渓遊会・単独釣行レポート

09年県内最終釣行(9月6-13日)


今年の渓流釣りシーズンも、いよいよラストスパートです。私は最後の2週間に遠征を予定しているため、県内での釣行は9月13日が最後でした。9月に入ってからの2週間は、これまでとは違って天候は素晴らしかったのですが、なぜかあまり良い釣果には恵まれませんでした。どうやら不景気の波は渓流にも押し寄せていて、魚影が全体に薄くなって来ている様に思えてなりません。それでも最後の最後に思わぬ良型が飛び出してくれ、なんとか満足の行く今シーズンを終えることができました。

注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【9月6日(日)】

早くも秋の気配漂う渓チビイワナたちが・・・・・・お相手をしてくれた

標高の高い源流部では、9月に入ると早くも秋の気配が漂い始めます。この日入った源流は、今年に入って急激に人が増え、魚影は既に殆ど見られなくなっているのではないかと思われましたが、ダメもとで挑みました。それでもおチビちゃんが何尾かは相手にしてくれたのですが、なにせ型が小さく、2時間ほどでそうそうに飽きてしまいました。一人で渓畔で食事をし、コーヒーを沸かして飲んでいると、魚は釣れなくとも、なんとなく満足感には浸ることができます。しかしなぜこんなに急に人が増えたのか・・・やはり不景気の影響なのでしょうか。高級ホテルやゴルフ場がガラガラになった分、テント村が増え、渓に人が溢れているのでしょうか。

しかしそれにしても魚影が薄い早めに渓畔で食事をとり退散ブナの森だけが気持ち良かった
紫蘇の花ヤブタバコシロバナツリフネソウとツリフネソウ

【同日午後】

午後からは少し移動して、また別の渓流へと入っています。この渓は道路を30分ほど歩かなければ入れない場所なのですが、こちらも人・人・人で一杯で、やはりロクな釣果は見られません。最後に現れた大き目の堰堤の下のプールで、なんとか25cm前後の獲物を3尾ゲットしましたが、なんなんでしょうね、この魚影の薄さは。昨年までは、この時期にこの釣り場に来れば、間違いなく尺上混じり2桁確実の渓だった筈なのですが、ガッカリでした。こんな調子で来年以降も状況は更に悪化してゆくのでしょうか。

こちらも魚影が殆どないが堰堤の下のみで・・・・・・3尾の釣果が見られた
キバナアキギリネジバナヤマトリカブト

【9月12日】

翌週はもう、私にとって今シーズン最後の週でした。実は今(9月19日午後)、このレポートを北海道行きのフェリーの中で書いています。9月のシルバーウィークと最後の土日は遠征のため、山形県内の釣りはできないのです。そして、この日12日はここ数年間、工事などで入れなかったとある有名な渓に入っています。おおよそ3年に渡って通行止めとなっていて、さぞ魚影が濃いだろうと思いきや、この渓も他と同じく、ルアーに喰いつけないほどのおチビちゃんが数尾出てきただけでした。道路が開通してほんの僅かの期間に、予想を遥かに超える大量の釣り人が入って来ていた様なのです。河原は足跡だらけでした。

透明度が異様に高く釣り辛い渓相は素晴らしいのだが・・堰堤下でようやく魚影が・・・

この渓の下流部には、私が「ボウズ逃れの堰堤」と呼んでいる堰堤下の溜まりがあります。ここなら釣れるだろうと最後の期待をかけて夕方うす暗くなった時間に入ってみましたが、堰堤の真下では全く何も釣れません。相当な釣り人が入っている様子なのです。ただ、この堰堤の下は広いプールになっていて、その淵尻をゆっくりとした速度でミノーを泳がせてやると、浅いところにある沈み岩の下から、25〜29cmのイワナ3尾が飛び出してきてくれました。人が多くて皆が竿を入れる場所には魚が付いていないのですね。餌釣り師たちが目もくれない、彼らの足元に魚たちは退避していた様なのです。

堰堤直下ではなく淵尻に・・・・・・かろうじて残っている様だ秋の気配は確実に忍び寄る
サラシナショウマツリフネソウとキツリフネの隣接この時期、吊舟草が渓畔に映える

【9月13日午前】

さて、翌日は山形渓遊会の会長さんと一緒でした。この週の土日は、実は渓遊会で久しぶりに集まり、キャンプ&源流行の予定でした。しかしお天とうの神様は最後まで意地悪で、またまた土日は生憎の雨模様となり、急遽中止になってしまったのです。そこで会長さんと2人きりで、雨模様ではありましたが、珍しく山形市のすぐ近くの渓に入ってみました。会長さんの話では、何年か前の春先に、結構な良型のイワナ・ヤマメが沢山釣れたとのこと。あまりにも山形市に近いため、かえって釣り人が少ない様子で、入渓してみて足跡の殆どないのには少し驚かされました。

山形市の近くの小渓へ渡邊会長とヤマメの魚影が沢山見えた透明度が高く、魚影が良く見える

ただ、春先とは違って、雨が前夜に降っているにも関わらず、水量が極端に少なく、しかも透明度が非常に高いのです。最初は何の反応も無くガッカリしたものですが、良く見ると、アレレ、ちょっとした淵には魚影が結構な数見えるのです。静かにしてそっと近づいてみると、約半分は20cm前後のウグイなのですが、残り半分は間違いなくヤマメです。中には25cmほどの結構なサイズのヤマメも見えていて、魚影は確かに濃い様です。・・・しかし・・・こういう時って釣れないのですよね。見えてる魚は釣れないと言いますが、見えてるヤマメは絶対に!、と言って良いほど釣れません。

ようやく釣れたヤマメ21cmルアーには厳しい小渓渡邊会長とヤマメ

こういう場合は、人影を見られない様にして、超遠投をするしかないのですが、しかし渓は狭く藪だらけで、遠投しようにも、そんな場所は殆どありません。ただ、進むに釣れて渓相がやや変化してゆき、大きな堰堤が見えてくるころにチャンスがやって来ました。会長さんが細長くて藪の無い淵にDコン50Sヤマメを遠投すると、ようやく21cmのヤマメが喰いついてくれました。その後は堰堤下で私に小さなヤマメがヒット、会長も20cm弱を追加。堰堤が近づくにつれて魚影が濃くなったため釣果が見られた様子なのですが、結局、釣果は2人でこの3尾だけで、見えていたヤマメの数の割には、サッパリでした。うーーん、なんとまぁ、欲求不満なことか。

魚影は豊富だが、意外にも釣れないツリフネソウとヤマメ堰堤下もチビヤマメのみ
キオンツリバナの赤い実ミズヒキ

【9月13日午後】

会長さんはほとんど不貞腐れて帰ってしまいましたが、私はどうも満足が行きません。最後の最後の悪あがきは「さてどこへ行くべ」と思案しまくりでしたが、結局いつもの一番実績のある渓へと車を走らせていました。ここは下流部に巨大な堰堤のプールが有り、魚影が温存されているのです。雨は午後からはすっかりあがり、青空の見える気持ちの良い状態でしたが、意外にも水量は少なめで、ほとんどジンクリアでした。それでも25cmほどのイワナがすぐにヒット。その後は25〜30cmのまずまずのイワナがポツポツとヒットしてくれました。

午後からも源流へまずまずの型がポツポツ出てくれた尺イワナもヒット

そして最後の本当の最後でした。下写真のジンクリアのちょっとした淵の中ほどに、ほぼ真横から対岸ギリギリへとWiseMinnow50S若鮎を投げ込むと、遥か20mほども下流の方から、猛烈なスピードで影が走ってくるのが見えました。次の瞬間、ロッドに強い衝撃が伝わり、下写真の33cmがヒットしていました。堰堤プールで大きく育ったイワナなのか、ややアメマスっぽい魚体ではありましたが、この時期にしてはこのサイズは十分満足できる型であり、なんとか有終を飾ることができたと言う訳でした。

透明度は非常に高かった最後の最後にヒットした33cm

さて、今シーズンもあと僅か。シルバーウィークがラストスパートと言う方も多いかと思います。恐らく、たった今(19日夕方)南東北のあちこちの渓畔で、最後のキャンプを楽しんでおられる釣り人も多いのではないでしょうか。巡る季節の中、私たちは大自然の中にいやがおうにも生かされています。それを強く実感できるのは、我々釣り人の特権であり、今がその季節ではないかと思えるのです。山と渓、そして森と魚たちは、また来る次の春の季節に、どの様なドラマを見せてくれるのだろうか・・・、そんな事に想いを馳せながら、やがて来る白い季節に向けて長い季節を耐えることと致しましょう。

【今回使用のタックル】
Wellner 8ft TroutRod、Shimano BiomasterC2000、Kureha SeagerAce1号(6lb)、
WiseMinnow50FSヤマメ/緑(5.2g)、D-contact50/鮎/緑(4.5g)、BuffetMute50FS鮎(5.5g)、他