今年も東北地方でダム湖の釣りの季節が巡ってきました。今年は解禁当初から思った様にロッドが振れず悶々とした日々が続いていましたが、ふと気が付いてみると、季節は既に山菜が芽吹き始め、春本番へと突入していました。今年初めての車中キャンプで鈍った体にカツを入れると、まるで冬眠から目覚めた動物の様に、体中に野生の血液がよみがえってくるのが感じられます。新潟市のBuuさんと久し振りに再会し、1年ぶりのダム湖の釣りを満喫してきました。(下写真は残雪をたたえた飯豊連邦) 今年の解禁は、例年と比べるとちょっと変な年でした。雪がとても少なく春の訪れが10日ほども早いのに加え、とにかく魚影が薄いのです。しかも3月は土日曜に気温が急降下するサンデーアングラー泣かせの気候が続きました。加えて私自身はと言えば、2月ころから仕事と家庭で多忙な日が続き、土日曜ですら満足に活動できませんでした。解禁釣行は3月の半ばまでお預けを喰らい、しかも釣行時間はいつも夕方の2時間ほど。お陰で恒例にしていた解禁釣行レポートも今年は書かずじまいに終わってしまいました。(読者の皆さま、申し訳ありません) 写真上左・中央は3月14日の解禁釣行時の写真です。時間も無いので解禁時にいつも行く堰堤に入りましたが、予想通りに既に足跡だらけで魚はスレている上、この堰堤プールもすっかり砂に埋まってしまい深い淵が消えていました。どうやらこの堰堤プールも今年でおしまいの様です。別の堰堤プールで小さな小さなイワナが1尾だけヒットしましたが、写真にも納めずじまい。写真下は翌週の3月21日に訪れた別の堰堤プールですが、こちらはご覧の小さなヤマメが数尾釣れただけ。なんとも寂しい3月でした。 3月の山形の渓流はまだ雪代が出ておらず、プールも透明そのものです。解禁直後にはそれでも大物が出てくれる可能性はあるのですが、堰堤プールのルアーフィッシングがこれほどまでに普及してしまった最近では、解禁日から1週間もするとフィッシングプレッシャーが高過ぎて魚たちはルアーに反応しなくなってしまう様です。雪代が豊富に入り濁りが出るまでは、どうやら大物は釣れそうもありません。まぁ、この釣りを世間様に紹介したのは他ならぬ私自身ですので文句は言えませんが、まるで都会の解禁日の様なせちがらい世界になってきたものです。昔はいつでも釣れたんですがねぇ・・・
4月1日には福島県の渓流も解禁し、当日は仕事のお客さんと福島県いわき市内の渓流に繰り出しました。しかしここでも釣れるのはご覧の20cm足らずのヤマメばかり。福島県の浜通りでは、雪も殆ど無く解禁から数週間で魚たちはその殆どが釣り切られてしまいます。解禁日の朝の餌釣り師の魚篭のなかには、型揃い(?)のヤマメが20尾・30尾と納まっておりました。これじゃ大物が育つハズもありません。同じ水系の堰堤プールにも出かけルアーを散々投げてみましたが、やはり釣れるのは20cmにも満たない可愛いヤマメだけ。寂しい限りでした。 翌週の4日にも少しだけ時間ができたため、最上地方の某有名渓流へと繰り出しています。付近の堰堤や本流でも竿を出していますが、ついにこの日は釣果無し。しかし多忙な日々もそう長くは続かないもので、4月に入って少し余裕の出てきた私は、10日になりやっと早朝から時間の取れる土日を確保できました。しかし、ふと気が付いてみると季節はもう山菜の芽吹き始める春本番。すでにダム湖の釣りのシーズンに突入していました。前置きがとても長くなってしまいましたが、今回のレポートの本題である早春のダム湖のルアーフィッシングにお話を移すことに致しましょう。
さて、そのダム湖の釣りですが、例年、4月初旬から5月連休明けころまでが釣期となります。この時期は、桜や野草の花・山菜にも恵まれ、長い冬から抜け出した開放感とともに、我々トラウトルアーフィッシャーに、この上ない楽しみを与えてくれるものです。ただ、今年は季節の移り変わりがとても早く、例年よりかなり早くから釣れ始めのニュースが届いています。昨年のダム湖の初釣行は13日でしたが、今年は4月10日でも少し遅いくらいに感じました。昨年はまだ野草花の姿もあまり見られませんでしたが、今年はスミレやキクザキイチゲが咲き始めていました。最初に入ったダム湖では、水温が9℃もあり(昨年同時期は5〜6℃)、すでに5月連休ころの状態でした。
10日(土曜)は前夜の内からいわき市からこのダム湖へと直行しています。しかし仕事疲れがたたり、この日は寝坊してしまいました。目が覚めたのはもうすっかり明るくなった7時ころで、早朝のうす暗い時間帯に地元のアングラーが40cm弱のイワナを釣り上げていましたが、私がロッドを出したころには、非常に良いお天気と相まって、すでに時合いは終わってしまっていました。この日の午前中は11時ころまで粘りましたが、非常に明るい快晴で、もう魚影は全く見えません。たっぷりと昼寝をしたあと、夕方は近くのもう一つのダム湖へと向かいました。 このダム湖では4月初から40cmオーバーのイワナが釣り上げられており、期待十分です。午後3時頃から釣り始めましたが、4時過ぎになり別のアングラーにイワナのトレースが見られ始め、ちょうど5時ころ、私のロッドに待望のアタリがありました。写真下の37cmがその釣果ですが、比較的斑点の大きなアメマス系のイワナの様でした。この魚の写真を収めた直後にもう1尾、恐らく42〜3cmのイワナがトレースしてきたものの、惜しくもヒットには至らず、結局この日はこの1尾だけで終わりました。 ちなみにもう一人いたアングラーにも私の釣ったと同時刻に尺前後のイワナがヒットしています。この時期にしては透明度が高いためか、どうやら時合いは4時半〜5時ころまでの非常に短い時間帯に集中していたた様です。この日のヒットルアーはご覧の薄いピンクのかかった銀のZaurus/SuperSinkingMinnow50であり、別のアングラーのヒットルアーも鮎カラーの同サイズのミノーの様でした。この日はなぜかスプーンには全く反応が無く、ミノーでかなり深いところをトゥィッチさせないと魚のトレースすらありませんでした。既に釣り人が多く入っていてスレており、深場で複雑な動きをさせないとヒットには結びつかないのではないかと考えられました。
翌11日(日)朝は久し振りに新潟市のBuuさんとの再会の約束でした。この日は昨日とは違い、早朝4時半から起き出して、気合十分です。まだ薄暗い中、最も実績の高いポイントへ入り、私はSSミノーを、Buuさんはスプーンを遠投し始めます。この付近は緩いカケアガリになっているのですが、SSミノーは今では貴重品であり、深い層をリーリングするのには勇気が必要です。やや浅めの層をトゥィッチングさせながら、たった2投目の事でした。不安通りにいきなり根掛かり・・・かと思ったら一呼吸おいてグングンと魚の引きがロッドに伝わってきます。
その引きの強さから「やった!念願の50cmオーバー!」と一瞬は喜んだのですが、すぐに今度は40cm級のイナダの様なガッガッと言う引きに変化し、やがて釣れ上がって来たのは、上写真の43cmもあるスモールマウスバスでした。ガックリです。その後も数分を置いて、またもや33cmのスモールマウスバス(写真下左)がヒット。魚たちには可愛そうですが、2尾とも陸上で昇天して頂き(リリース禁止のため)、カラスたちの良い餌になってしまいました。場所を変え、その後も10時ころまで粘りましたが、時折魚が追いかけてくるのが確認できるものの、さっぱりとヒットはしてくれず、どうもルアーを見切られている様子。結局はこの2尾のバスのみで、この日は納竿せざるを得ませんでした。 この時期のダム湖のルアーフィッシングの考え方 1.釣期は4月初旬から5月連休明けころまで。 山形県内のダム湖では積雪が多いため、1〜2週間ほど時期が遅れる。 2.今年は雨が少なく透明度が比較的高くしかも水温も高め。そのため、釣れる時間帯が非常に 短く限られている様子。早朝は夜明けから7時まで、夕方は4時ころから5時半ころまでで、 その時間帯のなかのごく限られた時間に集中して釣れている? 3.雨後の濁りの出た条件下では、もう少し長い時間に渡って釣れる可能性はあると考えられる。 しかし、雨の直後は水温が急降下するため、水温にあまり影響の出ないインレットから離れた ポイントを選ぶ方が良い。インレット付近はチビイワナとウグイの群れ。 4.人が多い釣り場では、深い所でミノーのトゥィッチング。人が少ない釣り場ではスプーンで 底狙いに分がありそう。いずれにせよ水温が4〜5℃と低く、表層では早朝や夕方以外は 釣りにならない。 5.ワカサギなどのベイトフィッシュを食べながら回遊しているが、ブッシュの脇などに付いて いる個体も多い。沖に遠投して沈めてから釣る方法と、ブッシュ周りを丹念に探る方法の 両方を取る。 6.ルアーカラーは日によって異なるが、ナチュラル系・グリーン系が無難。サイズは50cm までのイワナ狙いの為、5〜7cmのヘビーシンキングミノーか5〜10gのスプーンが最適。
さて、皆さんの今年のダム湖の釣況は如何でしょうか。渓流での不振とは裏腹に、どうやら今年のダム湖の釣果はここ数年になかった好況を示している様に私には思われます。付近のダム湖では私の知る限りでも、40cmオーバーが既に6尾、尺上なら数十尾は既に釣れている様です。しかもかなりコンスタントに釣れ続けています。釣り方と時間帯さえ間違えなければ、大物の可能性はしばらくは続くでしょう。 しかしそれにしてもうらやましいのは地元のアングラーの皆さんです。私の様にいわき市という遠方から、人の多い土日曜だけに釣りにくる人達には、大物の可能性はそれほど高くはありません。地元のアングラーたちは、仕事前の僅かな時間を利用して、人の少ない平日の朝のゴールデンタイムに、毎日の様に通っては大物を釣り上げています。さて、5月の連休が明けるころまで、もう一頑張りするとしましょうか。 寒河江C&R区間の特別監視員証、山形県共通遊漁承認証、新潟県共通遊漁承認証 【今回使用のタックル】 Wellner8ftTroutRod、シマノSensiLiteMG2500、呉羽シーガーエース1.2号(9lb)、ZaurusSuperSinkingMinnow50ヤマメ/銀/緑、D-contact50Sヤマメ/ハヤ、ヤマメスプーン5cm緑/金、Kルアー5cm緑、他 |