ミニオフレポート

連休釣行3、最盛期のダム湖(4月30-5月15日)


今年のダム湖の釣りは、少し様子が変わっていました。例年ならゴールデンウィーク前に最盛期を迎える新潟のダム湖は、GWに入っても大物が連続して釣れ、翌週の15日でもまだ釣れています。残雪の多さと遅い季節の流れがその主な原因と考えられますが、私自身も大物の釣果が続いていて、GWの短い間に、実に4尾もの40cmオーバーのイワナが釣れてしまいました。ただ、残念ながらこのレポートをお送りするころには、山形県内でもダム湖の釣りは終盤を迎えるころです。今回のレポートでは、GW中の大物の釣行記と合わせて、最近のダム湖での釣り方について、水温の考え方やミノーの使い方なども含めてお伝えします。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。


【4月30日(土)午後】

ゴールデンウィークの初日は山形渓遊会の春の例会でした。しかし我が渡辺会長が思わぬ花粉症に苦しんでいて、30日は午前中で早めの解散となってしまいました。場所は新潟県下越地方。翌1日は新潟のBuuさん、風玉さんとミニオフの約束をしており、これは近くのダム湖に直行するしかありません。夕方5時ころに釣り場に到着した私は、「ダメモト」を承知でルアーを投げ始めましたが、もう薄暗くなった午後18時半ころ、写真下の41cmがいきなりヒットしてきました。しかし、この夕方の1尾が、05年GWの予想外の結果の前触れだったとは、この時点ではまだ私も気が付いていませんでした。

Dコンタクト50S緑に出たイワナ(アメマス)41cm

【5月1日(日)午前】

空けて1日は早朝3時半に二人と釣り場で落ち合う約束をしていました。この日はまだダム湖畔の林道が残雪で塞がれており、釣り場まで結構な距離を徒歩で歩かなければなりません。少し明るくなったころ、Buuさんと風玉さんに何度かアタリがあり、1尾は40cmを間違いなく超える大物でしたが、惜しくも連続バラシ。魚影はかなり多く、何度も魚が追いかけてくるのが確認できるのですが、すでにこの釣り場には相当な人が入っているのか、スレていてなかなか食いついてくれません。どうやら通常のトゥィッチングではルアーを見破られてしまっている様です。


そろそろ時合いもおしまいかと思われたころ、また私に釣りの女神様が微笑んでくれます。トラウトチューンを岸沿いに遠投し、15秒ほどカウントダウンした後、試しにトゥィッチングでは無く、2段引きを3回ほど繰り返してみました。実は前日に釣った41cmも、薄暗い中、沈めすぎて根掛かりしそうになったDコンタクトを、勢い良く引き放ったところ、ヒットしていたのです。どうやらイワナたちは直線的なルアーの動きに反応している様子。この推理が当たり、今度はガッチリとイワナが喰いついてきました。昨夕に続き、44cmの、かなり太った斑点の小さな(アメマスではなく)イワナでした。

トラウトチューン55S赤銀に出たイワナ44cm

【5月1日(日)午後】

お昼は近くのレストランでのんびりし(写真上右)、少々の昼寝をしたあと、再びダム湖を攻めました。Buuさんと風玉さんはまた歩いて同じ釣り場に入られたようですが、残念ながら大物は出なかった様子。一方、私はフローターを繰り出しました。どのダム湖でも支流が何本か流れ込んでいて、インレットが複数存在するものですが、車で近づけるのは限られていて、フローターやボートでないと近づけない釣り場が大抵は存在するものです。スレていて釣れないのであれば、そういった人の入っていないインレットに行けば釣れるハズ。実に簡単なお話ですが、やはりこの推理も大当たりでした。

Dコンタクト50Sアユに出たイワナ(アメマス)48cm

写真上の48cmの大物は、Dコンタクト鮎を遠投し、カウントダウンをしている最中にラインを引ったくる様にして喰いついてきました。他にも写真上の様に36cmと33cmのイワナが、普通にトゥィッチングをしているだけで実に簡単にヒットしてきました。この日はのんびりし過ぎてあまり時間がなく、この3尾だけでしたが、やはりスレていなければ、ごく簡単に釣れてしまう様です。釣れた場所はインレットから少し離れたところで、ちょうど上流からの冷たい水が温かいダム湖の水の下に潜り込み、殆ど流れの無くなるあたりから更に200mほど下流部の穏やかな場所でした。

キクザキイチゲ キケマン コンロンソウ

【5月4日(水)午後】

3日と4日の午前中は、郡山市のなべちゃんさんとのサクラマスキャンプオフでしたが、この日、新潟であまり釣れなくなってきたと判断したBuuさんたちが、山形までやってきました。ダム湖の始まったころは私が下越へ向かうのですが、下越で調子が落ちてくると、逆に彼らが山形へやってきます。山形のダムの方が、釣期が少し遅いからです。4日の夕方、Buuさんとパパイヤさんに落ち合い、ポイントへ案内しますが、ご覧の様に湖畔にはまだたっぷりの雪が残っていて、どうも調子が出ません。


それでもパパイヤさんに小さなヤマメ、Buuさんには36cmのイワナ、私にも薄暗くなってから31cmと、3人にそれぞれの釣果があって、まずはめでたく終了。釣れた場所は、ここでもインレットから2〜300m離れた、上流からの水が穏やかになる辺りでした。この釣り場では不思議といつ行っても誰も釣り人がおらず、我々3人がどうやら始めての釣り人の様子でした。なぜなら、3人とも普通にトゥィッチするだけで釣れたからです。まだまだスレている様子はなく、投げていればそのうち釣れた・・・と言った感じでした。やはり「1番乗り」が、釣りには一番の様です。

ミズバショウ フクジュソウ カタクリ

【5月5日(木)午前】

パパイヤさんは4日のうちに帰られましたが、Buuさんと私は現場でキャンプをして過ごし、翌朝は、今度は風玉さんが登場。なぜか今度は風玉さんだけに36cmの釣果があり、3人のお客さんと私に仲良く1尾づつの釣果が見られるという、理想的?なパターンに。しかし大きさがいまいちで、なんとなく納得できません。ただこの日はお天気が良く、すぐに時合いが終了してしまって、結局、道路わきで3人で釣り談義に花が咲いてしまいました。翌日は仕事とかで、お二人は午前中で帰ってしまわれました。・・・なぜかお客さんが来ると、帰った後に良く釣れるんですがねぇ。


【5月5日(木)午後】

そうなんです。彼らが帰った後、私は全く同じ釣り場で同じ様に釣りをしていました。ただ違うのは、歩くのが面倒なので、フローターを出して、歩くのではなく大きなワンドを横断してその釣り場に入りました。そして風玉さんが36cmを釣ったのと全く同じポイントで、夕方もう薄暗くなった18時半ころでした。またまたやってしまいました。Buuさんと風玉さん・パパイヤさんには本当に申し訳ない! なんで帰った後に大物が釣れちゃうの? 得てして、こんなもんなんでしょうか、46cmもある大物が釣れてしまいました。

Dコンタクト63Sワカサギに出たイワナ46cm

この大物は岸からでも全く問題なく釣れたはずです。釣り方は他の大物と同じでした。Dコンタクトワカサギを遠投し、少し沈めて5〜6回だけ軽くトゥィッチを掛けます。これは周りに居る魚を集めると同時に、ラインをテンションで強制的に沈めて、次の操作でルアーが浮き上がるのを抑えるのが目的です。そして、今度はすぐに2段引きもしくは3段引き・・・ロッドを大きく早めに水平に90度ほど移動させ、一瞬だけ止めてからまた90度ほどロッドを移動させる・・・をします。

ヒットが無ければ数秒かけてルアーを再び同じ深さまで沈め、2段引きか3段引きを取り混ぜて変化を付けながら、これを繰り返します。大抵は2段目に引き始めた瞬間に魚がアタックしてくる様ですが、足元まできていきなり喰いつくこともあります。ダム湖では、ミノーはやはりワカサギカラーが良い様です。加えて、深い水深まで早く沈む様に、私は鉛の板をミノーの腹部に貼り付けて6g程度に調整しているものを良く使います。これらはトゥィッチングだけでは喰わない様なスレた状況で効果が出る釣り方です。

フクジュソウ カタクリ 白いエゾエンゴサク

【5月6・7日(金・土)午後】

さて今年、ダム湖の釣りで色々と勉強になることがありました。これらを少しだけまとめてみたいと思います。既に今年のシーズンは終了ですが、また来年以降のダム湖の釣りに役立てて頂ければ幸いです。以下の内容は既にダム湖の釣りでは定番・定説なのかも知れませんが、私なりに得た理論でもあります。

前回のダム湖のレポートで、水温6・7℃以下の早期の状況では、イワナ達は水深数mの「棚」もしくは「カケアガリ」に定着していて、底の餌や回遊するワカサギを捕食しているのではないか、と説明しました。しかしある程度水温が上がってくると、棚やカケアガリが無くても釣れる場所が出てくる様です。恐らく、水温の上昇とともに、ワカサギの回遊コースや動きが変わってくるからではないかと考えています。

まだ残雪深い月山 6日に出た35cm 7日に出た33cm

実際、ダム湖の釣りでは、GWのころになると、それまでの釣り場での大物の釣果が落ち、中・小型が中心になってきます。一方で大物はインレットから下流へ数百m移動したところで、良く釣れる様になります。そこには棚やカケアガリは存在しなくても良い様です。付近にブッシュ地帯があれば、イワナ達はそんなところに隠れて過ごしている様です。その理由は、この時期、ワカサギがより水温の低いインレットに近いところに集まるからではないか、と考えています。ただ、インレット直下は流れも強く水温も5℃前後と極端に低いため、上流からの冷たい水がより暖かいダムの水の下に潜り込む場所(ちょうど前線と同じ。そこにはゴミが溜まっている)よりも少し下流側の安定したところに魚たちは集まっている様です。

イワウチワ ヤシオツツジ キジムシロ

【5月15日(日)】

そしてGWも過ぎ、もっと水温が上がってくると、今度はインレット直下にワカサギやイワナが集まってくる様です。大物釣りで有名な寒河江ダムのインレットでは、GWの翌週に満水になり、インレットの流れの中で50cmを越える大物が釣れています。他のダム湖でもやはりGW明けのころには、インレット直下で良く釣れる様になるのは、多くの釣り人が知るところです。ただ、水温はお天気や降雨の状況で大きく変化するため、同じ場所で同じ様に釣れるかと言うと、これが非常に難しいのです。水温とワカサギ・イワナの定位場所(インレットからの距離)との関係が明らかになれば、水温を計って釣り場を決めると言う高等手段が使えそうなのですが、まだ、その関係は良く判ってはいません。


ただこの理論は、堰堤プールでは全く通用しません。むしろ煙幕理論の方が良く当たります。理由は、巨大な堰堤プールとダム湖は、見かけは良く似ていますが、中身が全く異なるからです。まず、堰堤プールにはワカサギがおらず、イワナ達は泥底の水棲昆虫などを主に捕食しています。そのため、イワナの動きはワカサギには支配されておらず、それよりも水温が少し高くて水棲昆虫の湧き易い、かつ過ごしやすいところ・・・水深の浅いワンドの奥に多く存在します・・・であれば良いのです。

加えて、堰堤プールはコンクリートに空けられた穴が下から順番に埋まって詰まることでプールが出来ると言う特性から、水深は通常4m以内です。一方、ダム湖は水深数十mが当たり前です。私のホームグランドの堰堤プールは、長さ2km幅100mにもなりますが、最深部で4mしかなく、これはちょうど長さ2m幅10cm厚さ4mmのベニヤ板と同じ様な形状なのです。そのため、ダム湖の様に冷たい水が温かい水の下に潜り込む様なことはほとんどありません。堰堤プールでは、水は立体的には流れず、平面的にしか流れないため、煙幕理論が成り立つ様なのです。


さて、連休の翌週の15日にも下越のダム湖に出かけています。この日は私のフローターに触発されたのか、Buuさんと風玉さんはボートを繰り出してきました。私はいつもの様にフローターでしたが、5月1日に48cmの釣れた付近に3人で移動し、釣りを楽しみました。この釣り場はなんと言ってもスレておらず、大物が比較的釣れ易いのではないかと予想されましたが、案の定、Buuさんに47cm、私にも44cmの大物を含む数尾の釣果が見られました。本当のことを言うと、夕方になってもう切り上げようかと思ったころ、私のロッドに50cm近い大物がヒットし、フローター上にランディングまでしたのですが、写真を撮影する前にジャンプして逃げられてしまいました。


さて、今年はご覧の様に本当に良く釣れています。私自身は連休から翌週までで48cmを筆頭に5尾の40cmオーバーをゲット。尺上は既に23尾にもなっています。これは、例年にない非常に多い残雪と、遅い季節の流れがその原因ではないかと考えていますが、この様な年は今後も大物ラッシュが続くことが多いものです。そろそろ堰堤プールの釣りが始まりますが、今年はおおいに期待して良さそうです。みなさんも、チャンスの年をおおいに楽しんでみては如何でしょうか。

【今回使用のタックル】
Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1.2号(8lb)、TroutTune55S6g赤銀、WeightedRigge56SSワカサギ、MarkBates55Sワカサギ、D-contact50/63Sヤマメ/ワカサギ、ヤマメスプーン5cm緑/金、Kルアー5cm緑、他