毎年、ゴールデンウィークの最初の2〜3日は、山形渓遊会の春の例会となっています。今年の山形・新潟は残雪が異常に多く、予定していた奥地へは全く入れませんでした。おまけに、ちょっとした事件があって、あまり良い釣りはできませんでした。しかし、この時期の楽しみは釣りだけではありません。この季節ならではの最高の贅沢である山菜とスプリングエフェメラルズをメンバー全員で存分に楽しんできました。 山形渓遊会も発足して10年を迎えますが、世に言う転勤族の集まりゆえ、毎年しっかりと例会の行われているのは、この春の例会くらいになってしまいました。今年も佐谷名人が海外旅行で欠席でしたが、渡辺会長とS長老、それに私の3人で、新潟県は下越地方の某源流に今年も入りました。今年は残雪が異常に多く、山形県内の各河川は山の入り口で林道が塞がれてしまっていて、奥へ入ることが殆どできません。しかし雪の比較的少ない下越の渓であれば、なんとかなるだろうと、会長の決断でこの源流に決めました。(写真上左は左から、17年度山形県共通遊漁証、17年度新潟県共通遊漁証、15〜17年度寒河江川C&R区間河川監視員証)
渡辺会長とS長老の二人は、28日木曜深夜から現地入りしていましたが、私はと言うと、その頃は例によってまだいわき市内で仕事をしており、金曜の早朝からの新潟の源流入りはちょっと無理。私だけは1日遅れて合流し、30日に3人で源流を楽しむことにしていました。29日は二人でしっかりと釣りと山菜採りを楽しんだ様子で、私が夕方に現場に到着すると、立派なイワナ3尾と実に沢山の山菜が用意されていました。イワナも尺上を含めて結構な数が釣れたとか、しかし、二人の顔色がさえません。いや、むしろ不機嫌なのです。実はちょっとした事件があり、二人は塞ぎ込んでいたのでした。 その事件については後ほど詳しく説明しますが、とりあえずはこの時期の最大の楽しみである山菜について少しご紹介しておきます。山形・新潟付近では、例年であれば、ゴールデンウィークのころに山菜の最盛期を迎えるのですが、しかし今年は季節が2週間近くも遅く推移していて、このレポートを書いているGW明けのころに、最盛期を迎えそうです。今回採取できた山菜は比較的早い時期から採れるものですが、いずれも渓畔にごく普通に生えているものばかりです。
特に山吹ショウマ(葉が山吹に似ている)や鳥足ショウマ(鳥の足に似ている)などはどこにでも生えていて、多くの人が見逃している山菜です。かき揚げにすると最高に美味しいのですが・・・。これらの他に、タラの芽、ヤマウド、アイコ、シドケ、ワラビ、アオミズなどが例年のGWを賑わしますが、今回はまだ残雪ばかりで、フキノトウがふんだんに採れる状況でした。これらの遅い山菜は、今年は5月の2週目以降に楽しめそうです。なお、山形県の山菜についての情報は、山菜屋ドットコム(山形県鶴岡市)が断然お勧めです。ぜひご覧になってみて下さい。
そして29日の夜は渓遊会会則に則って、一人1尾のイワナの塩焼きを頂き、山菜料理に舌鼓を打たせて頂いた訳ですが、どうも2人の気分が乗らない様子です。では、その事件について説明しておきましょう。下右の写真をご覧下さい。車のタイヤがパンクしています。幅1cmほどのナイフの様なもので、会長の車は3箇所、S長老の車も1箇所の刺し傷がありました。S長老の話では30年もの間、源流釣りをやっているが、こんな仕打ちは今回が初めてとのこと。まったく許せません。以後のお話は前後の状況から推測したものであり、犯人が誰かを特定は出来ませんが、少しだけこのお話を掘り下げてみることにしましょう。 二人の話では、現場に到着したのは木曜の夜に渓遊会の二人、その後明け方近くになって宇都宮Noの車の人が一人、最後に群馬Noの車の二人組みの順。源流釣りの世界では「早いもの勝ち」が基本であり、通常、こういった場合には3組で話し合いをして到着順に沢を分けるのが慣例となっています。しかし群馬組の人たちは挨拶も全くせずに、到着と同時にサッサと林道を駆け足で去って行ったとのこと。ところが宇都宮の人はバイクを持ち込んでおり、挨拶に来たときに「どうせ追い抜いてやるから」と話しており、足跡から推測すると間違いなく2kmほど上流で追い抜かれてしまった様子。宇都宮の人は早い時間に帰ってしまったため、恐らく渓遊会の二人をバイクの人と間違って、追い越された腹いせに、犯行に及んだと推測しています。
しかし許せない以上に哀しいですね。群馬の彼らは何のためにわざわざ新潟までやってきたのでしょう。どこの世界にもこういった大バカものがいるものですが、そんな事をして、はたして釣りを楽しめたのでしょうか。加えて、バイクで追い越す場合にも、一言声を掛けるべきです。何年か前に、黙って追い越して行ったバイクを腹いせに谷底に投げ込まれたという話を聞いたこともあります。何キロも歩いている後ろから黙って追い越されれば、どんなに腹立たしいか、考えてみればすぐに判ることです。顔を見て一言でも挨拶をしていれば、こういう事件は絶対に発生しなかったはずなのですが・・・。 さて、本題の釣りのお話に戻りますが、30日の夜明けの5時になっても二人は全く起き出してきませんでした。この事件ですっかり戦意を喪失してしまっていた彼らは、前日の疲れもあって、車のなかで高イビキを決め込んでいたのです。結局、二人が起きたのは7時過ぎ。その後、国道沿いのガソリンスタンドでパンクの修理が完了したのはもう9時近くでした。はて、今からどこに入ろうか・・・人の入っていない渓などこの時間では既に殆どなく、しかたなく、普段は相手にもされない様な小さな沢に入ることになってしまった、と言う訳でした。 しかし小さな沢とは言えしっかり林道もあり、恐らく雪が少ない年であれば、我々の入ったあたりは頻繁に人が入り込んでいるに違いありません。雪代で水量こそ豊富でしたが、案の定、この沢で釣れるのはご覧の様なチビイワナばかりが数尾だけ。私など、最初から釣りはあきらめていて、結局最後までルアーロッドを出すことはありませんでした。もっとも、私のこの時期の源流の目的は、野草花や新緑・残雪の写真です。加えて最近購入したビデオカメラの試し撮りの目的もあり、雲ひとつ無い素晴らしいお天気には恵まれ、私だけは(^_^;十分に満足して帰ってきました。 本当を言うと、ビデオでイワナを釣り上げる瞬間を撮影し、このHPに動画で掲載するという目的もありました。源流であれば場所の特定もほとんど不可能なため、動画も許されるであろうと考えていましたが、残念ながら2人ともほとんど釣れておらず、今回の動画掲載はあきらめました。さて、今年は例年より2週間近くも季節が遅く、残雪もまだまだ多く残っていますが、その分、渓流にも源流にも人はまばらであり、魚たちは十分に温存されています。また、今後の豊富な雪代は源流のイワナたちを堰堤プールにも多く集めてくれることでしょう。源流・堰堤プールともに、今年はとても良い年になるであろうことを期待しています。 【今回使用のタックル】 KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy50S/65S/ヤマメ、D-contact50Sヤマメ、他 |