ダム湖の釣りの後半は、4月中旬から5月の連休までの様子をお伝えします。前半戦は非常に好調だった今年のダム湖ですが、後半は気温の急激な上昇と下降に振り回される形となり、季節感がうまく掴めず、少々苦戦を強いられてしまう結果となりました。それでも大物の釣果は十分であり、今シーズンも盛期のダム湖の釣りを楽しんでいます。2010年のダム湖の釣りも、既に終盤を迎えつつありますが、まだ半月ほどは釣期が続きます。この時期は水温も十分に高くなり、インレットでのエキサイティングな釣りがもうしばらくは楽しめそうです。 【4月18日(日)】 私の3月後半から4月前半にかけてのダム湖の釣りは絶好調でした。しかし4月も半ばを過ぎると、初夏の様な暖かい日とミゾレ交じりの非常に寒い日が繰り返しやってきて、季節感を掴めぬまま推移し始めました。地球温暖化が進むと、極端な気候の変動が増え、気温の急上昇や急下降が当たり前になるとの予想が有るらしいのですが、いよいよ地球も末期状態なのでしょうか。半袖でも過ごせる次の日に雪が降ったりすると、人の体も付いて行けませんが、冷暖房の無いお魚さんたちには、もっと厳しい世界が待ち受けているのでしょうか、釣れなくなってしまうのも当然の様な気がします。
【4月24日(土)】
この日は翌日にBuuさんと釣ることになっていて、本命ポイントを温存するため別の支流に入りましたが、ここでも型は小さく、大物は出てきてくれませんでした。魚影も薄く半日釣っても上写真の2尾が限界でした。数でも例年よりは少ないのですが、なにせ型が小さく、どうにも満足できません。お天気は良いのですが、風が強く寒くて我慢がしかねる様な日であり、どうやら遅い寒波がこの日も入り込んでいる様でした。このダム湖は、以前は下越でも最も釣れるダム湖でしたが、3年ほど前に源流部の釣りが雑誌に掲載されたらしく、源流で釣られてしまうと、やはりダム湖でも釣れなくなるのは当然のことの様です。
【4月25日(日)】
翌朝は新潟からBuuさんともっくんがやってきました。本命の支流を温存しておいたためか、早朝にまずはBuuさんに40cm、続いて私にも36cmと、この日はイケるかな!っと思ったのですが、後が続きません。8時半ころには早々とコーヒータイムになってしまいました。お天気は快晴で気温も急上昇してくれ、釣りにはポカポカの最適な日でしたが、こういう日はやはり明るくなり過ぎるのか、早朝のほんの一時を過ぎると、パッタリとアタリが遠のくものです。まぁ、Buuさんは余裕の表情でのんびりでしたが、この時点でまだ1尾も釣れていなかったもっくんは、心穏やかではなかった様です。
私も半分余裕の状況でしたが、ここでチョットしたドラマがやってきました。コーヒーを入れて呑みながら、遊び半分でWiseMinnowをチョイ投げしていたところ、すぐ脇にあったブッシュの中からイワナが飛び出してきて、喰いついてしまったのです。それもサイズは41cm、丸々と太った立派な魚体のイワナ君でした。こんなこともあるんですねぇ。ワイワイ話をしながらコーヒーを飲んでいたのに、イワナ君は気にならなかったのでしょうかね? それともコーヒーの良い香りに誘われて喰いついてしまったのでしょうか。今年7尾目の大物でした。
Buuさんはその後もツバキが水中で生えているポイントで38cmを追加。ただ、写真を撮影しようとしたら、手からヌルっと魚が落ちてしまい、残念ながら写真が残せませんでした。さて、この時点でまだ1尾も釣れていないのはもっくんのみ。焦るもっくんでしたが、この日は全員に釣りの女神さまは優しかったらしく、なんと12時過ぎの昼食タイムに、今度はもっくんの反撃が始まってしまいました。お昼を食べた後に、岸からのキャスティングで35cm、31cmを釣り上げてしまったのです。お天気が良く透明度が高い日は、ボートが見えてしまうのでしょうか、岸からのミノーの遠投に部がありました。
【5月2日(日)】 翌週はGWでした。今シーズンは少し前から、私は2つの新しい試みを始めていました。一つは「お手軽ダウンリガー」、もうひとつは、これまで余り使ったことのないPEラインの使用でした。まず、お手軽ダウンリガーですが、これは面倒臭い本物のダウンリガーリグを使うのでは無く、私の考案(?)した実に簡単な仕掛けです。海釣り用の太い竿(80号3.3m)と深度計付き舟釣り用小型リール(小舟)に50号程の錘をぶら下げ、錘のすぐ上からラインを2mほど出し、その先にドジャー(集魚用反射板)、さらにその先50cmのところにミノーをセットしただけのもの。つまりボートのほぼ真下でミノーを流すのですが、エレキであればこんな方法でも釣れてしまうのです。
この日も深度10mで、このお手軽ダウンリガーを流しながらハンドトローリングを併用していましたが、ちょっとした岩盤の横を通過した直後に、3.3mの硬いロッドの先端がプルプルと震え始めたのが確認できました。実はこの仕掛け、30cm足らずのイワナでも明確にアタリが竿先に出てくれます。またまた小物が来たかなと思って仕掛けを上げてみると、なんと43cmの結構な良型でした。今年8尾目の大物に気分は良かったのですが、この釣り方は向こう合わせで勝手に釣れてしまった印象ばかりが強く、楽しくはありませんね。ただ、昼間の明る過ぎる時には非常に深い所を探るのに良い様で、真昼間でも釣れてはくれます。
ちなみにこの方法はガソリンエンジンのボートではほとんど釣れない様です。また、魚群探知機で湖底までの深さを常時監視できる体制でないとすぐに根掛かりしてしまいます。Buuさんもダウンリガーを試していましたが、魚探が無いためか、根掛かり頻発で、すぐに諦めてしまわれた様です。10mも深いと、岸辺の様子から湖底の様子を推察することは、非常に難しくなってしまうのですね。それから、錘から出たラインとリーダーの長さの合計は、竿の長さと同じ位にしておく必要があります。そうしておかないと、折角ヒットしたイワナを取り込むことができません。つまり、ボートの真下で釣らざるを得ないのです。
さて、2つ目の新しい試みであるPEラインについてもお話をしておきましょう。別に珍しい話でもありませんが、ある人から0.6号の緑に着色したPEラインを入手できたため、こんな事をやり始めてしまいました。普通、PEラインは先端にナイロンなどのリーダーを接続しますが、私はPEにミノーを直結して釣っています。緑に着色してあると、湖ではナイロンやフロロ以上にラインが見えません。水中の魚からはどの様に見えているかは判りませんが、しかしこれで普通に釣れています。加えて、ラインが細いので、ミノーとPEは普通にダブルクリンチノットで簡単に結べてしまいます。実にお手軽なのに、実に強力なのです。
【5月3日(月)】
しかも、連休中を通じて、Buuさんやもっくんよりも尾数もサイズも勝っていましたので、まぁ、問題はなさそうです。強度が高い点以外の利点としては、魚のアタリがダイレクトに伝わり、ワンサイズ上の大物が掛ったかと錯覚して喜んでしまうことでしょうか。それと、根掛かり時にルアーのロストが減りました。なにせ引っ張るとフックが伸びて、回収できてしまうのです。ただ難点もある様です。どうもダム湖などの深い所を攻める場合に限る様なのです。浅いとラインが見えてしまうのか、普通の渓流では実はあまり良い思いをしたことが有りません。緑色の0.4号以下のPEがあればもっと良いと思うのですが、残念ながら、今のところ見当たりません。
さて、GWはまだ3日目でした。Buuさんは5日まで自由とのことで、この日もBuuさんと同じダム湖へ入りました。ただ、釣果がおもわしくないため、翌日は山形のダム湖を攻める計画でいました。前日に入った支流は相当に荒らしてしまったので、この日はもう一つの別の支流に午前中だけの入渓でした。しかし、この支流はやはり魚影が薄く、散々でした。渓流でも中々釣れない様な本当のおチビちゃんが1尾釣れただけで、あとは全くのノーバイト。お天気が良く、気分は最高だったのですが、釣果は最低だったと言う訳です。しかしなんですね、良いお天気が連続すると、釣れるのは最初の日だけで、2日目以降はなぜかサッパリ釣れなくなってしまいます。お魚さんもお天気が良いと、1日でお腹が一杯になっちゃうのでしょうか。
【5月4日(火)】 そして翌4日は、Buuさんと山形のダム湖へと繰り出しました。昨年は同時期に50cmオーバーも出ていて、すこぶる好調だったのですが、今年はちょっと様子が違いました。上流から巨大な雪の塊が流れてくるのです。今年は雪が多くまだ少々時期が早かった様で、水温も4℃ほどと低く、それに寒くて人が耐えられない様な状況でした。これでは釣れるはずもないのかなと、半ば諦め気味にキャストを繰り返しましたが、案の定、釣れるのはウグイばかり。ウグイって高水温から極低水温まで、ホントに生命力が強いものですね。底を流すとすぐにヒットしてきました。イワナさんは寒くて寝ている様子でした。
この日はかろうじてBuuさんに釣果が見られています。下写真のイワナ41cmですが、なぜか極端に痩せていて、まるで蛇の様でした。Buuさんによると、ゴミでも引っ掛けた様でファイトが殆ど無かったそうです。なんだか可愛そうで、写真を撮影してすぐにリリースしてやりました。ただ、この日見たイワナは実はもう1尾いました。垂直に切り立った崖の下で、私がボートを操作しながらロッドをもっていると、ぶら下がったミノーに興味を示して、水面に2回も顔を出して来たヤツがいたのです。間違いなく50cmクラスのイワナでした。しかし、その後その付近に何度もミノーを投げましたが、釣れることはありませんでした。
【5月5日(水)】 さて、GWもとうとう最終日になってしまいました。4日はあまりにも寒く、釣果も乏しかったため、本当は2日に渡って山形のダム湖を攻めるつもりでしたが、3時間近い移動の時間を費やして、最終日は再び下越のダム湖へと舞い戻って来たのです。それにしても、傍目に見れば、我々2人は全く異様に見えるでしょうね。イワナを求めて下越→山形→下越を6時間以上もかけて、たった1日の間に大移動しているのです。アホですね。でも、正真正銘の釣り師さん達にはこんな気持ちを判って頂けるでしょう・・・「欲しがりません、釣るまでは」
翌朝は偶然ですが、下越のダム湖にズミさんがやってきました。この日は3人3槽でのボート釣りとなり、お天気も最高で暖かく、最終日を飾るにはふさわしい日でした。夜明けとほぼ同時に出船しましたが、本命の支流のインレットへ移動途中に、私のハンドトローリングのロッドに獲物が掛りました。PEラインのため、50cmクラスの大物がヒットしたのでは! と大喜びしたのですが、釣り上げてみると、下写真のジャスト40cmでした。でもま、今シーズン9尾目の(ギリギリ)大物に満足ではありました。この時期の釣りは、景色も最高であり、1尾さえ釣れれば、日がな一日ノンビリできること自体が楽しいのですから。
そして、この日の本命ポイントはインレットにありました。連休の後半ともなると、インレット直下の少し広くなって流れが急に緩くなるあたりに、大物たちが集まり始めるのです。インレットでは、今日まだ釣れていないBuuさんとズミさんがポイント手前にボートを係留し頑張りました。私は少し下流部で2人の様子を見ていたのですが、この時、ボートの下流側にポイと投げたミノーに反応があり、上げてみると尺足らずのイワナ君でした。私だけこんなのあり?といった感じでしたが、日によって調子の良い人と悪い人がしっかりと別れてしまうのが、また釣りの面白さなのかも知れません。そしてこの日、調子が最悪だったのはBuuさんでした。
Buuさんがインレットのベストポイントにミノーをキャスト・・・1投目でヒット!!・・・ロッドが大きく曲がった・・・かなりの大物だ!・・・写真右上の取り込みシーン・・・ ・・・ ・・・あれ?、え?、な、なんで??・・・ボートにフックが引っ掛かり・・・今年5尾目のはずの大物イワナ君、 逃 走 !・・・泣くに泣けない大バラシ・・・でした。 結局、その後はインレットではおチビちゃん以外にアタリも出なくなり、少し下流部の上陸ポイントへ戻ってランチタイムでした。午後3時ころ、あの大物を再び攻めようと、Buuさんとインレットに向かいましたが、この日は快晴の良いお天気で、しかも気温も高く、朝のインレットのポイントはまるでミルクコーヒーの様な雪代の濁流でした。
さて、このレポートを書いている今(5月20日)ダム湖の釣りも終盤を迎えつつあります。残り少ないシーズンではありますが、6月初ころまでは、産卵を控えたワカサギたちが大本流のインレットに集まっています。そして、そのワカサギたちを狙って大物イワナたちがインレットの非常に狭い範囲に集結しています。クリアな青空に新緑が映え、遠くには残雪の山々が広がり、目の前には木々の鮮やかな花たちが彩りを添えるこの最高の季節の中で、最後の大物のチャンスに、今しばらくのダム湖の釣りを楽しんでみたいと思っています。 【今回使用のタックル】 Zehpyr Boat ZR-220MH、MinnKota RT40S(28in)、Voyager 105A/80A、Hondex HE-57C Wellner 8ft TroutRod、Shimano BiomasterC2000、Kureha SeagerAce1.2号、PE0.6号 WiseMinnow50FS若鮎/ヤマメ(5.2g)、D-contact50S鮎、他 |