ミニオフ・単独釣行レポート

06年堰堤プールの釣り(6月18・24・25日)


今年は季節の移り変わりが少々変です。ダム湖でもそうでしたが、堰堤プールの釣りも今シーズンはなんだかいつもと様子が違います。なぜか魚影がとても薄く、大型魚も少ない様です。今年は6月初までダム湖の釣りに集中していたため、初めての堰堤プールの釣りは6月も半ばになってからでした。そしてようやく満足な型を見たのは6月も末になってのこと。それに反して源流部の魚影はすこぶる濃く、どこへ行ってもイワナの入れ食いです。はて、今年の堰堤プールの釣りは一体どうなっているのでしょう。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。


今年も昨年と同様に気温が低く推移している様です。しかも山形では、まとまった雨が殆ど降っていません。12月から始まった豪雪は1月一杯まで続き、2月に一時的に暖かくなったものの、すぐまた気温の低い状況に変わってしまいました。その後も5月一杯までは平年をやや下回る涼しい気候が続き、ちっとも暑くなりません。6月後半になってようやく初夏らしい気候となってきましたが・・・はて、この先どうなりますことやら。こういった年の夏は大抵の場合、強烈な猛暑になると予想されるのですが・・・、いずれにせよ、堰堤の釣りには最悪の年の様です。


【6月18日(日)】


4月・5月のまとまった雨は雪代とともに濁流を作り、源流から大イワナを堰堤やダム湖に流し落としてくれると考えています。今年は涼しくて雨が少ないのが特徴の様ですが、こうなると予想されるのは「堰堤プールには魚影が薄く、源流には魚が豊富に残っている」という図式です。もっとも源流部はどんどん釣り切られてゆきますので、夏を迎えるころまでにはきれいに釣れなくなってしまうのが普通です。源流の餌釣り師の皆さん、今年は数も型も出る良い年ではありませんか? でもそれも、せいぜいあと1月くらいですよ。

風玉さんBuuさんと風玉さん

18日は新潟からBuuさんと風玉さんが遠征されてこられました。昨年の寒河江オフで出た、50cmを超える大イワナのあの堰堤プール(上の画像は別の堰堤のものです)を攻めるためです。しかしお迎えした私は、少々気乗りがしませんでした。というのも、前週に下見に来た時に、あまりにもプール内の魚影が薄いことに、異変の様なものを感じていたからです。夜明けと同時に釣り場に入りましたが、風玉さんにアタリがあったものの、3人揃ってオデコでした。魚のトレースも見られず、昨年のあの魚影の濃さは一体何だったんだろう・・・と思わざるを得ない状況でした。

風玉さんフローターのBuuさん

最初の堰堤プールを諦め、7時ころには別の堰堤プールに移動しました。今度は3人でフローターを浮かべて大イワナを狙う作戦です。しかし、こちらの堰堤でも、魚のトレースすら見られない状況であり、結果は同じでした。こちらの釣り場は前日の夕方に少しだけ下見をしていました。あまりルアーを投げすぎるとスレて翌日に釣れなくなるため、大きなポイントを残しての下見でした。それでも魚のトレースが4尾ほど見られていたので期待していたのですが、ここでもまたまた3人揃ってオデコとなってしまいました。遠くからせっかく来てもらったのに、なんとも残念無念です。

【6月24日(土)午前】

タニウツギ

しかし、本当に堰堤の魚影は薄いのか? 魚たちはどこにいるのか? この謎を確かめたくて、翌週も同じ堰堤プールに出かけています。今回の目的は、まず堰堤プールで釣り、更にその源流部も釣り、魚影を確かめることです。珍しく土曜は一睡もせず、夜明け前からまずは堰堤プールに入りました。ここは前週土曜に4尾のイワナのトレースを見たものの、日曜は全くのオデコだった釣り場。しかし、釣り始めると、あっさりと前週見たと同じところでイワナがヒット。次々と3尾のイワナがヒットしてきましたが、ただサイズは小さく、ぎりぎりの尺がやっと。それに、予想通りに例年よりは魚影そのものが少ないのです。早朝のため、良く釣れたに過ぎない様です。


しかし、一睡もせず釣りに挑んだ私に、少しだけ釣りの女神さまが微笑んでくれた様です。7時ころ、待望の大物がやってきました。サイズは43cmと、この堰堤にしてみればごく普通の大きさですが、顔つきは非常に精悍で斑点も小さく多く、正に源流育ちの素晴らしい魚体のイワナでした。こんなイワナを釣りたくて、私は釣りを続けている訳ですが、この1尾だけでこの日は十分に満足してしまいました。あまりに立派な魚体のため、少々イワナ君には申し訳なかったのですが、フックを付けたまま水中をしばらく泳いで頂き、当サイトの壁紙のモデルになって頂きました。もちろんリリースした後は、猛烈なスピードで水中に消えて行ってくれました。

源流育ちの43cm顔は精悍そのものだ

9時ころからはフローターをインレットに置き去りにし、源流部を少しだけ遡行しましたが、すぐに通ラズに到着してしまい、結局、源流部では魚影を確認することがありませんでした。普通、インレットからしばらくの区間は、砂地の川底が続く上に傾斜が緩く、大きな淵などが形成されないためか、魚影は極端に薄いものです。500mも遡上するとやがて大石の沈んだ大きな淵が現れ、魚影が見え始めるものですが、残念ながらこの源流ではそんなに上流まで遡行できず、魚たちの居場所の確認はできずじまいに終わってしまいました。

源流部の渓相

【6月24日(土)午後】

午後からはもう一つの堰堤プールに移動して釣りましたが、まだ15時ころで日が高く、流石にこの堰堤プールでは何も釣れそうもありません。結局、またまたオデコになってしまいましたが、その源流部を探るのがむしろ目的であり、軽装のウェーダーに履き替え、ディパックを担いでインレットから遡行を開始しました。やはり最初の500mほどは砂地で全く反応がありませんでしたが、やがて大岩が現れ始めると、水中をイワナの走る姿が見える様になってきました。ここは人の比較的多い釣り場なのですが、源流部のイワナは健在の様子で、すぐに28cmのイワナがヒットしてきました。

オオカメノキ

そして、その後は殆ど入れ食いとも言える状況が始まり、夕方6時ころまでの間に、20cm〜尺までのイワナが15尾以上も釣れてしまいました。堰堤プールに魚影が薄い分、源流部には沢山の魚が残っているのではないかと探りを入れてみた訳ですが、残念ながら、堰堤で良く釣れる30〜40cmのイワナは1尾も釣れていません。ただ、釣れてくるイワナたちは、源流特有のものではなく、堰堤プールで良く見られる青っぽい背中にパーマーク様の模様の見られない個体ばかりでした。結局、私のこの考え方が正しいのかどうかは、結論が出せる状況ではありませんでした。


【6月25日(日)午後】

翌日も早朝から釣りに行く予定を立てていましたが、前日に一睡もせず頑張りすぎたため、目覚めたのはもう9時を回っていました。この日の目的は、数年前から目をつけていた全く新しい堰堤プールの魚影を確認することと、その源流部の魚影を確認することでした。早朝を逃してしまったため、のんびりとお昼ごろ自宅を出発し、釣り場に到着したのは15時近く。この日は非常に明るい快晴の日であり、しかも目的の堰堤プールは既に雪代が終わっていて、透明度が非常に高く、明るいうちは釣れそうもありません。しかたなく、その源流部から先に釣り、夕方の薄暗い時間帯に堰堤プールを狙うことにしました。

リュウキンカ

源流部へは比較的簡単に入れるのですが、やはりインレットから500m程度は殆ど魚影がありません。インレットから4つめのプールに尺くらいのイワナの遊弋する姿が見えましたが、明るすぎてルアーを完全に見切られてしまいました。林道を迂回して、インレットより3kmほどの地点に再度入渓すると、やや日が傾き始めたこともあり、今度は入れ食いに近い状況が発生してくれました。ただ、釣れてくるイワナたちは28cmまでと小ぶりで、しかも源流特有の茶色がかった魚体に縦方向のパーマーク様の模様のあるイワナばかりでした。これらはどう考えても堰堤プールにいたイワナではありません。


ここでもほんの1時間余りで10尾以上のイワナがヒットしましたが、夕方は堰堤プールに入りたいため、早々に引き上げました。プール脇に到着したのはもう17時ころでしたが、まだまだ明るく、写真下中央の様に湖底が丸見えのあまり良い条件ではありません。しかも1mほども減水を始めていて、どうやら既に釣期を逃してしまった様です。またまたオデコを覚悟でフローターを漕ぎ出しましたが、やはり明るいうちは全く反応がありません。ただ、このプールは減水しても湖底が砂地のため全く濁らず、しかも嫌な泥臭も全く有りません。先ほどまで汗だくで源流を釣っていた訳ですが、涼しくて景色も素晴らしく実に気分の良い状況でした。

減水し始めた堰堤透明度は非常に高い

そして辺りが薄暗くなってきた18時過ぎでした。インレットから150mほど下流からインレット側にD-contact50Sヤマメを遠投し、ゆっくりとしたストップ&ゴーで引いてくると、ほんの15m程の距離まで来た時、右斜め後方から大きなヘビの様なものが、波を立てながら、うねうねとしかも高速で近づいて来るのが見えました。直後にロッドに抵抗を感じ合せると、強烈な引きに変わり、今度は大きくジャンプして魚体が完全に見えました。一瞬、「ニジマス!?」と思ったのですが、引き寄せてみると紛れも無くイワナ特有の斑点のある魚体。40cmを2mmほど上回る立派なイワナ君でした。

ややアメマス化したイワナ40cm

どうやらこのイワナ君、ややアメマス化していて、広いプールで育ったために遊泳力が源流のイワナより遥かに高かった様です。昨年秋に北海道で釣ったあのアメマスを思い出すシーンでした。ただ、この様にアメマス化したイワナが釣れると言うことは、この堰堤プールは排水の関係で真夏でも渇水することがなく、プールが残っていると言う証拠でもあり、まだ雪代の豊富な5月末ころに入渓すれば、より大型の獲物が釣れるのではないかと期待でき、来年以降に楽しみを残した形となってくれました。

ひん曲げられたフックイワナ40cmと私

結局、堰堤プールとその源流部の魚影との関連は良く判らないままですが、例年よりは間違いなく源流部の魚影は濃い様であり、雨の少なさが堰堤プールの魚影を少なくしていることには、どうやら違いは無いのではないかと思っています。なお、渓の水温がある程度以上に上がってしまうと、イワナたちが堰堤プールに落ちて来なくなってしまうことが判っており、今後、大雨が降ったとしても、もう魚影はこれ以上には回復しそうもないことをお知らせしておきます。

さて、今年の堰堤プールの釣りは少々変ですが、朝日・月山・飯豊などの大きな水系では、雪代の終わる7月中旬ころまではまだまだ楽しめそうです。もう少しの間、堰堤プールのルアーフィッシングを楽しみたいと思っています。

【今回使用のタックル】
Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽SeagerAce1号(6lb)、D-contact50Sヤマメ/TS、DensMinnow50S改、SuperSinkingMinnow50S、Wavy50Sヤマメ/アユ、他