今年は季節の移り変わりが普通ではないのですが、ダム湖の釣りに夢中になっている間に、いつの間にやら堰堤プールの釣りの最盛期を迎えてしまっていた様です。今年の小雪の影響は堰堤プールでも大きく、予想通りに魚影は薄い様です。そんな中でも、新しく見つけた堰堤プールに挑戦を試みたりしながら、それなりの釣果を見ることはできています。ホームの堰堤プールでは、奇跡的とも言える非常に奇麗な源流育ちの大イワナに巡り合うこともでき、最盛期の堰堤プールを楽しんでいます。 ![]() ![]() 【6月9日(土)】 今年初めての堰堤プールの釣りは、私のホームグランドとなっているおなじみの釣り場に出かけました。この釣り場は、10年ほど前には40cm近い良型イワナが何尾も釣れた実績のあった場所ですが、最近は人が増え、昔の面影は無くなりつつあります。それでも、自宅から近くで思う存分釣りを楽しめる場所として、毎年、堰堤の釣りの最初に訪れることが多いのです。このところの週末の雨続きで水量はタップリと有り、条件としては決して悪くはない日でした。
しかし釣り始めて少々ガッカリしました。何回も通っているため、季節ごとの魚の付き場をほぼ心得ているつもりなのですが、いつものポイントで、魚影が全く見えません。魚たちは早期にはプール全体に広く分布し、晩期になるにつれインレットに近いポイントへと移動してゆくものですが、この日はインレットに近い一番の大場所の少し手前まで来て、やっと20cmほどのチビが1尾だけヒット。この日は午後からの釣りだったため、そうこうするうちに辺りが薄暗くなって来てしまいました。
そして、今日はもうこれでおしまいか、と諦めかけ始めたころ、その一番の大場所でやっと良型が出てくれました。天童市の「かのかの虫」さんが今年、新しく見つけられた堰堤で45cmオーバーを何尾か釣られたそうですが、5月中旬の時点でインレット付近ばかりのヒットだったとのこと。どうもこのホームの堰堤でも状況は同じ様です。やはり季節がだいぶ早く進んでしまっているのが原因でしょうか。それにこの魚影の薄さは普通ではありません。やはり今年の小雪の影響が色濃く出ているのでしょう。この日の釣果は上記の2尾だけでした。
【6月10日(日)】 翌日曜は昨年新しく見つけた堰堤を午後から攻める予定でいましたが、午前中はその近くのちょっとした源流に入っています。この渓は入り口にゲートがあって早期は車では入れません。前日にゲートが開いたとの情報を得て、感触を確かめるために入渓してみました。しかし、まだ誰も釣っていない渓と言うのは、流石に良く釣れますね。ただ、数が多すぎるせいか、大物が出てきません。雨で濁っていたこともあり、ルアーを投げずに竿先にラインを2m程度垂らし、ルアーをポイントに落としこんでは誘って釣るという、まるで脈釣りの様な釣り方で、次々と小物をヒットさせることができました。たった500m程の距離で、7寸前後が9尾の釣果でした。
そして本題の午後からの堰堤ですが、上記と同じ水系であり、上流部は小沢ばかりの小さなプールです。堰堤プールの獲物の大きさは、その上流部の水量に比例すると考えていますが、ここではそのセオリーがそのまま証明された様な釣果でした。7〜8寸が入れ食い状態で、ここぞと思うポイントからは必ず魚がヒットしてきました。ただ最大でも25cmと小ぶりなイワナばかりで、やはり上流の水量が少ないためか餌不足で大物が育たない様です。この堰堤でもちょうど10尾のヒットがあり、まぁ、それなりに楽しめはしましたが、少々欲求不満の残る釣りになってしまいました。
【6月16日(土)】 翌週はかねてより攻めてみたいと思っていた未知の堰堤プールに遠征しました。山形市からは非常に遠く、高速経由でも2時間以上もかかるため下越の堰堤に行くほうが近いくらいですが、この時期の下越は今年の異常な小雪で良い情報が全く入っておらず、方向を別に定めたと言う訳です。この堰堤プールは規模がかなり大きく、源流部の水量もとても多いため、大型魚の有望な釣り場としてかねてより注目していました。ただ、全くの未開拓であり、行って見ないと釣れるかどうかは判りません。しかも歩きも要求される場所にあるため、その苦労を考えると大冒険でした。
ただ、現場に到着して、すぐに釣果が期待できることが判り、安心しました。湖畔にはボートが係留されており、しかも、壊れたウキが落ちていました。地元の人たちが釣りをしているのは間違いありません。早速フローターを用意し、期待に胸を膨らませて初めての堰堤プールに漕ぎ出します。ただこの日は午後からの入渓であり、ドピーカンの雲一つない快晴で、しかも気温もそうとう上がっています。こんな条件では夕刻までサッパリ釣れないのではないかと思いながら、フローターを漕ぎながらDコンタクト50Sアユを適当に投げてハンドトローリングをしていると、いきなり32cmのイワナがヒットしてきました。午後のまだ3時でした。
今年ダム湖の釣りで覚えたハンドトローリングですが、実はフローターでも可能です。速度はエレキ付ボートよりは遅いのですが、堰堤プールは基本的に深さ2〜4mと浅いのが普通であり、シンキングミノーを底まで落とし、その投げる距離を調節さえすれば、底付近をストップ&ゴーで十分に攻めることが出来ます。上記のイワナも、底近くまで落とし込んだミノーを引き上げる瞬間にヒットしてきました。どうやらプールの底にはイワナ達が広く分布している様であり、これはこのプールの魚影が相当に濃いことを示しています。その後、夕刻までにインレット付近まで移動しながら、この日は34、33、32、31、20cmの5尾の釣果でした。
【6月17日(日)】 翌日曜は早朝から同じ堰堤プールを攻めました。前日にかなりの釣果が期待できることが判明したため、釣り場近くで車中キャンプを決め込み、この日は朝一番で大物を狙う作戦です。まだ薄暗い中を車で現場に向かっていると、地元の釣り人に出くわしました。岸からの餌釣りの様であり、どうやらここは地元の人達には結構有名な釣り場の様です。しかしなんですね、山形市近辺の堰堤プールはサッパリ釣れなくなってきていますが、それはどうも私がHPで紹介しているのが原因の様ですね。幾ら場所を伏せていても、やはり判る人には判るのでしょう。少し足を伸ばせば、まだまだ良く釣れる堰堤プールが沢山ありそうです。
それにしてもこの日の早朝は良く釣れてくれました。規模の大きい堰堤プールのため、釣れてくる魚たちは殆どが尺を超えるサイズであり、しかも午前中だけで10尾以上がヒットしてきました。ただ、これだけ魚影が濃いと、中・小型が先にヒットしてしまうせいか、大物はなかなか姿を現してくれません。また、この日も朝から非常に良いお天気であり、午前8時ころには一気に喰いが渋ってきました。加えて、前日に散々ルアーを投げているせいか、ややスレ気味であり、ルアーを追ってきても喰いつかなくなってきていました。結局、この日の午前中の最大は35cm止まりと、少し物足りない結果になってしまいました。
早々とインレットの釣りが終わってしまったため、その後はこのプールに注ぐ本流を釣り上がってみることにしました。例年より季節が早いため、プールの大物が本流を遡上し始めている可能性があり、それを確かめるためです。水温が低い間はプールに集結していた魚たちも、ある程度水温が上がってくると、源流部を目指し遡上を開始します。遡上開始からある程度時間が経ってしまうと、スレるのか川に慣れて用心深くなってしまうのか、大物は濁りのある時など、ごく限られた条件下でないと釣るのは難しくなってしまう様です。しかし遡上開始直後ならまだ釣り易く、インレットから数kmの範囲で大物が良く釣れることがあるのです。
ただインレットに上陸した9時過ぎには、別の餌釣り師お二人が山越えのルートで到着したばかりで、私はその直後を釣るハメになってしまいました。そのうちのお一人はかなりのベテランの様で、もう何年も前からこの渓を釣り歩いているとのこと、色々と堰堤や渓の状況などを教えてもらうことができました。私は彼らの後ろを追う形で釣りましたが、不思議にも餌釣りで8寸クラスを釣り上げた直後の大淵で、38cmの非常に奇麗なイワナがヒットしてしまいました。また、5分程度写真撮影などをして付近をザバザバと歩き回った後に、念の為にと淵尻にもう一度Dコンを投げると、またまた40cm近い大物が脇から飛び出してきましたが、これは惜しくもバラしてしまいました。
餌で釣った直後でしたのでヒットこそしませんでしたが、他にも別の淵で35〜40cmクラスのトレースを2尾確認しています。やはり遡上したてのイワナは、人影もあまり気にせずにルアーに突進してくる様です。ただ、インレットから4つほど大きな淵を越えると、ピタリと大物の姿は見えなくなり、6〜7寸クラスばかりになってしまいました。どうやら遡上は開始されていたものの、まだ下流部のごく短い距離だけに魚たちは留まっていた様です。それにしても餌で無反応なのにルアーには果敢に喰いついて来る彼らの心境はどういったものなんでしょうね。やはり大物は大きな餌で釣れ、と言うことなのでしょうか。そして、午後は3〜5時ころまで再びプールで釣りましたが、39cmと33cm、他に小物を数尾追加してこの日の釣りを終えました。
【6月18日(月)】 翌18日は月曜でしたが、実を言うと新潟の超大物イワナで有名な某ダム湖へ遠征しようと3連休にしていたものです。ただ、状況を聞くにつれ、某ダム湖へは足が向かなくなってしまいました。大物は釣れそうですが、釣り宿や常連さんがガチガチに釣り場を固めていて、どうもそういった釣り場へは行く気がしないのです。そのため、未開拓の堰堤を目指した訳ですが、流石に2日もフローターで釣っていると疲れるもので、17日(日)は一旦山形の自宅へ帰り、月曜はホームグランドの堰堤プールでのんびり釣ることにしたのです。しかしこの日は、予期しない大物が飛び出してくれ、結果的に大満足の3連休になってくれたのです。
時間は既に辺りのすっかり明るくなった午前6時過ぎ。この週は雨があまり降っておらず、透明度は前週にもまして非常に高く、不用意に近づくとフローターでさえ何も釣れない状況です。逆にこういった状況下では、プール脇の細かなポイントを狙うのではなく、プール中央にルアーを大きな音を立てて着水させることで、プール全体から魚をおびき寄せて釣る手があり得ます。そんな考え方で、この日はひたすらプール中央部にミノーを遠投し、底付近をゆっくりゆっくりとトレースしてみました。インレットから500mほどの距離まで来たときでした。足元まで来たミノーが底を切った瞬間に根掛かりの様な反応があり、写真の48cmがヒットしてきました。
私のこだわりは「源流育ちの大イワナ」でしょう。より大きな魚を釣りたければ、海外や北海道に行けば良いのです。地元のいつでも出かけられる様な場所で、奇麗な水・奇麗な空気・奇麗な景色の中で、のんびりと、それでいて誰も釣り上げられない様な獲物を釣り上げたいのです。それは場所ではなく、純然たる釣りの技術の向上がなければ成り立ちません。そして、今回釣れた48cmは、今年釣れた多くの獲物の中で最も光を放っていました。間違いなく源流育ちの、しかも源流育ちでは限界に近い大きさの獲物であり、今年最も印象に残る1尾になったことは間違いありません。
ところで、あまりにも奇麗で立派な魚体のため、このイワナ君には少々申し訳なかったのですが、当サイトの壁紙のモデルになって頂きました。細いラインで小さな鉤を鼻先に掛け、水中を泳いでもらい、何枚かの写真を撮影しています。ただ、いつもそうなのですが、撮影しているうちにだんだんと元気を回復して行き、撮影の途中でこのイワナ君は鉤を伸ばして逃走して行ってしまいました。後日、このイワナ君の勇姿を壁紙に仕上げてお届けする予定ですので、ご期待ください。 さて、堰堤プールの釣りも既に最盛期を迎えてはいますが、例年、梅雨の明けるころまでは釣期が続きます(南東北の梅雨明け平年値は7月23日です)。私もあと数回は堰堤に通い続けることでしょう。また、6月末の寒河江オフでも同様に、皆で堰堤プールの釣りを予定しています。今年の堰堤プールは魚影が比較的薄く、数は多くは出ていませんが、それでも大物は釣れています。もうしばらくの間、最盛期の堰堤プールの釣りを楽しんで見たいと思っています。 【今回使用のタックル】 Wellner 8ft TroutRod、Shimano SensiLite MG2500、Kureha SeagerAce1号(6lb)、 D-contact50/63S/鮎/ヤマメ/TS、他 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||