今シーズンは堰堤プールの釣りのレポートを一度も書いていませんでした。既に時期外れではありますが、今年の堰堤プールでの釣りの総括を記しておきたいと思います。ご想像の通り、今シーズンの堰堤の釣りは最悪の状況でした。釣り人の特定の釣り場への集中と、後半の予想外の猛暑が、釣果を大きく落した原因ではないかと考えています。また、私自身の定年退職によって、釣行回数が激減していることも個人的な釣果の低下に大きく影響しています。かっての大物釣り場であった複数の堰堤プールが、今では小魚さえ殆ど見られない荒廃した状況となりつつある様です。 【6月6日(日)】 このところ、HPの更新をなおざりにしていて、大変申し訳ありません。この6月末で長年勤め上げた会社を早期定年退職し、現在はスローライフの真っ只中にいる訳ですが、自由な時間がタップリとあるハズにも関わらず、釣行回数はなぜか激減しています。では毎日、何をして時間を過ごしているのか?と良く問われるのですが、私には実に沢山のやってみたい事柄が眼の前に有り、逆に時間の足りない日々が続いていると言う訳です。朝8時から夜12時まで、よくもまぁ、延々とPCと格闘できるものだと家族から呆れられている毎日が続いています。
さて、今年最初の堰堤プールへの釣行日6月6日は、会社勤めの最後の日曜でした。この日は県内で最も実績のある釣り場へ向かいましたが、しかし、釣り始めてすぐにガッカリしました。堰堤プールでは、濁った雪代が定期的に流入してくる6月初ころまでは煙幕理論に従ったポイントにイワナ達が多く定位していますが、透明度が上がって来る6月のこの時期には、インレットからの流入水の流れが消えるあたり(=ゴミが沢山浮遊している付近)に魚たちが集まり始めます。しかし、この日のそんなポイントで釣れたのは、下写真の37cmが1尾だけ。他には大型魚の気配が全く見当たりませんでした。
【6月13日(日)】 翌週の日曜には、別の少し規模の小さい堰堤プールへ出かけていますが、この日は曇天にも関わらず異様に暑い日で、難儀させられました。堰堤のプールはこの時期にしては既に干上がりかけていて、ルアーを投げると20cm前後の小さなイワナ達が群れをなして追いかけてくるのですが、なぜか大型は見当たりません。25cmまでのイワナを何尾かヒットさせたものの、随分と不完全燃焼の日でした。どうもどちらの堰堤プールも、昨年あたりから源流部への釣行者が急激に増えており、魚影そのものが激減している様子が伺えました。某釣り具店のオヤジが「あそこの源流へ行けば大物が釣れる釣れる!!」と客に宣伝しまくっていたらしい情報があり、まぁ、当然でしょう。
【6月20日(日)】 翌週のこの日は、新潟のBuuさん・たかちゃんと一緒に、また別の堰堤プールへと出かけています。たかちゃんとは2年前の9月に下越の某源流でご一緒して以来の再会でしたが、ネット上で常に繋がっているためか、不思議と久しぶりの感じが全くしません。挨拶もそこそこに、朝6時半ころから釣り始めました。この堰堤プールは源流域の標高が高いため、夏でも水温が比較的低く、イワナの遡上が他と比べて遅いのが特徴です。南東北では6月の中旬ころから季節外れの猛暑に突入していて、この日も下界は梅雨とは思えない様な蒸した暑い日でしたが、この釣り場自体の標高が高く、釣りには快適でした。
そして、釣り始めてすぐに私のロッドが曲がり、42cmと40cmの大物が2尾連続ヒット。「こりゃ今日はイケるぞ!」と大喜びしたのは良いのですが・・・なぜか後が全く続きません。3人でありとあらゆるポイントに、様々なルアーを投げ込みましたが、結局、この日釣れたのは上写真の2尾だけ=5分ほどの出来事であり、昼頃まで3人で、夕方までBuuさんと2人で粘りましたが、その後は全く魚の反応がありませんでした。どうやら透明度が非常に高かったため、魚は居たのかもしれませんが、スレてしまって早朝のほんの少しの時間以外は、お魚さんたちに無視を決め込まれてしまった様でした。
【6月27日(日)】
前週の2尾の大物が忘れられずに、翌週も懲りずに同じ堰堤プールにBuuさんと2人で繰り出しています。しかし、この日は梅雨の大雨に祟られました。到着するまではそれほどでもなかったのですが、釣り始めてすぐに豪雨になり、透明度の高かったプールは、1時間もするとミルクコーヒーの様な色に変わって行きました。この濁りで条件的には良かったハズなのですが、釣れるのはなぜか20〜25cmのおチビちゃんばかり。大型も泳いでいるのではと思われましたが、まるで釣れてはくれません。粘った挙句に釣れてきたのは、尺ちょうどの・・あれれ?なんでニジマスが釣れちゃうの? ガッカリでした。
【7月4日(日)】
7月に入ってからも、幾つかの堰堤プールへと足を運んでいます。しかし、釣れるのはご覧の様な20cm前後のおチビちゃんばかりで、大物の姿はどこにも見当たらなくなってしまっていました。例年であれば、7月後半の梅雨が空ける直前までは、どこの堰堤プールでも大型魚の釣果が見られたものですが、今年はどこの堰堤に行っても、早々におチビちゃんだけしか居ない寂しい釣り場へと変貌してしまっていたのです。堰堤のプールに残るこれらのごく小さなイワナたちは、何を意味するのでしょうか? それは産卵活動に参加しない子供たちだけが、下流部にいつまでも残っている状況であることを示しています。
【7月11日(日)】
さて、7月の半ばともなると、私もBuuさんも半ば堰堤プールでの大物の釣果を諦め始めていました。この日は一応、堰堤の上のプールも狙ってはみていますが、釣果はやはりおチビちゃんだけでした。それよりも、今年は遡上を開始したイワナたちが、逆に既に堰堤の下に集まり始めているのではないかという推測の元に、とある堰堤の下の落ち込みも狙いに行ってみています。そしてこれが大当たりでした。残念ながら私には上写真の様な小さなイワナとヤマメしか釣果が見られませんでしたが、この日はBuuさんに釣りの女神様が大きくほほ笑んだ様でした。40cmと33cmの立派なイワナの釣果が見られました。
さて、今年は6月中旬以降に、梅雨とは思えない様な猛暑に見舞われました。その状況は8月に入った現在もまだ続いています。猛暑は源流・渓流の水温を異常に高めてしまい、冷水魚であるイワナたちの源流への遡上を、例年より1ヵ月程度も早い時期から促してしまったのではないかと考えています。例年であれば6月の末頃が堰堤プールの釣りの最盛期となるのですが、同時期の今年は既に多くの大型魚が源流へと移動を始めていたと考えられます。そして、水系最下流部の堰堤プールには、産卵活動に参加しない子供たちだけが残る状況が、早期から出来あがっていたのではないかと結論付けています。
確実に地球温暖化の進む現在、イワナ達にはどの様な未来が待ち受けているのでしょうか。水中に生きる彼らにとって、平均水温のほんの僅かな上昇が、上記の様な劇的な変化を起こし得るであろうことは容易に想像することができます。その平均水温の上昇は確実に起きており、あと何十年か後には、イワナ達の棲める適水温を保ち得る源流は、遥か北方の土地へと追いやられ、やがて棲み家を無くして行くのではないかと思えてなりません。実際に南方のゴギやキリクチなどでは、釣り人の増加と相まって、絶滅の危機に瀕しています。東北のイワナだけでも、その例外であって欲しいと心から願うばかりです。
【今回使用のタックル】 U-BoatU、Wellner 8ft TroutRod、Shimano BiomasterC2000、Kureha SeagerAce1.2号、PE0.6号 WiseMinnow50FS若鮎/ヤマメ、D-contact50S鮎、他 |