今年は業務が非常に忙しく、筆を執るヒマがなかなか見つかりませんでした。もう夏も峠を過ぎたこの時期に、この様なレポートをお届けするのも少々時期外れではありますが、7月〜8月初に掛けての堰堤プールの釣りの状況と7月10日に行われた寒河江オフの様子も少しだけお伝えします。例年、梅雨の明ける7月末ころまでは堰堤プールの釣りが楽しめますが、今年は季節の移り変わりが早いことに加え、7月初からの猛暑で水温がかなり高くなってしまいました。予想よりもかなり早くから堰堤では釣れなくなっており、その分、源流部で良い思いをされた方が多かったのではないでしょうか。今年はまだまだ暑い時期が続きそうです。源流の釣りがもう暫く楽しそうです。 【7月24日(土)】 この日、ホームグラウンドの堰堤プールに入渓して最初に驚いたのは、前週の土日の豪雨によってプールのインレットがすっかり変わってしまっていた事でした。写真下左と中央は、それぞれ今年と昨年の同じ場所を同じ角度から撮影したものですが、ご覧の様に昨年まで深さ1m以上はあったインレット下流部のプールは、今年は砂に埋まってしまい、インレット自体が100m以上も下流側へ後退してしまっていました。1週間前の豪雨の凄まじさをまざまざと見せ付けられたかたちです。ただ、水位は1週間経ってもまだ満水状態で、水量がまだ完全に引いてはいない状況の様でした。
しかしもっと驚いたのは、豪雨の直後でさぞ魚影が濃いだろうと期待して入渓したにも拘わらず、プール内で釣れてきたのは写真上右の23cmほどのおチビちゃんが1尾だけ。1ヶ月前まであれだけ沢山いたイワナたちはどこへ行ってしまったのでしょう?そこで3年前に調査した堰堤プールの事を思い出しました。いくら豪雨が凄まじかったとは言え、この2kmもある巨大な堰堤プールゆえ、魚たちが堰堤の更に下にまで流されてしまったとは考えにくく、上流へ遡上したとしか考えられなかったのです。 仕方なくインレットの少し上の砂場にフローター一式を置き去りにして、用意していたリュックを担いでインレットから源流部へ釣り上がってみることにしました。予想は的中していました。釣り始めてすぐにご覧の様な堰堤育ちとしか思えない丸々と太ったイワナたちが、次々とヒットしてきたのです。時間は既に9時をまわっていましたが、それでもまだ水量が多いせいか、魚たちの活性はすこぶる高く、まるで釣り人を知らないかの様です。実は3週間ほど前にもこの区間を少しだけ釣っているのですが、その時は全く魚影すらなく、水量が多くてすぐに引き換えしてきたことを思い出しました。この魚たちはどうみてもプールに居た魚たちに違いありません。 良く見ると周辺の川岸は高さ2mくらいまでの野草類が全てなぎ倒されて(写真上左)いて、どうやら増水で2m以上も水位が上がった様なのですが、魚たちは元気に生きていたと言うわけです。ただ、写真上中央の様に、釣れてくるイワナたちはどれも体じゅうに擦り傷が沢山あり、豪雨の中をひたすら耐え抜いてきた様子が伺えました。それにしてもこのイワナたちは凄いですね。あの強烈な濁流の中、しっかりと流されずにその場に留まっていた様です。春先の水温の低いときにはどんどんと下流部へ流されてしまう様なのですが、水温が或る程度高くなると、魚たちの運動能力もそれなりに高くなり、流されずに済んでしまうのでしょうか。 結局この日は9時〜11時ころまでの2時間ほどの間に、尺1尾を含む9尾のイワナの釣果が見られ、しかも、どの魚も丸々と太った茶色い魚体のものばかりでした。釣り上がった区間はほんの1.5kmほどの短い距離でしたが、この上流には有名な滝があり、時間があればその滝の下で大釣りを楽しめたのは間違いありません。この日は魚たちの行動を確認するのが目的であり、本格的な源流遡行の用意をしていた訳でもなく、後ろ髪を引かれる思いで引き返してきました。 思えば今年は7月初からもうすっかり真夏の様相でした。例年ならば7月初と言えば、堰堤プールのルアーフィッシングの最盛期だったはずなのですが、今年は全くのハズレでした。県内の堰堤プールは7月1週目から既に魚影が薄くなってしまい、釣れるのはおチビちゃんばかり。どうやらイワナたちは水温の上昇により、源流部へ回帰する本能にスイッチが入ってしまう様です。南東北・新潟では7月10・11日とその翌週の17・18日に警報が出るほどの豪雨に見舞われましたが、濁流で魚たちが下流へ流されるかと思いきや、逆に源流部へすぐに遡上してしまった様でした。早くから水量が落ちた源流部では、さぞや良い思いをされた釣り人がおられたのではないでしょうか。
【7月25日(日)〜8月1日(日)】 さて、7月半ばにはすっかり夏空になってしまった訳ですが、その後も懲りずに堰堤プールを釣り歩いてはいました。この時期の堰堤プールは渇水で水位が下がり、インレットが下流側へ移動するのに伴い、インレット付近の湖底に溜まったヘドロが徐々に流し出されてプール全体が濁ります。そのため、透明度の低さから水温も上昇しやすく、これが下流部での高水温の大きな原因になっています。しかし、まだ魚たちは全てが遡上してしまった訳ではなく、完全にプールが干上がるまでのほんの1〜2週間は、実は濁った状況下で昼間でもイワナが狙えるのです。ただし、この時期の釣りはそれほど楽しくはありません。第一にプール全体にヘドロの独特の腐敗臭が漂っていますし、第二にアブの猛攻が待ち受けているからです。 特に今年は猛暑のせいでアブの発生が2週間ほども早くから見られ、8月の初には、まるで黒雲のごとくに飛び交うアブたちに手こずらされました。フローターでの釣りのため、沖合いに漕ぎ出すとアブは殆どやって来なくはなるのですが、ひとたび陸に上がると、もう地獄の真っ只中です。そんな中、苦労をしながらも末期の堰堤プールを釣ると、最後まで居残った尺オーバーのイワナやヤマメがポツリポツリとお相手をしてくれます。プール全体が強く濁っているため、同じ様な所に何度も何度もキャストを繰り返さないといけませんが、やがて釣れ上がってきたのは、上写真の尺一寸のイワナや下写真の尺ヤマメ。今期の堰堤プールの最後を確認した釣りでした。
【7月10日(土)】 さて、話は代わりますが、7月10・11日に行われた寒河江オフの様子も少しだけお伝えしておきましょう。上記のレポートでも触れましたが、10日は午後から豪雨に見舞われ、釣りの方は散々でしたが、大雨で身動きの取れない中でも、宴会だけは妙に楽しく、ネット仲間の輪が大きく広がった1日でした。私は仕事が忙しく、この日は午後16時過ぎに寒河江大井沢の伝承館前キャンプ場に到着しましたが、なぜか道中は雨が全く降っていなかったにもかかわらず、現地着とほぼ同時に集中豪雨の様な雨が降りだしました。うーん、日ごろの行いの悪かったのは、一体、誰でしょう?
写真上左は、この日の夕方に薄暗い中で撮影した伝承館前の寒河江川の様子ですが、到着時には平水だったこの川もみるみるうちに増水し、ご覧の様に川幅全体が濁流で埋め尽くされてしまいました。早くから到着されていて釣りをされたかたも一部お見えにはなったのですが、私は全く竿を出さずじまい。殆どのかたが全く釣りの無い初日となってしまいました。夕方から宴会を始めましたが、ちょうど18時ころから21時ころまでの間が一番雨の強い時間帯だった様子で、風玉さんの新品のタープの下で、雨音を肴に、宴会だけのオフとなってしまいました。 上の写真はこの日の料理の数々。いつもの米沢牛BBQにスープにカレーにと皆さんが持ち寄った様々な料理に舌鼓を打たせて頂きました。宴会そのものはいつもと何も変わりませんでしたが、今回はなぜか皆さん、お酒の回るのが早かった様です。恐らく豪雨で大増水した寒河江川を目の当たりにして、翌日の釣りも完全に諦めが付いたのでしょう。翌朝は早起きする必要の無いことが判っている中、お酒がすすんだのは致し方の無いところです。誰とは言うことも無く、いつの間にか演歌のカラオケ大会が始まってしまいました。 しかし不思議ですね、タープの外は豪雨で一歩も踏み出せない様な状況なのに、宴会だけは妙に楽しいものでした。遠くから見れば大雨の中で大型タープが1つだけ、明々とランタンの光りが輝き演歌の合唱が聞こえてくる・・・きっと不思議な光景だったに違いありません。しかしそんな雨も風も忘れさせるほど、ネット仲間の宴会は楽しいものです。なにせ、仕事も性別も全く関係無し。利害関係の全く無い、釣りと言う趣味だけでつながった純粋な人間関係なのですから。これは止められません。
【7月11日(日)】 夜半には雨も上がり翌朝にはご覧の通りの曇り空になりましたが、しかし川はどこも手の付けられない様な濁流のまま。仕方なくのんびりと朝食を作り、9時ころには解散しました。その後、風玉さん・ひろさん、Buuさんと私の4人で近くの堰堤プールに繰り出してはみましたが、あまりの濁りの強さで全く釣りになりません。更に近くの幾つかの渓流を4人でさまよい歩きましたが、ガケ崩れや増水で全くダメ。まぁ、たまにはこんなオフ会もあっても良いでしょう。また来年、皆さんにお会いできることを楽しみにして、お昼ごろ皆さんとお別れしました。 【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1号(6lb)、TroutTune60S6g黒赤、D-contact50Sヤマメ/ハヤ/緑、BayRuffe50Sイワシ、Wavy50Sヤマメ/イワシ、他 |