盛期のダム湖の釣り2回目は、5月の連休中のダム湖の釣りについてお伝えします。今年の連休は山形渓遊会の源流釣行も無く、新潟・水戸の旧来の仲間と一緒に、すっかりダム湖の釣りに没頭していました。そして、なぜか釣果はすこぶる好調で、大物の数を着実に増やし続けている状況が続いています。季節は今、1年で最も美しく、また、1年で最も生命感にあふれる時です。すべての生き物達がモノクロの世界から蘇り、フルカラーの世界で躍動を始めています。そんな季節の中で素晴らしい釣りを、楽しんでいます。 【5月1日(金)】 私の務める会社は、仕事はとてもキツイのですが休日だけは恵まれていて、ゴールデンウィークは4月の25日から5月6日までの12連休でした。ただ残念ながら、25日〜28日までのお天気は最悪で、外にも出られない様な悪天候でした。29日以降も寒く、暖かくて釣り日和となったのは5月に入ってから。世間様のゴールデンウィークは5月2〜6日の5日間でしたが、不思議にも東北ではこの5日全ての殆どが快晴で、しかも暖かい日が続いてくれました。今年のお天とうの神様は、サンデーアングラー達にはとても優しかった様です。連休前半は散々でしたが、後半はいつもの仲間たちと、思う存分楽しめました。
ただ、不思議なことが一つあります。今シーズンは残雪が少なく、大物の数が少ないのではないかと想像していました。実際、いつも訪れる下越のダム湖や山形のダム湖では、仲間の釣果や他からの情報を聞く限りでは、例年よりも大物が少なく全体の数も少ない様に思います。しかし私自身の釣果はなぜかすこぶる好調で、判断基準の一つとしている40cmオーバーのイワナ・アメマスの数は、例年より大幅に多いのです。3月には5尾、4月にも5尾、しかも最大は50cmと、型も悪くありません。思い出してみるとかなりなラッキーも手伝ってはいるのですが、それにしても理由が判りません。いつまでこの好調は続くのでしょうか。
さて、この日はこれまでまだ攻めたことのなかった県内の或るダム湖に入っています。ただ、入渓してみてガッカリしました。このダム湖は標高がかなり高く、下越などと比べると水温が異様に低いのです。入渓地点からインレットまで水温はほぼ3℃しかなく、これでは釣りになりません。しかし驚いたのは、インレットには上流から落ちてきたばかりのイワナが僅かながらいる様で、こんな低い水温でも釣れてしまったことです。ラッキーとしか言いようがありませんが、45cmの大物は非常にゆっくりとした底付近のハンドトローリングで、かろうじてヒットしました。私の記憶する範囲では、最低水温でヒットした大物かも知れません。今年11尾めの大物でした。
【5月3日(日)】
2日は自宅でのんびりとし、夕方に堰堤プールで少しだけ釣りをしています。そして翌3日は、下越と水戸から仲間たちが集合して、ミニオフの約束をしていました。釣り場は上記とは別の山形県内のダム湖で、この日は私がホスト役と言う訳です。この日もお天気は非常に良く、絶好の釣り日和でした。メンバーは新潟のBuuさん、もっくん、それに水戸から風玉さんです。ただ、風玉さんは前日の2日に下越のダム湖に一人で入渓し、48cmという大物を釣っていました。遠征初日で大物を釣ってしまった彼は、どうもこの日はテンションが上がらない様子でした。一方でBuuさんは今期まだ大物を1尾も釣り上げておらず、俄然気合が入っていた様子が対照的でした。
当初はインレットまで移動し全員で釣りましたが、これはハズレ。どうやら魚の活性が上がらないうちに、皆でルアーを投げ過ぎて場を荒らしてしまった様です。早朝はもっくんと私に来たチビイワナのみで終わってしまいました。インレット付近で朝食をすませると、今度は皆でバラバラに付近を釣り始めましたが、ここでBuuさんに釣りの神様が微笑んでくれました。11時頃、インレットから200mほど下流側でハンドトローリングをしていてヒットがあったそうで、源流育ちの特徴を持つ見事な魚体のイワナ45cmでした。Buuさん、おめでとう! ただ、やはり4人での狭いインレット部への入渓は、相当なフィッシングプレッシャーとなるらしく、大物はこの1尾だけでした。
その後もインレット付近を中心に全員で粘りましたが、一度スレた場所ではなかなかヒットは見られません。帰り際に私がインレットの最上流部で、まだ誰もルアーを投げていないところにWiseMinnow若鮎を投げると、いとも簡単に36cmがヒットしてきました。同じ様に帰り道のスレていない場所でBuuさんが尺ちょっとのイワナをヒット。この日の釣果は4人で5尾、最大45cmと、まずまずの結果でした。ただ、水温は朝一番で5℃、夕方で7℃前後と、まだこのダム湖においてはインレットでの釣りは時期が早過ぎる様子。あと2週間程度で早朝の水温が7〜8℃になると思われ、そのころにはもっと沢山の大物が狙えるのではないかと考えられました。
【5月4日(月)】
翌日も全く同じメンバーで別のダム湖に入渓しています。このダム湖は前日のダム湖よりも更に標高が高く、現場に到着して水温の低さに驚かされました。インレットからかなり離れた場所でも3℃台だったのです。これでは釣果は殆ど諦めざるを得ない状況でした。しかし、移動には相当な時間がかかるため、簡単に別のダム湖へ釣り場を変更する訳にも行きません。ただ、このダム湖の景色は想像を絶するほど素晴らしく、それになによりこのダム湖は私以外は全員初めてで、一度は入渓してみたい大物釣り場でもあったため、この日はこのダム湖で頑張ることにしました。
しかし当初の予想は全く的中していました。相当な下流部からインレット部まで隈なく探りましたが、釣れたのはウグイのみで、この日は終日イワナの気配を感じることもなく、全員ノーバイトに終わってしまいました。水温4度は下越のダム湖であれば3月末頃の状態ですが、こちらでは季節が1ヶ月以上も遅い様子で、5月中旬から末ころでないと本格的な釣期が訪れないのではないかと思われました。この条件下ではどうも釣れそうもないため、この日は夕方4時ころには切り上げ、翌日に備えることにしました。このダム湖へは5月の末頃に再度入渓し、大物に挑戦してみたいと考えています。
【5月5日(火)】 さて、連日のダム湖の釣りで私自身は相当疲れていましたが、Buuさんは2日からの連休で5・6日も当然ダム湖で頑張るとのこと。あまり釣果は期待できそうも無いことが判ってはいましたが、この日は大きく移動して、Buuさんといつもの下越のダム湖に入渓することにしました。このダム湖の今年の実績はいまいちなのですが、5月1日に風玉さんが今年一番の大物であるイワナ48cmを上げており、僅かな期待を以って入渓してみたものです。この日までに、山形の幾つかのダム湖は既に攻めまくっていて、しかも釣果はそれほどでもなかったため、他に行く釣り場がなかった、というのが本音かも知れません。
しかしこういう「釣れないだろう」という予想と言うのは見事に的中するものらしく、朝一番から攻めてみましたが、こちらも釣れたのはウグイのみ。このダム湖では既に雪代が殆ど消えていて上流の水量がかなり少なく、源流部で私がチビイワナ2尾を釣り上げただけで、本命の大イワナは姿すら見えない状況でした。2年前までは大物イワナの良く釣れる釣り場として皆で通い詰めたこのダム湖ですが、この様に魚影が急激に薄くなってしまったその理由は、源流部での餌釣り師の急増と乱獲であることに、もう間違いはありません。餌釣り師たちにキャッチ&リリースを期待するのも無駄ですし、今後数年はこんな状況が続くものと予想しています。
【5月6日(水)】 さて、連休もいよいよ最終日となってしまいました。5日は釣れないために午前中に切り上げていましたが、2人とも相当に疲れていてそろそろ気力がありません。この日は更に別のダム湖へと移動し入渓しましたが、釣り場に到着したのはもう8時半ころ。入渓地点付近のキャスティングで私のロッドに37cmのイワナがヒットし、これは幸先が良いかなと思ったのですが、その後、予想外のことがありました。ボートの準備をし、インレットまで移動すると10時近くになっていて、かなり出遅れていたのですが、天童の「かのかの虫」さんとお友達が偶然にも来られていて、先に釣っておられたのです。
インレット近くでお二人にお会いしましたが、8時ころには現場に到着し、一番のポイントを攻められたとのこと。写真はありませんが、かのかの虫さんにイワナ43cmがヒット。その後、50cmクラスのイワナのトレースも見られたとのことなのです。こちらのダム湖ではまだまだ魚影は濃く、タイミングさえ合えば大物の可能性が高いことだけは判りました。ただ、ダム湖と言えどもインレット付近の狭い範囲での釣りは、やはり先行者がいればなかなか釣れてくれない様ですね。我々はその後夕方まで粘り、なんとか二人揃って尺ものを釣りあげましたが、連休最終日はあっけなく終わってしまいました。
【5月9日(土)】 さて、連休は6日に終わってしまいましたが、木・金曜の2日間を挟んで、また土日がやってきました。50cmクラスのイワナの話を聞いていた私は、6日に入渓したダム湖へ入りたくて仕方が無かったのです。ただ、いわき市で忙しく仕事をして遅くなり、この日も入渓が大幅に遅れてしまいました。さすがに土曜とあって釣り場には誰も来ていませんでしたが、インレット近くのポイントに到着したのはもうお昼近くで、さすがにこの時間帯では何も釣れそうにありません。下流部でお茶を濁し、インレットは休ませておくことにしました。インレットの浅場にボートを係留し、2時間ほど昼寝をした後、遅い昼食を取ってから、やわら釣りを開始することにしました。
16時ころ、まずは一番のポイントから釣り始めましたが、ここでまた予想外の出来事が起こってしまいました。WiseMinnow50FSヤマメで底付近をトレースしていると、数投目で根がかりの様なアタリが出たのです。その引きの強さはこれまでに無い強烈さで、しかも動きは非常に素早く、ドラグの調整を少しでも誤っていると1.2号のフロロカーボンラインをあっけなく切られてしまうところでした。ジージーとリールを唸らせながら10分近くも暴れまくったその魚は、なんと50cm弱のコイでした。この騒ぎで一番のポイントはもちろんパーです。50cmのイワナの代わりに50cmのコイとは・・・まぁ、こんなこともあるんですねぇ。
その後は少し下流部の幾つかのポイントを、ボートを少しづつ下流部へ移動しながら釣っています。さきほどのコイのポイントから50mほど下がった地点で、17時近くになってようやく44cmが出てくれ、一安心。5日に堰堤プールで43cmを釣っていたため、この44cmは今シーズン13尾目の大物でした。その後、薄暗くなってからもう少し下流部で33cmを追加し、この日の釣りはなんとなく満足のうちに終えました。
さて、5月の連休を過ぎるとダム湖の釣りもいよいよ終盤戦に突入です。イワナ達はワカサギを追ってインレット部に集中してきており、このレポートを書いている今、一年で最もエキサイティングな釣りの季節がやってきています。東北の多くのダム湖では、梅雨の洪水に備えるため、連休明けから水位を大きく低下し始め、それに伴いインレットも大きく下流部へ移動します。インレットの移動とともにイワナの定位する場所も日々変化し、ポイントの見極めが非常に大切な時期となります。季節は今、ダム湖の大イワナ釣りのトップシーズンです。 【今回使用のタックル】 Wellner 8ft TroutRod、Shimano BiomasterC2000、Kureha SeagerAce1.2号(9lb)、 BuffetMute50FS鮎(5.5g)、WiseMinnow50FS若鮎/ヤマメ(5.2g)、D-contact50/鮎(4.5g)、他 |