クラブ釣行レポート

山形渓遊会07年春(4月28・29日)


毎年、連休の前半は「山形渓遊会」の春の例会に参加しています。いつもの様に新潟県の下越地方の渓を選びましたが、今年は暖冬で雪が少なく、お目当ての渓では既に魚たちは釣り切られてしまった様子。それでも、人の入っていない渓を探し出し、まずまずの釣果を見ることができました。毎年、春の例会では、非常に多くの野草花と山菜に恵まれ、どちらかと言うとお魚さんより写真や山菜が目的の釣行です。ちょっとしたハプニングもありましたが、暖冬で心配していた山菜類も普通に採取でき、今年も春を満喫させて頂くことができました。

注:釣り場の特定を防ぐため、風景画像に大幅な修正を加えるか、同イメージの別の場所の写真を使用しています。ご了承下さい。


【4月28日】

今回のメンバーはいつもの通り、渡邊会長に釣友のS氏、それに私K++の3人でした。佐谷名人は今回も海外出張とやらで欠席。これで3年連続ですが、いったい釣りと仕事とどっちが大事なんでしょうね?・・・って、仕事に決まってますか、仕方ねぇなぁ。例年ですと、金曜夜遅くまで仕事のある私は土曜の午後からの参加になるのですが、今年は気合を入れて深夜0時に現場に到着し、土曜早朝から3人で渓に入りました。お目当ての釣り場は渡邊会長がその昔、イワナ入れ食いの良い思いをしたらしい渓だそうで、・・・ま、毎度の事ですから、最初から期待はしてません。


朝5時に起きて・・・と思ったら、昨夜遅くに入ったせいか、2人とも7時過ぎまで起き出してきません。それでもこの渓には山菜採りの地元の人が数人やって来ただけで、釣り人は誰も来ません。釣りブームもすっかり落ち着いて、釣り人も随分と減ったもんだ、などと思っていた訳ですが・・・釣り始めて、そうでもないことがすぐに判りました。魚影が全く見えないのです。どうやら暖冬で残雪が少なく、早期から相当な数の釣り人が入っていて、既に魚たちは釣り切られてしまっている様でした。地元の人たちはそのことを知っていて、この渓にはいまさらやって来ることもなかったのでしょう。ガックリきました。

ショウジョウバカマネコノメソウエゾエンゴサク

それでも11時ころまで粘り、釣り上がりましたが、結局は3人ともオデコのまま。仕方なく山菜を採取しながら車止めまで戻ってきましたが、ここで渡邊会長さんの執念が顔を覗かせます。地元の山菜採りの軽トラックを止め、なにやらしきりに話し込んでいます。どうやら地元民以外の知らない山道を聞き出し、まだ人のあまり入っていない渓を教えてもらった様子。しかし親切なかたもおられるもので、あれこれと詳しい情報をお教え頂きました。午後からはその朝入った渓のずっと下流部で、林道から離れていて人のあまり入らない区間を教えて頂き、入渓することに決めました。

新緑と山桜の渓

しかしこれが正解でした。どうやら釣り人というものは皆、上流へ上流へと目指す様であり、案外この時期は下流部の竿抜けした区間に魚が沢山残っている様です。入れ食いとまでは行かないものの、ここぞと思うポイントには概ね魚が入っていて、十分に我々を楽しませてくれました。時間はお昼過ぎの12時から15時くらいの3時間ほどでしたが、2桁の釣果を見ることができ、まずまずの釣果に一安心。ただ、竿抜けした残り物の魚だからでしょうか、最大でも29cm止まりであり、尺物には残念ながら巡り合うことができませんでした。


ところで、この時期は水温が低くてルアーには反応が悪く、春の例会ではいつも餌釣りに軍配が上がってしまうのが普通です。しかし、今年の残雪の少なさは水温にも現れていて、この時期にして既に7〜8℃にもなっていて、ルアーでもそこそこの釣果が見られたのは意外でした。また、残雪があまりにも少ないためか、午後になっても雪代がほとんど出ず、水はジンクリアそのものであり、6月ころを思い起こさせる渓流でもありました。ただ、気温は3月中旬以降、平年並みを維持していたせいか、山菜や野草花が例年と変わらない状況であったのは幸いでした。

タラの芽アイコ (ミヤマイラクサ)コゴミ

夜はいつもの渓畔の宴会です。ただ、この日は私の車が林道でパンクしてしまい、修理のために山を一旦降りざるを得ませんでした。翌日も夜明けから別の釣り場に入渓する予定でしたが、余計な時間を取られてしまい、いつもなら山菜の天ぷらや和え物、イワナの骨酒に舌鼓のはずが、かろうじて焚き火でイワナの塩焼きだけがご馳走でした。うーん、山菜の無い宴会なんて、***の無いコーヒーの様なもの(古い!)ですな。なにせ春の例会の最大の楽しみは、この山菜尽くしの酒宴なのですから。

オオバキスミレヤブツバキミヤマカタバミ

【4月29日】

翌朝はちょっとした冒険を試みました。前日に軽トラックの山菜採りの人から聞きつけた山越えのルートで、山一つ隣の渓に入ることにしたのです。なんでも、大昔には車の通れる林道があり、渓畔には小さな部落もあったらしいのですが、現在は荒れ放題で徒歩でしか山越えのできないルートであり、片道2時間ほどもかかるため、入渓者はごく少ないとのこと。この時期であればまだまだ普通に釣れるだろうとのことでした。ま、片道2時間とは言え、林道跡であれば斜度も大したことはなく、体力の少ない私にも楽に入れるだろうと、山越えを決めたという訳でした。


この日は、空には雲一つ無い快晴で、暑くも無く寒くも無い最高の釣り日和です。リュックを背負って歩き始めましたが、写真上左の様に、徒歩にしては緩やかで直線的な道が延々と続き、あっという間に峠に到着してしまいました。尾根向こうには、遥か眼下に見える穏やかな流れにイワナたちへの思いがこみ上げます。下りは何の苦労もなく30分ほどで渓畔に到着。2時間と聞いていたのですが、実際には1時間半ほどで目的地に到着してしまいました。こんな楽な山越えなら老体の私にも何の苦労もありません。渓畔にはみごとな山菜と野草花の群生があり、そこはちょっとした楽園でした。


河原には釣り人の足跡などは全くみられず、山菜を採取した跡も見られません。どうやら、この渓には今年、我々が一番乗りの様です。流れは穏やかで透明度も高く、夏の渓を思い起こさせます。そして、会長の振り込んだ竿に、まもなく反応がありました。型は小さいものの、ウブなイワナたちがそこここに泳いでいる様です。仰げば青空に鮮やかな新緑、足元にはクリアな流れに源流のイワナたち、そして周囲には野草のお花畑が広がり、まさに春爛漫でした。釣りなどもうどうでも良く、ただ歩いているだけで幸せな気分になってしまうのは、私だけでしょうか。


ただ、この渓は源頭に近いせいかそれほど太くはなく、釣れるイワナたちも小ぶりのものが中心です。数は限りなく釣れるのですが、小物が先に飛びだしてくるせいか、残念ながらここでも尺物は姿を見せず、会長の28cmが最大でした。それでもま、春の渓を歩く満足感は十分でした。この日は午後2時ころまで源頭を目指しましたが、終始イワナたちが相手をしてくれ、山菜も採取しながら、我々を飽きさせることはありませんでした。

カタクリキケマン白と紫のキクザキイチゲ

さて、この春の例会が終わると、いよいよ本格的な渓流のシーズン到来です。今年、下越地方では残雪が異常に少なく、すでにシーズンの盛期が終わってしまっている感もありますが、山形や福島など周辺の他の地域では、残雪量は平年よりやや少ない程度であり、6月末ころまでは春のルアーフィッシングを楽しめそうです。渓流釣りブームの去った今、釣り人はここ数年でもっとも少ないと予想され、本当に渓流の好きな人たちのための季節が、今年もやって来た様です。


【今回使用のタックル】
KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、シマノSensiLiteMG2500、
呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy50S/65S/ヤマメ、D-contact50Sヤマメ/TS、他