今年は季節の移り変わりが早く3月2週目からの異常なスタートとなったダム湖の釣りですが、異常なのは季節だけではなく、私自身の今年の釣果もかなり異常なスタートとなっています。なぜか絶好調過ぎるのです。前半戦の6回の釣行で、既に40cmを超えるイワナの数は6尾を数えていて、何十年もイワナ釣りをやっていますが、この様なシーズン開幕は全くの初めてなのです。そして、4月に入り一気に春爛漫の季節がやってきました。ダム湖の水温も少しづつ上昇を続け、それに合わせてイワナ達も水温の低いインレット部へと移動を始めています。イワナ釣りもいよいよ佳境に入りつつあるようです。 【3月22日(日)】 この歳になると子供たちの世話をする必要もなく、自宅にいても邪魔物扱いされるのがせいぜいであり、高速道路利用料金が1000円になった事も手伝って、今シーズンは毎週の様にダム湖に出かけています。今年は季節の移り変わりが早く、3月の2週目を皮切りに4月初までの1ヶ月に、なんと4週連続で釣行を重ねてしまいました。そして、1週目の3月15日には早くも良型を仕留めて気を良くしていた私は、渓遊会の出竿釣行(3月21日)もほどほどに、またまた下越地方のダム湖へとやってきてしまいました。
この日のメンバーも前回と同じ新潟のBuuさんともっくんです。季節が早いとは言うものの、やはりまだ3月であり、早朝は気温2度と異様に寒い日でした。しかし、ダム湖周囲の残雪もほぼ融け道路は普通に走れる様になっていて、この日は今年初のボートによる出漁となりました。この時期はまだ水温も4℃前後と低く、イワナたちはインレットや小沢の流れ込みにはいません。水温のより高い、ダムサイトに近いエリアでの釣りが主体になります。ポイントはイワナたちが餌のワカサギを待ち伏せるのに適している場所であり、概ね岬の先端のカケアガリや、水中にある浅い起伏がそんな場所にあたります。
朝一でまずはダムサイトからすぐ近くのちょっとした岬の先端を狙いました。水中のカケアガリをクロスする様にミノーをキャスティングし、十分に沈めてからストップ&ゴーでゆっくりと底ギリギリを誘うと、すぐに反応があり41cmがヒット。我々の仲間内では、40cmオーバーを「大物」と称していますが、今シーズン2尾目の大物でした。その後、手漕ぎボートで頑張っていたもっくんにも43cmの大物がヒット。非常に幸先の良いこの日でしたが、残念ながら釣れたのはこの2尾だけで、その後は何も釣れませんでした。寒くてしかも風が強く、この日は水温がどんどんと低下してゆく状況であり、午前中のみでこの日は切りあげました。
【3月28日(土)】 翌週もまたこのダム湖に入っています。まだ3月であり寒波がやってきているらしく、この日も午後から入りましたが異様に寒く、体中が冷え切って随分と辛い日でした。水温はやはり4℃前後と変わらず、狙うポイントは前週と同じダムサイトに近い方にある岬の先端などです。午後3時過ぎから釣り始めましたが、ダムサイトからほんの500mほどしか離れていないちょっとした岬の先端でキャストすると、いきなり強烈なアタリがあり、一瞬超大物を連想させましたが、引き方がイワナでは無いことにすぐに気が付きました。下写真の40cmほどのスモールマウスバスでした。こんな低い水温でも、バスは活動しているんですね。
その後は次々とバスがヒットし、全部で3尾。ダムサイトから少し離れたダム中央部の岬の先端まで来て、ようやく上写真のイワナがヒット。40.5cmほどのサイズで、今年3尾目の大物となりました。どうやら表層の水温は4℃付近でしたが、平日に良いお天気の日が3日ほど続いていたため、ダムサイト近くの深い場所は水温がやや高くなっていて、イワナ達の定位している場所が少しばかりインレットに近づいていたのではないかと思われました。その後はもう少しダムサイトから離れた場所で33cmを追加。この日の釣果はこの2尾だけでした。翌朝もこのダム湖で釣る予定だったためボートをダム湖に留置したまま温泉へ直行しましたが、今年最後の寒波は夜半に大雪を降らせ、非常に寒い夜でした。
【3月29日(日)】 翌朝はまたまたBuuさんがやってきました。ダム湖周辺の山々は見事に雪化粧をしていて、それはそれは素晴らしい光景でしたが、しかし急激に寒くなったせいか、早朝5時から始めましたが、しばらくの間は全く反応がありません。表層水温は4℃前後と前日とあまり変化がありませんでしたが、この時期は微妙な水温の低下が魚の活性を著しく低下させてしまうことが良くあるのです。ただ、強い寒波の日というのは、日本海で出来たスジ雲が大きく蛇行するために、急に雪が降ったり逆に青空が広がったりを繰り返します。そしてこんな日は、晴れて水中に太陽が差し込み、微妙に水温が上昇した瞬間に魚の活性が一時的に上がるものです。
そのため、雲が出たり雪が降ったりしている間はのんびりとボートを止めて休憩し、晴れ間が出たら慌てて釣り始めるといったことを繰り返します。この日2回目に晴れ間が出た午前8時ころ、チャンスがやってきました。岸辺をハンドトローリングで流し始めるとすぐに強烈なアタリがあり、またまたバスかなと思ったのですが、下写真の非常に良く太った強烈なパワーの有るイワナ45cmでした。今シーズン4尾目の大物でした。しかしその後は再び雪雲が出て吹雪となり、9時ころまでは寒さで我慢のできないほどの状態でした。
話は少しそれますが、このイワナに使っていたミノーは今年発売されたバフェットMute50FS鮎5.5gで、非常に良く沈むわりには良い動きをしてくれるスグレモノです。今年に入って、ダイワのWiseMinnow50FS若鮎と並んでお気に入りで使っているものです。以前は重くて動きの良いミノーと言えばDコンタクト以外には無かったのですが、この2つのミノーが発売されて大助かりです。良い競争相手が出来たことで、Dコンタクトもこれまでの様な殿様商売は出来なくなることは必須であり、ユーザーにはとても良いことですね。
さて、9時ころになり寒くて休憩しようと上陸ポイントを探していると、すぐ近くでBuuさんも休憩していました。見ると上記のイワナが釣れたのとほぼ同じ時間にヒットがあったとのこと。ただ、釣れたのは写真左下の巨大なヘラブナで、ちゃんとミノーを咥えていたそうです。しかしなんですね、一瞬の晴れ間で暖かくなった時に、イワナだけではなくヘラブナも活性が上がるんですね。そして、その後は活性もまた低下した様子でヒットが無く、お昼ご飯を食べ昼寝もして、3時ころからまた釣り始めました。終日活性が低い状態でしたが、夕方のマズメに少しだけ晴れ間が出て、やはりその瞬間にヒットがありました。今度は41cmの綺麗なイワナで、今年5尾目の大物でした。
【4月4日(土)】
4月に入り、気温は一気に上昇してくれました。前週までの凍える様な寒さがウソの様に消えてくれ、第1週目は最適の釣り日和となってくれたのです。そろそろ水温も上がって来ているかもと、この日は山形県内のとあるダム湖を攻めてみました。ただ、このダム湖は下越のダム湖より標高がかなり高く、ボートを出してからガッカリしました。水温がまだ3℃しかなかったのです。水は4℃で比重が最も重くなるため、4℃以下の状態では深いところほど暖かくなってしまい、餌のワカサギもイワナたちも表層近くには出てこないのです。せっかくボートを出してしまったので、一応は釣りをやってみましたが、予想通りに魚の反応は全く見られず、4週目にして初のボ*ズをくらってしまいました。
【4月5日(日)午前】
翌日はBuuさん達が出漁するとのことで、再び下越のダム湖に舞い戻っています。曇りでしたが気温は高く、絶好の釣り日和です。ただ、ダム湖の水位が大幅に低下していて、ボートを出すのが困難な状況であり、仕方なく午前中は岸釣りで狙いました。ダム湖の水位が下がると、木や草のあまり生えていないエリアが大きく広がるため、岸からの釣りも楽々なのです。そして釣り始めて15分ほどで、まずはもっくんに37cmがヒット。続いて、ちょっとした岬になっているポイントで私にも小ぶりのイワナがヒットしてくれました。このダム湖ではまだ水温が低い状態であり、イワナ達はダムサイトとインレットの中間あたりに定位している様子でした。
一か所だけ、下写真の様な岬の先に歩いて10mほども浅瀬が続くポイントがありましたが、こんな場所はこの時期やはり最高のポイントになる様です。もっくんが40cmクラスをバラした後、イワナのトレースが5尾も見られました。こういった場所は餌のワカサギたちも浅瀬の狭い範囲を通らざるを得なくなるため、イワナたちがそんな場所に隠れていて、ワカサギを効率良く捕食するのに適しているのでしょう。何尾かのイワナ達が岬の先端のカケアガリに隠れていて、次から次へとルアーを追い掛けてきたものと考えられます。
【4月5日(日)午後】 午後からは風の強くなる予報であったため、風の影響の少ない別のダム湖に移動しました。こちらではボートを出してみましたが、途中から強風でボートがちっとも進まない様な状況で難儀しました。こちらのダム湖はやや標高が低いためか、水温は既に6℃台まで上がっていて、ダムサイトに近い岬付近のポイントでは魚影は見えませんでした。4時過ぎからは風も治まって来て釣り易い状況になってきましたが、4時半ころになって待望の大物がヒットしてきました。今年6尾目の大物です。場所はインレットから1kmほどのカケアガリであり、こちらのダム湖では、そろそろイワナたちも水温の低いインレットへと大移動を始めている様子が伺えました。
さて、ダム湖の釣り前半戦は、水温の変化とともにイワナ達の定位する場所が変化し、それを追い掛ける様な釣りが続きました。4月の中旬現在、非常に良いお天気が続き水温は更に上昇を続けています。標高の低いダム湖では、ダムサイト付近の水温は既に10℃程度まで上がってきていて、イワナ達の釣れる場所も、インレットに近い部分へと更に変化してきています。標高の高い山形県内のダム湖の水温もそろそろ上昇をはじめていて釣期を迎えつつあるものと思われます。それぞれのダム湖の水温からイワナの定位する場所を推理し、釣り場を決定するのがこの釣りの最大のポイントであり、同時に面白さとなっています。今後は更に水温が上昇し、インレット付近の狭い範囲での釣りへと変化して行きそうです。
【今回使用のタックル】 Wellner 8ft TroutRod、Shimano BiomasterC2000、Kureha SeagerAce1.2号(9lb)、 BuffetMute50FS鮎(5.5g)、WiseMinnow50FS若鮎(5.2g)、D-contact50/鮎(4.5g)、他 |