今年はダム湖の釣りに一生懸命になり過ぎて、気が付けば堰堤プールの釣りのシーズンも最盛期を迎えていました。例年なら5月末ころから始める堰堤の釣りは、今年まだ4ヵ所5回だけ。それもダム湖の釣りの合間にチョイ釣りが多く、まともな釣果は2回だけしかありません。でもま、シーズンが終わってしまわないうちに、1度はレポートをしたためておきたいと思います。今年の堰堤プールの釣果はちょっと変っていて、色々とその要因も考えてみました。なお、前半は今年最後に狙ったダム湖上流の大物釣りについてもレポートします。 【最後のダム上流の大物狙い】
例年なら5月の末には終わっていたダム湖の釣りですが、今年は6月に入っても執拗に大物を追いかけています。ただ、ダム湖と言っても湖の釣りではなく、前回のレポートでお届けした様なダムのすぐ上の流れに居座った大物狙いであり、釣り場は普通の源流釣りと大差はありません。ただし、ウグイがウジャウジャの中で数少ないイワナの大物を狙うのは、そう簡単ではありません。透明度も高く、イワナの着き場も様々で、なかなかに悩ませてくれる釣りなのです。難しいがしかし超大物の狙えるこの釣りは、来年以降も病みつきになりそうです。
しかし、そろそろこの釣りも終盤なのでしょうか。恐らく大雨で増水した時が大物の移動のタイミングとなるのではないかと考えていますが、幸いにも今年の6月は殆ど雨らしい雨が降らず、なんとか大物たちが居残ってくれていた様なのです。この日も2尾のイワナを仕留めることができましたが、ダム湖の水位が下がったばかりの頃に比べると、めっきりと魚影が薄くなってしまいました。それから、やはり流れの中で1ヶ月近くも泳いでいたせいか、釣れた2尾はいずれも茶色っぽく、尾びれも赤色を帯びてきています。餌が変ると1ヶ月程度で体色も変化するというのは、どうやら正しいようです。
この日は偶然にも天童市の斉藤さんがこの釣り場に来られていて、私が先に入ってしまったためか、彼には釣果が無く、申し訳ないことをしてしまいました。それでも彼は気にすることもなく釣り談義に付き合ってくれ、色々とお話を聞かせて頂きました。例年ならポイントごとに大物が姿を現し、数ももっと釣れたそうですが、今年は雨が少ないせいか、透明度が高く水量も少なく、釣果は最低レベルだった様です。ただ、ダム上流部での最大はそれでも47cmだそうで、やはり釣る人には釣れている様です。私はこの釣り場を今年最後にしようと決めていましたので、また来年お会いできることを楽しみに、お別れしました。
【ホームグランドの堰堤プール】 さて、本題の堰堤プールのルアーフィッシングのお話ですが、今年最初に入った釣り場は、当然ながら毎年最も頻繁に通っていたホームグランドの堰堤プールです。今から10年ほど前なら尺〜45cmくらいのイワナが結構な数、釣れたものですが、今やその面影は殆どありません。昨年はそれでも48cmの大物が出てくれましたが、毎年どんどんと釣れなくなってきています。理由は様々考えられますが、やはりこの堰堤の源流部が毎年の様に釣り雑誌に紹介される様になったのが大きいと考えています。源流部と堰堤プールで釣れる魚たちは、季節により場所を変えているだけで、同じ魚たちなのですから。
この日は午前中に別のダム湖へと出漁していて、堰堤プールへは午後3時ころからの入渓でした。久し振りにフローターを浮かべ、のんびりと釣り始めたのは良いのですが、幾らミノーを投げ続けても、まるで反応が有りません。お天気は薄曇りで気温も温かく、透明度もまずまずの絶好の条件で、釣れないはずが無い状況だったのですが、これだけ魚影の見られないのも逆に珍しい状態でした。もう100回以上も延々とミノーを投げ続け、最後のインレット近くまでやってきて、ようやくヒットしてくれたのが下写真のおチビちゃん。結局、釣果はこの1尾だけで、相当にガッカリの日でした。
【2つ目の堰堤プール】 別の日に2番目に入った堰堤プールも、その昔、中型ではありますが、数釣りを楽しめた釣り場でした。この堰堤はそれほど広くなくフローターも必要ないくらいの規模であり、超大型は見られません。しかし、この日は中型すら見られず、午後の2時間ほどの釣りでヒットしたのは写真下中央の、これまたおチビちゃん1尾だけ。あれだけ沢山いたイワナたちは、一体どこへ行ってしまったのでしょう。その理由として考えられるのは、岸辺に沢山立ち並ぶY字型の木の枝しか思い浮かびません。一部の節操の無い餌釣り師たちが、次から次へとやってきては、イワナを根こそぎ持って帰るのです。中にはトロ箱に溢れるほどの魚を持って行った釣り師もいます。
非常に残念なことですが、県内の地元の釣り師の間には、少なからず節操の無い人たちがいる様です。勿論、どこに行ってもそういう人たちはいるものですが、その割合がかなり高い様に思えます。その理由は、面と向かって誰も注意しない・文句を言わない県民性にあるのではないかと考えています。例えば、片側2車線の13号線を走っていると、追い越し車線を非常なのろのろ運転でふさぎ、渋滞を作っている様なマイカーがいるのですが、誰も文句を言いません。他県であれば後続車がすぐに合図をするのですが、誰もそれをしないため、そのドライバーは後続に迷惑をかけていると言う意識すら無いのです。同じ様なことが県内の様々な社会・業界にもあり、同様に釣りの世界にもあって、節操の無い釣り師が跡をたたないのではないかと考えています。 注:上記は、ミャク釣りとは異なる特殊な方法で乱獲を行うごく少数の釣り人の話であり、一般の餌釣り師のみなさんを批判しているものではありません。
【3つ目の堰堤プール】 私自身、そういった節操に欠けた釣り師に注意を促した経験が何度かありますが、驚くことに、意外と素直にこちらの意見を受け入れてくれる人が多いのも、山形の特徴です。やはり皆で教えあわないと世の中良くならないと言うことでしょうか。(ただ、遠来からの釣り師には注意が必要です。逆切れされることが多いのです。)そしてもう一点、このホームページの存在も問題かも知れません。具体的な釣り場は伏せているものの、どうしてもそのうちに知られてしまい、そういった餌釣り師たちを一部の釣り場に引き寄せてしまっている可能性があります。写真を全く別のものにスリ替えたりして釣り場を判らなくしていますが、これは私にとって永遠の課題です。
そして、同じ様な経緯で釣れなくなってしまった堰堤プールが、この日入渓した3つ目の釣り場でした。ここも10年ほど前は、尺〜45cm程度のイワナが束になって釣れていた素晴らしい釣り場でしたが、ここ数年はすっかり魚影が無くなってしまいました。ここも岸辺にはY字型の木の枝が林立しており、数人の餌釣り師たちが頻繁にやってきては根こそぎイワナを乱獲している様子が見て取れました。午後3時ころに入渓し1時間ほど攻めてみましたが、釣れてきたのは写真上右の小さなイワナが1尾と同サイズのバラシが1回だけ。Y字型の木の枝を見た瞬間に予想できた釣果ではありましたが、想像以上の魚影の薄さには呆れてしまいました。
この日は堰堤プールでの釣りを早々にあきらめ、その源流部を1kmほど釣り上がってみています。渓相は非常に素晴らしく、野生のツツジの鮮やかな濃いピンクが目を楽しませてくれます。しかしその美しい風景とは裏腹に、魚影はまるで見えません。かろうじて3尾の小さなちいさなイワナがヒットしてきましたが、良く見ると尾びれの先端に切れ目の入った、つい最近になって成魚放流されたばかりであろうイワナたちでした。イワナは繁殖力が強く、雑誌などによる釣り人の集中さえなければ、多少持ち帰っても絶えることはほとんど考えられません。しかし、何度も何度も釣れなくなるまで全て持ち帰れば、堰堤プールだけではなくその源流部でも、釣れなくなってしまうのは当然でしょう。
【4つ目の堰堤プール】 さて、4番目に紹介する堰堤プールだけは、今のところ例外でした。この堰堤プールは道路からかなり離れていて長い道のりの徒歩を要求され入渓が難しく、しかも急な勾配を上り下りしなければ岸辺に到達できません。餌釣り師に攻められても、その大量の魚を持ち帰ること自体が困難な場所に位置しています。また岸辺は非常に厳しい崖に取り囲まれていて、餌で釣れる場所がほとんどありません。加えて、山形市からは非常に遠く、高速を使っても2時間以上もかかってしまいます。そのせいか、これまで餌釣り師の姿を一度も見たことが無く、魚影が温存されている様です。
この日は午後からの遅い入渓でしたが、1投目で40cm近い良型がヒットし、その後は2時間半ほどの間に40cm↑2尾(44,43cm)、尺〜39cm13尾(38,37,37,37,36,35,35,34,33,32,31,31,30cm)という、正に入れ食いの状態を楽しむことができました。渇水でプールはやや小さくなっており、水深も深いところで2m程度とかなり浅い状態でしたが、魚たちは比較的水深のある場所を選び、まばらに散らばっている様でした。プールの下流部ほど深くなっていて、付近ではどの方向に投げても釣れるのですが、やはり大物は一番深いところを占領しているのか、堰堤のコンクリートのキワに落としたDコンタクト50S鮎に来た43cmが堰堤下流部での最大でした。
1時間半ほどの入れ食いを楽しんだ後は大きく移動し、インレット付近のやや流れのあるポイントも狙っています。途中は非常に浅くて魚の姿は一旦消えますが、インレットに近づくと水温が下がり、再び魚影が見え出します。そして、川の水がプール入り口付近で緩い流れに変化するあたりに大物が定位していました。まずは44cmのこの日の最大サイズを釣り上げた後、もう一尾の40cmクラスを掛けましたがこれは惜しくもバラシ。更に投げ続けると黒い魚影が追いかけてくるのですが、透明度が高く、ヒットには繋がりません。他の釣り場と同様に、1尾釣り上げると場が荒れてしまい、あとが続かない様です。
また、これらのイワナたちはどの魚体も丸々と太っていて、こんな狭いエリアのどこに豊富な餌が存在するのか不思議でしたが、パンパンに膨らんだイワナの腹を握ると、なにやら泥の塊の様なものが飛び出してきます。良く見るとそれは泥にまみれた細い糸状の塊であり、どうやらイワナたちはプール底の泥砂に湧く糸ミミズ(写真上左)を主食としていて、餌には全く困ってはいない様子でした。渇水してプールが小さくなっていても、非常に豊富な餌があるために魚たちは遡上せずにプール内に留まっていられるのでしょう。今年は6月に殆どまとまった雨が無かったため遡上が遅れていて、この様な状況が保たれていたのではないかと考えられました。
そして、この堰堤プールには日を改めてもう一度出かけています。この日は更に水位が低下していて最深部でも1m半程度しかなく、プールも更に小さくなっていました。時間は午後の1時半から4時までの2時間半でしたが、40cm↑4尾(44,43,42,40cm)、尺〜39cm13尾(38,38,38,37,37,35,34,34,33,32,32,31,30cm)の超入れ食い状態でした。本当はまだまだ釣れたのですが、いくらリリースしているとは言え、鉤に掛けてしまった魚の5〜10%は確実に死んでゆくことが判っており、数多く釣り過ぎることは、結局は節操の無い餌釣り師たちの乱獲と同じことをしていることになってしまう訳であり、日の傾き始めたころ、ロッドを納めました。
さて、堰堤プールの釣りも既に最盛期を過ぎようとしています。豊富な餌に恵まれたイワナたちも、産卵の準備のため、もう間もなく大挙して源流部へと遡上を開始すると考えられます。遡上開始のそのタイミングはもちろん大雨による増水です。6月に雨が降らなかった南東北ですが、そろそろ梅雨入り本番であり、まとまった雨がまもなくやってきそうなのです。増水後の笹濁りの流れの中を、大型のイワナたちが尾びれを立てながら猛烈なスピードで源流部へと急ぐ姿が、まるで映画の1シーンの様に目に浮かんできます。そうやってまた子孫を残し、未来永劫に渡って我々を楽しませてくれることを、心から願うばかりです。 【今回使用のタックル】 CreekCompany The Original U-Boat、Wellner 8ft TroutRod、Shimano SensiLite MG2500、 Kureha SeagerAce1.2号(8lb)、D-contact50S鮎/TS、Cortac YamameSpoon、他 |