山形渓遊会の春の例会に参加してきました。今年は例年よりも春の訪れが早い様で、水温も既に高くなり、ルアーにもコンスタントに釣果の見られる楽しい釣行となりました。残雪の傍らに野草花と山菜、仰ぎ見れば新緑と青空、足元には雪代の清冽な流れは、半年振りに本当に心洗われる釣行でした。この源流の入り口には大きな堰堤プールがあり、レポートの後半では、以前から気になっていたこの堰堤プールのルアーフィッシングについても紹介します。 【4月30日(水)】 渓遊会の春の例会と言えば、会長さんの希望でゴールデンウィークの初日前夜に現地入りし、都心部からの釣り客が入る前に釣ってしまおうと言うのが例年のパターンでしたが、今年は当の会長さんが連休初日に仕事を入れてしまい、めずらしくのんびりとした釣行になってくれました。このところ私の体調が思わしくなかったため、気を使って林道の整備されている釣り場を選んでくれたりもして、まぁ、どちらかと言えば釣果などどうでも良い私にとっては、願ったり叶ったりの春の釣行でした。会長さんにはこの場を借りてお気遣いに心から感謝しておきましょう。
メンバーはおなじみの渡邉渓遊会会長と佐谷名人、私K++の3人です。今回は連休中とはいえ平日だったためか、他のメンバーは仕事で残念ながら×。結局いつものヒマな3人だけでした。釣り場は、過去にも2回ほど入ったことのある、渓遊会にしてみればおなじみの源流でした。ザラ瀬が多くて餌釣りには少々釣り辛いのですが、山が浅いためか早春から雪代が少なく、水温もこの時期にしては安定していてルアーでも十分に楽しめる、どちらかと言えば私好みの渓です。GWの最初の3日間は冷たい雨の降るお天気でしたが、29日から一変して快晴の気持ちよいお天気が続いてくれ、この日も源流行には最高の日でした。
ぬける様な五月晴れの青空と新緑のコントラストが素晴らしく、足元には赤や黄・白・紫の野草花が風にそよぎ、清冽な雪代の流れからは宝石の様に輝くイワナたちが飛び出してくれる・・・長い冬の半年間、待ちに待った瞬間です。春の例会での私の楽しみは、どちらかと言えば釣果よりも野草花の写真と山菜となりますが、写真以外は他のメンバーも同じで、途中、ゼンマイの群生に出くわし、山菜採りに夢中になってしまって釣りを忘れてしまうほど。釣果の方もまずまずで、水温が高いおかげでミノーでもしっかりと釣果が出てくれます。大型こそ出ませんが、餌釣り・ルアー釣りともに、満足の行く結果でした。
この釣り場はそれほど太い流れでもない割には奥が深く、結局、魚止めまでは到達できませんでしたが、中間の巨岩帯を過ぎたあたりから魚影が濃くなり、お昼近くには餌釣りの2人は結構な良い思いをしていました。そして、雪代で増水してきたため、2時ころには早々に切り上げ、林道をのんびりと帰路に着きました。ところで、この源流の入り口には写真右下の様な大きな堰堤プールがあり、前回この渓を訪れた時にも非常に気になっていたものです。今回、帰り道にちょっとだけ竿を出してみたところ、なんと2投目で35cm前後のイワナがルアーを追いかけて来たのです。これが後日の行動を大きく変えてしまうとは・・・
さて、夜はお決まりの宴会です。これが楽しくて山に来ている様なものですね。今回も豊富な山菜に少しだけのお魚さん、それになぜか下写真の様な高級酒?がたっぷりでした。今年の山菜は少し季節の移り変わりが早いのか、いつもの採れる場所では伸びすぎたものが若干多かったものの、そこは源流釣りのありがたさです。標高の高い源流部や渓畔の冷たい空気の当たる所に生える山菜を選んで採取することで、例年通りに数も種類も確保できてしまいます。源流部にはまだまだ巨大な雪渓が残っていて、その傍らではフキノトウでさえ採取できてしまいます。
今回採取できた山菜: シドケ、ウド、コゴミ、タラノメ、コシアブラ、ウルイ、イワダラ、ゼンマイ、ワラビ、など 会長のテンプラも最近は定番になり、今回はもちろん沢山の山菜がそのネタになってくれました。中でもウド芽やシドケの様なアクの強い山菜は、テンプラには最高に合いますね。うまいテンプラにうまい酒・・・ついついお酒も進んでいつもの様に酔っ払い過ぎてしまうのです。これで何度、翌朝の釣りをパァにしたことか・・・今回も全くその通りでした。ま、それで良いのです。渓畔で呑んだくれるのが我々の最大の目的ですからねぇ。
【5月1日(木)】 翌朝はいつもの通り?日が高くなってからの起き出しです。連休のど真ん中で、しかもこんな遅い時間帯に、まだ釣り人の入っていない渓などほとんど存在する訳もないのですが、そこは我が渓遊会のこと、小さな源流で誰も見向きもしない釣り場を幾つか知っています。二日酔いで重い足を引きずりながら、のんびりとそんな渓に入ってみました。ところがここでちょっと変った事が・・・この渓も以前に何度か入ったことがあり、下流部から結構な魚影のあることが判っていましたが、なぜか会長さんは竿を出さずにすっ飛ばします。余りに細い流れのため、すぐにルアーでは釣り辛くなるんですけど・・・知らん顔してどんどん奥へ行く会長さん・・・おいおい。
あっと言う間に支流が2つ・3つと入ってきて、その分、流れはますます細くなり、またいで渡れるほどになってしまいました。・・・会長はん、これじゃぁルアーじゃ殆ど釣りになりませんがな。水溜まりを見ると性格が変ってしまうのは、相変わらずでんなぁ。・・・ようやく竿を出したかと思うと、案の定、まずは佐谷名人に32cmの良型イワナが来ちゃいました。そこからは餌釣りの2人は調子良く釣りあがり、わたしゃすっかり写真班にさせられてしまったという訳です。なんてこったい!
この源流ですが、人が殆ど入っていないのか、小沢の割には大型が豊富に残っていて、調子に乗ってどんどん奥へと釣り上がる2人を尻目に、結局、私は途中で付いて行くのを放棄してしまいました。帰り道の途中の渓畔には、綺麗に苔むした岩棚の休憩場所があり、ひとりのんびりと昼食を楽しみます。傍らに生えているウルイやコゴミをちょいと摘んでラーメンに入れると、多少の苦味があるものの、食べ慣れればこれが最高にうまいのですねぇ。その後は、会長さんがすっ飛ばして歩いた下流部を釣り下がり、しっかりと尺近いイワナを連続ヒットさせ、皆の仇を取ってやったとサ。
【5月4日(日)】 さて、今回のお話はこれでおしまいではありません。5月2〜4日にかけて下越のダム湖にいた私は、4日の午後になり、前述の堰堤プールに舞い戻ってきています。あの良型イワナのチェイスを見てしまって以来、気になって仕方が無かったのです。前日にダム湖で一緒に釣りを楽しんだ新潟のBuuさんともっくんですが、ダム湖の釣果が今年はイマイチで、かなりのフラストレーションが溜まっていた様子。この堰堤プールの話をすると、二つ返事で同行が決まってしまいました。この日は快晴のとても暖かい日で、かなりの雪代が出ていた様子で、堰堤プールの水はかなり濁っていました。
まず、もっくんがDコン63Sをプールに投げ込みます。すぐにアタリがありましたが、残念ながらバレてしまいました。これはイケルぞ!とばかりに私がDコン50S鮎を遠投すると、一発でアタリが出て、まずは34cmの良型イワナが釣れ上がってきました。気を良くした皆は、次々とルアーを投げ込みます。Buuさんには33cm、32cm、31cmと尺上5尾に全部で8尾の釣果。もっくんはなぜかバラシの連続でしたが、それでもそこそこのサイズを2尾ゲット。わたしはどちらかと言うと横で見ていたばかりで、すでにこの時、次の作戦を頭の中に練っていました。
【5月11日(日)】 堰堤プールまでは車止めからかなりの距離を歩かなければなりませんが、そこは根っからの堰堤プールの釣り師の私のこと、多少の苦労は覚悟でもフローターを浮かべてみないと気が済まないのです。翌週も土曜午後から下越のダム湖に入っていた私ですが、日曜は午前中にダム湖を切り上げ、午後から再び件の堰堤プールへとやってきてしまいました。前週の好釣果を聞いた風玉さんも加わり、今回は4人での釣行となったのです。そして、期待に大いに胸を膨らまし、勇んで釣り場に臨んだのですが・・・前週とはかなり状況が変っていました。この日は曇りの少々寒い日であったためか、堰堤プールの水は非常に透明度が高く、底が丸見えなのです。こりゃ相当に手ごわいゾ。
案の定、皆で交代でルアーを投げ続けましたが、イワナのチェイスは見られたもののまるでヒットに至りません。場所を変えてもまるでダメ。魚影はあるのですが、ルアーを見切られてしまっていて、全くヒットしないのです。唯一苦労してフローターを持ち込んだ私でしたが、状況は全く同じで、Dコン鮎やヤマメでは、トレースは見られるものの、ヒット無しです。しかしこういった状況下でも釣り方はあるものです。過去の経験から、緑系の目立たないミノーで湖底ギリギリをゆっくりと、しかし派手なアクションでトレースすれば、十分に可能性のあることが判っています。写真下左の、鉛を2重に貼り付けた緑のスーパーシンキングミノー(実はこれ、3年前になべちゃんさんから譲り受けたミノーでした)に取り替え、大遠投を試みました。
そして理論通りにミノーをトレースすると、やがて35cmの丸々と太った非常に綺麗なイワナがヒットしてきました。その後もイワナの定位していそうなブッシュ周りに、場所を代えルアーを遠投し続けることで、25〜35cmのイワナが6尾ヒット。ただ、源流部がそれほど太く無いせいか、サイズは35cm止まりと少々物足りません。やはり上流により大きな河川を擁する堰堤プールでないと、40cmを超える様なサイズは難しい様でした。釣果の無かった皆さんですが、そこは根っからのイワナ釣り師たちです。堰堤の上ではなく、その堰堤の下のプールで、型こそ小さいながらも全員釣果が見られた様で、まずは一安心して帰路に着きました。
【今回使用のタックル】 源流の釣り:KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、Kureha SeagerAce1号(6lb) 堰堤の釣り:Wellner 8ft TroutRod、Kureha SeagerAce1.2号(8lb) Shimano SensiLite MG2500、D-contact50/63S/鮎、WeightedSuperSinkingMinnow50S/緑、他 |