる強い余震に見舞われた。魚の行動への影響が有ったのでは? 2.ダム湖はGW頃に満水となるが、今年は電力不足のため発電効率の高い水位(60〜95%)に保たれている。 3.昨夏は記録的猛暑であり、渓の渇水が著しかったと考えられる。産卵への影響が有ったのでは? 4.残雪が多く、5月に入っても昨年の4月初と変わらない。そのため、特に早朝の水温が低い。 5.長期予報は大きくハズれ、3月以降は3週間程度季節が遅い(寒い)状況と少雨が続いている。 6.当HPや雑誌掲載などで、下越のダム湖は有名になり、ここ数年、源流部への入渓者が激増した。 この様に書き連ねてみると、今シーズンが如何に特殊な年であるかが良く判ります。ただ、1の「余震」と2の「低い水位」3の「昨夏の猛暑」については、どの様な影響が有ったのか、或いは無かったのか、私にも良く判りません。しかしながら、4の「多い残雪」と5の「低温・少雨」は、確実に大イワナの源流部からの流下を妨げているものと考えられます。また、我々の通っている複数の下越のダム湖のうちの1つは、6の「源流へ入渓者が激増」し釣り切られたため、下流のダム湖で釣れなくなったものと考えています。このダム湖では2年ほど前から釣果が落ちてきていたのです。 【5月8日(日)】
この日もお天気はとても良く、Buuさんと早朝から下越のダム湖に入渓しました。ただ、GWにしては気温は低く、日陰に入ると異様に寒い日でした。この時期は、本流からの流入水が冷たく重いため、インレットの数100m下流側でダム湖の暖かい水の下に流入水が潜り込んで行き、明確な境目が出来ます。そこには多くの場合、大量のゴミが浮かんでいて、我々はこれを「前線」と呼んでいるのですが、この日はその前線の手前100mほどのところで私のロッドにヒットがあり、38cmが釣れました。しかし、この日は夕刻まで粘りましたが、Buuさんと2人で釣果はこの1尾のみと、寂しい結果でした。
そういえば今年はどのダム湖でも、この「前線」に溜まったゴミの量が異様に少なく、時には前線に全く気付かずに通り過ぎてしまうほどでした。やはり気候の遅れと多い残雪で水温が低く、本格的な雪代がまだ出ていないのでしょうか? そのため、ゴミがまだ落ちてきておらず、同様にイワナの流下もまだ少ないのかも知れません。また余震の影響が有ったとしても、5月以降は余震が殆ど無くなっているため釣果に対する影響も無くなって来ているでしょう。 そして、もし上記の推論が正しければ、今年はこれから状況が好転してくる可能性が考えられます。今、南東北のダム湖はインレットの釣りの最盛期を迎えています。特に山形県内の標高の高いダム湖の釣りはこれから最盛期を迎えます。いま暫く、様子をみてみたいと考えています。
【今回使用のタックル】 AlphaTackle LakeMarquis80H、Shimano BiomasterC2000、PE0.8号+Kureha GrandMax1.5号 D-Contact50S鮎、D-Direct鮎、WiseMinnow50FS鮎/chart、TigrisDENS50ヤマメ、他 |