今年も堰堤プールのルアーフィッシングが最盛期を迎えています。毎年、堰堤で大物を狙うのが一番の楽しみである私にとって、5月の中旬から梅雨明けころまでのこの2ヶ月間が、最もエキサイティングな時期となります。今年は少しばかり季節の移り変わりが早く、例年より2週間ほど早く堰堤プールで釣果が見られ始めています。5月16日には奥会津地方のとある堰堤プールへ、翌週は山形県置賜地方と新潟県下越地方の堰堤プールを釣り歩き、更に翌週はホームグラウンドの山形県村山地方の堰堤プールを楽しみました。今年は大物に恵まれない日々が続いていましたが、ようやく40cmを超える獲物をゲットすることができ、久し振りに大物釣りを堪能することができました。 ![]() 【5月16日(日)、奥会津、堰堤釣り始動】 一年中渇水せずに水位の保たれている堰堤を除けば、通常の堰堤は夏に渇水して魚影が消えてしまいます。例年ですと5月の中旬ころから釣れ始めるそういった堰堤プールですが、今年はゴールデンウィークのころから一部の堰堤プールで魚影が見え初めていました。昨年は冷夏だったため、渇水しなかったプールが幾つかあることに加え、やはり今年は季節の移り変わりが少しばかり早いのも原因の様です。この日はどこの堰堤でも恐らく釣れるだろうと、ちょっとした有名な堰堤プールに挑戦してみました。この釣り場は奥会津では超有名なため、だいぶ前から私はこの釣り場のことを知っていて、一度は訪れてみたいと思っていたのです。
ただ、この釣り場は雪で林道が閉鎖されていて、5月の中旬まで誰も入れません。この日はちょうど林道が開通した直後だったらしく、私が9時ころに現場に着いた時には既に釣り人が6人ほど姿を見せていました。4人は夫婦2組のルアーマン、残り2人はサビキの様な毛鉤をあやつる地元の人たちでした。さすがに林道開通直後とあって、女性たちにもしっかりと釣果が有った様子で、私が到着したころには既にかなりの数のイワナが釣り上げられていました。ただルアーマンたちはフローティングやサスペンドのミノーで釣っていたため、対岸近くのポイントまでは届いていないらしく、SSミノーで大遠投することで、私にもご覧の様な尺近いイワナが何尾か、あっと言う間にヒットしてくれました。
この日は朝からかなり強い雨が降っており、私が到着した直後はまだ良く釣れてくれましたが、1時間ほどで強い濁りが入ってきてしまったため、釣果は上の4尾だけ。その後、午後まで粘りましたが、結局、夕方に尺物1尾を追加しておしまいでした。ただ、午後からやって来たルアーマン3人組みがいて、そのうちの一人がディープダイバーで濁った水の中から40cmジャストのイワナを引き釣り出したのには驚きました。更に驚いたのは、彼はそのイワナの写真も撮らずに、あっさりとそのままリリースされていたのがとても印象的でした。ご立派です。
【5月22日(土)AM、山形県置賜地方】 翌週はミニオフが控えていました。新潟の風玉さんからは土曜に置賜地区で、Buuさんからは日曜に新潟県下越地区で、それぞれミニオフをやりましょうと、メイルで声が掛かっていたのです。土曜は私も通いなれた釣り場です。早速、朝4時半に待ち合わせ、そろそろ釣れ始めているはずの堰堤プールへと入りました。この釣り場は毎年35〜40cm級の大物が必ず釣れている期待の釣り場ですが、まだ時期が少し早いため、多少の不安はありました。
風玉さんと現場に到着してみると、あれま、餌釣り師が一人、一番良いポイントに早々に陣取っていました。でもま、釣り場は広いため、彼の邪魔にならないところでルアーを投げ始めます。すでに魚影は十分で、すぐに25cm前後のイワナが私のロッドにヒットしてきますが、どうも大物の姿が見えません。餌釣り師の竿にも盛んにイワナがヒットしていますが、殆どが25cm前後の小物ばかり。やがて活性がピークに達した午前7時ころ、餌釣り師の竿に連続して大物がヒットしてきましたが、しかしそれでもサイズは33cm止まり。どうもまだ本当の大物は、この堰堤プールには入ってきてはいない様子でした。
一方、この朝は、風玉さんにはバラシが2回有ったものの、残念ながら釣果には結びつかず、非常に悔しがっておられました。どうやらもっぱら表層を引いておられるため、イワナにアピールが弱かった様子です。トゥィッチングとカウントダウンを覚えて頂き、なんとかヒットはしたものの、バラシされてしまい、ちょっと残念でした。ただ、私は午前中にこの釣り場を後にして、午後からは別の釣り場に向かいましたが、彼はこの堰堤プールで夕方まで粘り、見事に2尾のイワナをゲットされたそうです。おめでとうございました。 【5月22日(土)PM、山形県置賜地方】
この日の午後は私一人で別の堰堤プールに向かいました。この釣り場は例年、イワナの40cmクラスが確実に出ている実績のある釣り場で、ヤマメも生息していて、飽きない程度に釣らせてくれる私の最も好きな堰堤プールの一つです。お天気も曇り空で気温も申し分なく、水量・透明度も絶好の条件でした。しかし釣り始めてすぐにガッカリしました。数こそ釣れてくるものの、大物の姿はさっぱりです。小さな小さなヤマメと、ときおり25cm前後のイワナがポツポツとヒットしてくるだけです。堰堤プール内をくまなく移動し、場所を変えルアーを替え粘りますが、どうにもサイズが上がりません。
実はこの日、現場に到着したのは午後1時過ぎでしたが、あまりの寝不足に車の中で居眠りをしていました。ところが寝すぎてしまって目覚めたのはもう4時半ころ。どうやらこの日は前日の雨で水温が低すぎたらしく、目覚めたころにポツポツと有ったライズが、入渓と同時に消えてしまっていました。5月の中旬はまだ水温が低く、案外、3〜4時ころのまだ暖かい時間帯が時合いになることが多い様です。そのため、魚がいても明る過ぎてなかなか大物がヒットしてくれないのも事実です。そしてもう薄暗くなった夕方の18時ころになり、ようやく写真左上の33cmがヒットしてくれましたが、時既に遅し、これでこの日はおしまいでした。
【5月23日(日)、新潟県下越地方】 実はこの日、新潟のBuuさんたちとミニオフのお話がありました。しかし、前日の寝不足と2つの堰堤を釣り歩いた疲れが残り、目覚めたのは5時半ころ。歳は取りたくないものですね。待ち合わせ場所に到着したのが6時ころになってしまい、すでに皆さんの姿はありません。困った私は仕方なく、近くのこれまた通いなれた堰堤プールへと一人で向かいました。釣り場には既に4人の顔見知りのルアーマンがいましたが、どうやらこの日はまだ誰にもヒットは無く、魚影も全く見られないとのことでした。
4人は諦めたのかすぐに帰ってしまいましたが、その後またまた3人の顔見知りのルアーマンがやってきました。一緒に4人で10時半ころまで粘りましたがやはりヒットは無し。結局、誰にもヒットはおろか、魚のトレースすらないと言う、惨憺たる状況でした。理由は良く判りませんでしたが、まだ時期が早すぎるのでしょう。この堰堤は実は小さなダム湖になっていて、普通の堰堤とは異なり最深部の水深が12m以上もあります。そのため過去の実績を見てもまるで煙幕理論が通用してくれません。深いところに魚が潜んでいるのかあるいは、まだ上流から魚が入り込んでいないのか、謎の釣り場です。 ![]() あきらめた我々は、その後、離れた別の釣り場に移動しました。しかし、ここで誰にも予想できなかった素晴らしいドラマが待ち受けていたのです。時間は午後0時半ころ。既にあきらめ気味で、しかも真昼間です。釣り場に入った3人は、到底釣れるハズもないと半ばやけくそになってルアーを投げ始めました。ところがどうでしょう、すぐに一人のロッドに尺ちょっとのイワナがヒット。惜しくもバラされてしまいましたが、ここで一気に皆の闘争心が沸きあがります。そして13時ころ、遂に私のロッドに写真上の細身ではありますが46.5cmもある巨大なイワナがヒットしてくれました。長年ルアー釣りをやっていますが、うーん、本当に釣りと言うものは判らないものですね。
本当のことを言うと、この時ちょっとしたライントラブルが起こり、もたもたしていてミノーが完全に着底していたのですが、10秒以上もたってからおもむろにラインを巻き取ると、直後にヒットしてきました。スレていたのでしょうか、恐らく普通の釣り方ではヒットしてくれなかったのではないかと思われました。ヒットルアーは今では手に入らなくなってしまったスーパーシンキングミノー50mmヤマメでした。やはり重くて良く飛びしかも深いところを難なく探れるこのミノーの威力は絶大です。ザウルスの倒産により販売されなくなってしまったこのミノーが、私は本当に残念でなりません。その後一緒にいた2人にもなんとか尺前後イワナのヒットがあり、まずはめでたしめでたしでした。
【5月30日(日)、山形県村山地方】 さて、5月の下旬ともなるといよいよ堰堤プールの釣りも最盛期に突入してきます。大物のシーズン到来です。この日はどうしてもホームグラウンドの堰堤プールを釣りたくて、土曜に仕事が入っていたにもかかわらず、無理をしてその日のうちにいわき市から山形市の自宅に戻りました。あいにく土曜の午前中にかなりの雨が降ったらしく、水温が急低下して寒河江のC&R区間でも土曜はあまり調子が良くなかった様です。しかし、前週に大物を釣り上げていた私は気合が入りっぱなしで、翌日の日曜は、今年始めて一睡もせずに釣り場に向かいました。
しかしこれが正解でした。全ては期待通りの釣りが楽しめました。早朝4時前にフローターを漕ぎ出し、一番のポイントに到着したのは4時10分ころ。前日の雨でプールの下流側は濁りが強く残っていて、魚たちは腹ペコのハズです。明るさもちょうどよく、大物が最も出やすい時間帯です。1尾目は尺ちょうどのまるまると太ったイワナ君(写真上中央)でしたが、ちょっとした沢の流れ込みの入り口付近に、油性マジックで濃い緑に着色したDコンタクトを大遠投し底ギリギリをトレースすると、全く予想通りに下写真の47cmが喰らい付いてきました。会心の一撃でした。前週の同サイズとは全く異なり、この大物はまるまると太っていて、フローター上にランディングするまでに随分と手こずらされました。 ![]() フローターの上で写真を軽く撮影した後は、そのままフローターの周囲をミノーを掛けたままゆっくりと泳がせながら、沢山の壁紙用写真を撮影しました。魚はヒットしてから引き寄せるまでは大暴れしますが、不思議とフローターの周りでは全く暴れません。久し振りの体型の素晴らしいイワナに、連写モードで写真撮影に夢中になってしまいました。是非、壁紙写真(写真下中央、他)をお楽しみ下さい。その後、フローターを置き去りにして、インレットから源流部へと足を踏み入れましたが、残念ながら雪代の流れがもの凄く、500mも進まないうちに退散を余儀なくされました。帰りにやはり尺ちょうどくらいのイワナを追加して、この日は終わりました。
さて、東北の堰堤プールのルアーフィッシングは、今まさに最盛期を迎えています。ここ数年、釣りブームは底をついており、釣り人の減少に反比例して魚は十分に豊富な様です。釣り方とタイミングさえ間違えなければ、今年も大物・数ともに十分に期待できそうです。この釣りは夏の渇水で堰堤プールの水位が下がり始める7月半ばころまでが最盛期となります。あと1ヶ月半ほどの絶好のチャンスを、是非、みなさんも挑戦してみられては如何でしょうか。
【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1号(6lb)、ZaurusSuperSinkingMinnow50ヤマメ/緑、D-contact50Sヤマメ/ハヤ/緑、Wavy50Sヤマメ/イワシ、ヤマメスプーン5cm緑/金、他 |