今年の堰堤プールのルアーフィッシングは、例年とは少し様相が異なる様です。いつもの年であれば、この釣りは7月後半の梅雨空けころまでが盛期となるのですが、今年は季節の移り変わりがとても早いことに加え、梅雨とは名ばかりの少雨のため、このレポートを書いている7月初の時点で、いくつかの堰堤プールで既に終盤を迎えている様です。さらに、今年は雨が少なく、そのためかいずれの堰堤でもプール内には魚影が薄く、釣果はあまり芳しくありません。しかしそんな中でも、釣り好きな私は足繁く釣りには出かけています。6月中旬から7月初までの堰堤プールの釣りの状況をお伝えします。(写真は朝焼けの飯豊連邦) 【6月19日(土)、AM】 前回のレポートでは5月中旬から6月初までの状況をお伝えし、45cmオーバーの大物も出ていることをお伝えしました。しかしその後の状況を考えると、どうやら今年は6月中旬ころまでが堰堤釣りの盛期だった様に思えます。強い雪代や梅雨の豪雨が大物を下流に追いやり、堰堤プールに大物が溜まると考えていますが、今年はこの雪代・梅雨がさっぱりでした。そのためか、各地の堰堤プールでは、釣れ上がってくる魚の数が例年の数分の一以下の状況です。ただ、数が少ない分、大物は出やすい様です。数が多いと小物が先にヒットしていまい、大物が逃げてしまうのですが、今年は逆の様です。
この日訪れた堰堤プールは私のホームグラウンドとなっている釣り場ですが、やはりこの日も数ではさっぱりでした。しかも例年だと7月に入ってから減水し始めるこのプールが、6月19日の時点で既に大きく減水し始めていて、魚たちはインレットが下流に移動した分、あちこちに散らばって泳いでいました。普段は全く釣れないような下流部で2尾の尺足らずのイワナのヒットが見られ、そうこうしているうちに、こんどはプールのほぼど真ん中の非常に広い場所で、いきなり下写真の44cmがヒットしてきました。どうやら減水と増水の繰り返しでインレットが下流部へ行ったり来たりしていて、魚たちは中央部まで移動してしまっている様でした。 イワナ44cm:SuperSinkingMinnow50Sヤマメ、距離30m・深度1.5m程度でヒット その後もインレットまでフローターで釣り上がりましたが、釣れたのは下写真のスレ掛りの1尾だけ。この日はこれで終わってしまいました。インレット付近だけは水温9℃とかなり低く、普段は良く釣れるポイントでも魚影は全く見られませんでした。下流部は前日の雨で透明度は1m程度とかなり濁っていましたが、水温が適度であり魚たちはインレットへはまだ行かずに下流部で過ごしていたのではないかと推測しています。お天気が良くなり水温が上昇し始めるとまた、魚たちはインレット付近へ移動して行くと考えられますが、この日の様に寒い日はそうでもない様です。
【6月19日(土)、PM】 この日は一旦、山形の自宅へ戻り、ひとしきり家族サービスをしたあと、夕方ころになって今度は置賜地方の堰堤まで移動しました。このところ、どうにも数が上がらないため、ヤマメも釣れて数も楽しめるこの堰堤を選んだ訳でした。現場に到着したのは17時ころでしたが、数釣りを楽しむには丁度良い時間です。そして、ここではヤマメを中心にイワナ33cm・ヤマメ30cmを筆頭に、予想通りに16尾の釣果が見られはしました。しかし、これでもまだ昨年の今ごろと比べると、数・型ともに見劣りする状態です。また、ここも既に減水し始めていて透明度も高く、季節は2〜3週間も早い状況でした。
【6月26日(土)、AM】 例年なら6月末の土日が最も大物の期待できる週末となります。この日は新潟のBuuさんからメイルでミニオフのお誘いがあり、珍しく早朝から入渓の準備をしました。しかし現場に到着したのは夜明け直後の4時ころでしたが、残念ながら夜半からの雨で付近の渓流は泥にごりです。現場に到着してみると既にBuuさんの車が見つかったのですが、どうせ釣れないだろうとしばし車の中で居眠りをしてしまいました。なにせ、このところ仕事が非常に忙しく、寝不足で体が動きません。9時ころになってようやく透明度が上がってきたのを見計らって、目的の堰堤へ降りて行きました。 Buuさんとは今年、頻繁に釣行を重ねていますが、なぜか彼はまだ今年は40cmオーバーの大物イワナに恵まれていません。案の定、Buuさんは早朝から濁りの中でルアーを投げ続けておられた様ですが、小さなイワナが1尾ヒットしただけとのこと、これから透明度が上がるに従って、大物が期待できる時間帯となります。こんなチャンスはそうそうはやって来ないでしょう。私にもポツポツと尺足らずのイワナがヒットし始めたころ、近くの餌釣り師にもBuuさんにもヒットが見られ始め、もう11時を回ったころ、ようやくBuuさんのロッドに大物がやってきました。41.5cm、おめでとうございます。 その後、Buuさんには33cmのヒットもあり、この日はまたまた私の完敗の形です。私はと言えば、25cm〜尺足らずのイワナが3尾釣れたものの、大物にはほど遠い状態。しかし不思議でした。この時期であればこの堰堤では尺オーバーが束になって釣れてくるのが当たり前でした。期待して入渓したにも拘わらず、釣れたのは2人で全部で7尾だけ。ほとんどが尺足らずの小物ばかり。この時期にこんなに釣れないこの堰堤は、初めての経験でした。やはり雨の少ない異常な天候のせいなのか、はたまた釣り人が増えすぎたのか・・・ 【6月27日(日)、AM】 懲りない私は、翌日の日曜にも早朝から釣りに出かけています。よくもまぁ、飽きないものですネ。前週に40cmオーバーを上げていた私は、柳の下のドジョウを求めて、この日またまたいつものホームグランドの堰堤に入りました。しかし現場に到着してすぐにがっかりしました。大きく減水していて、既にこの堰堤プールの釣りは終盤のようです。一応、フローターを漕ぎ出してはみましたが、案の定、小さなイワナがヒットするだけで大物の姿が見られません。ただ、この時期は減水によりインレットが大きく下流側に後退してくるため、湖底の泥がインレットで溶け出し、適度な濁りを作ってくれ、時折大物がヒットするものです。1尾だけ40cmほどの大物をヒットしましたが、残念ながら、足元でバラしてしまいました。
【7月3日(土)、AM】 さて、毎年この時期には神戸から黒瀬さんが、やってこられます。彼が来るとなぜか、程よい雨が降り好条件が整うため、型の良い渓魚がバカ釣れするので、私は大歓迎です。しかし今年は少し様相が異なりました。雨も降らなければ、非常に良いお天気なのです。この日は夜明けとともに第一番目の堰堤プールへと入渓しましたが、透明度は高く、青空で時合いは極端に短そうです。早朝の2時間ほどが勝負と判断し、薄暗いうちからフローターを漕ぎ出しますが、今回ばかりはちっとも釣れてくれません。後で判ったのですが、プール下流部の水温がなんと18℃もあり、もうこれは真夏の状態です。これでは釣れないのもあたり前です。なんとか小さなイワナをゲットしましたが、ガッカリでした。 【7月3日(土)、PM】 この日の午後はのんびりと移動して、2番目の堰堤プールへと向かいました。ここも透明度が非常に高く減水していて、あまり期待できません。おまけに到着時にはフライマン4名、餌釣り師1名がいち早く陣取っていて、釣り場はすでにもう一杯です。実はこの餌釣り師さんはこの釣り場で過去に何度も出会っていて顔なじみです。先行者の釣果を聞くと、案の定、誰も釣れていません。時合いはこれからと我々も頑張りますが、夕暮れまで頑張って、私に小さなイワナ4尾、フライマンに同1尾だけと、寂しい限りの釣果でした。 【7月4日(日)、AM】 明けて日曜も同じ堰堤プールに臨みました。この日はメイルでBuuさんと再び合流する約束でした。この日もお天気が良く、透明度は非常に高く、夜明けから2時間ほどが勝負です。しかしここでも釣りの女神様は微笑んでくれません。3人で7時ころまでの3時間を粘りましたが、私にチビイワナが2尾、Buuさんに小さなイワナ1尾だけ。昨日の餌釣り師さんも粘ってましたが、結局はこの時間までは釣果ゼロ。この堰堤プールでこれほどまでに釣果が無かったのは、実に初めてです。それもそのはず、雪代は既にすっかり収まってしまい、河原には夏の花が咲いていました。ここでも季節はもう夏でした。 しかしここでハタと困りました。わざわざ遠路神戸から来て頂いている黒瀬さんにほとんどこれと言った釣果がありません。毎年決まって型の良いイワナをバカ釣りしている彼にとって、この堰堤のありさまは天変地異の状態。このままでは帰れません。しかしこの日の午後には帰路に着かなければ成らず、時間はこの日のお昼頃まで。どうしても彼に釣らせてあげたい私は賭けに出ました。時間はまだ7時半です。早々にこの堰堤プールを諦め、大きく移動して、とっておきのポイントを攻めることにしました。
【7月4日(日)、9〜11時】 最後の堰堤プールに到着したのはもう太陽が高く登った午前9時でした。この蒸し暑い陽気でしかもお天気は晴れたり曇ったり。通常ではもう絶対に釣れるハズも無いのですが、ちょっとした考えがありました。先ほども少し説明しましたが、堰堤プールはこの時期、渇水により徐々に減水してきます。するとインレットが下流部に後退しつつ水位が下がってゆきます。湖底には満水時に溜まった泥が堆積していて、これが移動するインレットの付近で徐々に流れ出し、濁りが入るのです。つまり、標高が高くて水温さえ低ければ、真昼間でも釣りになる堰堤がこの時期、存在します。 ただ、減水の具合によっては濁りが強すぎたり透明度が高すぎたりと、現場に行ってみないと状況は判りません。つまり博打ではありますが、幸いにもこの最後の堰堤プールは丁度良い濁りが入っていて、黒瀬さんが岸から試し釣りをすると、渓魚のバイトがみられました。すぐにフローターを漕ぎ出し、2人でプールの端から順に釣って行きます。驚いたことにこれまでサッパリ釣れなかったのがウソの様に、2人のロッドに次々とイワナやヤマメがヒットしはじめ、結局、11時頃までの3時間ほどの間に、黒瀬さんにも私にも2桁の釣果が見られ、最大は36cmもある見事なヤマメでした。 さて、空梅雨と少ない雪代で今年の堰堤プールのルアーフィッシングもそろそろ終盤を迎えていますが、場所を選べばもう少しの間は楽しめそうです。そして梅雨が空ければいよいよ源流釣り師たちの夏がやってきます。季節は確実に移り変わり、魚たちもそれに合わせて大きく移動を繰り返します。あと3ヶ月足らずとなった今年のシーズンを、思いっきり楽しみたいものです。 【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1号(6lb)、ZaurusSuperSinkingMinnow50ヤマメ/緑、D-contact50Sヤマメ/ハヤ/緑、BayRuffe50Sイワシ、Wavy50Sヤマメ/イワシ、他 |