ここ数年、夏のお盆休みのしょっぱなは、山形渓遊会の仲間と源流で過ごすことにしています。本当は未知の峪での楽しい源流キャンプ釣行のハズだったのですが、台風に邪魔をされてごく平凡な日帰り源流釣行に終わってしまいました。それでも釣りブームが終わってから久しい今では、ちょっとした源流部でも、雑誌などに紹介されてさえいなければ、それなりに釣れてくれる様です。なお、オマケで最近の堰堤プールのルアーフィッシングについても、少しだけお伝えします。 本当を言うと、今回の夏の源流キャンプ釣行はこれまでにないお話が有るはずでした。と言うのは、某禁漁河川の調査釣行を予定していたからです。実は我々山形渓遊会のメンバーに当該漁協の組合員兼監視員がおり、その漁業組合長さんからのご依頼で、我が渓遊会にこの話が舞い込んで来たものです。予定の渓は遡行が難しいためか、源流の経験が豊富でかつ組合内での信頼を得ているメンバーだからこそ、この話が持ち上がったものと推測しています。寒河江川や虫類川などの鮭の釣獲調査とは異なり、希望さえすれば誰にでもチャンスがあると言う性質のものでは無い様です。 ちなみにこういった調査では、C&Rの励行はもちろん、大よその釣れたポイントや魚のサイズを細かく報告しなければならないのは当然です。加えて、禁漁の2文字が逆に集客効果を招いてしまうらしく、「隣の普通の峪の方が断然良く釣れた」などと言う話は良く聞く話です。つまり源流での調査釣行などと言うものは、面倒なだけで大して釣れないのが普通の様で、「未知の峪」というのが唯一の魅力でしょう。そして、この調査のために上写真の様にわざわざ腹部のフックを取り外し、尾部のフックもバーブレスにしたミノーを用意していました。調査中止になったものの、我々はこれらのミノーをそのまま普通に使うハメになりました。 ついでに、今回の釣行とは全く関係ありませんが、実を言うと私自身もこの8月から寒河江C&R区間での監視員を依頼され務めています。こちらはC&R区間へ良く来られる方であれば、県内外を問わず申し込めば誰にでもチャンスがあるそうです。もっともこちらは、釣りをしながらついでに監視もして頂こうと言う趣旨のものであり、特典は何も無し、簡単な審査有りと、全くのボランティアです。もし白い腕章をした私の姿を寒河江C&Rで見かけても、決して驚かないで下さいね。(ちなみに、私自身は最上第二漁協の組合員ではありません。写真上は私が現在所持している渓流釣り関連の証明書類) 中止になった理由はもちろん、台風10号でした。8日金曜に有給を取得して9日までの2日間の釣行予定でしたが、残念ながらイケズな台風は9日に本州を直撃の様相で、8日はまだ安心なものの、さすがに源流部でのキャンプには危険が大きすぎます。結果的には台風の進行が遅れ、予定通りに釣行できなくも無かったのですが、ここはいさぎよく勇気を持って取り止めることとしました。そして代わりに入った源流は上写真の様などこにでもありそうなプチ源流。まぁ、8日の日帰りで夕方までに帰ってくれば台風の心配も無いだろうと、のんびりと釣り上がりました。 最初の1時間ほどは釣らずに遡行に専念しましたが、釣り始めて不思議な現象が起こりました。テンカラと餌の渡辺会長・佐谷氏ともに、流せども流せども全くの反応が無いのです。私はとりあえずは写真に専念し、彼らが釣れ始めたらロッドを出そうと思っていましたが、まるで釣れてくれません。ここも釣り切られてしまっているのかと諦めはじめたころ、佐谷氏の餌竿に僅かな反応が出たのです。しかし、何度ポイントを流しても釣れてくれないのです。おかしいなと、試しに私がWavyヤマメを投げてみると、なんと1投目で22〜3cmのイワナ(写真左上)があっさりとヒット。 その後も私のルアーロッドには結構なアタリがあるのですが、餌には無反応。どうやら、この日はルアーにだけしか反応しないと言う、不思議な日の様でした。しかし我が渓遊会のメンバーは油断もスキもありませんね。しっかりとザックの中にルアーのパックロッドを忍ばせていて、私が3尾ほど釣った時点で全員がルアーマンに「ヘンシィーーン」してしまいました。それ以後は、遡行の早い2人が先にどんどんとルアーを投げるため、結局、私はロクな釣果に恵まれないと言う、なんとも歯がゆい結果となってしまったと言うわけです。年寄りを大切にしない人には天罰が下りますよ!
その後、会長や佐谷氏の餌釣りでも釣れたことは釣れましたが、結局この日はほとんどがミノーでの釣果となってしまい、ご覧の様に写真はルアーを咥えたイワナばかりになってしまいました。恐らくこの源流は、餌釣り師がかなり頻繁に入渓していて、餌の仕掛けには相当にスレてはいるものの、ルアーをそれほど見ていなかったのではないかと考えられました。ただ、ご覧の様に釣れたイワナたちはそれほど大型ではなく、会長の32cmが最大で、私と佐谷氏にも尺物は出たものの、ほとんどは23〜28cmであり、ま、プチ源流の釣果としてはこの程度でしょうか。ちなみに、先の尾部だけのバーブレスフックは、多少バレ易いものの、成果は上々の様でした。 こうやって今年の渓遊会夏期釣行も、なんとなく物足りないまま、あっさりと終わってしまいました。それにしても今年は天候が異常ですね。今回の釣行は今年初めての渓流足袋での入渓でしたが、水温が低くて大変でした。この時期であればシャワークライムや泳ぎが楽しいはずなのですが、歩くのが精一杯で、とても泳ぐ気などしませんでした。天候だけではなく、今年に入ってからの釣果も、皆さんからの声を聞く限りでは散々の様です。堰堤に大物が少ない分、源流部には魚が残っているのではないかと考えていたのですが、はて、大物はどこへ行ってしまったのでしょうか。 【オマケです】 一方で、今年は雨が多いため、多くの堰堤プールが干上がらずに保たれています。私のホームグランドの堰堤群は、昨年・一昨年と干上がってしまったところが沢山あったのですが、今年は未だに一つもありません。魚たちはプール内にかなり残っていて、来年は早期から釣れ始めるのではないかと期待しています。ただ、この時期はすぐに透明度が上がってしまい、やはりルアーでは良い釣果は望めません。8月に入ってもあちこちの堰堤プールを釣ってはいますが、尺前後が最大で、それ以上の大物は、トレースしてくる姿は見るものの、釣れてはいません。
この時期に狙い目となる堰堤プールには、写真右下の様に、渇水により水位が徐々に下がってくる様な堰堤があります。湖底にはヘドロが多く堆積していて、水位が下がり始めるとインレットに近い部分のヘドロが川の流れによって少しづつ流れ出し、プールの水が濁ってしまい透明度が上がらないのです。ただ、ヘドロが流れている訳ですので、釣っていても独特の腐敗臭がして、決して楽しいものではありません。釣れる魚も中型までであり、大物はどうやら産卵の準備で源流部へと移動してしまっている様です。 もう一方で、こんな楽しい経験もありました。雨の日のことですが、堰堤上のプールで安全を期して道路脇の岸からルアーを投げていると、しばらくして大雨によって上流から濁った水(写真下中央)が入ってきました。こういったときは水位は若干上がるのですが、堰堤のブロックの上端より高いところから釣っていれば普通は心配はありません。そしてご覧の様に透明度の高い部分が運良く手前に残ったため、ほんの30分ほどの間ではありますが、尺足らずのヤマメやイワナが次から次へと入れ食いになったのです。まさに煙幕理論そのままでした。(危険ですので、豪雨の中の釣りはお止め下さい。) さて、8月も中旬を過ぎ、山形県には既に秋風が吹き始めている様です。夏の気配は既になく、源流への思いは残るものの、水量は豊富でアブも少な目と、この時期にしては釣り易い条件が整っている様です。解禁期間もあと1月半を残すばかりとなりましたが、今シーズンの終盤は、いったいどの様な展開になるのでしょうか。例年に無い天候の推移であり、渓魚たちの活動の変化には、とても興味がありますね。 (夏期連休後半の釣行レポートはありません。) 【今回使用のタックル】 KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、ZaurusSuperSinkingMinnow50アユ/ハヤ/ヤマメ、Wavy50/65S/ヤマメ/白、D-contact50Sヤマメ/ハヤ、スプーン各種、他 |