|
クラブ釣行レポート
秋は遡上止め狙い(9月1日-14日)
| |
今年の渓流釣りシーズンもいよいよ終盤に差し掛かり、9月の中旬は秋の大物シーズンの真っ最中です。8月からの酷暑のせいもあり、長い間、釣りに出かけなくなっていた私ですが、9月に入り、気温の低下とともに活動を再開しています。しかし猛暑は9月に入っても続き、その後は大雨警報が出るほどの濁流で難儀させられました。酷暑や大雨で奥地へ入れない時の神頼みは、「遡上止め」つまり、それ以上に魚達が遡上できない場所である、堰堤や滝の下を狙って釣るに限ります。9月に入った今、イワナたちは産卵の準備のため、遡上止めの直下に集結しています。
注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。
今回ご紹介する釣りの模様は、どれも山形市からほど近い、人の非常に多い釣り場ばかりです。9月初は酷暑で私の様な老体には体力がとても維持できず、近場で車から歩いて少しの所しか狙えませんでした。9月11日からは逆に警報が出るほどの大雨が続き、これまた近場のすぐ林道に逃げられる様な釣り場しか相手にできませんでした。本当は渓遊会の会長さんと、ヒマに任せて八久和川にでも行くか・・・とか言う話もあったのですが、会長さんの仕事探しの都合で急遽中止に。まぁ、私の体力であの酷暑では、八久和川などとても無理なことも事実でして、仕方なく、9月初のこの日は、会長さんと近場でお茶を濁すことになったという訳です。
|
|
|
干上がって塩田?化した河原 | 堰堤下を釣る渡邊会長 | 水量の殆ど無い本流 |
この日の釣り場は山形市から1時間足らずのお手軽釣り場です。しかし現場に到着して驚かされました。水が殆ど流れておらず、狙いの堰堤の上の流れは途中で全て地面に吸い込まれてしまっていて、河原はまるで塩田?の様な真っ白な不気味な風景になっていました。こりゃ釣りにならんかなー・・・と諦めかけたのですが、それでも堰堤の直下のプールには、綺麗な水が満々と満たされていて、堰堤の上から試しにルアーを投げ込んでみると、なにやら良型の魚影のトレースが見えてしまいました。諦めて帰ろうかと思っていたのですが、魚影を見た会長さんは俄然やる気になってスタスタと堰堤の下に降りて行きました。
|
|
ほとんど流れの無い堰堤下から飛び出したイワナ32cm 良く釣れた! | 32cmと会長 |
私はと言うと、酷暑ですっかりバテてしまい、堰堤の下に到着したころには会長さんが既にルアーを投げまくり・・・。ほどなくして会長さんのロッドが大きく曲がるのが見え、釣れてきたのは上写真の32cmもある立派なイワナ君。この酷暑で、しかも時間は真昼間の13時ころ。よくもまぁ、釣れてくれたものです。気温は30℃を越えていて、流れの殆どない状況下では、水温も相当高いだろうと思って水の中に手を突っ込んでみると・・・あれれ?意外にも水温は非常に冷たく、恐らく15℃くらいしかありません。
|
|
|
次の堰堤下の獲物はおチビちゃん | 堰堤下のプールで泳ぐ会長 | 3つ目の堰堤では小物が一杯 |
どうやら堰堤の上で全て吸い込まれてしまった水は、伏流水となって地下を流れ、良く見ると堰堤の下の方の穴から僅かながら流れ込んでいて、そのために水温が低く、魚の活性が保たれていたのでしょうね。私はと言うとこの堰堤の下ではバラシが1尾のみ・・・とほほ・・・でした。まだまだ時間があったため、その後も別の堰堤の下を狙って移動しています。2つ目の堰堤では水温が普通どおりに高く、釣れて来たのは写真上右のおチビちゃんが少々。余りの暑さに、会長さんはたった今イワナの釣れたプールで、あれま、泳ぎ始めてしまいました。9月だと言うのに泳ぎが気持ち良い気候とは、一体どうなってるんでしょうねぇ。
|
|
|
汗だくで釣れたおチビちゃん | 堰堤下の流れも殆ど無い | この日の私の最大は25cm |
3つ目の堰堤は、道路から少し歩かないといけない場所にあり、それなりに魚影は多く見られました。酷暑のままであれば、とても体力が持たない所ですが、幸い夕方の涼しい時間帯に入っていたため、なんとか入渓できたと言う訳です。ここでは、堰堤の下でも上でも釣果が見られましたが、なにせ透明度が高く、あっと言う間にスレてしまい、一瞬で終わってしまいました。私にも会長さんにも釣果は見られ、小物ばかりでしたが、楽しめました。しかしなんですね、9月初だと言うのにこの堰堤の下の流れは、まるで町の小さな噴水の流れの様でした。猛暑と雨不足でどこもかしこも涸れていました。
|
山形市の降水量(単位:mm)と気温(単位:℃) 7月17日〜9月6日まで1日を除いて真夏日が続き、雨も少なかった |
さて、ここで今夏の状況を少しだけ振り返ってみることにしましょう。上の図は、山形市の降雨量と気温の推移ですが、6月末ころから酷暑が始まり、7月中旬からは、連日30℃を越える真夏日がお盆の1日を除き、51日も続いていたことが判ります。しかも降雨量は極端に少なく、まとまった雨はお盆のころの2日だけでした。暑さでは全国的に有名な山形ですが、こんな年は私も初めて経験しました。なんでも100年に一度以下の異常気象とのことで、太平洋海水温の異常な高温化と偏西風の異常蛇行が原因だそうです。
|
|
|
殆ど水のない堰堤 | 堰堤の上の流れも釣ってみたが・・・ | 魚影は全く見られなかった |
いずれにせよ、地球温暖化が原因であり、地球全体が異常であることが正常となりつつある様です。酷暑は実に9月6日まで続き、上述の会長さんとの釣りの後にも、一人で夕方に少しだけ釣りに出かけていますが、上写真の様に水の流れは普段の数分の一しか無く、水温の上昇でお魚さんたちは昼寝を決め込んでいた様子でした。夕方にも拘わらず、次から次へと噴き出す汗が止まらず、源流部をほんの500mほど釣り上がっただけで、体力の限界を感じて早々に退散してきました。
|
|
|
一転して濁流と化した県内の渓 | 強い流れの脇でかろうじて・・・ | 小物が何尾かヒットしてくれた |
異様に長く続いたさしもの酷暑も、9月6日にはようやく終焉を迎えてくれました。しかしお天気の神様も山形県には意地悪でした。今度は太平洋高気圧と北の寒気が、ちょうど山形付近でぶつかり合い、9月11日から14日まで、警報が何度も出るほどの大雨が続きました。12日の日曜夕方に出かけた釣り場では、釣り始めるや否や、急に雨足が強くなり、みるみるうちに濁流になってしまい、かろうじておチビちゃんが顔を出してくれただけで、あっと言う間に終わってしまいました。実はこの日、懐かしい人に釣り場でちょっとだけお会いしたのですが、まだ雨足が強くなる前で、良い濁りとともに、結構な釣果がみられていた様子でした。
|
|
|
チョウジギクはシーズン終盤を告げる | キオン(つぼみ) | ヤマトリカブト |
|
|
|
生き返った様に良く釣れる | このくらいの濁りが最高 | おチビちゃんも元気が良い |
実をいうと、私はこの9月17日から北海道遠征を予定しており、10月まで山形には帰ってきません。そのため、消化不良のままで県内での最終釣行を終える訳にも行かず、14日にも近くの堰堤の下を狙って出かけています。前日までの2日間は大雨警報が出ていて、県内はどこも濁流に見舞われ、イワナ達は2日間なにも食べていないハズであり、ラストチャンスだったと言う訳です。ただ、出かけた渓は、普段は人の非常に多い有名な渓であり、その分、アクセスも良く釣り易く危険もありません。しかし、逆にスレがひどく、普段は成魚放流のおチビちゃん以外、殆ど何も釣れない渓でした。
|
|
下の堰堤から上のプールへ遠投 | やっと出てくれた尺物(31cm) 人の多い渓でもこんなサイズが残っている |
ただ、この様な釣り方は、毎日が日曜日の今の私の境遇だからこそできる技であり、ここをご覧の皆さんには申し訳ないのですが、非常に良く釣れてくれました。ただし上述の様に人の多い渓では大型魚は望むべくもなく、31cmが限界でした。そして、この31cmですが、良く見ると成魚放流特有の尾鰭のカットがありません。放流されてから1年ほども経過しているのでしょうか、尾鰭は綺麗になり、とても精悍な顔つきをしています。人の非常に多い渓でも、こんなイワナが釣られずにまだ残っていてくれているのを確認でき、なんだか嬉しい気持ちになってしまいました。
|
|
|
普段はスレて釣れない非常に人の多い渓でも、条件さえ整えばイワナ達が次々とヒットしてくれる |
ただこの日、最後に訪れた堰堤では、ちょっとガッカリする出来ごとがありました。濁りもちょうど良く、釣れなくは無いはずの状況下で、しつこくルアーを投げてヒットしたのは、下写真のおチビちゃんが1尾だけ。おかしいなぁ・・・と思って足元を良くみると、なんとまぁ、真新しい投げ網が投棄されていました。濁流になるとイワナたちはプールの脇に退避するため、この事を利用して、この辺りでは、増水時に投げ網でイワナを大量に捕獲する習慣があると聞いています。恐らく昨日か一昨日の大雨の時に、イワナたちを一網打尽にしようと、地元の人がやってきたのでしょうね。網が根に引っ掛かり、そのまま放置されていたのではないかと推察されました。
|
|
|
最後の堰堤は濁りも最高だったが・・ | 釣れたのはこのおチビちゃんのみ | 足元には投網が投棄されていた |
さて、私の今シーズンの県内釣行はこれで終了となりました。今年は酷暑の夏ではありましたが、9月中旬の今、気温は一気に下がり、朝・夕は寒さを感じてしまうほどの寒暖の差が感じられ、標高の高い所では既に紅葉の始まっているところもある様です。夏の暑さが厳しかった分、秋の涼しい風は心にも寂しい風を吹かせてしまうものです。しかし今、イワナたちは産卵の準備のため、遡上止めの直下に集結しており、最後の大物のチャンスです。あと2週間、残り少ないシーズンを、心残りの無い様に、存分にお楽しみ下さい。
|
|
キンミズヒキ | 高山ではもうすっかり秋の気配だ |
【今回使用のタックル】
Wellner 8ft TroutRod、Shimano SensiLite MG2500、PE0.6号+フロロ1号リーダー、
D-contact50S鮎、アレキサンドラ50鮎、WiseMinnowワカサギ、赤マジック
|