クラブ釣行レポート

連休釣行レポート・源流編(4月30日/5月7-8日)


毎年、5月の連休の初めは、山形渓遊会のメンバーと源流へ出かけることにしています。年々忙しくなる年代の我々ゆえ、なかなか皆の予定が揃わず、結局今年は渡邉会長と私の2人きりの釣行になってしまいました。今回は2回に分けてプチ源流を攻めることとし、4月30日には新潟県下越地方のとある源流に、また5月8日には山形県庄内地方の別の源流へと足を運びました。季節はSpringEphemeralsが咲き乱れる春真っ盛り。急な水温低下でルアーでの釣果はいまいちでしたが、いつも通りの季節感溢れる釣行を楽しませて頂きました。(業務多忙のため本レポートの掲載が遅くなり申し訳ありませんでした)

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。


【4月30日】


山形渓遊会が発足したのは今から10年前。当時、同じ山形県内で同じ仕事をしている釣り仲間が集まってこの会が創立されたわけですが、10年と言う歳月はそれなりに重みがあります。この10年の間に、メンバーの多くは岐阜・青森・福島・埼玉などあちこちへ転勤になってしまい、それでも遠くから集まってきては釣行を楽しんでいます。しかし当時若かった我々も、今や一番仕事の忙しい年代です。ここ2年ほど、足並みがなかなか揃わないのが悩みの種となっています。今年は佐谷名人は海外出張、本山氏と福島のS氏の二人も休日出勤が重なり、結局、自由の身は渡邉会長と私だけになってしまいました。


2人だけなら逆に自由も利くため、釣行場所は全くの行き当たりばったりでした。28日は会長とS氏が下越地方の源流に入っていたため、29日夜に適当に待ち合わせ、何の予告もなく同地方の別の源流部を選びました。この源流は私は始めてでしたが、会長は既に数回も訪れていて、迷う心配もなく釣り場も良く把握されていたからです。今年は平野部での積雪は少なかったものの、高地での積雪は例年通りだったため、渓畔の残雪はとても少なく歩きやすかったのですが、午後からの雪代は凄まじいものがあり、2時ころまでが限界でした。

オオバキスミレ アズマシロガネソウ カタクリ

この時期の源流では、ルアー釣りはやはり餌釣りには全く敵いません。なぜかと言うと、早朝の時間帯は水温が4℃前後ととても低く、ルアーを追うほどに魚の活性が高くはならないからです。早朝はもっぱら会長の餌釣りにヒットが続き、私のルアーロッドにヒットのあったのはもう日の高くなった9時ころからでした。ここは源流と言っても比較的アクセスの良い場所であるため、既に相当な釣り人が入った様子で、餌釣りでの釣果を見る限りでは、実は一番型の良い獲物が数多く釣れたのは、キャンプをしたまん前でした。釣り上がるにつれ足跡が増え、流れが細くなるに従って、魚も小さく、数も減ってゆきました。


そのため、ようやくルアーでも釣れ始める様になったころには、イワナはチビばかり。それでも今年初めての源流の釣りは、SpringEphemerals(春のカゲロウ:残雪が融けると同時に花を咲かせ、雑草が生い茂るころには姿を消してしまう一連の野草)と眩しいばかりの新緑に囲まれ、それはそれは清々しいものでした。どちらかと言うと釣果よりも野草花の写真を撮影するのがゴールデンウィークの源流の目的ですし、今回も沢山の素晴らしい壁紙用のショットを得ることが出来、大満足の1日でした。ちなみに、渡邉会長の釣果はというと、残念ながら尺には少しだけ届きませんでしたが、数は30尾をゆうに超える大漁でした。

キクザキイチゲ イワウチワ ザゼンソウ

【5月7日】

さて、2回目の釣行は1週間ほど間を空けて5月の8日に出かけました。一度目の釣行で沢山の釣果があった渡邉会長ですが、全体に型が小さくて満足できなかった様子。どうしても尺を超える獲物が欲しかったらしく、どちらかと言うと会長のリベンジ釣行です。私はと言うと、最初からこの時期の源流の釣果など全く期待もしておらず、山菜と野草花の写真が目的です。まぁ、どこでも同じだろうと、言われるままに今度は庄内地方の源流へとおもむきました。前日の7日の夜に寒河江のダム湖の釣り場から移動し、車中泊でキャンプでした。


しかし待ち合わせの場所に着いて驚いたのは、なぜか会長はこの日も朝から某源流に一人で釣行していたらしく、すでに沢山の山菜の収穫を終えていました。お陰でテンプラや和え物など、一足早く山菜に舌鼓を打つことが出来た訳ですが、なぜかキャンプの夜に欠かせない塩焼き用のイワナが見当たりません。聞くと、なんでも小さな支流を魚止めまで攻めていたらしいのですが、渋い顔をして「一匹も釣れんかった」とのこと、珍しいこともあるものです。でもま、塩焼き用のイワナくらいなら夕方の水温の高くなった時間帯であれば傍らの渓流で簡単に調達できます。慌ててルアーロッドを用意し、私は2尾、会長も1尾だけイワナを釣り上げ、めでたく今年初めての「イワナパーティー」ができました。

ミヤマカタバミ ショウジョウバカマ スミレサイシン

【5月8日】

そして翌朝はご覧の様な非常に綺麗な快晴でした。ただ、寒波がやってきていたらしく、早朝はどんよりと霧のかかった様な曇天でした。長時間歩かなければいけないため厚着をすることができないのですが、釣り場に到着するまでの時間は、それはそれは寒くて参りました。この源流は、実はあと少しすれば林道が開通して車でかなり奥まで入り込むことができる様になり、すぐに釣り切られて、或いはスレてしまって殆ど何も釣れなくなります。でも、まだ残雪で車が通ることができない間は魚がスレていないため、それなりの釣果が見込めると会長が判断した様です。そのため、脇には立派な林道が走っていて、そこを結局2時間半も歩いてしまいました。途中から残雪の上には全く足跡もなく、どうやら我々が始めての入渓者だった様子です。


しかし林道脇の源流はやはり源流とは言えない様ですね。夏の間に散々釣られているせいか、ここでもやはり釣れ上がるのは小物ばかり。スレていないためか、次から次ぎへと会長の餌竿にヒットが続きますが、サイズは殆どが18〜27cmでした。ま、寒波で急に水温が低下したせいもあるのでしょうが、どうも大物の姿はありません。実は私は3年前にもこの渓を訪れているのですが、その時もやはり小物ばかりでうんざりした記憶があります。そうそうに諦めた私は、もっぱら山菜の採取にいそしんでしまいました。お陰でちょうど良いサイズのタラの芽50本ほどに加え、コゴミ、岩ダラ、ウド、シドケ、針の木、ワサビなど、大きなコンビニの買い物袋にてんこ盛りの収穫となってしまいました。


そして、私のルアーでの釣果は、11時ころ、汗ばむくらいに暑くなってきた一瞬に釣れた上中央の小さなイワナが1尾だけ。なにせ寒波で水温が低く、イワナが見えていてもルアーにはほとんど反応がありません。すぐそばをルアーが通過しても、イワナたちはチラリとミノーを見て追いかけ様とする仕草を見せるのですが、私のミノーの超スローリトリーブにも全く追いつけない状況でした。恐らく水温低下で魚たちは動きたくても動けないのでしょう。私が先にルアーを投げ、そのポイントに魚が入っているかどうかを確かめたあと、「あのあたりに**cmくらいのが1尾いるよ」と会長に告げると、それをそのまま餌竿で釣り上げるという場面が何回もありました。会長が餌を目の前に垂らすと、ゆっくりと泳いできてパクリと食いつくのです。

エンレイソウ リュウキンカ ヤシオツツジ
サワワサビ ユリワサビ  

さて、今回の釣行では、私にとって始めての収穫もありました。上中央の写真は、比較的どこにでも良く見られる「ユリワサビ(百合山葵)」ですが、今回初めて、本物の野生のワサビに出会えました。左上の「サワワサビ(沢山葵)=本ワサビ」がそれです。特徴は、花がユリワサビほどは長く伸びず、葉が全体に丸みを帯びていて葉の周辺が下方へ垂れていることです。そして、なによりも一番の見分け方は、その根っこです。ユリワサビの根は太いものでもせいぜい子指くらい(右上の写真の左側)までしか育ちませんが、サワワサビの根は、ご覧の様に人差し指〜親指くらいもあります。ただ今回のサワワサビの群落は小さかったため、一人数本づつの収穫とし、大部分はそのままそっと手を付けずに帰ってきました。


さて、リベンジ釣行だったはずの渡邉会長ですが、最後の最後に今回一番の大物(?)がようやくヒットしてくれました(写真下中央・右)。ただ残念ながら、そのサイズは尺にはほんの少し足らない29cmのまさしく「泣き尺」。数は今回も30尾以上は釣り上げていましたが、結局、尺イワナにはお目にかかれず、ちょっぴり悔しい釣行だった様でした。そして、ゴールデンウィークの釣行が終わると、東北地方にも、いよいよルアー釣りの本格的なシーズンがやってきます。本レポートを書き終えた23日現在、ダム湖の釣りもほぼ終焉を迎え、ようやく、堰堤プールのルアーフィッシングの最盛期が訪れようとしています。


【今回使用のタックル】

KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1号(6lb)、Wavy50Sヤマメ/イワシ、D-contact50Sヤマメ/ハヤ、Kルアー5cm、スプーン各種、他