クラブ釣行レポート

山形渓遊会、出竿釣行(3月21日)


山形渓遊会の出竿釣行に参加してきました。今春は季節が1ヶ月近くも早く推移している様ですが、やはり3月の山はまだまだ真冬の最中でした。しかも前日に降った大雨で渓水はとても冷たく、ルアーフィッシングでは全く歯の立たない状態でした。釣果には恵まれませんでしたが、それでも半年振りの渓流の清々しさは何事にも代えがたく、久しぶりの仲間と再会し、非常に気持ちの良い1日を過ごすことができました。いよいよ09年の渓流釣りも本格的にスタートの様です。

注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【3月20日】

例年、出竿釣行と言えば5月の連休の初日に決行するものと、渓遊会では半ば恒例になっているのですが、今年は違いました。この春はあまりにも残雪が少ないため、通常なら4月後半でないと入る気もしない源流部への釣行を、会長さんが突然言い出したのです。5月連休であっても水温が低くてルアーフィッシングには向かないのですが、それでも山菜や野草花に恵まれ、楽しい思いが約束されています。しかしねぇ、まだ3月でっせ、会長はん、幾ら何でも早過ぎでっしゃろ・・・とかなんとか言いながら、結局は3連休の1日だけをお付き合いすることにしました。今回のメンバーは渡邊会長、佐谷名人、宇都宮の朝日師匠、私K++の4人です。

半年振りの仲間との再会は、ついついはしゃいでしまうイワナと焚き火が嬉しい

例年なら林道の遥か手前で残雪に塞がれているこの釣り場も、あっさりと車でいつもの車止めまで入れてしまいました。残雪のデブリの様子を見ると、むしろ5月初のころより少ない状況で、これなら奥へ歩いて入るのも簡単です。どうせルアーで釣れる訳きゃないと、3連休の1日目の夕方からメンバーと合流することにし、2日目は源流、3日目はダム湖へと入る予定で行動しました。現場に夕方5時ころ到着すると、既に宴会が始まっていて、皆さんは上機嫌。前夜に大雨が降ったのですが、小さいながらも何とか沢で獲物を確保できた様子。私の分の塩焼きと骨酒までしっかり用意してくれていて、まぁ、久しぶりの再会は、やはり楽しいものですね。

定番の骨酒も味わえた宇都宮の朝日さん釣り談義は尽きない
オウレンが春真っ先に花咲くようやく咲き始めたフクジュソウ春の使者、マンサク

【3月21日】

翌朝は雲一つ無い快晴でした。気温もそれなりに上がるとの予報で山歩きには絶好の状況ではあるのですが、ここでチョット気になることがありました。5月連休明け頃までのこの時期は、大雨で一旦増水すると、水が引いて透明度が上がってきた頃に水温が急激に下がり、魚の活性が急低下して全く釣りにならないことが多いのです。雨が降っている間はまだ釣れますが、雨上がりの翌日の方がもっと厳しくなるのが普通です。山上の残雪に雨がしみ込み、暫くしてから非常に冷たい雪代を作りだしてしまうからではないかと考えていますが、正にこの日はその条件にハマっていました。

翌朝は快晴に恵まれた残雪の上をいざ出発この時期、スノーシューは必携だ

車止めからはスノーシューを履いて2時間ほどの行程を歩くことにしました。今年は12月に多く雪が降り、その後はあまり降雪が見られなかったため、予想通りに残雪は良く締まっていて歩きやすいのですが、それでもやはり地面を歩くのとは違って相当に疲れます。雪上の2時間の行程は、雪の無い林道なら倍ほども歩けてしまいそうな雰囲気でした。しかしそれにしても今年は残雪が少ないですね。2時間も歩いて相当高度を上げたにも関わらず、残雪の厚みは1mほどしかなく、これならあと2週間もすればここまで車で入り込むことが可能ではないかと思われました。例年なら5月連休でも全く入れない道路なのにです。

誰も入っていない道をひたすら歩くしかし雪上歩行は疲れる残雪は約1mと非常に少ない
最初の淵で会長がヒット幸先は良さそうに見えたが・・・シーズン初の源流イワナは25cm

そしていい加減に歩き疲れてメゲてきたころ、本流が眼下に近く見えはじめ、いよいよ今年最初の源流釣行の開始です。降り立った場所に有った淵の緩い巻き込みに会長が餌を投入すると、まずは25cmほどの非常に綺麗なイワナがヒット。これは幸先がよいかな・・・と思ったのですが、あとが続きません。会長さんだけが小さな2尾目を同じ淵で釣りあげましたが、他のメンバーは全く反応が無いのです。林道からは穏やかに見える渓水ですが、いざ近寄ってみると流れは非常に太く、強烈な強い水流なのです。しかも通常は淵や巻き込みになっていそうな場所も、殆どが強い水流に押されていて、これではイワナ達の定位する場所が殆どありません。

・・・しかし後が続かない小さなイワナがヒットこのあと、誰も釣れなくなった
素晴らしきかな源流の流れ・・・佐谷名人が粘るが、しかし魚信はなかった

強い雪代が堰堤プールやダム湖に大物を流下させると考えていますが、なるほどこの強い流れを見ていると、その考えが正しいことを確信できました。恐らく降雨直後はもっと流れが強く、しかも魚たちには濁りで目が利きません。水温も非常に低く、魚たちの遊泳力もあまり高くはありません。ましてや夜に大雨が来たりするとどうでしょう。もはや流されるままに下流部へ落ちて行くしかないとしか思えません。こういった大雨や気温上昇による強い雪代が何度も何度も発生して、やがて下流部の堰堤プールやダム湖に大物がごっそりと溜まってしまうのでしょう。雪国ならではの、釣りの醍醐味がここにある様です。

流れが太く、ポイントが殆ど無い小沢にも入ってみたが、小物のみいやはや、疲れ果てて・・・

それにしても流れが強すぎて、魚の定位できそうな場所が数百mに一か所程度しか見られず、これでは殆ど釣りになりません。そして本流をひとしきり釣り上がりましたが、その後は全く魚信すらなく、太い流れの中の釣りは早々に止めてしまいました。ミノーでのルアーフィッシングも試みてはみましたが、やはりこの水温と強い流れでは全く反応もなく、すぐに竿をたたむハメに。時間はまだ午前9時過ぎでしたが、一旦は休憩を入れ、作戦の練り直しです。しかしなんですね、道路から河原に降りるのは楽ちんですが、河原から道路までの残雪の登りは地獄です。これを何度か繰り返すと、いやはやすっかり疲れ果ててしまいました。

セリバオウレンイワウチワの赤い葉早春の定番はフキノトウ
小沢も激流で遡行が辛い沢を釣る朝日さんしかし・・・なぜかチビヤマメ

その後は強い流れを避けて、近くにあった小沢に入りました。恐らく夏になれば水が殆ど流れてもいない様な小さな沢なのですが、大雨の翌日と言うことで、激流でそれでも遡行がままなりません。しかしここでは魚信がありました。ただ、最初に朝日師匠の竿を曲げたのは、17〜8cmのチビヤマメでした。2時間も歩いた場所とは言え、夏なら車でラクラク入れてしまう場所ですので、どうやら漁協さんがヤマメをしっかりと放流している様でした。イワナも混じりますが、型が小さいのは小沢であるため仕方がありません。やはり大物はこの時期、下流部のダム湖か堰堤プールに限るようです。

ようやくイワナの引きが来た小ぶりだが待望のイワナ7寸ほどの綺麗な源流のイワナ
その後も粘るが・・・小さなイワナが少々・・・春の息吹が聞こえてくる

その後は下山しながら再び下流部の沢にも挑戦しましたが、この日はどこへ入っても満足の行く釣果は得られませんでした。やはりこの時期は水温の変化こそが重要であり、タイミングが非常に難しい様です。さて、こうして今年も渓流釣りのシーズンが本格的にスタートしました。今年は季節の移り変わりが早く、恐らく山の林道も1ヶ月程度は早く開通するのではないかと考えています。4月は気温の高い日が続くと予想されていて、例年よりもかなり早い時期に釣りのピークがやってくることは間違いないでしょう。これからの半年間、どんなドラマが待ち受けているのか、ワクワクするばかりです。

車止めのすぐ近くまで戻り、最後の最後に、朝日師匠が釣り上げた26cmが、この日の最大だった

【今回使用のタックル】
KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、Shimano SensiLite MG2500、Kureha SeagerAce1号(6lb)、D-contact50S鮎/TS/緑、他