クラブ釣行レポート

空振りの山形渓遊会源流行(8月15/29)


今年の夏はとにかく忙しくて釣行回数も激減しています。春の山形渓遊会釣行もメンバーの時間調整ができずに流れてしまい、それではと6月に予定していた源流行もまたまた中止。挙句の果ては、夏休み恒例の源流釣行までもが、仕事の都合で日程が合わずお流れになってしまいました。そしてもう源流の季節もそろそろ終盤となった8月末になって、ようやく会長と2人だけでプチ源流を攻める時間が取れました。しかし、その日入った源流は、半ば予想通りに魚影の全く無い死の渓でした。仕方なく途中から源流遡行に切り替え、最後は登山になってしまいました。魚の写真の全く無いレポートも寂しいですので、オマケでその後の堰堤の釣りについても少しだけお伝えします。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。


【8月29日(日)】

恒例の夏休み源流釣行があまりの仕事の忙しさでお流れになってしまい、もうフラストレーションは溜まるばかりになっていた連休明けの或る日、渓遊会の渡邉会長から電話でお誘いがやってきました。なんでも、昔は全く魚の棲まない死の渓谷だったが、誰かが魚止め滝の上にイワナを放流したらしく、釣れないと予想して誰も入ってない源流で釣り三昧・・・などと誠に怪しげな情報を持ってきたのです。まぁ、私にしてみれば、源流釣りはどちらかと言うと花や渓谷の写真に興味があり、もともと魚には大した期待はしていません。釣れても釣れなくても、まぁいいか・・・と良くも考えずにOKを出してしまいました。


この源流は下流部からも釣り遡ってくることは可能ですが、酷いゴルジュの連続で、しかも水量も半端ではありません。魚止めの滝までの行程は、私の様な50歳を越えた足腰の弱い人間にはとても無理そうです。しかし、登山道を利用して稜線からの1時間足らずの道を下れば、その魚止めの滝のすぐ上流部へと降りられます。ここはもともと魚の棲まない渓谷として、釣り人の姿はほとんどありません。あいにく超大型台風が近づいていて、いつ雨が降るかも知れない状況のため、日帰りの簡単な準備だけをして、リュックにはウェーダーを忍ばせて、登山靴で稜線から源流部へと下りました。

ウメバチソウ 季節外れの紅葉 ダイモンジソウ

降りてみるとそこは以外にも明るく開けた渓相で、会長がネットで川虫を探ると、結構な数の水棲昆虫がすぐに採取できます。おまけに、これだけ広い河原なら増水しても魚たちの逃げ場は幾らでもありますし、上流には温泉などもなさそうなので、一度イワナを放流すればすぐに魚の棲む渓となるのでは、と思われました。予想通りに登山道周辺以外は釣り人らしき足跡も全く無く、水は透明そのもの、お天気もそこそこで、気分爽快のうちに遡行を開始した訳です。久し振りの源流遡行に胸がワクワクするのが感じられました。


しかしイヤな予感は的中するものです。渓相は良くても、あまりにも足跡が無さ過ぎるのです。まずは私がミノーを投げますが、あれま、全く魚のトレースがありません。続いて会長が丹念に餌を投入しますが、これまた反応なし。そのうちちょっとした滝の下までやってきた我々は、会長の目印にまるで反応が無いのに苛立ち、滝下のエグレを流木でゴソゴソと探りを入れ始めます。こうしてやると普通、魚がいると飛び出してくるのが見えるので、喰い気に関係なく魚がいるかどうかを確認できる訳です。・・・しかし、それでも全く反応なし。やはり魚の全く棲まない源流だった様で、2人とももうガックリしてしまいました。カイチョーさん、ガセネタは止めてくれよナー。

?? ヤマトリカブト オニシオガマ

この時点で既に登山道で1時間、遡行で1時間ほどの時間が経過していて、別の釣り場に向かうのももう不可能です。ふと辺りを見回すと、すっかり秋の雰囲気となった美しい景色が目に飛び込んできます。見上げると遠くには霊峰月山の稜線が美しく伸びています。写真にはうってつけのこの状況に、こうなったらやけっぱちで源流遡行を続けるしかありません。風景や野草花の写真を撮影しながら、2人でのんびりと稜線まで詰めることに決めました。釣りはもうありません。焦らずゆっくりと峪沿いに歩いていると、高山の乾燥した空気がとても気持ち良く、ほどよい汗を乾かしてくれます。


ところで、こういった源流の遡行では必ずと言って良いほど小さな滝が次々と現れてきます。この峪は比較的穏やかで滝は少なかったのですが、それでも稜線に近づいて勾配を上げてくると、写真の様な小さな滝が連続して行く手を阻みます。ただ、落差は比較的少なく、良く見ると寒河江近辺の渓流に特有のデコボコの多い岩盤質であり、登る前に足場と手がかりの位置を良く見極めてルートを考えてから上り始めると、どの滝も楽勝でクリアーできました。滝の数は10個ほどありましたが、難なく通り越して行くと、やがて水が峪から消滅してしまいました。もう少しで稜線です。


会長のルート選択が良かったのか、峪から水が消えた直後に再びウェーダーから登山靴に履き替え、脇の小さな沢筋に歩を進めると、すぐに藪が現れましたが、なんとまぁ、ほんの30mほどの藪コギをしただけで、あっさりと稜線上の登山道に出てしまいました。うっそうとした峪と藪を歩き続けてきた我々の目に、明るくひらけた風景が飛び込んできます。登山道に出てしまえばあとはもう迷う心配もありません。稜線の涼しい風に吹かれながら、ぐるっと回ってのんびり駐車場に戻るだけです。登山道ではエゾリンドウ(蝦夷竜胆)の鮮やかな紫色が、ひときわ美しく輝いていました。

オヤマリンドウ オニシオガマ エゾリンドウ

【8月15日(土)】

と言う訳で、今回の源流釣行レポートには魚の写真が全くありません。このままでは余りにも寂しいですので、またまたオマケでその後の堰堤プールの釣りについて、お伝えします。今年の夏は猛暑で渇水が著しく、どの堰堤プールも枯れてしまって早々に釣期が終わってしまいましたが、それでも堰堤の穴の詰まり具合で、真夏でもプールが残っている堰堤が幾つかはあります。私のいつも行く堰堤プールは写真左下の大きなものですが、水位は極端に浅く、しかもバックウォーター部のヘドロが減水とともに流れ込み、全体にかなり濁っています。上流からの水が比較的強く流れているほんの一部に透明度の少し高いところがあり、こういった場所で、残り物のイワナやヤマメが真夏の真昼間でも釣れてくれます。

ヘドロで濁った堰堤のプール

そしてお盆休みもそろそろおしまいの8月15日、朝早くから出かけた私は思わぬ大物に恵まれました。通りすがりの地元の人に聞いてみると、前夜に少しだけ雨が降ったそうで、堰堤プールの水位が一時的に上がったのでしょうか、透明度が比較的高くて釣りになる場所が結構広く見つかりました。雨の後で魚も喰い気が立っていたのでしょう、フローターを漕ぎ出してから1投目で31cmの少しばかり銀化し始めた尺ヤマメ(写真上中央)がヒットしてきました。その後も小さ目のイワナやヤマメがポツポツとヒットしてくれ、2尾目の同サイズの尺ヤマメ(写真左下)に続き、10時ころにはこの時期にしては非常に珍しい39cmもある立派なイワナ(写真右下)がヒットしてくれました。


ちなみにこの日のヒットルアーは、尺ヤマメ2尾はDコンタクト(ヤマメ)、イワナ39cmはマジックで緑に塗装したベイルーフ50Sでした。いずれも底ギリギリをトレース中であり、中層を引いても全く反応の無い日でした。ただ残念ながら、この日はうっかりとデジカメを自宅に置き忘れて来てしまい、上の6枚の写真はいずれも車の中に残っていた半年前の写ルン(レンズ付きフィルム)で撮影したものです。そのため画質が悪く、実はこれ以上に解像度の高い画像は存在しません。高解像度でデジタル化しようと試みましたが、どうやら写ルンの画質は1500×1000ドットぐらいが限界の様で、知らない間にデジタルカメラはレンズ付きフィルムの解像度を遥かに追い越していた様です。

ツルニンジン 秋のキリンソウと紅葉 たわわに実った山ブドウ

【8月29日(日)】

8月も終わりの29日にも別の堰堤プールに出かけています。あれ?っと思われたかたもおられるかも知れません。そうです、先の空振りの源流釣行の日です。実は釣りをしないで遡行するのは釣りながらに比べれば遥かに短い時間で済むため、この日はお昼の12時ころには駐車場に戻ってきていました。いくら魚に期待していなかったとは言え、全くの空振りで少しばかりフラストレーションの残っていた私は、そのまま堰堤プールへと車を走らせたと言う訳です。ただこのプールでは前夜に雨が降った訳でもなく、活性はいまいちでした。釣れ上がって来たのはご覧の尺足らずのイワナやヤマメたちで、しかも数は5尾だけ。それでもまぁ、十分にフラストレーションを解消することはできました。


さて、山の季節はもうすっかり秋です。7月から続いていた渇水の時期もそろそろ終わり、9月一杯はまた水量の豊富な大物のラストチャンスが続きます。今年は仕事が忙しく、釣行回数の減っていた私は、仕事の落ち着く9月10日以降に掛けています。今夏は異常な猛暑と渇水で源流も渓流も釣り辛かったと予想されます。そのため、恐らく多くの渓魚が釣られずに残っているのではないかと密かに期待しています。残された短く貴重な時間を、思いっきり、そして大事に楽しみたいものです。


【今回使用のタックル】

源流:KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、堰堤:Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy50Sヤマメ/イワシ、D-contact50Sヤマメ、BayRuffe50Sイワシ、TroutTune55S6gヤマメ、他