今年は季節の移り変わりがとても早く、例年なら4月中旬以降に始まるダム湖の釣りが、一月以上も早く始まってしまいました。今シーズンは、近隣のダム湖などでレイクトローリングに挑戦しようと、新たにインフレータブルボート(ゴムボート)とエレクトリックモーター(電動船外機・エレキ)を買い込みました。新しいものを手に入れると、いても立ってもいられなくなる性格の私は、ついに有給休暇まで取得し、新潟のダム湖へと繰り出してしまいました。初めてのマイボートでの釣りは、実に気分の良い楽しいものでした。 なぜこの歳になってボートやエレキを買い込んだかと言うと、それは2003年11月の船舶免許基準の改正が一番の原因です。改正により登録長3m(全長3.33m)未満で2馬力(1.5kw)未満の船には船舶免許と船体検査が不要になりました。そのため一気にボートユーザーが増え、それに伴って昨年あたりから免許不要ボートやエレキの価格低下と品揃えの増加が起きていました。それを見て、今年になってついに買い込んでしまったと言う訳です。トローリングなど主に淡水でのイワナ釣りを目的としているため、音のうるさいガソリンエンジンには興味もなく、また、一人での釣りが多いため、軽量なボートを選びました。イワナ釣りにはこれで十分です。
一方で、レイクトローリング専用のロッドやリール、タックル類は以前から所有していました。数年前に新潟のかたからお誘いを受け、銀山湖(新潟県奥只見ダム)へトローリングに出かけたおりに買い込んだものです。レッドコアと呼ばれる鉛を芯にしたラインに、リーダーの先にドジャーと呼ばれる集魚板を取り付け、流し釣りで数mの深さをルアーで探るものです。新潟のかたはその後、海のルアー釣りに興味が移ってしまったらしく、2回ほどご一緒したもののタックル類はその後使わなくなってしまいました。これもボートを買い込んだ動機のひとつになっています。 【4月6日】
さて、この辺りのダム湖は、例年であれば4月初に結氷が融け出し、釣りのシーズンは4月の2〜3週目から始まります。ところが、今年は暖冬の影響で幾つかのダム湖で一冬中、結氷が見られなかったのです。そのため3月1日の解禁からイワナが釣れており、私も3月に一度だけ釣りに出かけていますが、その時は前夜の雪で活性が低く、しかも車が故障するというアクシデントで、ほとんど釣りになりませんでした。その後、仕事が忙しくジッと我慢の状態でしたが、4月に入り遂にガマンの尾が切れてしまいました。4月6日(金)に有給休暇まで取得し、このダム湖にやってきてしまったと言う訳です。
この日は平日であり、流石に釣り場は私の一人占め・・・かと思ったら、なんのなんの、昨年まで殆ど見ることのなかったボートですが、私より先に船出しているボートがいました。どうやら私と同じ様なことを考えている人が多い様です。2〜3年後にはあちこちのダム湖に免許不要ボートがプカプカと浮かんでいる日がやってくるのでしょうね。そして早速、トローリングの道具を用意して2色(20ヤード・水深3〜4m)ほどで流しはじめましたが、これがうまく行きません。根掛かりの連発です。そのうちミノーもろとも貴重なドジャーを根掛かりで無くしてしまい、2時間ほどでレイクトローリングを止めざるを得なくなってしまいました。
仕方なく午後からはいつものキャスティングに切り替えましたが、こちらは慣れたもので何の問題も無く、3時ころになってまず29cmのアメマスがヒット。その後、4時ころにはラッキーにも45cmの大物がヒットしてくれました。どうやら今年のイワナ釣りの幸先は良い様です。ただ、フローターとは違って、ボートでのキャスティングはとても釣り辛いですね。わずかな風でボートが流されてしまうだけでなく、リーリング時のラインテンションだけでボートが回転してしまうのです。そのため、どうしてもキャストとリーリングが荒くなってしまい、やはりキャスティングではフローターに敵うものは無さそうです。
【4月7日】 翌土曜日は、やはり人出が一気に増えました。早朝の湖畔には釣りの車がズラリと並び、岸辺はさながら管釣り状態です。おまけに水上には5艘のボートがプカプカ浮かんでいます。参りました。しかし同時に嬉しいことも起こります。この時期、打ち合わせる訳でもなく、なじみの釣り仲間が自然と集まってくるのです。おなじみのパパイヤさんにズミさんとは1年振りの再会ですが、皆さんお元気そうで、この釣り場には今年すでに何回か挑戦されている様です。特にズミさんはすでに今シーズン3尾もの40cmオーバーを釣り上げられているそうで、うーん、こりゃ私も頑張らないとイカンわい、と気合が入ってしまいます。
しかし、前夜に寒くて眠れず、この日の午前中は寝坊で殆ど釣りになりませんでした。しかもマイボートが嬉しくて、船長さん気分でこれまでフローターでは行けなかった様な奥まであちこちと探索をしています。下の写真はダム湖のインレットですが、今年の新潟は積雪が異常に少なく、この時期で既に夏の渓流と変わらない透明度と少ない水量になっていました。雪代の笹濁りがイワナの警戒心を和らげ、また水温が低く餌の少ない状況が大物を誘う訳ですが、これでは今年の大物はそう簡単には釣れそうもありません。しかも水量が少ないため、恐らくこのまま満水にはならずに相当な早期にシーズンが終わってしまうのではないかと思われました。
さて、午後からはまたまたトローリングに挑戦しています。ただ、前日に1枚しか無かったドジャーを無くしてしまったことと、水温がまだ5℃前後と低く、魚たちが浅場に付いていることを考え、全く異なるトローリングの方法を考えました。仮に私が「ハンド・トローリング」と名づけたこの釣法は、後日になっていわき市の釣具店で聞いたところ、銀山湖などでは最近になって良く用いられる様になった方法だそうですが、この釣法が大当りでした。午後3時過ぎの時合いが来ると、バタバタと魚が釣れ出したのです。ハンドトローリングのやり方は次の通りです。 大げさな名前を付けましたが、何の事はありません。普通のキャスティングタックルでの流し釣りをやるだけです。ただ、何もアクションを加えずに引いているだけでは、どうもあまり釣れそうもありませんので、ダム湖で多用するストップ&ゴーを併用します。最初、岸辺から5〜10mほど離れた位置にボートを移動し、ごく普通に岸沿いにルアーをキャストします。そしてすぐにキャスト方向と反対側にボートをゆっくりと走らせ、片手でハンドエレキのレバーを操作し、岸沿い数mを走行しながら、もう一方の手でロッドを前後にゆっくりと動かしてミノーにストップ&ゴーのアクションを加える訳です。
ルアーはナチュラルカラーのDコンタクト50Sか63Sを使いました。この時、ミノーを引くときにはロッド先端にウォブリングの振動を感じる様にしなければなりませんし、また、ミノーを落下させるときには、ラインテンションが確実にゼロになる程度の速さでロッドを後方に送り込まなければならない様です。また時折、2段引きや3段引きを織り交ぜたり、ロッドを寝かしたり立てたりと、複雑に魚を誘うことも効果がありそうです。なぜなら、この感覚こそが私が普段キャスティングでイワナを釣る時のストップ&ゴーのやり方そのものだからです。 こういった釣り方のため、ボートの速度は5段階の2速か1速と、かなりスローになります。根掛かりの状況から判断して、2速でDコン63Sを用いた場合で、2m程度の水深をトレースできている様でした。ディープダイバーやより重いルアーを使ったり、ボート速度を遅くすることで、恐らく5m程度まではトレースが可能と考えています。しかしこの釣り方は、まだ水温が低く魚たちが比較的浅場に付いている時期だけに使える方法の様であり、水温が高くなれば、やはりレッドコアに分がありそうです。
また、銀山湖などでは2〜4本のロッドを同時にトロールする場合が多いため、手ではロッドを操作せずに、ボートを小刻みに左右に蛇行させることでロッドに前後方向の動きを加え、ストップ&ゴーに近い状況を作る方法が良く用いられているとのことです。もちろん1本のロッドで私と同じ様な釣り方をしている人もいるそうですので、ま、それほど珍しい釣法ではなさそうですね。ただ、呼び名が付いていないらしく、ここでは「ハンドトローリング」と呼ばせて頂きたいと思います。 最後に、この釣り方の良い点ですが、レッドコアなどではボートの動きで向こうアワセで「かってに魚がかかった」といった感覚になってしまい、正直言って私はあまり好きではありません。しかしこの釣り方の場合は、自分で誘いを掛け、しかも手にアタリが直接伝わってくることで、「自分で釣った」感じが十分に味わえます。ちょうどトローリングとキャスティングの中間の様な釣り方で、今後はこの方法を深く研究してみたいと思っています。そして、3時ころから上写真の様に中〜小型ではありますが、この方法で4尾のアメマスをゲットしています。
【4月8日】 翌日曜日は、更に人が増え、おなじみのBuuさんに風玉さん、もっくんさん、ズミさんの息子さんまで釣り場に集合し、ちょっとしたミニオフ状態になりました。しかしなんですね、別に前もって打ち合わせなどをした訳でもないのに、これだけの顔見知りが集まってしまうのは、ダム湖の包容力とネットのパワーのお陰ですね。一人で3日間もキャンプをしていれば寂しくて仕方ないところなのですが、この地はそういった悩みを全く感じさせないのがとても不思議です。この日は午前中に皆で車の近くで釣りましたが、人が多いこともあって、大物のトレースは見られたものの、釣果は下右写真の様な中・小型ばかりでした。
もっくんの36cmが午前中の一番で、やはりアメマスでした。私にも2尾がハンドトローリングでヒットしましたが、いずれも尺前後のアメマスだけでした。どうも人が多いのが原因と見て、午後からは大きく移動して、ボートでないと人の入れないポイントへと移動することにしました。もっくんはボートが無いため、フローターと本人をボートに乗せ、大移動です。ただ、ズミさんは子供さん連れのため、その後も車の近くで釣っておられました。移動した先には下右写真の様な広々とした広場もあり、皆で昼食を食べながら釣り談義に花が咲きます。この時間が何ともたまらないんですよネ!
ただ、なぜか昼食を食べた直後から曇りだし、やがて猛烈な風とともに雨が降り出したため、ここは危険とみて釣りも早々に車の近くの釣り場に退散することになってしまいました。どうやら通り雨だったらしく、元の釣り場に戻ったとたんに晴れ間が覗きだし、夕方は波も穏やかなとても良いお天気の釣りの好機がやってきたのは皮肉というしかありませんでした。その後は付近を再びハンドトローリングで攻めましたが、幸いにも今度は41cmのまずまずの型が岩盤の下から飛び出してきてくれ、この3日間で40cmオーバー2尾と、まずまずの釣果に満足の釣行となってくれました。
しかしながら、気になる点もありました。3日間で釣れた魚は11尾でしたが、全て斑点の大きなアメマスでした。他の人の釣果を見ても殆どがアメマスばかりで、いわゆる源流育ちらしいイワナの姿が見られなかったのです。どうやら雪代が殆ど流れておらず、源流部からイワナが流下して来ていないのではないかと想像していますが、これでは私の一番好きな大イワナの釣りは望めません。連休のころまでは間違いなくダム湖の釣りは続くと考えていますが、はて、今シーズンはどうなることやら。まだまだダム湖の釣りは続きます。 【今回使用のタックル】 Zehpyr Boat ZR-220MH、MinnKota RT40S(28in)、Voyager 105A Wellner 8ft TroutRod、Shimano SensiLite MG2500、Kureha SeagerAce1号(6lb)、 D-contact50/63S/ヤマメ/TS、Coatac ヤマメSpoon、他 |