雪代も落ち着き、透明度の上がってくるこの季節、山形渓遊会の会長と、再び源流釣りに行ってきました。今年はなぜかどこの源流に入っても魚影が濃く、その分、堰堤プールの魚影が薄い様に感じています。いつもなら人ばかりでチビイワナしか釣れない様なお手軽源流を選びましたが、入れ食いとまでは行かないものの、思わぬ豊富な魚影に巡り合うことができました。合わせて最近出かけた渓流や堰堤プールの釣りについてもお伝えします。(本レポート中の野草花は全て、7月23日の「月山」登山時に撮影したものです。) 【7月8日(土)】 今年はなかなか梅雨が明けてくれません。堰堤プールの釣りもそろそろ終盤となり、心は既に源流のイワナたちへと向かいつつあるのですが、梅雨明けの平年値7月23日を過ぎてもまだ、曇りや雨の日が続いています。今年の堰堤プールの釣りはなぜかサッパリで、型・数ともに最悪の年になりつつあります。一方で、型こそ小さいものの源流部には魚が豊富で、今年はこれまでハズレがありません。会長から誘われると、なんの躊躇いもなく源流行きを約束してしまいました。 いつもなら金曜の夜に現地入りし、土曜早朝から釣り始める我が会長さんですが、今回はなぜか、私の都合に合わせてくれました。土曜午前中に仕事先のいわき市から山形市へ移動し、午後から移動して夕方3時ころには現地に到着するという、誠にのんびりとした釣行です。金曜も遅くまで仕事のある私には、最適のパターンなんですが、どうも会長さんは、最近は毎週の様に源流入りしていて、お疲れ気味の様子。まぁ、たまにはこんなお手軽釣行も良いんじゃないですか。
そして夕方、車のすぐ横の渓流で少しだけ竿を出してみましたが、またまた驚かされることがありました。この釣り場は非常に人が多く、例年なら釣れてもチビイワナくらいのハズが、なぜか次々と7〜9寸のイワナたちが飛び出してきます。キャンプの夜のためのキープサイズのイワナもすぐに確保できてしまい、夜はいつもどおりの焚き火でイワナの焼き枯らしが普通に楽しめてしまいました。しかし、この焚き火の夜がたまりませんね。何度やっても心が洗われる思いがします。どうも源流へは、焚き火とウマイ酒がお目当てであり、実は釣りなどどうでも良いのかも知れません。
【7月9日(日)】 翌朝は珍しく4時過ぎには目覚めてしまいました。人が非常に多い峪のため、普段なら、早くしないとどんどん先を越されてしまいます。のんびりと朝飯を食いながら、さてどの沢に入ろうかと思案していると、山菜採りの軽トラックが1台やってきました・・・が、その後は5時過ぎになっても誰もやってきません。どうやら今年は雨が少なくてイワナが源流に残っているだけではなく、釣り人の数も少ない様です。2〜3年前のこの釣り場なら、10台以上の車が次から次へとやってきて、沢取り合戦が大変だったものですが、随分と様変わりしたものです。結局、昨夕釣った車の横を流れる本流をそのまま釣り上がることに決めてしまいました。 なにせ車止めのすぐ下からの入渓であり、とても源流釣りとは言えないお手軽フィッシングなのですが、この日も前日と同様に結構な数のイワナがルアーに突進してきます。入渓して100mも進まないうちに釣果が出始め、我が会長さんのミノーにもしっかりとイワナ君がぶら下がってくれていました。川は前日までの雨でやや増水気味であり、濁りも少しばかり残っていて、ルアーには最高の時合いの様です。青みがかった笹濁りは餌釣りではなかなか釣果が伸びないものですが、ミノーイングには逆に最適なのです。会長さんもこの日はすっかりルアーマンでした。
ただやはり、数が出る時というのは型は出ないものです。釣れ上がってくるイワナたちは皆、写真上左の様な腹部と尻尾が鮮やかなオレンジ色をしていて、しかも体側には源流特有の縦方向のパーマーク様の模様を有しています。とても綺麗で可愛らしいイワナたちですが、残念ながら釣れてくるのは尺に満たない中途半端なサイズばかり。午前10時ころまで釣り上がりましたが、私の釣果は4時間ほどで全部で20尾ほど。会長さんも同様でした。そして、尺を大きく超えるサイズは出ず、最大は私のDコンタクト50Sアユにきたジャスト30cmの1尾(写真上右)でした。 それにしても不思議ですね。車から降りてすぐのお気軽釣り場なのに、この釣果。少なくともこの釣り場では、ここ3〜4年のうちに釣り人の数が激減している様です。景気が良くなると多くの人がお金のかかる海外旅行やゴルフなどの遊びにシフトするため、安価で泥臭い釣りやキャンプの人口が減り、結果的に景気と釣果は比例すると考えていますが、どうやら昨年からの景気の上昇により、魚影も上昇している様ですね。我々の様に、本当に釣りの好きな人たちにとっては、数年ぶりの期待できる年なのかも知れません。
【7月15日】 さて、堰堤プールの釣りも既に終盤ですが、7月に入ってからも、相変わらず新しい釣り場を求めてあちこちへ出かけています。既に幾つかの有望な堰堤プールを見つけ出してはいますが、ホームの堰堤プールの様な、巨大で大物の豊富な釣り場は、残念ながらまだ見当たりません。15日から17日にかけては、梅雨前線が東北地方に停滞したため、大雨で濁流が流れ、殆ど釣りをする機会がありませんでしたが、15日に少しだけ新しい釣り場で釣果を見ています。
この堰堤は上流部にも複数の堰堤プールが存在するため、大物がこの地点まで落ちてくるとは考えられなかったのですが、上流の堰堤が最近になり砂で埋まってしまったため、魚がより下流まで落ちてきているのではないかと考え、試釣してみたものです。この堰堤プールでは、写真上の様に、オレンジ色の源流育ちと思われるイワナと、止水育ちと思われるややアメマス化した青っぽいイワナ(最大30cm)の両方が釣れていて、源流部からのイワナとプールに元々生息していたイワナが混在している様に見えました。今後はこのプールでも40cmクラスの大物が出る様になるかも知れないと期待が持てる結果でした。
【7月22日】 また、22日にはホームの堰堤プールへ再び出かけています。7月に入って2日、10日、13日、15日、16日、19日に15mm以上のかなり激しい雨が降っていて、源流部から新しくイワナたちが落ちて来ていないかを確かめるためでした。しかし、水温が有る程度以上に上がると、イワナ達は源流部からは落ちてくることは無くなることが過去の経験から判っており、今回の試釣でも、やはりイワナの魚影は増えてはおらず、6月末の釣行時とさして変わらない魚影でした。 これまで、5月・6月ころの大雨の後には、堰堤プールの魚影が確実に増えて行くのを確認しています。また、地元の堰堤の餌釣り師たちからも、同様の話を複数の人から聞いており、雨が堰堤釣りには重要な要素であることは間違いないと考えています。水温が上がってしまうとプール内のイワナの魚影が増えなくなり、或いは逆に魚影がどんどん薄くなって行くのは、水温の上昇や太陽の高さがスイッチとなって産卵のための遡上が開始されるためかも知れません。しかしいずれにせよ、堰堤プールの釣りには、雪代の豊富な時期の降雨が不可欠の様に思えます。
【7月23日】 長い梅雨が続いていましたが、23日は久しぶりに晴れ間の見える休日となり、午前中に「月山」に登山をしています。ただ、山頂付近は雲に覆われていたため、中腹ので高山植物の写真撮影を行っただけで下山しています。早めに下山した私は、午後からまたまた別の堰堤プールに出かけてしまいました。ただ、この日はルアーマン2人の先客が入っており、目的のプールでは何も釣れませんでした。先客2人は、なんと、25cmほどのブラウントラウトを釣っていて、驚かされました。南東北でも、アマゴやブラウン・ブルックなどの闇放流されている場所が点在していて、北海道と同じく生態系の乱れが心配されます。
写真は先客のルアーマンですが、どうやら私のHPを普段からご覧頂いている様子で、気軽に声を掛けてこられ、初めてにも関わらず色々と情報交換をさせて頂きました。なお、写真上右のイワナは、堰堤下の落込みのプールで釣り上げたものであり、イワナ達もそろそろ遡上を開始し始めている様です。さて、東北もあと数日で長い梅雨から開放され、本格的な夏がやってきそうです。夏と言えば源流。今年も本格的な源流の釣りを、思う存分楽しみたいものですね。 【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽SeagerAce1号(6lb)、D-contact50Sヤマメ/TS、DensMinnow50S改、SuperSinkingMinnow50S、Wavy50Sヤマメ/アユ、他 |