今年は数年ぶりの冷夏の様です。例年であればこの時期、アブに悩まされながら遥か源流部へと入渓することが多いのですが、冷夏でいつ集中豪雨がやってくるか判らない状況のため、奥へは入れない日が続いています。そのため、今年はダム湖や堰堤プールのイワナ達がその後どこへ行くのかを確かめる様な釣りを試みています。ダムや堰堤プールの少し上流には、いつころまで魚影が見られるのか? そんな疑問を解くためです。幸いにも今年の夏はアブも少なく、水量も豊富にあり、渓流釣りには最高の条件が揃っている様です。 【1つ目のダム湖の上流部】 6月から始まったエルニーニョの影響か、今年の夏はまたまた異常な気候が続いています。集中豪雨に、季節外れの台風、それに8月に入っても異様に涼しく、まるで夏とは思えない天候です。そのため、例年ならばこの時期、源流の釣りに勤しんでいるところですが、梅雨が明けず、いつ濁流に呑みこまれるか判らない状況では、最奥部へ入るなどはご法度です。しかも土日毎に大雨がやってくる始末では、天気図と睨めっこをしながら、いつでも逃げれそうな道路脇などの渓流に入るしかありません。
さて、止水での大物の季節はせいぜい7月中旬までですが、それではその大物はその後どこへ行くのでしょうか? 答えはダムの深い所かダムの上流かのどちらかです。すっきりしない天候を理由に、今年はダムや堰堤プールのすぐ上流側を探索してみています。この日は7月の26日。ダム湖のイワナ達も遡上の途中であり、大物たちもまだダムの近くに存在しているのではないかと、午前中に今年通ったダム湖のすぐ上流部へ入ってみました。魚影はまだ濃く、2時間の釣行で3尾の釣果がありましたが、残念ながら最大は31cmと大物は姿を表してはくれませんでした。 【2つ目のダム湖の上流部】
そして午後からはもう一つ近くの別のダム湖の上流へ入渓しています。このダム湖はインレット付近に非常に険悪なゴルジュ帯を擁していて、簡単にはインレットには近づけません。しかもインレットに降り立ったとしても歩ける様な岸辺が殆ど無く、すぐに立往生してしまいます。幸いこの時期は上流からの水量が減って来ており、フローターでもインレットまで簡単に移動でき、しかもインレットの上流部もフローターで移動することが可能なのです。ただ残念ながら、インレット付近のダム湖は、実はウグイの天国となっています。
念のためインレットも丹念に釣ってみましたが、まるでウグイの釣り堀であり、15cmから40cm近い大物まで次から次へと掛かってきてしまい、イワナが居てもこれでは全く手が出ません。インレットの上流部では、岸辺で一旦上陸し、岩場をフローターを担いで移動し、次の淵で再びフローターを浮かべます。インレットのすぐ上の流れは緩い淵となっていて、ここでもまだウグイの猛攻が続いていました。しかし、インレット上の2つ目の淵までくるとウグイの姿はまだ見えますが、イワナの魚影が見え始めました。
淵の下流部で1尾目の小さなイワナをバラしてしまいましたが、淵の流れ込みの真下へWiseMinnow50FSアユを投入すると、即座に強いアタリが有り、上写真の42cmが釣れ上がってきました。今年17尾目の大物でした。この時期の40cmオーバーは非常に貴重であり、しかも見ると源流育ちそのものの鼻曲りのオスイワナであり、嬉しさもひとしおでした。ただ残念なことに、このイワナ君を撮影し終わると時間はもう17時を回っていて、これ以上の遡行は時間的に無理。後ろ髪を引かれる思いで、この日は釣り場を後にしました。
【3つ目のダム湖の上流部】
翌週になり、今度はまた別のダム湖の上流部へと繰り出しています。ただ、この日は前日の雨でかなり濁っていて、あまり釣果は期待できません。しかも雨模様でいつ集中豪雨の濁流がやってくるか判らない状況で、釣りは2時間足らずのほんのチョイ釣りでした。ただ、それでも魚影はまだ濃い様で、釣り始めてすぐに31cmの元気なイワナ君がお相手をしてくれます。濁りが強く魚からミノーが見えないため、同じ淵で何度も何度もミノーを投げ続けないと、こういった日は魚が出て来てくれません。そのため、一つの淵で長い時間粘りました。
そして、諦めてそろそろ止めようかと思い始めたころ、なんと40cmちょっとと思われる見事なイワナがヒット。しかし油断していたためか、足元でバラしてしまいました。実はこの40cmオーバーのバラしが非常に悔しくて、翌日も同じ釣り場に来ていますが、残念ながら前日以上に非常に強い濁りで、しかも水量が多く、ほとんど釣りになりませんでした。強い流れの脇でかろうじて尺イワナが1尾出たところで、今度は非常に強い雨が降ってきたため、この40cmは諦めざるを得ませんでした。
【4つ目のダム湖の上流部】
8月に入り、依然として梅雨は明けてくれず、土日は雨です。この日はちょっと変わったポイントに入っています。ダムが満水時には上中央写真の堰堤の中ほどまでダムの水位が来る様なところです。つまり、ダムのインレット=堰堤と言う、珍しい構造の場所です。ダムの水位が低下してくると、堰堤の全体像が見えてきて、やがて川床が見えてきます。この日は川床がやっと見え始めた状態であり、堰堤のすぐ下流部には、満水時に堆積した砂の山が見え、そのすぐ後方にはダム湖のインレットがあり、フローターを利用しないとこのポイントには入れません。
実はこの釣り場へは私は9月に歩きで良く訪れます。というのは、ダムからの大物が堰堤の下に溜まるため、1発勝負ではあるのですが、出れば40cmオーバーの可能性もある釣り場なのです。ただ、この時期に入渓したのは全くの初めてでした。間違い無く釣れるのではないかと確信してやってきたのですが、なぜかこの日は全くのオデコでした。足跡も無く、釣り人の形跡もなかったのですが、全く魚影が見えません。堰堤の存在で魚たちは上流部へ移動することは不可能ですが、魚たちは一体どこにいるのでしょう。前日に比べて急激に水温が下がってしまったのが原因の様にも思われましたが、今後、更なる調査をしてみたいと考えています。 【とある堰堤とその上流部】
お盆に入ってもまだ雨の土日が続いています。この日は、春にはイワナとヤマメの両方が釣れる堰堤のプールとそのすぐ上流を釣っています。この堰堤プールは、真夏には干上がって非常に小さくなるのですが、今年は雨で水位が比較的高く保たれていました。ただ、雨にも関わらず透明度は意外と高く、釣りには難儀させられました。緑に着色したシンキングミノー以外には全く反応が無く、魚のトレースは頻繁に見られるものの、プール内で釣れたのはヤマメが2尾だけでした。イワナも春には生息していますが、この日見られた魚は全てヤマメであり、イワナよりやや高い水温を好むヤマメだけがプールにまだ残っている様子でした。
そしてそのすぐ上流側を500mほど釣り上がりましたが、ここでも釣れたのは25cmほどのヤマメが1尾だけ。どうやら8月もお盆のころになると、イワナたちは堰堤プールから遥か上流まで移動してしまっている様に思えました。10月に入れば彼らは産卵を始めると考えられますが、8月一杯は、中流部を徐々に遡上しながら、産卵に適した場所を探しているのかも知れません。9月に入ると、彼らの多くは魚止めとなる堰堤の下や源流の魚止めの滝の下に集まります。きっと今は彼らの恋の準備の季節なのでしょう。 【今回使用のタックル】 Wellner 8ft TroutRod、Shimano BiomasterC2000、Kureha SeagerAce1.2号(9lb)、 BuffetMute50FS鮎(5.5g)、WiseMinnow50FS若鮎/ヤマメ(5.2g)、D-contact50/鮎(4.5g)、他 |