クラブ釣行レポート

渓遊会源流行と飯豊山登山(7月26-27日)


堰堤プールの釣りシーズンも終盤となり、東北地方にもようやく源流フィッシングの季節が到来しようとしています。久し振りに山形渓遊会の会長と2人で、朝日山系のとある本流を目指しました。しかし、8月1日現在でも今年はまだ梅雨が明けておらず、十数年ぶりの異常な冷夏となっていて、源流部の増水の危険性からあまり奥地へは入れません。しかもこの時期にしては珍しい低温注意報の出る中、予想通りに釣果はさっぱりで、久し振りに「釣れないレポート」になってしまいました。釣りの方はあまりにも内容がありませんので、日曜に一人で出かけた飯豊山登山の様子も一緒に詳しくお伝えします。

注:場所の特定を防ぐため、風景画像の一部に大幅な修正を加えるか同イメージの別の写真を使用しています。


今年初めての源流行は、雨の心配があったこともあり、歩きやすい登山道が脇にあって集中豪雨でもない限り絶対に遭難しそうもない渓流を選びました。ただ、あまりにも有名な渓のため、釣果はあまり期待できそうもありません。それでもまぁ、足慣らしのつもりで会長の言うがままに、日帰りのリュックを担いで付いて行くことにしました。なぜかこの時期にしては珍しく低温注意報が出る中、あまりの水の冷たさにウェーダーを履いての出陣でした。


ヤマブキショウマ    ツリガネニンジン      カラマツソウ      クガイソウ

この釣り場は車止めから1時間ほど歩いたところから始まります。途中には山小屋が2つもあり、これらをベースに釣る人も多いとのこと。おまけに雑誌などでもしょっちゅう紹介されている様で、相当な釣り人が入っているのは間違いありません。それでも、ご覧の様な非常に綺麗なブナ林の中を汗を掻きながら歩くのは、それだけですこぶる気持ちの良いものです。付近には初夏の野草花がここかしこに咲いていて、久し振りの山歩きは日ごろの仕事の疲れを忘れさせてくれます。


写真を見れば、この渓流がどこかは、ご存知のかたならもうお判りでしょうが、あえて場所は伏せさせていただきます。この渓流はここ2〜3年、某有名源流釣り師が雑誌に書き続けたこともあって、釣り人の数は尋常ではありません。それでも魚が残っているのは、この山系の生産力の高さゆえであり、その生産力はこのブナ林にささえられているのは言うまでもないでしょう。さて、そろそろ本題の釣りのお話に移りますが、正直言って今回はほとんど書くことがありません。大変申し訳ありません、あまりにも釣れなかったからです。


ヨツバヒヨドリとシジミ蝶   シモツケソウ          分類不明のアザミ2種

1時間以上も歩いてから竿を出しましたが、ルアーを投げども投げども何も出てこないのです。唯一の釣果は、ご覧の会長のミノーに来た20cmほどのイワナが1尾だけ(写真下中央)。私のロッドが曲がることは一度もありませんでした。それにしても不思議です。幾ら人が多くても、1時間以上も歩けば多少は釣れるものなのですが、トレースしてくる魚影が全く皆無なのです。恐らく、もともと魚影が薄かったことに加え、急激な水温の低下で魚の活性が下がってしまっていたのではないかと思われました。これでは釣りになりません、ほんの2時間ほど遡行しただけで、あっさりと引き返してきました。


でもま、雨にしっとりと濡れたとても美しい渓流の写真が撮影出来たことは、唯一の収穫ではありました。その後、源流を諦めた我々は、昼間っからビールと温泉三昧で時間を潰しましたが、それでも付近の堰堤プールや堰堤の下を幾つか釣り歩いています。そして、今回入った堰堤では、少し面白い現象がみられました。これまでルアーで散々釣りまくってきた堰堤に入りましたが、透明度が高く、ルアーを見切られている様子で、今回はここでもルアーには殆ど反応がありません。私のロッドに来たのは25・6cmほどのイワナ(写真上右)が1尾だけと、盛期のころと比較すれば寂しいばかりでした。


キンコウカ     ヒヨドリグサ     タマガワホトトギス    コミヤマスミレ(?)

しかし、この日は珍しくフライマンが3人、この堰堤に来ていました。明るいうちは堰堤では全く釣れなかった様子なのですが、夕方薄暗くなってきた5時ころでした。写真下左の35cmのイワナがヒット、その後しばらくして34cmも追加して、3人は写真を撮影しあったりしてそれはそれは大喜びでした。釣れたのはCDCカディス#12のドライフライで、プールの流れ込みの水面が穏やかになる辺りに時おり発生するライズを狙っての釣果だった様です。それにしてもお見事でした。


そして思ったのは、どうやら堰堤にはまだ少しばかりの魚は残ってはいるものの、連日のルアー攻勢ですっかりミノーやスプーンを学習されてしまっていた様子なのです。やはり、ルアーでの堰堤の釣りの季節は、雪代が入っていて適度な濁りの残っている時期の様です。すでにルアーの時期は終わったと判断して、まだ明るさの残っていた6時ころには、フライマンたちの邪魔をしないようにと、早めに引き上げてきました。ちなみに、8月に入ると魚達は産卵の準備を始め、源流部へと遡上を始めてしまいます。そしてプールでは小物以外はもう釣れなくなってしまいますので、ご注意下さい。


キクザキイチゲ     アラシグサ     イワアカバナ     モミジカラマツ

【飯豊山登山】

さて、釣りとは関係が有りませんが、日曜は飯豊山に登山をしてきました。登山と言っても、私の場合は軽装のままで中腹までしか登っていません。毎年、小国町玉川の梅花皮(かいらぎ)沢沿いにある登山道を登るのですが、飯豊山荘のある駐車場(車止め)から2時間半の行程で梅花皮沢と石転び沢の出会いまで登れます。この出会い付近には沢山の高山植物がこの時期に咲くため、これらの写真を撮影するのが主な目的なのです。(写真下は、登山道中腹から見た梅花皮沢の雪渓と北股岳)


本当は山頂の梅花皮小屋まで登れば、更に沢山の高山植物に出会えるのですが、石転び沢出会いから更に2時間以上もかかり、しかも急な雪渓をよじ登る様な非常に体力を要求される状況となりますので、50歳を超えた私は残念ながらあきらめていると言う訳です。石転び沢出会いまでの行程は、最初の40分は車も通れる全くの平坦な歩きやすい道(ゲートがあり車は入れませんが)であり、その後はブナ林の中を30分程度、残りの1時間ちょっとは少しハードなところもありますが、概ね危険も少ないごく普通の登山道となっています。


ミヤマキンポウゲ         ハクサンコザクラ         イワイチョウ

私の場合は、登山靴だけは用意しますが、服装は普段のまま、日帰り用の小さなリュックに飲み物と昼食・カメラを入れて、まるでハイキング気分です。途中、梅花皮沢に降りれる場所が3ヶ所ほどあり、雪代のまだ混じった清冽な流れを見ると、思わず竿を出して見たい衝動に駆られるのですが、実はこの渓は案外と下流部に魚止めがあり、上流部は何も釣れません。良くみると餌釣り師の姿も見えるのですが、異常に釣り人が多い割には殆ど何も釣れないため、私は久しくこの沢では釣りをしていません。(写真上は登山道の中ほどからみた梅花皮沢。この時期でも雪渓が豊富に残っている。)


オオバミゾホオズキ       オオサクラソウ         サンカヨウ

さて、お目当ての高山植物ですが、殆どの花は下写真の赤丸の付近に集中しています。山形市からなら月山や蔵王山に登る方が近いのですが、残念ながら、オオサクラソウ・ハクサンコザクラはここ飯豊山でしか付近では見ることができない様です。ちょうどこの日はオオサクラソウが満開の状況で、赤丸付近の登山道脇には、黄色いミヤマキンポウゲと並んでピンクの花が咲き競っていました。(写真下は梅花皮沢[右]と石転び沢[左]の出会い付近。中央は北股岳。ここまで登ってくると、沢は完全に雪渓に塞がれている。)


【今回使用のタックル】

KenCraft SuperTroutSpecial60LT(Telesco.PackRod)、Wellner8ftTroutRod、シマノBioMasterXT2000、呉羽シーガーエース1号(6lb)、ZaurusSuperSinkingMinnow50アユ/ハヤ、Wavy50/65S/ヤマメ/白、D-contact50Sハヤ、スプーン各種、他