ゴールデンウィークは毎年、山形渓遊会の春の源流釣行とダム湖の釣りで楽しんでいます。ダム湖の釣りはGWのころから最盛期を向かえ、ワカサギの産卵の終わる5月末ころまでが釣期となります。今年は4月ころから気候が寒冷で、ダム湖の釣りも例年と少し勝手の違う状況が続いていましたが、連休の最後になって、思い掛けない大物と巡り合うことができました。この時期のダム湖の釣りでは、お互い約束することもなく、釣り場に顔見知りの仲間が集まりミニオフとなってしまうものです。今年もいつもの新潟の仲間と、ダム湖のルアーフィッシングを満喫させて頂きました。 ![]() 【5月4日(木)午後】 4・5月は新潟県のダム湖に良くでかけます。ダム湖のイワナは、源流で育った大イワナの降湖したものと、ダム湖内で育ったアメマスに分かれますが、やはり根っからのイワナ釣り師の私は、ダム湖でも源流で育った大イワナのほうを釣りたいものです。大イワナは斑点が小さく、尾ビレが褐色〜赤色で、年齢を感じさせるイカツイ顔をしています。この源流育ちの大イワナをダム湖で釣るにはどうしたら良いのでしょうか。そんなことを考えながらこのレポートを書いています。
源流で大きなイワナが育つには、源流部で釣られてしまわないことと、大イワナが育つ豊富な水量(=餌の量)、の2つが必要です。寒河江ダムでも、源流に人が入り辛い状況はあるのですが、残念ながらダムの上流には大きな堰堤が有って、大イワナがダム湖まで落ちてくることはあまり有りません。ダム湖の場合には、1.ダム上流に堰堤が無い、2.源流部の釣り人が少ない(ゴルジュ帯の存在など)、3.水量が豊富 の3つの条件のそろった釣り場が有望となりそうです。実は新潟県にはそんなダム湖が多くあるのです。
ただ、源流でのイワナの成長は限られている様であり、経験的に50cm程度が限界ではないかと感じています。稀にもっと巨大な個体も存在する様ですが、極端に数が少なくなる様です。つまり、ダム湖であっても、源流育ちの大イワナは、普通には50cm程度までしか釣れないということになりそうです。より大きなイワナを釣るには、真夏でも水温の上がらない巨大なダム湖内で、途中からアメマス化しながら巨大化したイワナしかなさそうです。奥只見湖や田子倉湖で、イワナかアメマスかの区別の付かない様な大物が釣れるのは、こういった個体ではないかと考えています。
新潟や山形のダム湖では、4月の結氷が融けるころ、それほど大きくはないアメマスがまず釣れ始めます。その後、少しづつイワナが増えてきて、5月に入ると大きなイワナが目だってくる様です。この地のダム湖は標高がそれほど高くないため、恐らく夏に水温が上がり過ぎて、多くのイワナが源流部へと遡上してしまうのではないかと思われます。逆に北海道の様に水温が高くならないダム湖では、アメマスばかりになってしまう様です。私の好きなダム湖での源流育ちの大イワナ釣りは、この地ならではの釣りなのかもしれません。
さて、この日5月4日は、私は午後から山形市を出発し、釣り始めたのは午後4時ころからでした。この日はおなじみの新潟のBuuさんと、もっくんさんがダム湖に来ていました。もっくんさんと私はフローターで、Buuさんはカヌーで釣りましたが、私には夕方5時ころ、28cmほどのチビアメマスが釣れただけでした。Buuさんには釣りの神様が少しだけ微笑んでくれたようで、ほぼ垂直の巨大な岩盤の下にいた46cmの大イワナを、みごとに釣り上げていました。この日はお天気は良かったものの、気温は低めで、あまり活性が高くはなかったようです。
【5月5日(金)】 翌金曜日は朝から頑張りました。ただ、気温はやはりかなり低めで、しかも風の強い日で、5月の連休ころは、どうもこういった日は活性が上がらないものです。GWのころは水温がまだまだ低く、お天気の良いポカポカと暖かい日に時合いが良く訪れる様なのです。恐らく、水温の微妙な上昇が水棲プランクトンや水棲昆虫の発生を促し、それがワカサギの活性を上げ、結果的にイワナの活性も上げているのではないかと推測しています。冷たい日でも釣れはするのですが、そんな日は、数は出ても型は見劣りしてしまうのが普通です。
案の定、釣り始めてしばらくして私のロッドに写真上右の25cmほどのイワナ君がヒットしたものの、しかし午前中はこれでおしまいでした。上流部にある潅木帯に上陸し2時間ほどの休憩を取った後、3時ころから再び釣り始めましたが、結局、この日は同サイズ(23cm・30cm)のイワナを追加しただけで終わってしまいました。ただ、4時ころに40cmクラスのイワナのトレースが見られ、一時は釣り人の活性も上がったのですが、いかんせん、足元までルアーを追いかけてくるものの、ヒットには至りませんでした。腹ペコの小物以外はどうも相手にしてくれそうもない日でした。
さて、我々の釣っているエリアでは、普段は他に釣り人など誰も来ないのですが、さすが連休ですね、この日は宮城県から船外機付きアルミボートで乗り込んできた釣り人に出会いました。彼も同じく4時頃に、スプーンにかなりの大物がトレースしてくるのを見つけ、一瞬ですが鉤に掛けたもののバレてしまった様でした。Buuさんもほぼ同時刻に40cmオーバーを掛けたものの、ランディングの寸前でライン切れを起こしていました。どちらも非常に残念! しかしこの日活性の上がったのは一瞬で、どの大物も午後4時頃に集中しています。5時ころにはまた、ピタリと魚の気配の無い日になってしまいました。
余談ですが、帰りは逆風がきつくフローターを漕ぐのも大変で、この宮城県から来られた人に、フローターとカヌーを牽引して頂きました。普通なら1時間近くかかる帰り道を15分ほどで運んで頂き、体力的にも時間的にも随分と助かりました。お名前を忘れてしまったのですが、この場をお借りしてお礼を申し上げます。しかしなんですね、釣りをやる人は皆さん良いかたが多いものですね。どこの釣り場でも、情報交換や助け合いがごく普通に見られて、普段の仕事のなかでギスギスした人間関係に慣れてしまっている我々には、ホントにホットします。
【5月6日(土)午後】 さて、連休もあと2日を残すだけになった土曜日は、うって変わってポカポカ陽気の風も殆ど無い日になってくれました。3日間も釣りを続けていると、こんな釣り日和にもいつかは出会える様で、サラリーマン釣り師の不利なことが良く判ります。ただ、この日は前2日の疲れが溜まっていて、私はダウン寸前でした。前夜に風玉さんが現地入りしていましたが、宴会もそこそこに車で寝込んでしまい、しかも目覚めたのはもう9時ころでした。午前中の釣りは諦め、付近の写真撮影に当てました。
午後は2時ころから行動を開始しましたが、この釣り日和の良いお天気の日です。案の定、Buuさんが午前中にしっかりと大物を釣り上げていました。43cmの源流育ちのイワナで、これで彼はこの連休中、40cmオーバーが2本目です。連休に入ってまだ大物の出ていない私は、少々焦り気味。フローターを担いで風玉さんとBuuさんの休憩している場所まで歩きましたが、びっしょりと汗をかくほどの陽気で随分と疲れました。しかし、釣りにはうってつけの陽気であり、午後はなんとしても大物を仕留めなければ・・・
しかし、この陽気はやはり本物でした。3時ころ釣り始めてしばらくして、待望の大物がやってきてくれました。それも特別の大物でした。下中央の様なツバキの群生が水中にも沈んでいるポイントに、岸ギリギリにミノーを投入すると、一引き目でガツンとアタリがあり、その直後にロッドがひん曲がりました。この付近のダム湖で40cm台はもう何十尾も釣っていますが、この1尾は一番の大物の50cm。この日の当たりミノーは、Dコンタクト63Sヤマメに、油性マジックで目玉と腹部を赤く染めたもの(写真下右)でした。
更にその十数分後、今度はBuuさんの見ているすぐそばで、もう一尾の大物がやってきました。サイズは少し小さいものの、ほとんど同じ様に重い引きで、丸々と太った源流育ちのイワナ47cmです。連続して2本の50cm前後のイワナを釣ったのは今回が初めてであり、この時ばかりは少々興奮してしまいました。しかし不思議ですね。昨日も一昨日も同じ様なポイントを丹念に探ってきた訳ですが、釣れたのはチビばかり。やはりこの時期のダム湖の釣りは、ポカポカ陽気の釣り日和の日に限るようです。ちなみに、Buuさんもほぼ同じ時間に46cmをもう一本釣り上げていて、時合いの大切さが良く判りました。
釣り方ですが、岸からの釣りとボートからの釣りは全く異なります。ボートから狙うポイントは、1.水中に沈んだブッシュ周り、2.垂直に近い岩盤の真下、3.小沢や小滝の下 の3種類の様です。1が上記のツバキの藪の様なポイントにあたりますが、こういったポイントでは、沖合い20〜30mほどの距離に静かに近づき、岸から1〜2mの所にルアーを落とします。ポイントの水面下の形状をイメージし、その形状に沿ってルアーが上下しながら沈んで行く様に引いてくるのがポイントです。2〜3mの深さになるまでルアーを沈ませた後は、ルアーが浮き上がらない様に十分に沈ませながらストップ&ゴーでリールを巻いてきます。
2の岩盤の下を狙う場合であれば、岩盤に平行にルアーを泳がせられる様な場所に移動し、岸から1〜2m離れたところで深さ2〜3mの付近をルアーを泳がせます。小沢・小滝の下は1のブッシュと同じ様な釣り方になります。いずれにせよ、魚から見える範囲内で、警戒されない程度の深さを保ってルアーを泳がせることがポイントです。また、ルアーの動きに少しでも変化をつけるため、右に目一杯ロッドを傾けてストップ&ゴーで1〜2回誘い、今度はロッドを左に大きく傾けて誘う、といった操作を加えます。こうする事で、ちょうどベイトフィッシュが右に左に複雑な動きをしながら逃げ去るイメージを演出します。また、ミノーの場合は確実にウォブリングしていることを確かめながら引きます。
結局この日、Buuさんに46、43cm、私に50、47、30cmの釣果が見られ、前日・前々日の不調がウソの様に活性の高い日でした。やはりこの時期のダム湖は「ポカポカ陽気」に限りますね。ただ、風玉さんは最近、絶不調のご様子で、イワナのトレースは頻繁にあったそうですが、ヒットには至らなかった様です。残念! さて、ダム湖のシーズンはもうしばらく続きますが、今後は水温も上がり、インレット付近にワカサギが集まってきます。そのワカサギを狙って沢山のイワナたちがインレットに集結してきます。山形・新潟では、5月の2週目・3週目ころに、いよいよダム湖の釣りの最もエキサイティングな季節を迎えます。
【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽SeagerAce1.2号(7lb)、D-contact63Sヤマメ/アユ/TS、D-contact50Sヤマメ/TS、WeightedQuickMinnow6gワカサギ、TroutTune55S6gTS、WeightedRigge56SS6gワカサギ、他 |